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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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20話 洞窟





 ゴブリン盗賊の拠点といっても、実際に見てみると普通のゴブリン集落に近い。


 山の斜面に3つの洞窟があり、洞窟前は森を切り開いたのか、広場になっている。

 その広場へと道は続いている。

 特に柵などで囲ってあるわけでもなく、見張り台やトーチカがあるわけでもない。


 俺達は周囲を警戒しながらその広場へと入って行く。


 広場の隅では俺達が破壊したスローリン戦車が炎上中だ。

 

 あとは小屋のようなものもいくつか建っていたようだが、シャークスの戦車がすべて蹂躙して潰れてしまっている。


 そして現在シャークスの戦車はその広場の中央付近で停車して、洞窟の中へと猛烈に機銃掃射している。


 もはや勝負はついた感があるな~。


 盗賊は森の中へと散っていった奴らと、洞窟の中で抵抗する奴らと半々といったところか。


 その頃になってやっとサキ達が乗るトラックが到着した。


 荷台には生きたまま捕獲したゴブリンを縛り上げた状態で何匹か乗せている。

 いつの間に!

 中々やるじゃねえか。


 広場の隅にトラックを止めると、捕虜のゴブリンをトラックのすぐ横に降ろしている。どうやら3匹いるようだ。


 銀牙のメンバーのシンセが1人、捕虜の見張りをするらしい。

 サキは荷台の銃座に上がり、機関銃を構えて警戒する。


 カト、ヤマイ、ユリカの3人の臨時メンバーはライフル銃を持って洞窟へと走り出す。


 一番左の洞窟はシャークスの戦車と中にいる盗賊とで、散発的な銃撃が繰り返されている。

 それでまずは一番右端にある洞窟を偵察するようだ。


 ヤマイが洞窟に懐中電灯を照らす。

 しかし中からは銃撃がない。


 大丈夫そうだと見た3人が、ライフル銃を構えながら洞窟内へと侵入していった。


 さて、俺らはどうするか?

 操縦席にいるエミリーの後ろから声を掛ける。


「なあ、エミリー。俺達はどうするよ。ここに居ても俺らの取り分は減っていく一方だぞ」


「あのゴブリンの戦車が炎上しなければ、結構なお金になったんじゃないかしらね」


「ん、いやまて。榴弾を叩き込むように言ったのは確かに俺だけどさ、20㎜機関砲装備してたんだぞ。撃たれたらやばかったじゃねえか。そんな目で俺を見るなよ。俺の責任じゃないだろ。ミウもそう思うだろ?」


 俺はミウに助けを求めるような目で訴える。

 すると、少し困ったような表情を見せて、ややうつむき加減で答える。


「えっと、安全を重視すれば正しかったと言えるし、戦車の回収を目的にするならば射撃は控えることもできたのかもしれませんね……なんか、すいません」


 中立的な意見な訳ね。

 ま、そりゃそうだな。

 巻き込んですまん!


「よおし、それじゃあ俺達も真ん中の洞窟探索するか。エミリー、前進だ!」


 3つある洞窟の内、中央に大きく開いている洞窟に向かって戦車を走らせた。

 洞窟の入り口手前で戦車を停止。


「エミリー、前照灯を点けてくれるか」


 前照灯の光が洞窟内を照らす。


 洞窟の奥で照らし出されたものを見たエミリーが言葉に詰まる。


「な、なんなのよ、あれは……」


 さすがに俺も驚いた。

 距離にして20m位だろうか、洞窟の奥では1匹のトロルが寝ていたのだ

 こんなに大きな騒ぎを起こしているのにすげえ神経だ。


「トロルが寝てやがる!」

  

 俺は慌てて短機関銃の銃口を向けて引き金を引き絞る。

 

 トロルといえば危険度が2等級に登録されている魔獣だ。

 それを解っている俺は、弾倉が空になるまで引き金を引き続けた。

 32発の弾倉は数秒で空になる。


 仕留めたか?!


 しかしその考えは甘かった。


 危険度2等級は伊達ではない。


「お兄ちゃん、まだ生きてるよ。あ、起き上がる!」


 エミリーの声でハッとした俺は思い出す。

 そうだ、こっちには37㎜対戦車砲があるじゃないか!

 俺は砲弾ラックから榴弾を手に取り対戦車砲に装填する。


「ミウ、榴弾装填完了。ブチかませ!」


「任せて下さい!」


 37㎜砲が火を噴いた。

 洞窟入口付近が砲弾の発射炎で一瞬明るく照らし出される。


 発射された砲弾はトロルの右脇を通って洞窟の奥の壁に着弾。

 爆炎を上げた。

 その爆炎に少しだけトロルが右腕で遮るような動作を示すが、その後何もなかったかのようにそのまま起き上がる。


「お兄ちゃん、立ったわよ、おっきいよ、おっきい!」


 エミリーの言葉を聞いてなんか興奮する俺。


 エミリーが若干パニックだが今はそれどころじゃない。

 まさかミウが狙いを外したのだ。


「外したか、次も榴弾を装填するぞ」


 俺は再び次弾装填を急ぐ。

 

 ミウが申し訳なさそうに答える。


「すいません。やはり魔法かけときます」


 恐らく気休めだろうがやらせておく。


 ミウが37㎜対戦車砲に“命中”の魔法をかける。

 今回はそれをじっと見学する俺。

 すると対戦車砲が一瞬輝いたように見える。


 あれ、さっきは気が付かなかったけど今これが輝いたみたいな。


「装填完了!」


 起き上がったトロルは身長2.5mはある巨体だ。

 こちらの照らす前照灯の光がまぶしいのか、光を遮るように顔の前に手を上げている。


「撃ちますっ、今度こそ仕留めますから!」


 ミウが引き金を引いた。


 37㎜砲の発射炎が再び洞窟内を照らし、その発射音が洞窟内の壁に反響するのだった。







次回、37㎜砲発射! さらにトロルに向かって戦車砲を発射するのだが……


次話投稿は明日の予定です。


どうぞよろしくお願いいたします。



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