昔々あるところに_010
昔々あるところにモグさんという貧しい青年がおりました。
モグさんはとある雑誌で、不思議な記事を読みました。
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アメリカ、ヒューストン郊外ブナに住むジョー・リチャードソンさん(41)は
21年前、サムレイバーン湖に釣りに行ったとき、自分の名前を彫ったクラスの記念指輪を落としてしまったが、先日、手元に戻ってきた。
漁師が釣った3.6キロもあるバスの腹の中からでてきたのだ。
変色した青い石の指輪を見つけた漁師は、ネットで人々の協力を受けながらリチャードソンさんの居場所を突き止め、先月28日、連絡した。
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とあった。
その記事を読んだモグさんは居ても立っても居られなくなり、さっそく近所の
大衆食堂に飛び込んだ。
「鯖の塩焼き定食をお願いします。お魚は大きな奴」そう言いました。
しばらくして定食が出されました。
モグさんが、魚をほおばっていると
ガリッ……!
なにか堅いモノが歯に当たりました。
『来たっ!』
そう思ったモグさんは、雷に打たれたように立ち上がり、
定食を食べるのをやめ、レジで支払いを済ませその堅いモノを噛んだまま家に帰りました。
そのころ店の厨房では、コックが誤って指を切り落としたといって大騒ぎになっていました。
ところがその指はどこを探しても見つからなかったのです。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