4/5
まずい~周到だ~
「つまり、絵はすでに書きあがっていたわけですな?」
元普請組、藤堂家100石―現末席家老250石―藤堂佐吉に向かい皮肉を漏らす。
「まさか」
少し憮然としてから、諦めたように吐き捨てる。
「某も昨日聞いた。ここに隠れていろ。とな」
自身が出てきた屏風を指差しながら言い切る。どうやらまた利用されたらしい。
家老職に無理やり就かされたときも、何度も命を狙われ、それを命からがらに退けてきたというのに・・・・・・。
(この男また危険な橋を渡らされているのか・・・・・・)
呆れを通り越し半ば感心しながら、視線に乗せた憐憫とともに現末席家老を仰ぎ見るのであった。