神魔戦争の足音
ライラドリック王国、騎士団領、シルベック公国に封印の地が陥落したとの知らせが入ったのは、封印の地陥落の1日後の事だった。
貴重なエレメントが宿った通信装置でライラドリック王国の首都ミュレトリア、騎士団領の首都、ソードデルタ、シルベック公国の首都ウンディアに連絡が飛ぶ。
ライラドリック王国、加護の間
ライラドリック国王ラファスト・ライラドリック3世が球体に手をかざすと映像が現れ、その向こうに二人の影があった。
騎士団領首相のヴェルダ卿、そしてシルベック公国の女神ウォーティアだった。
「ウォーティア様、ヴェルダ卿、お久しぶりですな」
まずライラドリック国王は挨拶をして続ける。
すると球体からも2人の挨拶が返って来た。
「ラファスト様、ヴェルダ様お久しぶりです」
「ラファスト殿、ウォーティア殿お久しぶりですな」
ラファストは続ける
「お二方も今回の魔族による封印の地襲撃は伝わっているであろうか?」
「ええ、これは由々しい事態です」
女神ウォーティアが真面目な顔で言う。
「封印の地が襲撃されたとなっては捨て置けない、ましてや瘴気を振りまく魔剣、野放しにはできないな」
ヴェルダ卿が深刻そうに答える。
「今回の魔族の動き、勢力は過去の文献の魔族よりも力が強い、至急近隣住民の避難と軍の派遣を急ぐ」
ライラドリック国王は力強い声でそういった。
「今回の魔族は中央大陸から来たようです、恐らくは飛行能力を持った魔族と海上移動のできる魔族でしょう」
ウォーティアは自らの推測を言う。
「空中戦力なら我々に任せてほしい」
ヴェルダ卿が答える。
「くれぐれも油断のないようにな」
ライラドリック国王のその言葉でエレメント装置による通信は切れた。