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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
13/129

13 出発

本日2話目です。


 夜、委員長と天沢が部屋にやってきた。準備していた手紙を机の上に置いておく。これで明日の朝には僕達が出て行ったことがクラスメイト達に伝わるだろう。


「準備はできた?」


「ええ、問題ないわ」


「私も大丈夫です」


「それでどうやって王宮から出るのかしら?」


「闇夜に乗じて空から出るよ」


「空でも飛ぶ気? 誰もそんなスキル持ってないわよね」


「僕の絶対防御の障壁を足場にして歩いて行くだけだよ」


「スキルの使い方、絶対間違っているわ……」


 委員長が呆れた目で見てくるが、これ以外の方法だとばれる確立がグッと上がる。


「と言うわけで出るよー」


 窓の側に立ち障壁を展開し黒い階段を作り出す。ちなみに僕の絶対防御は以前、半径5メートルだったのが10メートルにまで増えた。レベルアップの影響かもね。

 階段を上がりながら途切れた先にも新たに展開。夜に黒い階段だと見難くて危ないけど、そこは我慢してもらおう。2人とも何も言わずについてくる。



 ◇



 何事もなく街に入ることに成功した。


「街にとうちゃーく」


「意外と見つからないものなのね」


「まるで空を歩いているみたいで、楽しかったです」


 もっと怖がるかと思いきや、2人ともかなり度胸があるようだ。


「じゃあ宿屋に行くよ」


 酒場がある宿屋はこの時間でも開いている、そこで部屋を取って明日の朝に街を出るとしよう。



 ◇



「……さい、…う朝…、早く起きなさい」


 眠たい目を開けると委員長がいた。


「……おはよ、なに? どうしたの?」


「おはよう、さっさと準備しなさい。宿を出てラビリポルタ行きの馬車に乗るわよ」


 そうだった、昨夜のうちに王宮を出て宿に泊まったのだった。今頃王宮は騒ぎになっているかもね。


「よし、さっさと行くよ!」


「あなたを待っていたのだけど……」


 近くには天沢もいた。

 ちょっと寝過ごしていたようだ。

 着替えを済ませて宿を出る。


「さぁ、レッツゴー」



 ◇



 王都の門の近くに馬車の停留所があり、そこでラビリポルタ行きの馬車を探す。ラビリポルタ行きは冒険者がよく利用するので冒険者割なんてものがあり、護衛をするなら2万エルが1万2千エルになると言うので3人分3万6千エルを支払う。2人は冒険者ではないが、騎士団証を持っているためそれで問題ないようだ。

 馬車には男2女3の5人が既に乗り込んでいた。この馬車は6から8人集まれば出発するので僕達が乗り込むと馬車は発進し、王都の門をくぐり外に出た。


 この5人は【断罪の剣】という名のパーティーらしく、前衛3の後衛2とバランスのとれたパーティーだ。リーダーは姉御肌の女性で長さ2メートル、幅30センチの大剣を振り回すとか。剣というより鈍器にしか見えない。


 彼女らも迷宮に潜るというので迷宮が進化した話をすると、むしろ進化直後のほうがお宝が出やすいらしく実力のあるパーティーはどんどん参加するそうだ。【断罪の剣】も進化の話を耳にしたため、ラビリポルタ行きを決めたそうだ。思った以上に情報が伝わるのが早くてびっくりだ。


 途中、何度か魔物に襲われたが【断罪の剣】は実力者らしく難なく倒していた。そしてうちのパーティーは全て委員長が1人で倒していた。結局僕と天沢は一度も魔物を倒すことなくラビリポルタに到着した。


 ラビリポルタに着くとまずは宿を探し、その後に冒険者ギルドに行くことにした。2人のギルドカードを作るためである。


 前回、僕が登録に行ったときは絡まれなかったけど、今回は大丈夫。だって美少女2人いるのだから絡まれないわけがないよね。


 意気揚々とギルドの扉を開ける。ここも王都のギルドと同じで酒場があり、冒険者達が酒を飲んでいる。


「ここが冒険者ギルドかしら、受付はあちらね。天沢さん行くわよ」


「は、はい」


 委員長は通常運転だね、酒場やそこにいる冒険者達を見ても全く気にしてないとは。天沢は逆に酒場があることに驚き冒険者達の不躾な視線に少し怯えている。

 これは絡まれそうな予感。くふふ。



 ◇



「登録終わったから帰るわよ」


「え?絡まれてないけど?」


「どうして絡まれるの、私達の着ている服や鎧は騎士の物よ。普通は騎士に喧嘩を売るような人はいないわ」


 ……え? なにそれ。じゃあ以前絡まれなかったのも騎士が一緒にいたから?


