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1話 待ち伏せ

だいぶ苦戦しましたが何とか投稿できました。

タイトル名が中々思いつかず仮タイトルです。

何回か変更するかもしれません。


もう一話本日中に投稿します。


とりあえずどうぞお読みください。


ご感想などお待ちしています。









 俺の名は『ケン・モリス』

 俺はハンター協会に所属するハンターだ。

 でも実際は俺のハンターランクは低いから、護衛というのが主な仕事となる。

 ハンターと言っても半数以上が護衛という仕事で食いつないでいるのが現状だ。


 主に輸送トラックの護衛に雇われることが多いかな。

 街と街を結ぶ輸送トラックを魔獣や盗賊から守るのが俺のお仕事。

 ろくに学校も出てない俺みたいなチンピラが出来る仕事といったら、せいぜいこんなことくらいだ。

 せめて多少なりとも魔法の才能があれば、少しはまともな職にもありつけたんじゃないかと思う。


 しかし俺は借金を抱えている身だ。

 金がないからろくな装備も揃えることができない。

 だから安い護衛の仕事しか回ってこない。

 そうなると食っていくのがやっと。

 

 負の連鎖だ。

 それに加えて借金返済という重圧がし掛かる。


 しかしある護衛の仕事がきっかけで、そんな俺の人生にも光が見えてくる。





 俺は今にも朽ち果てそうな我が愛車で、運転手兼相棒である『エミリー・モリス』と絶賛護衛任務中だ。


 相棒のエミリーとなんで苗字が一緒なんだって?


 そりゃあ妹だからな。当たり前だ。

 といっても血の繋がった兄妹じゃない。

 親父の再婚相手の連れ子だ。


 俺と違って親父の血は入ってないおかげか、すくすくと美人さんに仕上がりました。

 俺の1歳下で14歳というのに、兄である俺よりもだいぶ年上に見られて困る。


 その美人さんのエミリーが探してきたこの仕事。それは1台の輸送トラックを護衛するだけの仕事。

 俺達以外にも装甲車と軽戦車が1両ずつ。たった1台のトラックには豪華すぎる警護だ。


 しかも輸送トラックが目的地まで通る道筋は比較的安全な街道ばかりで、せいぜい少人数のゴブリンの盗賊が出没する程度だ。


 しかしこの重武装の警備ならゴブリンの盗賊も襲ってはこないだろう。

 なんてラクな仕事だ。

 さすが自慢の妹のエミリーちゃんだ。良い仕事を探してくる。

 いつもこんな感じで仕事探しもやってくれている。

 我が妹は名マネージャーでもある。


 ただね、こんな美人で切れ者の我が妹なんだけど、1つだけ残念なところがある。

 それは“スイッチ”が入ると人格が一変するってところだ。

 そのスイッチは大抵、乗り物を運転している時に入るんだ。


 


 俺達は何事もないまま安全に護衛を遂行しつつ、トラックは山間部へと入って行く。


 俺達の車が先頭を警戒しながら進み、その後ろに装輪装甲車そしてトラックが続き、最後尾に軽戦車がにらみを利かせていた。


 急勾配のうねうねと曲がりくねった上り坂をゆっくりと進んで行く。


 さすがにオンボロの我が愛車にこの急こう配はきつい。


 後ろを走る装甲車が車間距離を詰め出した。

 早い話、もっと早く走れとあおっているのだ。


 そうなると妹のエミリーが苛立つ。


「ったく、何考えてんのよあの装甲車は。あおり運転じゃないのよ。ちょっとお兄ちゃん、そこの手榴弾とって」


「うん、いいけど、どうして?」


「2度とあおり運転できないようにちょっとだけ懲らしめてやるだけよ。お兄ちゃんは気にしないでいいから、ほんとにちょっとだけだから」


 はい?

 もしかしてスイッチ入ったのか?!


「おいおいおい、そう苛立つなよ。手榴弾はちょっとじゃすまないだろ。はい、平常心、平常心」


 俺がエミリーをなだめようと声を掛けた時だった。


 前方の森の中で発砲炎が俺の目に映った。


 俺は咄嗟とっさに手を伸ばしてエミリーが握るハンドルを強引に切った。

 エミリーが焦って声をあらわにする。


「お兄ちゃん! 何すんじゃい!」


 その直後、俺達の真後ろを走る装甲車に穴が空いた。


 砲撃だ!


