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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
41/129

41 ドラゴン

本日3話投稿

2話目18時

3話目21時


「まるで中層みたいなとこだよね」


「まさかとは思うけど、ゴブリンってことはないわよね」


「さすがにそれはないと思いますけど……」


 124階層の扉を開くと76階層以降と同じで樹木が生え、空が見え、そして断崖に囲まれた空間だった。


「もしかして、それだけ大きい魔物ってことかも」


「若しくは数が凄く多いかよね」


「その両方の可能性もありますよね」


 なんにせよ探してみないと。


「でもこれだと隠れて行けそうだよね」


 ジャングルになっているから、次の階段への扉まで隠れるとこがいくらでもある。


「そう簡単に行くかしら?」


「そうですね、もしかしたらもう見つかっているかもしれませんね」


 空間把握系の能力か、この階層クラスなら持っていてもおかしくはないか。


「空が見えるってことは飛べる魔物かもしれないね、フクロウは耳が良くて隠れている獲物を見つけることができるって聞いた事があるけど、そんな感じかな?」


「魔法やスキルかもしれないわよ」


「温度を見ることができる魔物かもしれませんよ」


 サーモグラフィーか、そういう魔物もいてもおかしくないよね。


 いつ襲われるか分からないので警戒しながら進む。すると前に明らかに魔物らしき大きな塊を見つけた。

 2人に指で指し見つけたことを教える。


「動いてないね、寝てるんじゃない?」


「まるで誰かさんみたいよね」


 ん? いったい誰の話をしているんだろ?


「どうします? 仕掛けますか? 迂回しますか?」


 寝てるのなら先制攻撃はこちらがもらえるから、倒してしまうのもありだよね。


「委員長、確認してもらえる?」


「ええ、今確認したわ。レッドドラゴンと言って、ステータスが今までの魔物で一番高いわ」


 ドラゴン!? ファンタジーと言えばドラゴンと言ってもいい、あのドラゴンがついに出てきたのか。某有名RPGのタイトルにも名前が入っているほどのビッグネームじゃないか!


「それなら迂回したほうがいいかもしれませんね」


 おや? あの戦闘狂の天沢が迂回を選ぶとか、さすがはドラゴン。


「いいの? ドラゴンだよ。これを逃すと今後戦う機会がないかもしれないんだよ?」


 倒すと竜殺しとか言われるんだよ?


「もし戦うのなら広域魔法を3人で当てて、直後に私達が近接、天沢さんが銃で攻撃といったとこかしら?」


 魔法と物理の2段攻撃か、本気で仕留めにいっているよね。


「それならなんとかなるかもしれませんね」


「じゃあそれでいこうか」


 オーケーが出るとは思っていなかったから嬉しい。やっぱり1度は戦ってみたいよね。

 倒して素材を冒険者に持っていき、注目を浴びる。そこからギルマスに呼ばれて迷宮を攻略したことを報告してそれでギルマスが大声で「迷宮を攻略しただと!」って言うもんだから……。


「……ちょっと、ねえちょっと聞いているの?」


「あの……もしかして戦いたくなかったんじゃないですか?」


 あ、うっかり妄想してた。


「こほん、聞いてるよ。広域魔法でやっつけよう」


「はぁ、少し離れましょって言ってたのよ……」


 委員長の呆れた目、頂きました。


「疲れているなら言ってくださいね」


 ごめん、めちゃくちゃ元気です。


 ドラゴンから少し離れた位置に立ち、計画を立てる。まず3人でトールハンマーを撃ち、その後天沢が銃を3発連続で撃つ。僕と委員長は天沢が撃っている間に銃の射線外から近づき、3発撃ち終わった後に斬りかかる。

