表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

184/282

184話 札束







 

 終わってみれば敵の歩兵部隊は壊滅的な被害を出して、わずかな生き残りがチリジリに逃げて行った。

 敵車両は残骸ざんがいになっているか、その場に置き去りになっている。

 といっても無事な戦車はさすがに残っていないな。

 ほとんどはトラックや小火器に迫撃砲くらい。

 そういえば足回りが故障してる装甲車も1両あったっけ。


 確かオーク歩兵部隊は1個大隊位いたって聞いたんだが、そこまでいなかったような気がするな。

 すでに逃げ出した後だったのかも。

 まあ、いいか。

 とりあえず街は奪還したしな。

 あれ?

 この街も俺達のモンになるのか?

 ケイの言ってた貴族特権だと戦利品は俺らが貰えるんじゃなかったか。

 

「なあ、なあ、ケイ。この街は俺達が奪ったんだから貰えるんだよな? この街!」


 するとケイが呆れた表情で言った。


「ケンちゃんさ、脳みそゾンビ化しちゃった? そんな事言ったら上層部で全軍の指揮を執ってるお偉いさんがすべて貰える事になるでしょ。だから私達が貰えるのはオコボレ程度の物か、戦闘で役立つ物くらいよ」

 

 そ、そうか。

 確かに言われてみればそうなんだが、ちょっとかんさわる言い方だな。


 それより敵の残留品を回収だ。

 それとナミに連絡して一緒にいる歩兵部隊に街の中の安全を確保してもらわないと。

 まだ残敵が潜んでいる可能性だってあるからな。

 そうだ、作戦本部にも連絡入れなきゃいけないのか。

 忘れちゃいけないのがバルテン軍曹が持ち出した『お宝』だ。

 あれこれとやることが多くて面倒臭いなあ。

 あれ、俺のやる仕事以外じゃないよなこれ。

 危ない危ない、いつも間にかにケイの仕事までやるところだったよ。


 やることは多いんだが、まずはゆっくりと休憩をとりたいな。

 よし、しばらくぶりに戦車から離れて食事タイムだ。

 バルテン軍曹達とナミも呼ぼう。

 ケイの了承も得て早速行動に移す。

 監視を立てなきゃいけないから歩兵も何人か呼ばないといけない。

 まあ、作戦本部からもそのうち来るだろうけどね。




 そしてK小隊が全員集まったところでお食事タイムだ。


 ちなみにアンデット部隊は少し離れた場所で、彼らだけで食事をとるらしい。

 一応一緒ににと誘ってみたんだけどね。

 丁寧に断られました。

 周囲は来てくれた歩兵部隊が警戒してくれてるから、何かあったらすぐに知らせてくれるはずだ。

 今はゆっくりと腰を下ろしたい。


 K小隊全員で円陣を組んでお湯にぶち込んで温めた缶詰を食べる。

 温めることによって飽き飽きしていた缶詰が、ちょっとだけ美味しく感じる。


 でもさ、皆で食べる食事はいいね。


「誰だ、乾パンまで湯煎であっためた奴は」

 

 誰が言ったのかこの言葉で一気に緊張が解けて笑いが巻き起こる。

 仕掛けたのはバルテン軍曹達だ。

 バルテン軍曹達はこういった場面では、場を盛り上げてくれてとっても役立つな。

 

 改めてまわりを見ると、戦車ごとに分かれて座っている感じだ。

 俺達1号車はミウ、ケイ、エミリーに俺といった具合に同じ戦車乗員で固まっていて、タクやソーヤがいるから2号車や3号車のメンバーと少しは会話もするんだが、それが無かったらあまり会話もしないかもだな。

 バルテン軍曹はその辺の扱いが上手い。

 上手くそれぞれに話を振ってくれて、上手く会話ができるようにしてくれている。

 よく酒もないのにこれだけ陽気に振舞えるなと思ったら、よく見れば紙袋で隠してるけど酒瓶を片手にもっている。

 あ、バルテン軍曹だけじゃない。

 4号車の乗員全員じゃねえか。

 まあ、今日はいいか。

 戦闘は終了したっぽいしな。

 ケイも気が付いたみたいだけど何も言わないし。

 

 その中でも一か所だけ雰囲気が違う場所がある。


 ソーヤとリーサのカップルだ。

 あれはまさしく2人の世界ってやつだな。

 何が「あ~~ん」っだ! 

 1人で食えんのか!

 「リーサ、はずかしいよ」だと~、だったら嬉しそうにすなっ!


 誰か破甲爆雷持ってこい!


 くそ、リア充め。

 爆せろ!


 そんな時、ソーヤの戦車のメンバーの1人が突然リーサに声を掛けた。


「そうだリーサ、1曲吹いてくれよ」


 どうやらリーサはオカリナの演奏が上手いらしい。

 照れながらもオカリナを出すと、皆の中央に立ちオカリナを吹き始めた。


 その演奏は素人の俺でも分かるくらい素晴らしい音色を奏で、さっきまで戦争をしていたという事さえ忘れさせてくれた。

 ああ、癒されるじゃねえか。

 巨〇で音楽センスがあるなんてさ――畜生っ、ソーヤめ!


 よしそうだ、今の内にバルテン軍曹に聞いておこう。


 俺が近くに行くと、ちょっとだけ嫌そうな顔をされた。

 俺が何を話すか悟ったらしい。

 もちろんハンター協会支部で頂いてきたものについてだ。


「お疲れ様でした、バルテン軍曹。えっと……例の物なんだけど、ぶっちゃけ何?」


 小声でストレートに聞いてみた。

 すると、バルテン軍曹は耳元でそっと囁いた。


「……札束だよ、人族のな」


 びっくり仰天驚いた!

 よく考えたら人属に流通しているお札なんか、ゴブリンやオークにとっては単なる紙切れに違いない。

 金貨や銀貨だったらそりゃ持って行くでしょうが、紙幣ときたら話は全く別だ。

 それを考えたら手付かずで残っていても不思議ではない。

 こ、これはすげえな。

 俺は落ち着きをよそおってそっと聞いてみた。


「そ、それで金額はお幾ら万シルバ?」


「正確には数えてないんだがな、恐らく200万シルバってとこか」


 キタ~~~~!

 戦車1個小隊分買えるんじゃね!?

 あ、でもケイの所有権なわけだよな。

 それにバルテン軍曹達にも上げないといけないだろ。

 それでも相当な取り分が入るよな。

 いやあ、笑いが止まりませんわ。


 その時、1発の銃声が街中に響いた。

 

 あれ、銃声?


 そして地面に砂埃を上げて突き刺さる銃弾。


「狙撃兵。隠れろっ」


 俺が叫んだのと同時、再び銃声が続いた。


 くそ、どこから狙ってやがる。

 全員が近くの瓦礫がれきへと隠れた――いや、誰か倒れている。

 くそ、1人やられたのか!

 すると突然、叫び声をあげる者がいた。


「うああああああっ!!!!」


 声の方を見ると、崩れた壁の後ろに隠れたソーヤが再び出ようとしているのを、他のメンバーが必死に制止している。

 ソーヤも撃たれたのかと思ったが、そうではないらしい。

 必死に中央に倒れている人物の方へ行こうとしている。

 ソーヤは凄い取り乱し方で半狂乱状態といってもいい。


 まさか?!

 そう思って中央に倒れている人物に視線を持っていく。


 そこには血を流すリーサが倒れていた。





 






思ったより早く投稿できました。



次回も結構早く投稿できそうです。


次回は狙撃兵との闘いとなります。

ちょっとシリアスかも。





という事で次回もよろしくお願いします。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