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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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19話 拠点襲撃

ついに戦車戦か!






 いろいろ作戦は話し合ったんだけど、皆の意見がどうも合わず、最終的には正面突破ということになった。


「前進!!」


 砲塔のハッチから上半身を出している金髪リーゼントが、大振りに手を後から前へと振った。

 出発の合図だ。


 2番手に俺らのホーンラビットが続く。

 

 少し車間距離を開けてトラックが前進する。道が荒れているためトラックがどうしても遅れる。

 しかし待ってはいられない。

 戦車の走行音でいつ気が付かれるかもしれないからだ。

 

 俺達の襲撃に気が付かれても、すぐにゴブリンの戦車が機動できるとは限らない。エンジンが掛かるまで時間があるし、近くに戦車を扱えるゴブリンがいないかもしれない。

 早い話、ゴブリンの戦車が動く前に破壊したい。

 そうなれば後は楽勝だ。

 

 そのためには味方トラックが多少遅れても、いちいち待ってはいられないという訳だ。


 まずはゴブリンの拠点へと続く道路を封鎖している、検問の様な場所を潰さなくてはいけない。

 見張りは3匹という情報なんで、バリケードの木をどかせば済むことだ。

 そこでの戦闘音で俺達の襲撃がバレても、そこから拠点までは数分で行ける。


 シャークスの35型戦車が砲弾をぶっ放した。


 道を塞ぐように置かれた丸太に命中して派手な爆発を巻き起こす。

 榴弾を使ったみたいだ。


 道が狭くて縦列でしか進めないので、俺達はそれを後から見守るだけだ。金がなくて新しい砲弾が買えなかった俺達としては非常に都合がいい。


 せいぜい敵を吹き飛ばしてくれよな。


 くっそお、後ろから金髪リーゼント野郎に徹甲弾をめり込ませたい衝動に駆られながらも、俺は短機関銃を構える。

 ミウも愛用のショットガンを構えている。

 俺達が検問を突破する頃には、見張でいたゴブリン3匹は大した抵抗をすることもなく、森の中へと逃げて行った。


 やっぱりただの盗賊だな。

 士気が低すぎる。

 でもゴブリンだったらこんなものなのかな。

 そもそもゴブリン軍の兵士を知らないからなあ。


 シャークスの35型戦車がバリケードの木を跳ね飛ばして前進していく。

 車重が軽いこのホーンラビットでは無理な芸当だな。


 シャークスの35型戦車はさらに速度を上げる。


 今の戦闘の砲撃音で襲撃はバレたはず。それならばゴブリンに戦闘準備をさせる前に到着したいということだ。


 さすがに35型の最大速度にはこのホーンラビットは付いていけない。悲しいかな、走行性能でも35型の方が上なのだ。


 その勢いのままゴブリン拠点に突入したシャークスの35型戦車は、洞窟目がけて砲弾を発射する。


 狙い違わず砲弾は3つある洞窟の内の1つに飛び込んだ。


 洞窟の中で爆発が起こり、煙が洞窟からモクモクとあがる。


 洞窟から煙と共に何匹かのゴブリンがヨタヨタと這い出てくる。


 それを35型戦車の主砲と同軸に装備した機関銃が薙ぎ払う。

 小柄なゴブリンにとって7.7㎜機関銃の弾丸はオーバーキルだ。

 あっという間にズタズタのミンチと化してしまう。


 なんとか追い付いた俺達は、ホーンラビットを停車させて敵戦車を探す。

 攻撃はしてこないという事は、まだ準備が整ってないのか。

 

 見つけた!


 偵察の情報どおり偽装されて見つけ辛いが、注意してみればすぐに見つかる。


 今の所ゴブリンは混乱状態で、大した抵抗もない。

 やるなら今か。


「ミウ、あそこだ。戦車が見えるか」


「はい、偽装されてますがわかります。まだ動いていないようですね」


「徹甲弾を装填する。1発で仕留めてくれよ」


 ミウはすでに照準眼鏡を覗き込み、狙いを定めている。


「分かりました。対戦車砲は初めてです。一応魔法をかけておきます」


 ん?


 ミウは確か“命中”っていう魔法が使えるとか言ってたけど、それって狩人が使う魔法で、弓や小銃にかける魔法のはずなんだが。

 ま、いいか。

 今はそれどころじゃない。


 俺は砲弾を装填し終わると、短機関銃で手当たり次第に目につくゴブリンを射撃しまくった。


 ミウが小さく「撃ちます」と宣言して引き金を引く。

 距離にして200mもない。


 車体全体が激しく揺れ動くほどの反動を残して、37㎜徹甲弾がゴブリンのソローリン戦車に吸い込まれる。


 『カツン』と鈍い音がして37㎜徹甲弾はソローリン戦車の薄い全面装甲を貫いて、車体の後方まで突き抜ける。


 するとソローリン戦車のハッチが突然開いて、血だらけになったゴブリンが這い出してきた。

 

 搭乗員が戦車内にいたようだ。

 車内で起動の準備していたのかもな。

 でも残念だったな。


 徹甲弾の命中の衝撃で、ソローリン戦車の偽装の木や葉っぱが落ちた。


「やばい、20㎜機関砲装備じゃねえか! ミウ、榴弾を込めるから止めを頼むぞ」


 俺が榴弾を装填する。

 あの装甲厚なら榴弾でも撃ち抜けるだろ。


 俺がミウの頭を軽く叩いて装填完了を知らせる。


「撃ちます」


 ミウが再び引き金を引いた。


 榴弾はまたも命中。

 盛大な火柱を上げてソローリン戦車は爆炎を上げた。


 しかし対戦車砲を初めて扱ったというミウは天才だな。


 砲弾に余裕がなかったこともあって、ミウに実弾射撃の練習はさせてない。ひたすら射撃のイメージトレーニングだけだ。今回の実戦で初めて試射も兼ての実弾射撃を行ったのだ。

 いくら至近距離からの射撃と言えども、照準の調整も全くしてないうえでの射撃、そして命中だ。

 今まではライフル銃を扱ったくらいしか経験がないって言ってた。

 うん、やはりミウは才能があるってことだな。


 おっと感心してる場合じゃない。

 敵はまだいる。


 俺達は周囲を警戒しながら、炎上するソローリン戦車に近づいて行くのだった。






期待させといてすいません……


次回、ゴブリン盗賊の洞窟内へ突入。

その洞窟の奥には……


次話は明日投稿予定です。


どうぞよろしくお願いいたします。




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