道
リーシアとネイバーはラージュよりも数段強かった。
ラージュにとって一角ウサギ一匹でも手こずるが、二人は一角ウサギなど一人で5匹は相手にしていた。
ネイバーは魔物一匹を確実に目にもとまらぬ剣技でさばいていく。
リーシアは恐らくエレメントなのだろう、どこからともなく氷でできたナイフを投擲して魔物を仕留めて行った。
ラージュは見ていることしかできず居心地の悪さを感じた。
3人は休憩に入った。
「さすがに道がないところは強い魔物が多いですね」
リーシアが言う。
道がないところは魔物が強い?
ラージュはそんなことは初めて聞く。
「どうして道がないところは魔物が強いんだ?」
ラージュの問いにリーシアが答える。
「道は神によって監視されています人間と神の契約なんです」
ラージュは頭をかしげながら言う。
「とりあえず、道があるところは魔物があまり強くないんだな?」
「そういうことですね」
「で、契約ってなんだ?」
その言葉に次はリーシアが戸惑った。
「契約とは、簡単に言えば大切で責任のある約束と言えばいいんでしょうか?」
「道のことで神様と契約してなにかいいことあるのか?」
「ええ、道は人々が生きていく上でとても大切です。交易や物流そして旅においてとても重要な役目をはたしています」
ラージュはさらに困る。
交易や物流……?
「ええ、簡単に言えば物を安全に遠くまで運んだり人が別の町や村へ行き来するのに大切なんです」
「でもなんで神は人間に道の監視を約束したんだ?」
ラージュにもこれはわかる、一方的な約束など無意味だ。
「500年に一度神と魔族の戦いが起こっています、2回目の戦いで神々は人に道を作らせました。これは人々が町や村で連携を取り、繁栄し協力して魔族に対抗するための配慮なのだそうです」
「なんで道を監視するんだ?神なんだから世界を監視すれば魔物も増えないんじゃないのか?」
ラージュは不思議そうにリーシアに問う。
「神は強大ですが完璧ではありません。世界のすべてを監視することは不可能なのでしょう。道や人、町に力を注ぐことで魔族からの守りをかためているのでしょうね」
「そんなものなのかな?」
ラージュの問いに。
「ええ、おそらくですが」
リーシアはそう答えた。
ラージュはネイバーと目が合った。
「ラージュ」
ネイバーはラージュに話しかけてきた。
「ネイバーさん、俺に何か用ですか?」
いや、と言ってネイバーはラージュに言う。
「さっきから俺とリーシアが魔物と戦っている後ろでラージュの居心地が悪そうだったからな」
ラージュはネイバーに図星を突かれた。
「それは……まぁ、確かに」
「ラージュ、剣術を習う気はないか?」
ネイバーの問いにラージュは即答で。
「是非お願いします」
と答えた。
ネイバーは頷き。
「厳しい稽古になるぞ」
と一言。
ラージュは少しだけ後悔した。