街道と宿
1日の野宿の後に、ラージュ達は小さな道から街道に出た。
レンガで舗装された立派な道、ラージュには初めての道だった。
「こんな道みたことないや、立派な道だな」
「ええ、立派な道は神の加護がとても強いんですよ」
ラージュの言葉にリーシアが言葉を返す。
ラージュはハッとして元の表情に戻りリベリト村のことを思い出した。
しばらく西に行くと分かれ道に立て札をリーシアが見つけた。
「ここはルーベリック街道、西にラファンの町、北にケレル洞窟。どうやらライラドリック王国に入ったみたいですね」
リーシアはラージュとネイバーに向き直り。
「ラファンの町へ行きましょう、そこでシルベック公国のウォーティア様に手紙を出します」
「リーシア様、ライラドリック国王と騎士団領首相にも手紙を出しては?」
「そうですね、内容を少し考えてからにさせていただきます」
ラージュ達はラファンの町に着いた。
ラージュにとっては初めての町、頑丈そうな石のブロックでできた建物を歩きながら眺めたり、店に出されている品物を遠くから見たりしていた。
「俺の村よりも立派なんだな、町ってところは聞いたことだけあったけど」
ラージュのつぶやきにリーシアは答える。
「必死で生きている人はみんな立派ですよ、後ラージュあまりキョロキョロするとよく思われません」
ラージュはリーシアにそう言われ、態度を改めた。
リーシアは町のとある一角で止まった、そしてその建物に入って行こうとする。
その行動にラージュは慌てた。
「おいおい、勝手に人の家に入っちゃマズいだろ」
リーシアとネイバーはキョトンとした顔をした後笑い出した。
次はラージュがキョトンとした顔になる。
「ここは宿屋、宿泊のための建物ですよ」
「宿泊?泊めてくれるのか?」
「ええ、お金さえ払えば」
リーシアは笑いすぎて涙目になった目をぬぐいながら答える。
「どうしてここが宿屋ってわかったんだ?」
「看板を見て分かったんですよ、ラージュはもしかして文字が読めないんですか?」
リーシアは次は真面目にラージュに質問する。
「リベリト村では文字が読めるのは村長ぐらいで、俺は読めないんだ」
「なるほど」
リーシアはそう言って。
「なら剣術の稽古だけじゃなく、読み書きの練習も必要ですね」
リーシアはにこにこと微笑みながらそう言った。