 その後もまだドラゴンが生きているようなら天沢は頭を銃と魔法で狙い、僕たちはそれ以外の場所を攻撃する、ということになった。


「準備はいい?」


「ええ」

「はい」


「じゃあミッション開始!」


「「「トールハンマー!」」」


 まずは予定通りトールハンマーを撃ち、直撃させた。

 僕と委員長が走り出すと、パーン! パーン! パーン! と銃声が聞こえた。

 ドラゴンの近づくき、そのまま槍を突き刺す。

 するとドラゴンが驚き、


「グアアアアアーーーーーー!」


 と大声で吠えた。


 ドラゴンが頭を上げたので、そこに銃弾が飛んでいく。2発とも頭に当たりとドラゴンの頭がブレるが、そこまでダメージを負っているようには見えない。

 天沢も銃をしまい、魔法に切り替える。


 僕も斬りつけながら弱点を探す。首に弱点があるが、おそらく噂の逆鱗というやつだろう。ただ顔に近づく必要があるため危険が伴う恐れがある。

 どうやって攻撃しようか考えているとドラゴンが急に空を飛んだ。風が舞い、近くにいた僕と委員長は飛ばされそうになる。


「おお、ドラゴンが飛んでいるよ」


 あの巨体が大きな翼を広げ空を飛ぶ姿はまるで戦闘機を連想させる。上空を旋回しているが、撃ってくるのかそれとも直接くるのだろうか?

 天沢が離れていると守り難いので側に来てもらった。


「飛ばれると普通の魔法じゃ当て難いわね、エクスプロージョンで落とすわよ」


 飛んでいるドラゴンを魔法で落とすなんてさすがファンタジー。


「分かりました、あと銃弾下さい」


 天沢に弾を渡すと、再装填する。


「銃で狙うなら目か首のここを狙って欲しい」


 逆鱗の位置を天沢に教えておく、当たれば銃でもダメージが大きいはず。


「そろそろいくわよ」


「はい、いけます」


「「「エクスプロージョン!」」」


 3発の魔法が空中で爆発する。こうしてみると天沢の魔法が一番上手く当てられているね。次が少しずれて委員長、僕のは一応当たってはいる。

 爆風を避けるため障壁を張る。すると煙の中からレーザーが飛んできた。


「ブレス!?」


「まだ空を飛んでいるようね」


「直撃したように見えましたが、あまり効いていないようですね」


 煙がなくなると空をドラゴンが飛んでいる姿が見える。


「このまま空を飛んでいるようなら次の階層に行ったほうがいいかもね」


「銃と魔法を受けても平然としているものね、しかも飛ばれると攻撃が当て難いわ」


「あ! 相手はレッドドラゴンですよね、それなら水魔法のほうが効いたりしませんか?」


 水克火ねぇ、ブレスとかにならともかく、ドラゴンそのものに効果があるのかな?


「効果は分からないけど、打つ手がないから試してみよっか」


「でも飛んでいるなら意外といいかもしれないわよ」


「駄目なら次の階層まで逃げましょう」


 駄目元か、そういうのは嫌いじゃないね。


「じゃあいくよ」


「ええ」

「はい」


「「「ダイヤモンドダスト!」」」


 ダイヤモンドダストは小さな氷の結晶で広範囲を攻撃する水系魔法だ。直接的な攻撃もあるが冷気より相手の動きを鈍らせたり動きを止めたりする。

 そのため直接的なダメージを与えるのが好きな僕達にとってあまり使うことのない魔法だ。


 上空に吹雪が舞い、ドラゴンを襲う。

 視界が遮られるので障壁を張ると障壁にまで氷の結晶が張り付く。


 ドーーン! と重い音が聞こえた。

 僕たちはもしかしてと思いお互いに目を合わせる。


 吹雪が消えたので障壁を解除すると飛んでいたドラゴンがいない。

 警戒しつつドラゴンを探すと、多くの木々が折れている場所を見つけ、そしてその先にドラゴンが落ちていた。


「さすが天沢」


「ほんとね」


「い、いえ、みんなの力を合わせて落としたんですよ」


 ドラゴンを見ると両目と逆鱗がしっかり潰されていた。

 そりゃ落ちるよね。


 ドラゴンをインベントリに入れると少し休み次の階層へ歩き出す。


「さぁ、いよいよ最下層へレッツゴー!」


「「おー!」」


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