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歯車の始め
生涯の中で、一番の親不孝だとされているのは「親よりも先に死ぬこと」。
死んでからでは、当の本人は後悔のしようもなく残された人間だけが悔やみ続けるという残酷で最大の親不孝だ。
しかし、生きていながら親不孝をしてしまうこともある。
これは、ある女の子が背負い続けた後悔と、反省、その後の物語である。
【蕾】
小学3年生の女の子、美樹が携帯を親から貰ったのは夏ごろだった。携帯所持理由は、習い事が多く、学校帰り直帰ではないためGPSでの位置確認と、習い事後のお迎えのための連絡手段。当時携帯など持っている友達はおらず、友達との連絡手段としては使えなかった。
親から譲り受けた携帯は、親の名義でフィルタリングも設定されておらず、子供ながらになんでもインターネットで調べることができた。美樹の小学校は私立で、1学年25人という少数学校であったため地元には友達などおらず、家に帰っても共働きのため親もおらずいつも1人だ。