銀光の少女
深夜の歩道は誰もおらず、なんだか異世界のような感覚だ。俺自身なんだかフワフワした感覚のまま歩いている気がする。
しばらく歩くと大通りに出た。車さえも、俺の前を通り過ぎて行くのは2、3台だけだ。なんだか音のない世界にやってきたようである。
大通りから少し入っただけというのに、二丁目の公園の辺りは酷く静かだった。そもそも、公園の周りには住宅地がない。
それというのもこの公園は数年前に倒産した工場の跡地をそのまま更地にして、申し訳程度に整備しただけの、公園とも空き地ともいえない場所だからだ。
だから、こんな時間にこんな場所に居るヤツなんてロクなもんじゃ……
「ん?」
しかし、俺の予想を裏切って公園には、なにやら人の気配があった。
俺は公園の方角に顔を向ける。
「……なんだ、あれ?」
見ると、暗闇の中をなんだか光るものが動いているではないか。
それは何かが反射しているようである。
「……少し、見てみるか」
こういうとき普段なら絶対俺はこういう行動をしない。だが、俺はとてつもなくその光物体が気になったのだ。
そのまま公園の中に入る。あるのは街灯とういくつかのベンチだけ。
そして、公園の向こう側でなにやらやはり何かが光りを受けて光っている。
俺はまるで光りにおびき寄せられるそちらに向かう。
するとそちらに近付くにつれて段々とその光っている正体がわかってきた。
「……え?」
その正体がわかってみると、俺は思わず声を漏らしてしまった。
視認できる距離にまで近付いてみると、そこにいたのは俺と同じように制服を着た少女だった。
「あの制服は……どこの学校だ?」
長く綺麗な髪に、白い肌の少女。
そして、少なくとも、ウチの学校のものではない制服。
その少女は街灯の明かりに照らされている。それだけならまだ驚くことじゃない。
問題なのはその女の子が手にしているものだった。
女の子が手にしているのは、銀色のナイフだった。
俺が光っていると思っていたのは、そのナイフの刃が灯りに反射して光っていたのである。
女子学生と銀色のナイフ……俺にとってはあまりにも漫画やアニメの中だけでの組み合わせで、眼の前の光景を俺は信じられなかった。