「ほら、次は旅に必要な物も買いに行くわよ」


「そ、そうだね。服とか鎧とか買わないとね…」


「鎧は今ので十分よ。食料品とアウトドア用品が必要かしら」


 仕方ない、買いに行くとしますか。


 食料品といえば僕のインベントリの中に保存食があるけど、インベントリ内の時間経過はどうなっているのだろう? 試しに野菜を買って入れておくか。

 自分用の生活用品はいつイベントが来てもいいようにインベントリに入っているから、後は2人の買い物だけだね。


 ◇


 買い物を終え宿の部屋で今後の打ち合わせタイム。


「それで迷宮には潜る? それとも潜らない?」


「どうして迷宮に潜るのですか?まずはこの国から出るのではないのですか?」


「秋人は迷宮内の罠によって跳ばされたからね、迷宮の下層なんかに跳ばされている可能性があるからだよ」


「でも宮廷魔術師団長は国外に跳ばされたって言っていましたけど……」


「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。僕も正解なんて知らないから可能性があるなら探す意味があるかもってだけ」


「あなたが迷宮に潜りたいだけの可能性もあると思うけど」


 す、鋭い。もともと迷宮に行こうと思っていたし。


「僕はどちらでもいいよ、2人の判断に任せるよ」


 迷宮! 迷宮! 迷宮!


「あなたは迷宮に黒氏君がいると思うの?」


「僕は迷宮ってお菓子の家に似ているって思うんだよ」


「ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家?」


「そう、魔女が子ども達を食べるために作った家。実際多くの冒険者が迷宮に挑み、成功する人もいれば消息を絶っている人もいるでしょ」


「つまり迷宮が入った人を食べるために魔物がいるし罠があるってことですか?」


「そう考えると秋人がどこに跳ばされたか想像できるよね。もちろんこれは憶測だけどね」


 よし、この流れは迷宮決定だね。


「いいわ、理屈としてはおかしくないようだし」


「そうですね、では明日から迷宮に潜りましょう」


 僕は迷宮にはいないって思っているけどね。たぶん北にある魔の森あたりにいるんじゃないかな?


「そうしましょ。それとステータスの確認もついでにしておきましょ」


 そういえば僕のレベルが今いくつなのか知らないな。


「異世界チートの定番、鑑定様の出番だね」


「スキルに様をつける意味が分からないわ」


 では公開。



ーーーーーーーーーー


初宮冬夏

年齢:17

種族:人間

職業:神騎士レベル16

攻撃:800

防御:800

敏捷:800

魔力:800

魔耐:800


スキル:剣術 槍術 盾術 光魔法 スタミナ回復 魔力回復 威圧 刺突 急所攻撃 疾走 空間把握 交渉術 運気上昇

ユニークスキル:貫通攻撃 絶対防御 鎧袖一触 状態異常耐性 インベントリ 天賦の才 看破 通訳


ーーーーーーーーーー



 迷宮だけで14もレベルアップしている。鎧袖一触ってスキルなの?


「かなりのステータスよね」


「改めて見てもすごいですね」


「次いこー」



ーーーーーーーーーー


天沢空音

年齢:16

種族:人間

職業:聖女レベル14

攻撃:253

防御:253

敏捷:253

魔力:263

魔耐:253


スキル:杖術 水魔法 風魔法 土魔法 光魔法 支援魔法 高速詠唱 魔力回復

ユニークスキル:祝福 通訳


ーーーーーーーーーー


桜堂花蓮

年齢:16

種族:人間

職業:魔術師レベル15

攻撃:264

防御:264

敏捷:264

魔力:264

魔耐:264


スキル:剣術 鞭術 炎魔法 雷魔法 強化魔法 魔法威力上昇 詠唱破棄 魔力回復 鑑定

ユニークスキル:武具の嗜み 通訳


ーーーーーーーーーー



 こうしてみると僕のステータス、かなりおかしいよね。

 天沢は完全に後衛タイプだけど委員長はバランスタイプか。僕が前衛でちょうどいいパーティーかもね。


「鑑定はユニークスキルじゃないんだね。僕も色々見ていたら覚えられるのかな?」


「分からないわ、気がついたら覚えていたの。他に鑑定が使えるのは黒氏君ぐらいよ」


「秋人も使えるようになっていたんだ」


 やはり主人公補正というやつか。


「ステータスを知るには便利だけど、他の使い道なんてほとんどないわよ」


 そんなものか。


お読み頂きありがとうございます。

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