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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
35/129

35 天沢戦う

本日2話投稿

2話目18時


 階段を下りるとすぐ大きな扉があった。


「ここって118階層だよね?」


「ええ、間違いないわ」


「もしかして守護者部屋でしょうか?」


 今までの守護者部屋だと25階層ごとにあったけど、その法則がなくなったのかな? それとも別の意味があるのかな?


「とりあえず入るよ、2人とも覚悟はいい?」


「ええ、大丈夫よ」


「はい、いけます」


 2人の返事を聞き、警戒しつつ扉を開ける。開けた先はまるで王宮の王座の間のような部屋であり、赤い絨毯が敷いてあり真っ直ぐ先まで延びている。

 部屋の左右の壁際に甲冑を着た騎士が槍を持って立っているが、よくみればどの甲冑も一部が壊れ中に骸骨が見える。


「なにこれ? 迷宮だよねここ?」


「まるで王座の間ようね、王でもいるのかしら?」


 死者の王、ノーライフキングとか?


「周りの騎士は動きませんね、倒さないのですか?」


 ん? 騎士を倒す?


「……え? 倒してもいいの?」


「あ、そうよね、倒してもいいと思うわ。むしろ倒しておくべきだったわね」


 そっか、倒しちゃ駄目だと思ってたけど、そんなことないんだよね。


「はい、アンデッドみたいですしサンクチュアリで一掃してしまいましょう」


 今まで微動だにしなかったアンデッドの騎士達が、動揺しだしたかの様にカタカタと動き始めた。しかし、こちらにこようとはせず、どうしたらいいか迷っているようにも見える。


 もしかしてこいつらもまさか攻撃をされるなんて思ってなかったのかもしれない。


「じゃあ天沢がやっちゃって」


「そうね」


「分かりました、いきます、サンクチュアリ!」


 天沢を中心に光が広がっていく。光に触れたアンデッドの騎士が次々と光に飲まれて槍と甲冑、そしてコアのみを残し消滅していく。


「槍が選り取りみどりー」


「さっきの階層でも何本か手に入れてたじゃない……」


「インベントリがありますから何本あっても邪魔にはなりませんよ」


「そうそう、槍は投げることにも使えるしね」


「それって陸上の競技のことじゃない」


「この世界には大会とかなさそうですよね」


「競技じゃなくて、遠くにいる敵に対し槍を投げて倒すという戦い方もあるんだよ」


「魔法でいいじゃない」


「そうですよ」


「……いや、魔法が効きにくい相手に使うんだよ。言うなれば、投げナイフの大きい版だね」


 投げナイフ、使ったことないけど……。


「はぁ、まあいいわ、それじゃあ行きましょう」


 ……何故か呆れられた。


「はい、この階層はアンデッド階層ですから楽に行けそうですね」


「確かに相性はいいよね、楽かどうかはボス次第かな」


「そろそろ見えてきたわ」


「なんでしょう、椅子に座っている人、あまり王様っぽくないですよね?」


 少し先に5段ほどの緩やかな階段があり、それを上がった先には背もたれの大きな椅子に座ったローブ姿の何かがいる。


「よくきたな、冒険者たちよ。私はノーライフキング、貴様らを倒すものだ」


 ノーライフキングが立ち上がると、ローブの中から骸骨の顔が現れる。骸骨の目の穴の奥には光があり、まるで眼球のように見える。

 骨だけの右手には宝石がゴテゴテと付いた杖を持っているため、リッチ系の魔物だと予想できる。


 天沢が僕の前に立ち、杖をノーライフキングに向けた。


「私は天沢空音です。あなたを倒して次の階層に進ませて頂きます」


 え? どうしたの天沢? 1人で戦う気?

 委員長を見ると、首を傾げている。


「ほう、勇敢な僧侶のようだな、いいだろうかかってこい!」


「はい、いきます!」


 何故か1対1の戦いが始まった。確かに僕は上の階層で1対1で戦ったけれど、天沢がそういうタイプの人ではないと思っていたから驚きだ。


 ノーライフキングが魔法を放つと、天沢が走りながら魔法を避ける。天沢も応戦してレーザービームを撃つ。

 レーザービームをノーライフキングがマジックシールドで防ぐと、雷魔法や炎魔法を放ってくる。天沢が魔法の合間を縫うように走りながら、光魔法を撃ち続ける。


 天沢もマジックシールドを使えるはずなのに使わずに走って回避している。

 あれは絶対聖女の戦い方じゃない、ガンマンの戦い方だ!


「どうした? 次の階層に行くのではなかったのか? まだ攻撃は1つも当たっておらんぞ」


 離れて魔法を撃っていた天沢が一気に階段を駆け上がり、ノーライフキングに接近する。


「おや? おかしなことをするな。僧侶が接近してくるとは」


 天沢が杖でノーライフキングの頭を叩こうとするが、ノーライフキングも杖でその攻撃を防ぐ。

 天沢が持っていた杖を手放し、ノーライフキングの懐に潜りこむと掌底を顎に打ち込む。

 ノーライフキングが堪らず下がろうとするが、左手でローブを掴み逃げられなくすると、右手で魔法を撃ちこむ。


「レーザービーム!」


「がぁぁぁー」


 光魔法の直撃を受け声を上げるが、天沢の攻撃はまだ終わってはおらず、蹴りや肘打ち、掌底などを繰り返しまた光魔法を撃ちこむ。

 ノーライフキングが必死に逃げようとするが、またも直撃を食らいそのまま消滅した。


 いつの間に格闘術を? すごくスムーズに技をどんどん決めていく姿に聖女じゃなくてモンクだろと心の中で突っ込みを入れていた。 

 委員長は知っていたのか驚いているようには見えなかった。


「委員長は知っていたの? 天沢の格闘術?」


「ええ、毎朝やっていたわよ。それにスキルにも現れていたもの」


「どうでした? 上手く戦えてましたか?」


 天沢が笑顔でこちらに来る。


「驚いた、てっきりサンクチュアリで倒すものだと思っていたから格闘術で倒すなんて意外だったよ」


「上手く間合いに入れたわよね。相手が油断していたと言うのもあるけどいいタイミングだったと思うわ」


「はい、相手が話し始めたのでチャンスだと思って飛び込みました。懐に入ってしまえばなんとかなりました」


 そりゃ魔法職がいきなり近づいてくるとは思わないから普通は油断するよ。特に天沢はそういうタイプには見えないからよけいに効果的だろう。


「天沢が1人で戦おうとしたときは吃驚したよ。委員長ならやりそうだけどまさか天沢が? って」


「私ならやりそうってどういうことかしら? まあ機会があればするかもしれないけれど……」


 うん、絶対やりそう。


「私も1人で戦えるようにならないとって思ったので。それにもし何かあっても2人が助けてくれると信じてましたからそんなに不安はありませんでしたよ」


「なんていい子……」


「た、助けるなんて当然でしょ、な、仲間なんだから……」


 委員長がデレたー。


「はい! じゃあ次の階層に行きましょう」


 すごいな、天沢は主人公みたいなやつだよね。


「さ、委員長もいつまでもデレてないで行くよ」


「デレてないわよ」


 グーが飛んできた。僕に対して遠慮がなくなってきたね。


「あはは、行きましょう」


お読み頂きありがとうございます。

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