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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
19/129

19 もどき

本日2話目です。


 天沢がいつまで経っても休憩する気配がなかったので、僕も光魔法を魔物に撃ち込み殲滅した。向こう側に大量の魔物の死骸が見えるので障壁の色を白く変え向こう側が見えないようにした。


「ほら、天沢もいい加減休憩しなよ」


「分かりました……」


 まだ倒したりないのかちょっと不満げだ。3人で椅子に座り遅めの昼食をとる。


「属性魔法って新たに増えないのかしら?」


 それ光魔法が欲しいってことだよね。まじで大丈夫か、この人達……。


「スキルは訓練次第で増えますから、頑張れば増えるはずですよ」


 ユニークスキルはどんなに努力しても才能がなければ手に入らないが、スキルは努力さえすれば手に入る。委員長は既に2つの属性魔法が使えるから、頑張れば普通の人より早く覚えられると思う。


「私も光魔法を覚えるために頑張るわ」


 ……やっぱり光魔法か。僕も天沢も使えるから教師には困らないけど。


「そうなると3人とも回復が使えるようになるね」


 委員長の場合、回復より攻撃に使うことのほうが多いのだろうね。


「……回復?」


 おい、何故疑問系……。


「うちのパーティーは回復する機会があまりないけど、光魔法といえば回復のイメージが強いと思うよ」


 光魔法の使い手が魔法を攻撃にガンガン使っているのは天沢ぐらいじゃないかな。普通は怪我したときのために魔力を温存しておくものだと思う。


「言われてみればそうよね。それならなおのこと私も回復が使えるようになってたほうがいいわね。今後下層に行けば怪我も増えるでしょうから」


 僕はほとんど魔法使わないし、ポーションやマジックポーションもあるから別に必要ないけどね。まああっても困らないし黙っておく。


「それでしたら私にも炎魔法や雷魔法をおしえてくれませんか?」


 さらに攻撃手段を増やす気だ……。

 殲滅力の高い聖女って誰得なんだろ? もう勇者いらないんじゃ……。


「じゃあ僕も2人に魔法教えてもらおうかな?」


「いいわね、器用貧乏は困るけど、戦いの幅が広がるのはいいと思うわ」


「私も水、風、土の魔法が使えますので教えますよ」


 2人みたいに魔法型のスキル構成ではないけど、広範囲魔法や土魔法があれば対集団戦術などにも生かせそう。

 お互いに魔法の呪文やコツなどを教えあう。ただ僕の場合は高速詠唱や詠唱破棄を覚えていないので、まずそちらから練習したほうがいいと言われた。確かにこの2人と組む場合、高速詠唱や詠唱破棄が使えないと僕が魔物を攻撃する前に倒してしまいそうだよね。


 1時間ほど訓練していると委員長がある程度使えるようになったから障壁を透明にして欲しいと言われたので透明にした。光魔法なら一方的に撃つだけなので安心だよね。

 透明になると向こうに数匹の魔物の姿が見えてくる。大量にあった魔物の死骸は迷宮に取り込まれ無くなっていた。向こうにいた魔物がこちらに気づき遠吠えを上げる。するとワラワラと魔物が集まり始める。


 委員長が光魔法を魔物に向かって撃ち始める。魔物も襲ってこようとするが、障壁に阻まれ入ってこれず、一方的に撃たれている。魔物も仲間を呼びさらに集まってくるが、お構いなしに撃ち続ける。それを見ていた天沢も参加して一方的な虐殺が始まった。

 魔物愛護協会があれば訴えられそうな光景だよね……。これでもこの2人は学校の3大美少女なんて呼ばれるうちの2人だけど、これを見たらもう誰も呼ばないかも。

 嬉しそうに魔法を撃つ2人を見て、この2人の将来が心配になってきた。


 途中、小休憩を挟みつつ4時間ほど虐殺が行われると、さすがに魔物の数も打ち止めなのか出てこなくなった。

 結局丸1日、この階層の魔物を倒すことに費やした。

 ……次の階層もこの量なら1日1階層になりそう。



 迷宮5日目


 昨日大量に倒したからか51階層にはほとんど魔物が残っておらず、52階層にたどり着いた。

 52階層に下りるとまず魔物を警戒するが周囲にはいなかった。インベントリからフライパンとお玉を取り出しカンカンカンと大きな音を出してみる。が、まったく魔物が現れる様子がない。

 2人は少し残念そうな顔をしているが、あれがこの先も続くと食料が足りなくなるから引き返す必要があること分かってる?


「とりあえず進みましょ」


「そうだね、元々魔物のいない階層の可能性もあるかもしれないしね」


「動きの遅い魔物や罠を仕掛けてくるタイプの魔物かもしれませんよ」


「上の階層とは逆のタイプか……」


「階層ごとに色々なパターンがあればこちらも対処がし辛いものね」


「はい、同じ戦法が使えなくなりますから戦い方を変える必要が出てきますよね」


「そう考えると上の階層はボーナスステージといったところか」


「ボーナスステージ、いい響きね」


「まさにそうでしたよね」


 ……絶対違うでしょ。普通の冒険者なら撤退を考える量の魔物がいるとか悪夢でしょ。

 通路を進むと前に宝箱が見えた。

 迷宮に入って2つ目の宝箱だ。断罪の人が進化後はよく出るみたいなこと言ってたけど、言うほど出ないよね。


「委員長、鑑定よろしく」


「はずれよ」


「……はずれ? ですか?」


「ミミック? それとも罠?」


「宝箱もどきという名の魔物よ」


 ミミックじゃないんだ。


「魔物ですか」


 魔物と聞いて天沢のテンションが上がったけど、普通は宝箱のほうが嬉しいよね。


「炎魔法の的にしてもいい?」


「いいわよ、新しい魔法の実戦練習にはちょうどいいかもしれないわよね」


「そうですね、あまり速い魔物だと焦りそうですよね」


 同意も得たことだし炎魔法を使ってみる。


「ファイヤーランス!」


 見事に的……もとい宝箱もどきに命中。といっても大きくてしかも動かないので外すほうが難しいけど。

 ファイヤーランスを撃ち込まれた宝箱もどきは攻撃されたことに驚き跳び上がる。そして下りてくるとこちらに跳び掛ってくる。

 射線上に障壁を展開し、宝箱もどきがぶつかり動きを止めたところを槍で突き刺す。

 そのまま宝箱もどきは動かなくなった。


「1撃で倒せなかったのは初めてだよ」


「もどきのステータス、防御と魔耐が1000あったから1撃は耐えられたのでしょうね」


「それって凄い強いですよね」


「……それは先に教えて欲しかったな」


「でも俊敏は90しかなかったし大丈夫だと思ったのよ」


「90ですと冷静に戦えば勝てますね」


「もしかして普通の冒険者は戦わなくて放置するとか?」


「あり得るわね、さすがに戦うメリットよりデメリットのほうが多そう」


 防御が1000だと武器が壊れそうだもんね。


「じゃあ私達も放置しますか?」


「とりあえず、通路を邪魔しているのは破壊しよう。それ以外は放置で」


「分かったわ、戦い方はさっきと同じで魔法で攻撃後、近づいてきたところをブスリでいいわね」


 ブスリってなんか怖い。


「分かりました」


 いくつかのもどきを倒し下りる階段を見つけると、次の階層に進んでいった。


お読み頂きありがとうございます。

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