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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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29話 休憩所の襲撃





 俺は特に気にも留めずにトイレへと入っていく。


 そしてすっきりして小屋の外に出てくると、先ほどモグラのいた地面から何か生き物が顔を出していて、小屋の扉が開く音でこちらに顔を向けた。

 モグラなのか?

 その地中から出た顔の目と俺の目が合う。


 泥で汚れてはいるけど、見たことがある顔の作り。

 あああ!

 俺はありったけの声を張り上げた。


「敵襲っ! ゴブリン侵入!」


 咄嗟に背中に背負った短機関銃を手に取ろうとして気が付いた。

 安全地帯と思って戦車に置いてきたんだった。


 代わりに今度は腰の拳銃に手を伸ばす。

 26型回転式拳銃という低ランクハンターの間ではごく一般的な安価拳銃だ。


 その間にゴブリンは地面に開いた穴から這い出てくる。

 1匹目のゴブリンが外に出ると、2匹目のゴブリンが穴から顔を出す。


 やばいやばい。

 拳銃なんてほとんど使っていないから、いざホルスターから抜こうとするともたついてしまう。

 

 1匹目のゴブリンは穴の中にいる2匹目のゴブリンから、ライフル銃を受け取っている。

 ゴブリンの奴も相当慌てているようだ。


 ゴブリンがライフル銃を構えるよりも早く俺は拳銃を引き抜く。


 ゴブリンはまだまごついている。

 距離にして7~8mか。


 落ち着いて撃てば拳銃でも当てられる距離だ。


 俺は両手で拳銃を握って引き金を絞った。


 俺の銃は口径9㎜、銃身長12cmの6連発リボルバー。

 バーゲンセールで買ったトウブ社製26型という中古品だ。

 俺は引き金を3度連続で引いた。


 3発撃った内の2発が、ライフルを構えようとしたゴブリンの胸と腹に命中する。

 

 ゴブリンは地面にしりもちを着いてそのまま動かなくなった。


 2匹目のゴブリンが大慌てといった様子で穴から這い出そうとするのだが、俺がゆっくりと歩いてその穴のすぐ横で立ち止まる。


 上半身だけ穴から出てきたゴブリンは、必死の形相で両手を地面に押し付けて、残った下半身を穴から抜こうと悪戦苦闘している。

 ゴブリンは必死すぎて俺が近くまで来た事に気が付いてない。


 俺は銃口をゴブリンに向けたまま声を掛ける。


「おい、楽しそうだな」


 すると泥だらけの顔で俺の顔を見上げる。


 俺を見るその顔は、みるみる恐怖の表情へと変わっていく。


 そこで俺は引き金を一度だけ引いた。


 ゴブリンは下半身を穴の中に残したまま息絶えた。


 おそらく穴の中にはまだこいつの仲間のゴブリン共が潜んでいるだろう。


 俺は胸に吊るしている安物手榴弾を取り出し拳銃と持ち代える。


 眉間に穴の開いたゴブリンを穴から引っ張り出すと、すぐにその穴の中へと手榴弾を投げ込んだ。


 穴の中からゴブリンの騒ぐ声が聞こえる。


 数秒後には手榴弾は爆発して、ゴブリンの騒ぐ声が聞こえなくなる。


 その時、けたたましいサイレンの音が響きだした。

 襲撃の時になる警報だ。

 もう遅いよ、片付いたから。


 するとこちらに走ってくる2人の警備員らしき姿に目が留まる。


 俺は手を振りふりながらもう終わったよとアピールするのだが、警備員2人の様子がおかしい。

 違う方向を指さしている。


 どうやら騒ぎが起こっているのはここだけではないようだ。


 なんか複数の場所で騒ぎが起こっているみたい。


 警備員の2人が近くまで来ると、やはりといった様子で穴を覗くと俺に説明してくれる。


「ゴブリンが複数個所から穴を掘って敷地内へと侵入したようなんだ。ここもその穴の一つってとこみたいだな。今ハンターには招集がかかってるよ。坊主、ここは俺達が監視するんで行ってくれ」


「はいよ。それじゃあ頼みます。あ、討伐部位は後で回収するんで取らないでくださいよ」


 俺がそう言うと、警備員2人は軽く舌打ちをして黙って何度かうなづいた。


 俺は仲間達のいる戦車まで走って戻った。


 するとエミリーとミウの2人が戦車の中から銃を構えて待っていた。


 俺が近くまで行くとエミリーは待っていましたとばかりに告げる。


「お兄ちゃん、今度は私たちの番よ。漏れそうだから戦車借りるわね」


 言うが早いか、エミリーとミウはサイレンが響く中、戦車でトイレへと向かっていった。


「戦車で行くなら俺も乗せていってくれよ~。ゴブリン襲撃中だってのに、無防備で俺はここでボッチかよ~」


 去り行く戦車、ホーンラビットの後ろ姿を寂しそうに見つめる俺だった。





設定資料


ゴブリン製の拳銃:通称ゴブリボ


口径:7.65㎜

総弾数:5発


スイングアウト式リボルバー

ダブルアクション

体格の小さなゴブリンでも扱えるように作られた小型リボルバー拳銃。

人間にしたら非常に軽く小さく感じる。

ただし信頼性の低い安全装置による暴発がたまに起こる。

ゴブリン以外はほとんど使わない拳銃である。

しかしながら反動は小さいのでゴブリンが扱えばそこそこ使える拳銃へと変貌する。

人間には人気がなく市場にはあまり出回らない拳銃だ。




ということで次話投稿は明日の予定です。

明日もどうぞよろしくお願い致します。



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