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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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127話 戦車闘技への道






 俺は足早に仲間の集る目の前へと走り寄ると、俺がしゃべり出す前にタクが口を開く。


「ええええっと、ケン隊長が言いたい事はだいだい予想は尽きますけど、それよりも先に説明を聞きませんか?」


 俺は開きかけた口を一旦閉じた後、一息置いてから答える。


「いいだろう。言ってみろよ」


 俺はきっとすごい表情をしてるんだろう。

 タクが俺の表情を見て若干引き気味だ。


「あ、はい。僕達も一生懸命に整備工場や宿泊施設を探したんです。そしてうまい具合に見つけることもできたんです。さすが大都市ですよね。この時間でもお店は結構やってるんです。でもですよ、そこで問題が発生したんですよ。あれだけの数の車両の整備と、隷属の首輪がついていないゴブリンの保管場所は、結構な金額がかかるんですよ。それと僕達はこの街は初めてで信用がないじゃないですか。だから前金じゃないと受け付けてもらえなくてですね。でもそんなお金の持ち合わせがなくてですね。あの、それで皆で考えた結果ですね、車両の一部と捕虜のゴブリンを売りさばこうって。特に奴隷は需要が高いらしくて、ゴブリンでも結構な金額になったんですよ。それと、ですね。ついでに隷属の首輪を購入というか、交渉でサービスさせたんですよ。えっと、すべてケイがやったんですけど……」

 

 話を聞いてみれば彼らを責めるのもちょっと可哀そうかなとは思う。

 クランのお金を管理してる俺とエミリーの2人がいなくなったらそりゃあ現金の用意は大変だよな。

 

 まあ、ケイが交渉やってくれたっていうなら、変な金額で取引はしてないと思うから大丈夫だろう。


 結局、戦車は整備に出してここにはないが一切売らずに無事だそうだ。

 その他の車両は捕虜を乗せたトラックと、捕獲品を載せたトラックと、将校用のスタッフカーを残してすべて売ってしまったらしい。

 ナミ達のトラックはもちろん売ってはいない。

 それと多数のゴブリン捕虜もだね。

 結構な金額で売れたようだ。


 しかしだ。

 なんでブレタン戦車3両とゴブリン捕虜16匹を残したんだろ。

 しかもブレタン戦車を整備工場へ出したってことは完全修理するってことだろ。

 そうせ売るのに修理してどうするんだって話だ。


「タク、お前らの言い分は解ったよ。そういう状況だったんならしょうがないよな。だけどさ、ひとつだけわからん事があるんだけどさ」


 俺の言葉にほっとした様子のタクが聞き返す。


「はい、なんですか?」


「なんでブレタン戦車をわざわざ整備工場へ出したんだよ。完全修理してどうすんだよ。持っててもしょうがないし、結局売ってしまうんだろ。それにゴブリン捕虜もわざわざ中途半端に残さなくても、全部売ってしまえば良かったのに。それにサービスで付けさせたとかいった隷属の首輪だけど、確かにあればゴブリンの保管場所に困らないだろうけどさ、そもそも捕虜を全部売ってしまえば隷属の首輪もいらないんじゃないの」


 するとタクが驚いた顔をして黙り込む。


 あれ?

 なんか俺は変な事言ったかな?

 タクが不思議そうに答える。


「もしかして戦車の闘技に出ないんですか?」


「え? 出てもいいの?」


「は? 出ないつもりなんですか?」


「え?」


「は?」


 なんか話がかみ合ってないんだが。

 ミウが何か言いたそうだが、先にケイが口を開く。


「ちょっと待ってよ。ゴブリンを残したのもブレタン戦車を整備に出したのも、すべて戦車闘技に出場すって隊長が言ったからですけど。とぼけないでくださいよっ。ねえソーヤ?」


 とぼけるも何も、全く身に覚えがないんですけど。

 再びミウは何か言おうとするが、それより先に今度はソーヤが話し出す。


「そうそう。隊長が戦車闘技に参加するっていうから気を利かしたんですよ」


 俺が戦車闘技に参加するって言った?

 言った覚えはないんだけど。

 エミリーを横目でチラッと見ると、機嫌悪そうに俺をにらんでるんですけど。

 これはまずい、しっかり弁明はしないと。


「ちょっと、待て。俺が戦車闘技に参加するなんて言った覚えはないぞ。何か勘違いしてないか、お前ら」


 俺の言葉にタク、ソーヤ、ケイが不可解な表情でお互いを見つめ合い、その後一斉にミウに視線を移す。

 するとミウの顔が見る見る青ざめてく。


「どうしたミウ?」


 俺が声を掛けるとビクンッとして飛び上がる。

 そして言いずらそうに話し出す。


「あの、すいません。私のせいです……あの、その話なんですけど、ハマンの街で戦車闘技が盛んな事は知ってたんですけど、それできっとケンさんは出場したがるんだろうなと話したんです。そしたらなんか皆も盛り上がり出して、気が付いたらケン隊長が闘技に参加するって話になっていたらしくて、私が留守番していて3人が帰ってきたら闘技参加が前提での整備と買取になってまして……本当にすいません」


 そう言う事かよ。

 エミリーをチラッと見るとどうやら俺の疑惑は晴れたようで、呆れた表情をしてタク、ソーヤ、ケイを見ている。

 誰を怒ればいいのか悩んでるっぽい。


 いや~、この状況は戦車闘技に参加の方向で上手くまとめられそうになってきたな。

 あとはエミリーさえ説得できれば戦車闘技に堂々と参加できるな。


「エミリー、これは誰の責任でもないよ。あいつらを攻めちゃ可哀そうだよ。ブレタン戦車を整備にだして、ゴブリン捕虜も選りすぐりを残して隷属の首輪まで手に入れたんだよ。これは参加して元を取らないと大赤字だよ。俺達なら直ぐに元は取れるさ。元さえ取れば直ぐにオサラバすればいいんだから」


 するとエミリーが少し考えてから言葉を絞り出す。


「わかったけど、私は参加しないからね!」


 なんと!

 許可が下りた。

 しかしエミリーが参加しないのは戦力不足だぞ。

 いや、参加できるにもっていけただけでも良しとするか。


 だけど、剣闘士の戦いは知ってるけど、戦車闘技は噂くらいしか知らないんだけど、ルールとかレギュレーションみたいなのはどうなってるんだろうか。

 ちょっと調べなくちゃいけないな。

 とりあえず今日の所は宿へ行って久々のシャワーでも浴びてから、ふかふかのベットでゆっくり眠ろう。

 話はなんとか丸く収まった形だ。

 一段落ついたところで俺が話を終わらせる。


「もう夜も遅いからさ、後の話は明日にしないか。今日のところは宿へ行ってさっさと寝ようぜ。久しぶりのシャワーにベットだぞ」


 するとタック、ソーヤ、ケイの3人の表情が急変してお互い顔を見合わせる。

 そしてタクが代表してしゃべり出す。


「あの~、言いにくいんですけど……」


 この展開、まさか!


「おい、もしかして宿を取り忘れたとか言わないよな?」


「……」


 その夜、女性陣は運転席だったが、男共はゴブリン捕虜と一緒にトラックの荷台で夜を明かすことになったのだった。











急にこういった話が書きたくなりまして。

すいませんが急展開です。


ストーリーを強引に結びつけようとしてますw




次回もよろしくお願いします!



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