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蘇家編ー開幕ー


「ハァ…ハァ…ハァ…」



鬱蒼とした森の中を一人の少年が歩いていた。

少年の名は鳳惺と言い。大学四年生で、就活を終えあとは卒論だと意気込んでいた男性 であった筈だった。

どうしたことか、今の彼の姿はどう見ても小学校低学年程度で、ぶかぶかになった靴と靴下を手に持ち、ズボンの裾を折って、そこから伸びる細くて短い足で歩いていた。

地面は、草の生えた所と地面が剥き出しになっている所とが斑らにあり、比較的湿っていた。

濡れた大地を足裏で感じながら、少年は歩く。

息は乱れており、疲労が見て取れる。



「あぁーー!ちくしょう、体力ねぇな!」



少年はそう吼えた。



ーーーーーーー


少し前に遡るのだが、少年が自分の体が縮んでいることに気付いた後、彼は自分の体の変化に大層驚いた。

すわ、黒男の取引現場を目撃したところを、そいつの仲間に見つかり、昏倒させられた後に、体が縮む薬でも飲まされたのかと疑ったところだ。

その後に、一応人目のつかない森の中に放り込まれたのかと思い、そこで考えるのを止めた。

まさか、そんな漫画みたいなことある訳ねぇだろ、と考え直し、次に夢の中かと思った。

おぉ、夢だと気が付いたのはいつぶりだろうか。

彼は地味に嬉しく思った。

しかし、彼が夢を見る時は決まっていつも周りが霧掛かって見える…とそこまで考えて、周りが少し霧掛かっていることに気付いた。

しかしそれには湿った感覚がする。

夢では無いのだろうか。と考えるも、夢の中にいる時は勝手にそういう感覚がすると勘違いしてしまいそうだし、と無理矢理納得して、彼は立ち上がった。


覚めろ、覚めろ、覚めろ!!


そう念じても起きやしない。

ふむ、前にもこんな夢を見たなと思い。

その時のことを思い出す。

なんとも不思議な夢だった。

夢だと気付いても起きれず、どんなことをしたかはもう覚えてはいないが、何かを解決した後に、「もう起きても良いよ。」と夢の中で一緒に行動していた彼にそう言われた後に目が覚めた。

今回も、そうなのだろうかと思い。

少年は、取り敢えず人と会おうと思った。


ダボダボになってしまったズボンを、どうしようかと思い、脱ごうとするも思い留まる。

いくらシャツが大きくなって下半身が隠れるからと言っても、野外で脱ぐのは犯罪か…?と、彼のなけなしの自制心が、ズボンを折るとこを選択した。

靴はどうしようも無かった。

靴下はどうしようかと思うが、これも大きくなっており、足に怪我をするかもしれない、と思うも、夢の中だから何とかなるだろうと楽観視した。

靴下も脱ぎ、靴と一緒に手に持って歩き始める。

こんな森の中に人がそうそう来るとは思えず、取り敢えず川を探し、下流へ向かおうと思った。

そのうち町が見えてくるだろう。

こうして少年は歩き始めた。



そして冒頭へと戻る。

大分長いこと歩き続けていたのだが、一向に川も村も見えてこない。

こんなにも湿度が高いんだから、川くらいあんだろ。と思うが、水の音は聞こえない。

空が暗くなってきていた。

もう直ぐ夜になってしまう。

寝床を確保しようと、彼は立ち上がり、辺りを見渡した。

草は生えてるし、落ち葉もあるにはあるのだが、どれも湿っていた。

悩みに悩んだ末、彼は草の上に寝転がった。

約半日歩き続けて、ここが生物が生活しやすい環境だという事が分かった。

夜になって急に温度下がらないでくれよ。と思いつつ、彼は眠りに着いた。

そういや、ここで今んところ動物見てねぇや。と思いながら。

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