リーシアとネイバーの過去
ラージュがリーカ村で保護され、16日目ライラドリック王国、王都ミュレトリアからの救援がやってきた。
そこにはリーシアの見知った顔があった。
「グーラム師団長、お久しぶりです」
リーシアはそう言って、歳のいった人に声をかけた。
「おお、貴方はやはりリーシア殿であったか、元気そうでなによりでございます、もうあれから12年、立派になりましたな」
グーラム師団長は嬉しそうにそういった。
「ところで」とグーラム師団長はリーシアに言い。
「二人で話をしたい、よろしいですかな?」
ええ、とリーシアが言うとネイバーもリーシアについていくために立ち上がった。
グーラム師団長はまぁいいと言って、ラージュだけを残して3人で部屋の中に入っていった。
部屋に入ったグーラム師団長は、ネイバーにまず声をかけた。
「ネイバー、ワシは君を見ていると痛ましくてたまらん、いい加減目を覚ますべきじゃ」
グーラム師団長はため息交じりにそう言った。
「いいえ、これが私の生き方です、ほかの道などありはしません」
ネイバーは顔色を変えずにそういった。
「まだ先代の巫女ミレットを思っているのか?」
グーラム師団長はネイバーに問う。
「ええ……」とネイバーは目を伏せてそう言った。
「ネイバー、忘れろとは言わない、だが君ももう32歳だ、魔剣の巫女はせいぜい長く生きても25歳。救う道はない。もう自分の道を歩んだらどうだ?」
ネイバーはその言葉を無言で返した。
「リーシア様、封印の地はなくなったのです。王都ミュレトリアにてライラドリック王族に戻りませぬか?」
「それは私の父、ラファスト・ライラドリックのお考えでしょうか?」
「さようでございます。」
「いいえ、私は魔剣の巫女、職務を放棄することはできません」
「魔剣の巫女などともうどうでもいい。どうしてこう封印の地のやつらは意地っぱりばかりなのじゃ」
グーラム師団長は悲しそうに声を荒げた。
「グーラム師団長、お願いがあるのです」リーシアはグーラム師団長にそう言った。
「リーシア様の願いしかと聞き受けましょう、どのようなご用件ですかな?」
「首都ミュレトリアに戻ることはできません、しかし、少々図書館と数日過ごす部屋を貸してほしいのです」
「それぐらいはお安い御用でございます」
グーラムはかしこまりそう言った。
「それと、お伝えしたいことが。魔剣はもう私の手を離れてしまいました」
リーシアのその言葉にグーラム師団長は度肝を抜かれたような顔をした。
「ではいま、魔剣はどちらに?」
「ラージュという者の魂の中に」
その言葉と共に部屋は静寂に満たされた。




