表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
282/282

282話 DR部隊集合す


お待たせしました。

<(_ _)>









 燃料や弾薬が乏しい俺達は、この重野砲陣地で留まることとなった。

 と言うよりも動けない。

 通りかかる味方に燃料を分けてもらえるか聞くくらいしかできないのだが、それで分けてもらえるほど甘くはないよね。


 しばらくすると、この陣地にもどこからか砲弾が撃ち込まれてくるようになった。

 と言っても数は少ない。

 敵も弾薬が不足しているのか、はたまた野砲が不足しているのかもしれない。

 しかし敵の抵抗はまだあるという事。


 しかし、同盟軍であるコボルト軍の戦線が見ると、物凄い勢いでこちらに接近している。

 破竹の進撃ってやつだ。

 

 もしかしたらコボルト軍側の敵は後退したのかもしれない。

 いつの間にかに直ぐ近くまで来ている。


 そこで森の木々の陰から黒い車体が見えた。


 黒く染められた車体、四号式中戦車チート。

 ミカエさんの戦車だ。


 それとサンド島から送った戦車たち。

 交渉の末、俺が勝ち取ったDR部隊の戦車だ。

 だが、シーマン戦車は上陸作戦であまり余裕がなく、コボルト支配地域の仲間に送れたのはシーマン戦車以外だった。

 

 偵察用のモデル5軽戦車とクロムニエル戦車がほとんどだが、新しく生産を始めたという『モデル18ベルキャット』も手に入れて送った。

 「また自走砲?」と言われるのが怖くて、こっそりリストに載せておいたものだ。

 そうなのだ、モデル18は戦車の恰好をした自走砲だ。


 だけど敢えて選んだのには理由がある。それはその速度にある。

 データ上では最高速度が80㎞も出せる。


 戦車で80㎞だよ?

 それに主砲の76㎜砲がある。

 となれば偵察に使えるし、敵の裏をかいて後方攪乱とかも出来る。


 そんなひそかな楽しみを抱えつつ、俺達はコボルト軍と合流することになった。


 無線で俺達の現在位置を知らせると、あっと言う間にコボルト戦車部隊と一緒に、我らがドランキーラビッツ部隊が現れた。

 そして早速無線通信だ。


『ボス車よりモリス車へ、生きておるか、どうぞ』


 久しぶりに聞く声、DR大隊の大隊長である“メリッサ・ボス”少佐、またの名を幼女大隊長。


「はい、こちらモリス車。生きてますよ。ぎだらけのモデル4シーマンDD戦車に乗ってます」


『おお、見つけたぞ。しかし酷い姿じゃのう。変なボロ服まで着せておるのか」


 ボロ服って……そうか、そう言えばまだ水上走行用の防水布が、所々付けたままだったな。

 

 コボルト軍戦車は地点Bの周囲に展開して行く。


 DR部隊旗を掲げた戦車群が俺達の前に到着した。

 こっちもかなり損傷が酷い。

 しかも俺が送った数両に数が足りない。

 まさか、死傷者が出てるのか……


 クロムニエル戦車から幼女大隊長が「よっこらしょ」っと言いながら出て来た。

 元気そうである。

 

 俺達はケイらと共に整列して敬礼する。


「お久しぶりです。こいつらはゴップ大隊ホクブ中隊所属の者達です」


「うむ、元気そうで何よりじゃ。他のDRメンバーはどうしたのじゃ?」


「戦車をやられて……何人かの脱出は確認していますが、その後どうなったかまだ確認がとれていません」


「うむ、そうか。ご苦労じゃったな。こっちは死傷者はないぞ。それとハマベイは占領済みじゃよ」

 

 驚きの情報だ。

 ハマベイとは俺達が王都を脱出して大陸から出航した港町の名だ。


「凄いですね。ハマベイの街を奪還したんですか」


「うむ、無血占領じゃったよ」


 無血占領ってどういうことだよ。

 敵が撤退した?


「すいません。俺達は全く情報源がなかったんでわからないんですけど、それはどういうことでしょうか」


 すると幼女大隊長は腕を組んで悩んだ様子で返答した。


「それがのう、ハマベイの街を占領していたオーク軍が突如完全撤退したんじゃよ。意味が解らん。それにじゃな、他の街でもオーク軍の撤退報告があるらしくてのう。コボルト軍の上層部も慌てておったぞ」


 オーク軍が撤退を始めている?

 どういうことだ?

