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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
27/129

27 練習台

本日2話投稿します。

2話目18時。


 104階層に下りた僕達は一度休むことにした。迷宮は時間の感覚が狂うため、意識して休憩を入れるようにしている。

 食事を食べながら今後の迷宮について話し合う。


「102、103階層とちょっと搦め手でくるようになってきたよね、僕達は真っ向からは強いけど、搦め手には強いとは言い切れないんだよね」


「それでどうするの? 速度を落として慎重にいくということかしら?」


「だけど今のところ対応できてますよね、臨機応変に対処すれば大丈夫じゃないでしょうか?」


 たしかに迷宮経験の浅い僕達でも意外となんとかなっているのは確かなんだよね。迷宮固有の罠も鑑定と看破で見つけることができるからね。

 となると気をつけないといけないのは魔物特有の罠のほうか。それも今のところはなんとかなってるから問題ないのかもしれないけど。


「天沢のお墨付きも出たし、臨機応変にいくということで」


「分かったわ」


「え? お墨付きっていうほど私は偉くないですけど」


「そういえば宝箱って結局1度しか出てないよね」


「確かに、進化後は出やすいという話だったけど、ただの噂だったのかしら」


「私達はあまり寄り道しませんでしたから、それでじゃないですか?」


 中層だと魔物を倒してまっすぐ次の階層への階段に向かっていたもんね。


「もしかして、上の階層の分かれ道で左に行ってたら宝箱ってあったのかな?」


「そうかもしれないわね、今更戻るつもりはないけれど」


「宝箱っていったい何ですかね? どうして迷宮にあるんでしょうか?」


 あーゲームとかだと普通にあるからあっても変には思わないけど、ゲームしないない人からすれば不思議なんだろうね。


「迷宮からの頑張ったご褒美みたいなもんじゃないかな? 冒険者もご褒美が貰えると嬉しいし、迷宮も頑張って攻略してくれたら嬉しいみたいな?」


「それだと迷宮が攻略されたがっているみたいじゃない」


「そうです、迷宮は攻略されたくないから罠を仕掛けたり魔物を生み出したりするんじゃないですか?」


「冒険者に見向きもされない迷宮なんてただの穴でしかないから」


「ただの穴……」


「それは悲しいですよね」


「そう、迷宮だってただの穴とか言われたくないんだよ。だから宝箱を用意してみんなに好かれる迷宮になろうと努力しているんだよ」


「はぁ」


「迷宮も頑張っているのですね、私達も頑張らないと!」


 たぶん僕達が頑張ると迷宮は凄く嫌がると思う。


「だから頑張ってる僕達も宝箱が欲しいと思います!」


「まだ続くのかしら、この話」


 出た、委員長の呆れた目。


「でもこのあたりの階層はほとんど一本道ですよ? 分かれ道がないと出てこないんじゃ」


「じゃあ次は分かれ道は外れのほうへ行こう」


 きっとそこなら宝箱があるはず。


「ハズレのほうにあるとは限らないじゃない、ただの行き止まりかもしれないし」


「そもそも当たりや外れなんて分からないと思いますけど……」


 それは天沢の勘と反対方向に進めば、そこが外れになるに違いない。


「それに僕の槍、だいぶボロボロになってきてるから、代わりの槍を1つ欲しくてね」


 迷宮に入るときに槍は1本しか持ってきてなくて、この槍が壊れると予備武器の剣で戦う必要になるんだよね。剣なら2本、インベントリに入ってるんだけど、今まで槍で戦ってきたから剣で戦うと間合いが大きく変わるのが嫌なんだよ。


「そろそろ寿命よね、その槍も」


 委員長の蛇腹剣のほうが先に壊れそうな構造なのに問題なさそうだ。


「だから宝箱が欲しいのですね、分かりました、私も探すの手伝います」


 天沢はどっちが正しい道か教えてくれるだけでいいよ。



 ◇



 迷宮14日目


「これは……」


「お目当ての物があったわね」


「でもこれって……」


 104階層を進むと宝箱が進路上にどーんと置いてあった。


「もどきはいらない!」


「正解よ」


「あぁ、やっぱりそうなんですね」


 もどきは防御力高いんだよね、槍もそろそろヤバイし魔法で離れて攻撃するしかないか。


「じゃあ、魔法で攻撃でいいよね」


「いいわよ」


「じゃあいきます」


「「「ファイヤーランス!」」」


 なんでみんな同じ魔法なんだろ?

 魔法を食らったもどきが跳び掛かっててくる。

 もどきの射線上に障壁を張り落ちたところをまた魔法をぶつけると動かなくなった。


「やっぱり槍じゃないとしっくりこないな」


「剣は持ってたわよね、しばらくは剣で戦ったらどう?」


「私も剣でいいと思いますよ」


「剣を持っている人って多いからね、槍のほうが個性的じゃない?」


「武器に個性もなにもないわ、個性というのは人の内面から現れるものだもの、だから槍を持っているだけで個性というのは間違っているわ」


 ……そんな個性的な武器を持っている人に正論を言われるとは思わなかった。


「そ、そうですよ、剣いい武器ですから」


 天沢もあなたが言うの? って顔してるし。


「じゃあしばらく剣で戦ってみるよ」


 インベントリから剣を1本取り出し、代わりに槍をしまう。

 秋人がいたら日本刀を購入できたのにな。異世界転生ものってなぜか刀が出てくるよね、しかもたいてい東の国か極東の国に日本っぽい国があるんだよね。


「それがいいわ、いざという時に壊れたら危ないもの」


 あ、心配してくれてたんだ。


「じゃあ、しばらく剣を使って慣らしましょう」


 もどきを練習台にさせてもらおうかな。そういや炎魔法の練習台にももどきを使ったなー。


お読み頂きありがとうございます。

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