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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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103/282

103話 金庫

短めです……







 俺が手提げ金庫に向かって歩いて行く姿を見て、一緒にいたミウが驚いて俺の肩を掴んで言った。


「ケンさん、意地汚いですよ。残りの金貨は諦めてくださいよ」


 ミウは俺が再び金貨を拾いに行こうとしていると思ったらしい。

 おしいんだがちょっと違うのだ。

 金貨ではなく“金庫”を拾いに行こうとしているのだ。

 ただ、少し戦闘中ということを忘れかけましたよ。


「ミウ、そうじゃない。俺は夢を掴みに行くんだ!」


 言ってる俺もよくわからないが、テンションが上がりまくってることは確かだ。


 とうとうオークの戦車のライトが目の前まで来た。

 俺とミウは慌てて伏せる。

 俺はその時オーク戦車のライトに照らし出されたあるものが目に入った。


 しかしそれどころではなく、俺とミウを挟んで頭上で砲声がとどろき始めやがった。


 ミウはあたふたしながらこの場を離れようとするが、俺はそれとは反対方向の頭上に砲弾が行きかう中を匍匐ほふくで前進する。


 道路の真ん中にいる4型戦車が真っ先に血祭りとなった。


 オーク戦車の主砲から放たれた砲弾が車体後部に命中し、あっという間に火災が発生した。

 しかし4型戦車もほぼ同時に主砲を発射していた。

 その放たれた75㎜砲は自分を仕留めたオーク戦車の正面装甲に孔を空けた。

 その一撃でオーク戦車は爆発して天高く砲塔を吹っ飛ばした。

 相打ちだ。


 それを見た俺は「ざまあ――」と言いかけて続きの言葉を飲み込んだ。


 吹っ飛んだ砲塔が俺の目の前に落下してきたからだ。


 危なく目玉が飛び出そうになった……


 そしてさらにその砲塔を見てもう一度驚く。


「タイプ34じゃねえか……」


 最近はあまりにもタイプ34が多く現れすぎだ。

 これはある程度数が揃ってきているんじゃないのか。

 オーク共め、まさかタイプ34の大量投入とか勘弁してほしいんだけど。


 おっと、そんな事考えてる場合じゃない。

 

 危険な目に合っている俺が、なおもその危険地帯の奥へ足を踏み込もうとしている姿を見て、ミウが今一度俺に声を掛けてきた。


「ケンさん! そっちに何があるんですかっ」


「手提げ金庫が見えたんだよっ、金庫っ」


 するとミウが首を傾げて。


「手下げ〇ンコ……ですか?」


 うん、こいつは放って置いた方がいいな。

 

 俺はやっとのことで金庫があると思われる場所へとたどり着いて、手探りで茂みの中を探し始める。

 その頃になると、6型重戦車はタイプ34の76㎜砲弾を何発も受けてボロボロ状態となっているのだが、4両いたタイプ34も今や1両となっている。

 それに6型重戦車は装甲板がベコベコなんだが1発も貫通はしていない。

 どんだけ強いんだよ。


 しかし残ったタイプ34は正面から撃ち合っても勝てないと踏んだのか、速力を生かして側面へ回り込もうとしている。

 俺を通り越して6型重戦車に急接近する。


 6型重戦車は車体が動けないので砲塔だけを必死で旋回させる。

 しかし6型重戦車の砲塔旋回速度は非常に遅かった。

 

 あっという間にタイプ34が側面に回り込み主砲の76㎜砲をその側面に叩き込んだ。

 

 超至近距離からの直撃にさすがに76㎜砲弾も貫通したようだ。

 だが、一旦6型重戦車の砲塔が止まるも直ぐに動き出し、タイプ34へと必死に食らいつこうと砲身が動く。


 するとその間にもタイプ34は6型重戦車の後方へと回り込み、そこで車体を停車させて76㎜の砲身をそのケツに向けた。


 6型重戦車の乗員は死を覚悟した事だろう。


 だが結果は違った。


 タイプ34の側面に何かが直撃したのだ。

 そしてその装甲板を撃ち抜いた。


 そのおかげでタイプ34の動きが完全に止まる。


 その隙を6型重戦車は見逃さない。


 88㎜の砲身をタイプ34に合わせると、その正面砲塔に88㎜砲弾をめり込ませた。


 88㎜砲弾が貫通した途端、タイプ34の砲塔は天高く吹っ飛んだ。

 砲弾が誘爆したようだ。


 俺は見つけた手提げ金庫を握りしめながら、タイプ34へ“対戦車榴弾”を発射した人物の方へ視線を向ける。

 するとそこには俺の予想通り“タク”が、ショルダーランチャーを握りしめてこちらに向かって手を振っていた。

 タイプ34に攻撃を放ったのはタクだったのだ。


「あ、バカ。タクっ、頭下げろ、撃たれるぞっ」


 呑気に上半身を起こして手を振るタクに向かって怒鳴るのだが、タクは「へーき、へーき」とばかりに俺に来いと手招きする。

 6型重戦車はまだ攻撃できる力が残っているんだが、そんなことはお構いなしといった感じのタク。


 どういうことかと思い、俺はミウと一緒に急いでタクの元へと駆けつける。


 その間にも6型重戦車は攻撃をしようとするそぶりもみせない。

 これは俺がいない間に何か取引をしやがったな。


 タクの所まで行って「どうなってんだ」と問い詰めようと口を開きかけたんだが、タクに先に言葉を掛けられてしまった。


「ケン隊長、ちょっと進展がありまして。詳しくはハーフトラックに来てください。こんなところでぐずぐずしてられませんから」


 そう言われてしまってはしょうがない。

 俺とミウはタクの後について足早にハーフトラックへと向かうのだった。







プライベートで不幸がありまして、モチベーションがダダ下がりです。


しばらく不定期投稿となります。

申し訳ございません。



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