 待てよ、なら魔族軍はどうなっているんだ。


「ボス少佐、もしかして魔族軍も撤退とか?」


「それはない」


 きっぱり否定されました。

 そう都合よくはいかないか。


 幼女大隊長は話を続ける。


「だがのう、ここに来るまでに魔族軍の動きは逆に活発になっておったぞ。おかげで戦車にも損傷があるじゃろ。まあ被害を被ったのはコボルト軍が殆んどじゃがな」


 そう言うことか。

 でも無事なら問題ない。


「ボス大隊長、もうちょっとで第二次上陸部隊がここにも来ますんで、少し待機していてもらえますか」


「うむ、やっと腰を下ろせるか。おい、誰か椅子を持ってまいれ」


 やることがやっぱりお貴族様だな。

 と思って見ていたら、椅子を持って来たのはエリン・アドラム中尉、エロリンだ!


 何でそっちにいるんだよ。

 あれ?

 ちょっと前までケイと一緒にいなかったか?

 それとお気に入りの少年も一緒に。

 

 ケイも呆気にとられて、口をポカーンと空けている。


「あの、何でアドラム中尉がそこに?」


 俺が恐る恐る聞くと幼女大隊長。


「おお、こいつか。こいつは海岸の辺りで少年兵とウロウロしておったんでな、拾って来たんじゃよ。遊ばせておくのも何じゃからな、雑用をやってもらってるのじゃよ」


 こいつ、迷子になりやがったな!

 俺がエロリンを睨みつけると横目でチラッとだけ俺を見て、椅子だけ置いてさっさといなくなった。


 これで良く王都の士官学校の教官とかやってたよな。

 今更ながら驚くよ。

 生存確認出来たからまあ良いか。


 ここで俺達の無線に反応があった。

 第二次上陸部隊からである。

 この地点Bへ防衛部隊を派遣するとのことだ。

 それと補給部隊と修理部隊も送ってくれるみたいだ。

 また、ゴップ大隊が壊滅的な状況ということで、俺達の部隊は再編ということで解散となる。

 俺達の新兵を率いての上陸という役割は終了するってことだ。

 これで肩の荷が下りるな。


 それからミカエさんとも会って話が出来た。

 コボルト軍は撤退するオーク軍との小競り合いもあって、多少は被害を被ってるらしい。

 しかし本国からの補充と増援部隊があって、今は戦力に問題はないと言う。

 このまま魔族軍との戦いに挑むそうだ。


 でもだよ、見ればコボルト軍の戦車は以前と変わらないんじゃないかな。

 それで魔族軍戦車とどうやって戦う、と思ったら変わった戦車を見つけた。


 見慣れない戦車が何両もあるな。

 あれは確かニ号式砲戦車ポイだったかな。

 75㎜山砲を搭載してる戦車だ。


 山砲は初速が遅い、つまり対戦車戦闘には向いていないんだがな。

 だけどここへ持って来たってことは、対戦車榴弾か。

 コボルト的に言えば“穿甲せんこう榴弾”を搭載しているんだろう。


 それなら確かに魔族戦車でも効果あるけど、初速が遅いんじゃ命中は難しいぞ。

 一応、ミカエさんと会ってそのことを指摘したんだが、今揃えられる戦車はそれしかないらしい。

 苦肉の策ということだ。


 取りあえずミカエさん達もこの海岸線の残敵の駆逐と、防衛を手伝ってくれるらしい。


 そんな事をしている内に、先ほど連絡があっ地点Bを防衛してくれる部隊と、補給部隊や整備部隊が到着した。

 それと散り散りになったDR部隊メンバーも一緒だ。

 全員無事の様だ。


 ここで新兵達とはお別れだ。


「モリス隊長、色々とご迷惑おかけしました。でも生き残れてよかったです」

「勉強になりました。それから何度も死ぬかと思いました~」

「うえ~ん、怖かったです~」


 新兵戦車兵の砲手、装填手、無線手の三人娘とのお別れだ。

 

 そう言えば結局、名前を覚えられなかったな。

 

 さて、それではDDシーマンの修理整備に補給、そしてDR部隊を再編して王都奪還へ進むか。

 


 







やっと投稿です。

どうもスラスラ書けません……


過去の話を見返している際にですね、忘れていたことを発見しまして。

サンド島での『バニーギャルズバー』の部分ですね。

お店に訪れるシーンを書き忘れていまして。

気になりだしたら書きたくなりましてw

ちょこっと書き足そうかと思ったら長くなり、五千文字と一話分を越える文字数ほどにww


それで271話の後に途中話として挟もうかと思いましたが、ストーリー的に問題なさそうだし、271.5話とか中途半端な話数となってしまう。


ならばと単話で投稿することにしました。

特に読まなくてもさほど問題はないです、多分。

もしかしたら本文中に少しそのネタが出るかもしれませんが、読んでいなくても大きく問題はないはずです。


単にお店に行って飲んで少し暴れるだけの作品です。

ただ、リッチ少尉が夜のお店に行くのです。

どんな面して女性と飲むんでしょうかw


という訳で単話としてアップしますので、リッチ少尉に興味ある方はどうぞ読んでみてください。

筆者の作品のページから飛べます。








という訳で次回もよろしくお願いいたします。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