03 真実は…
さあさあやってきました、みんな大好きステータスの確認のお時間です。
純白ドレスが水晶の横に移動する。
「さて皆様、こちらが皆様のステータスを調べるための魔道具です。この水晶の上に手を載せると、あちらの石版に皆様のステータスが表示されます。どなたか最初に挑戦したいという方はいらっしゃいますか?」
「おい、お前行けよ」
「ステータスってまじか~」
「やっぱ魔法とかあるのかな?」
「しょぼかったらどうしよー」
皆、興味はあるようなのだけど、誰も動こうとしない。
「はいはーい、一番、若林いっきまーす」
立ち上がったのはリア充グループお調子者担当の『若林 浩二』、一番最初に行けば目立つとか思ってるのだろうね。
「若林様ですね。どうぞこちらへ」
純白ドレスに案内され水晶の横に移動する。
「若林様ってなんか照れるんだけどー、俺最強とかだったらどーしよ」
純白ドレスにデレデレするお調子者担当。
心配するな。お前は所詮引き立て役で終わる男だよ。
お調子者担当が水晶に手を載せる。すると水晶が光りだし、石版に文字が現れる。
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若林 浩二
年齢:16
種族:人間
職業:軽業師レベル1
攻撃:85
防御:80
敏捷:100
魔力:70
魔耐:70
スキル:小剣術 剣術 集中 回避能力上昇
ユニークスキル:通訳
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「おお、どうなのこれ? すげぇの? いけてるー?」
「流石です、若林様。普通の人のレベル1の平均ステータスは10ですのに、敏捷が既に100もあるなんて。しかもスキルは普通2、3個なのですが4個もあるなんて」
「まじでー。さすがおれっちー」
褒められにやけながらお調子者担当が元の席に戻る。
なるほど、じゃあ勇者はステータスが全部3桁なんだろうね。そして僕は全部10とかなのだろうね。くふふ。
他のクラスメイト達も水晶の前に列を作る。当然僕はまだ並ばない。クラスメイト達に馬鹿にされ笑われたときの為に暗い顔をする練習をしておかないと。
「おおーーーー!!」
歓声が上がる。前を見てみるとリア充グループのリーダー様の『一条 翔』が水晶に手を載せている。
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一条翔
年齢:17
種族:人間
職業:勇者レベル1
攻撃:120
防御:120
敏捷:120
魔力:120
魔耐:120
スキル:剣術 盾術 槍術 大剣術 高速詠唱 魔力回復 気配察知 危険察知
ユニークスキル:全属性魔法 物理耐性 魔法耐性 状態異常耐性 限界突破 通訳
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「す、凄いです。全ステータスが3桁なんて。それにスキルもですがただでさえ珍しいユニークスキルがこんなにあるなんて。さすがは勇者様です」
「おおーやっぱ翔はすげーな、まぁおれっちは翔が勇者だと思っていたけどなー」
「さすが一条君。守ってもらいたーい」
「やっぱ勇者は一条かよ」
「くそー、俺も勇者になりたかったー」
「あんたじゃ無理でしょ」
クラスメイト達がリーダー様を囲んでわいわい騒いでいる。リーダー様も嬉しそうに「勇者の称号に恥じないように頑張るよ」などと言っている。
はいはいテンプレテンプレ。てか誰か次のやつが今、ステータスの確認をしているんだから見てやりなよ。凄い悔しそうな顔でリーダー様を睨んでるし。
クラスメイト達のほとんどが確認を終え、残る生徒も僅かになってきた。
そろそろ最後だろうし並ぶとするかな。くふふ。
「あ、初宮もまだだったんだ」
僕の前に並んでいた『黒氏 秋人』が振り返り声をかけてくる。秋人は僕と同じオタク仲間で一番仲のいい友人と言ってもいい相手だ。アニメやラノベなどの話でよく一緒に盛り上がっている。性格は若干暗くおとなしいけど根は真面目でいいやつだ。
「真打は最後に登場ってね」
「それじゃあ初宮は努力家なんだね」
さすが秋人。よくネタを分かっている。
「あ、じゃあ次は僕の番だから」
「うん」
秋人が前を向き水晶に手を載せる。水晶が光だし、石版に秋人のステータスが表示される。
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黒氏秋人
年齢:16
種族:人間
職業:商人レベル1
攻撃:10
防御:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
スキル:なし
ユニークスキル:商品売買 通訳
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………んんん??え?え?なに?どういうこと?僕はまだ測ってないんだけど……。
………え?ちょっと待って。
………まさか
………まさか
僕が……僕が主人公じゃないのかーーーーーー!?