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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
10/129

10 やらかしました


「ウオオオオオーーーーーーーー!!」


 ブラックオーガが雄たけびを上げると恐怖心で体が強張って動けなくなる。

 そしてそのまま持っていた長さ3メートルほどの鉄の棍棒を斜めに振り下ろしてきた。


「シールド!」


 ガーーーーーン!


 僕がそう叫ぶと棍棒が何かに当たって弾かれた。僕の『絶対防御』の能力だ。絶対防御は半径5メートル以内の位置であれば自在にどんな大きさ、形でも3つまで障壁を展開することができる。展開された障壁はそこに固定され、僕が障壁の端から5メートル以上離れるか、解除するようイメージしなければなくならない。障壁は色も好きに変えらるので今回は無色透明の障壁を展開している。無色透明の障壁は敵から見えないため位置や大きさが分からないメリットがあるが、光魔法は通してしまうため注意が必要だ。


「ガ? ンガ?」


 当たると思っていた攻撃が弾かれたことに不思議がっているブラックオーガを放置する。


「副団長、ここは僕が抑えますので皆を連れて9階層を目指してください」


「し、しかし、君だけを置いてなど行けない!」


「既に半数以上は戦える状況ではありません。今逃げないと、このままだと全滅してしまいます」


 恐怖で涙を流している人、頭を抱えている人、腰が抜けてしまった人もいる。皆を守りながらブラックオーガと戦うことは困難だろう。


「すまない、頼む」


 深々とお辞儀をし、階段を探すため皆を連れて移動する。


「全員立て、立てないやつは動けるやつが引っ張っていけ!」


「初宮!」


「秋人か、お前も早く行け!」


「絶対に戻ってこいよな」


「大丈夫だ、相手が誰であれ負けるつもりなんてないからね」


「上で待ってるからな」


「秋人も気をつけてな」


 秋人が走り去るのを見届けると、ブラックオーガに相対する。


 さてと、なんだか想像していたのと違う展開になってきたな……。

 ブラックオーガが展開している障壁にしがみついて噛み付いたり殴ったりしてるのだけど、ほんとどうしよう…


 ブラックオーガの背後に回り、障壁を解除する。障壁に体重を乗せていたブラックオーガがバランスを崩したところを槍で急所を一突きする。


「グアァァッ!」


 ブラックオーガがドスンと大きな音を立て倒れ込む。


 反撃を警戒して障壁を展開し、間合いをとる。


 …。


 ……。


 ………。


 ……………ん? 動かないんだけど?


 ……あれ? もしかして死んだ? 


 ゆっくり近づき、ブラックオーガの足の裏を槍でツンツン突いてみるが動く気配がない。


「か、勝ったぜー、………ぜ?」


 ……えっと、このまま皆のところに戻っていいんだよね? 最後の別れみたいなシーンがあったのに一撃であっさり倒すとか逆に怒られたりしないかな……。

 よし、死闘を繰り広げ紙一重で勝った事にしよう、うん。

 とりあえずブラックオーガと棍棒はインベントリに入れて、追いかけますか。

 レベルが上がったのか体がだいぶ軽い。50メートルを2秒ほどで走りぬけ、魔物が出ても瞬殺する。鎧袖一触とはまさにこのことよー、はははははーー。


 前にクラスメイト達が見えてきた。秋人や委員長、リーダー様なんかもいる。

 スピードを落とそうとしたら、


 ガコッ


 ん? 何か踏んだような?

 秋人の足元に魔方陣が現れた。

 ん? ん? ん?


「空音!」


 秋人が慌てて側にいた女子を突き飛ばし魔方陣から出す。そして自分も出ようとしてそのままフッと消えた……。


「秋人くーーーん!」


 突き飛ばされた『天沢(あまざわ) 空音(そらね)』は消えた秋人に手を伸ばそうと試みたが、結局秋人1人だけがどこかに跳ばされることとなった。


 ……あれ? 



 先ほど踏んだ場所を見るとそこだけ色の違う床だった。


 ……あれれ?


お読み頂きありがとうございました。

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