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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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146話 決闘と回し蹴り








 金髪リーゼントが俺の言葉に反応してこちらに振り向く。


「あぁ? 聞いたようなセリフだな……」


 俺と目が合う。


性懲しょうこりもなく現れやがったな。久しぶりだな、ソイヤ」


 一瞬俺の顔をジッと見てから答えた。


「……また、てめえか。それから俺の名前はセイヤだ。チーム『シャークス』のリーダーのセイヤ・シマ。毎回間違えやがって」


「そうか、セイベツ・カマだったな。もしかして、ここで食事でもするつもりか?」

 

 金髪リーゼントの顔を一気に赤くなる。


「どうやら喧嘩を売ってるようだな。てめえ、またぶちのめされたいのかっ」


 金髪リーゼントが荒々しく椅子から立ち上がる。


「セイヤ・シネ、今日は今までと違ってこっちは人数が多いんだぞ。そんなに粋がってていいのかよ」


「何言ってやがる。こっちは人族が10人だぞ、そっちはゴブリンばっかりだろ。勝てると思ってんのか」


 俺はメンバーを見わたす。

 言われてみればそうだった。

 銃を使えば勝ち目があるけど、ただの喧嘩で銃を使う訳にはいかない。

 だからと言ってゴブリンの腕力では到底人間には勝てない。

 やばいな。


 しかしそこで助け舟が。


 ゴブリンシャーマンであるシャーマン少尉が呪文を唱え始め、床に30㎝ほどの小さなゴーレムを3体も出現させた。


 それを見た金髪リーゼント以外のシャークスのメンバーは驚きの表情をつくる。


 それを見回した後、シャーマン少尉はゴブリン語で何かを告げ、それをナミが訳し始めた。


「このゴブリンシャーマンはゴーレム使いだ。最大でこのゴーレムを3mまでの大きさにすることが出来る。お前ら人属ごときがそれにあらがえるのかと聞いている」


 30㎝とはいえ実際に目の前に出されれば、少なくてもゴーレムを操れる魔法を使えることが出来るという事は理解しただろう。

 それが3メートルの大きさにまでなるといいのだが、そこまでは完全に嘘だと判断は出来まい。


 すると金髪リーゼントは若干こめかみに冷汗を垂らしながら返答する。


「こ、ここで暴れると、み、店に迷惑が掛かるからな。勝負は闘技場でどうだ。戦車闘技って知ってるよな」


 そうきたか。


「ああ、俺達も闘技に参加してるからな」


「それなら話は早い。闘技場で決闘だ。まさか嫌だとか言わないよな?」


 確かこの間見た試合でこいつらシーマン戦車使ってたよな。

 ま、こっちは紅蓮隊の精鋭ゴブリン戦車兵がいるし大丈夫だろ。


「おい、おい、ふざけるなよ。こっちも以前とは違ってな、俺は戦車小隊クラスの隊長だぞ。受けて立ってやろうじゃないの」


「そうか、なら来週の試合で一騎打ちで対戦だ。俺達――」


 へ?

 一騎打ちなの?

 待て、それはどうだろ。

 一騎打ちでシーマン戦車に対抗できる戦車がないぞ。

 よし、それならこっちの所有する戦車に合わせてもらうか。


 俺がそれを言おうとしたら金髪リーゼントに言葉を続けられた。


「――はシーマン戦車で出る。それに合わせてそっちで好きに選ばせてやろう」


 こいつ、ぜってえ俺達の闘技場の試合を見てるよな。

 それで俺達の戦車所有事情を知ってやがった上で、先に自分たちの戦車を指定しやがったな。

 

「えっと、それはどうかな……」


 俺が若干言葉に詰まってしまうとエミリーが口を挟んできた。


「いいわよ、こっちにはⅢ型突撃砲があるからね。見てなさいよ。ぎゃふんと言わせてやるからねっ」


 おい、勝手に戦車の種類まで宣言するなよな!

 だいたい3型突撃砲の切り株75㎜砲では勝負にならんだろ。


「まて、落ち着……」


 すると今度はケイが出しゃばる。


「それなら直ぐにでも契約を交わそうか。あ、そうそう、これマッチメーカーの許可証ね。まさかここまで来て逃げないわよね?」


 あ、バカ。

 こうなったら引っ込みがつかないじゃねえかよ。

 金髪リーゼントに笑みがこぼれる。

 そして自分たちのマッチメーカーもこの場にいたようで、そいつをケイと対面させてマッチメークの話をさせるようだ。

 その話合いの途中で金髪リーゼントが余計な事を言い出した。


「それで、何を掛ける? これはただの試合とは違う、決闘だからな。何か賭けなくちゃ面白くないだろ」


 とんでもない事を言いやがる。

 こいつ自分たちが勝つことを前提に話していやがるよな。

 あ~腹立たしい!


 その腹立たしい話にケイがノリノリだ。


「あら、良い提案。そうね~、私達が買ったらそっちの戦車を全部もらちゃおうかな」


 なんと大胆な発言、さすがケイ。

 

 ちょっとだけ嫌な表情を見せる金髪リーゼントだったが、直ぐに何か思いついたらしくしゃべり出す。


「俺達が勝ってお前らの戦車全部貰っても何にも嬉しくねえからなあ……そうだな、

ならこっちはそこの女を貰う」


 は?

 何言ってるんでしょうかこのバカチンは。


 俺達の誰もがキョトンとしているのを見て、金髪リーゼントはさらに話を続ける。


「だ~か~ら~な、その女を貰うってんだよ。ま、奴隷にするなり俺達の自由だがな」

 

 エ、エミリーを指さしてやがる!

 さすがに俺も我慢できずに声を荒げる。


「てっめえ、そんな事が許されるはずがないだろうがぁああっ。そういうことならこいつを自由に――おうふっ!」


 ケイを指さそうとしたら、それより前にケイの回し蹴りが俺の股間に深く突き刺さった。


 俺が股間を抑えながら床をのたうち回っていると、エミリーが椅子から立ち上がり言った。


「いいよ。その条件で戦いましょう。ケイちゃん、契約書作ってもらえる」


 なんか話がどんどん進んでいくけど、このチームの隊長は俺なんですけど。

 くそっ、痛すぎて声が出せねえ~


 結局は俺が苦しんでいる間にも話は進み、しっかりと闘技試合の契約書まで交えて奴らは帰って行った。

 驚いたことに奴らは何も食べていないのに、しっかり料金は払って帰って行った。

 相当稼いでいやがるんだな。

 なんか悔しい。


 こうして俺達は宿敵ともいえる『シャークス』との闘いに挑むこととなった。





「ケンちゃん、男らしくシャキッと立ちなさいよ、だらしない」


 いや、いや、蹴ったのはケイ、お前だろ。

 男らしくってな、男だからこうなるんだし!

 結局俺はしばらく間、腰が引けた状態で歩くこととなったのだった。


 











前に主人公が見たシャークスの闘技では、シーマン戦車(M4シャーマン戦車)、38型(チェコの38t戦車)、35型(チェコの35t戦車)、2型(ドイツ2号戦車)が出場してましたので、上手くいけばその4両が手に入るという訳です。


負ければエミリーが奴隷か。


うん、それはそれで変わってて面白そうだなw








という事で次回もよろしくお願いします。


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