 砲弾を喰らった装甲車は操縦を失い、速度をそのまま保持したまま、街道脇の木に激突した。

 装甲車の車体前面はべコリと凹み、一瞬の間を置いた後炎上を始める。


 俺達が乗る車というと、俺が強引にハンドルを切ってしまったものだから、エミリーは車を制御しきれなくなり、やはり林の中へと突っ込んだ。

 車は横転した上に木に激突。


「いてててて、くっそ。エミリー、大丈夫か」


「ったく。何するのよ、急に!」


 あ、スイッチ入ってないっぽい!

 助かった……


「待ち伏せにあったんだよ。とりあえず車から抜け出すぞ」


 俺はエミリーの襟首を掴んで横転した車から抜け出す。


 抜け出した後に我が愛車に目をやると、それは悲惨な状態だ。恐らくもう走らせるのは無理っぽい。

 屋根は潰れて車体のあちこちが変形している。

 しかもボンネットから白煙を上げている。


 道の反対側に炎上鎮座した装甲車に目をやると、ハッチは閉まったままで、視察窓から炎と煙が轟々と噴出している。

 ハッチが開いてないってことは、残念ながら乗員は全滅だ。


 この状況は非常にまずい。


 敵は恐らく盗賊で、速射砲を据えて待ち伏せしていたようだ。

 威力から見て戦車用に作られた対戦車砲だと思う。


 俺達にはまだ軽戦車がいるって?


 いやいや、戦車に対戦車砲で待ち伏せ。

 これは不利な状況に感じるんですが違いますか?


「エミリー、逃げるぞ!」


「へ? あんな速射砲くらい戦車がやっつけてくれるんじゃないの」


「バーカ、そうとは限らないだろうが、それよりも、その……半分はみ出したそれ、なんとかしろよ」


 俺がちらちらとエミリーの今にも全部があらわになりそうな胸元へ視線を送る。


「きゃっ、お兄ちゃんのエッチ!」


 もう聞き飽きたその言葉。

 お約束じゃねえか!


 エミリーは両手で胸元を覆いながら俺を睨んで一言。


「お兄ちゃんには絶対見せないんだからね」


 その台詞を口にする意味が解りません。


 とりあえず俺達は近くの岩陰に身を隠す。


 トラックはなんとか道の端っこによって後ろの戦車を前に通そうとする。


 その間にまたも前方の森のなかで発砲炎が見えた。


 砲弾が風を切るような音が目の前を通り過ぎ、前へと出てきた軽戦車の装甲を叩く。

 砲弾は砲塔にある主砲の基部に命中。

 この軽戦車で一番装甲が厚い箇所だ。


 砲弾は滑るようにして戦車の装甲から弾かれる。弾かれた砲弾は街道脇の木に突き刺さる。

 徹甲弾という種類の砲弾だな。

 装甲された標的に使われるごく一般的な砲弾だ。


 どうやら戦車乗務員は今の攻撃で敵の居場所を確認したようだ。すぐに応戦射撃が始まった。


 車体前面に取り付けられた機関銃が最初に火を噴いた。

 発砲炎が見えた辺りに弾丸を撃ち込む。


 続いて主砲の37㎜砲が発射される。


 すると発砲炎が見えた辺りで爆発が起こり、木が倒れるのが見えた。

 着弾してすぐに爆発する弾種、榴弾を発射したのだ。非装甲目標に対して使われる砲弾だ。


 もっと激しい抵抗をするかと思ってたんだけど、その一発で敵陣地は黙ってしまった。

 

 軽戦車は機関銃でなおも牽制射撃を加えながら、敵陣地へとゆっくりと前進する。


 その時俺は思わず「油断しすぎだな」と口にする。


 その直後、沈黙していた敵陣地から再び砲弾が発射された。




 







もう一話本日中に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
後日勇名を馳せる戦車乗りも、ソフトスキンで機械化兵から始めるのね。 戦場の足が車検切れなオンボロ車なのが、妙に生々しいのが良い?
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