退屈な生活
「……ただいま、って……返事はないんだけどね」
家へ帰っても誰も迎えてくれることはない。
それは別に俺が両親から見捨てられたとかそういう悲しい境遇を背負っているわけではなく、単純に両親が共働きで、しかも、海外に二人とも出張しているからなのだった。
だから、既に一人暮らしも二年目。両親に付いて行くと言う選択肢もあったが、どうにも俺は住み慣れたこの街を離れたくなかった。
それに中学三年ならば、一人でもなんとかできるという謎の自信が、俺をここに残らせたのだ。
「はぁ……疲れた」
制服のまま、ソファに横になる。
なにもない一日……のはずだった。平凡で退屈な一日だ。
いつもなら家に帰ってくればすぐに夕食の支度をするというのに、やはり深層心理では俺も夏休みだから、と思っているのだろうか……
そうこう考えているとなんだか異様に眠くなってきた。瞼が下がって行くのを自分でも感じる。
そのまま俺はまるで高いところから一気に落ちるようにストンと眠りに落ちていったのだった。
夢を見ることもなく、ただ俺は眠っていた。眠っているにも拘わらず時間が経っていることだけはわかっていたので、なんだか不思議な感覚だった。
そして、次に目を覚ましたのは周りが真っ暗な時間帯だった。
「は? 今何時だ?」
時計を見る。
既に時刻は深夜の二時だった。
俺は大きく溜息をついた。
なんで大して疲れても居ないのにこんなに眠ってしまったのか。しかも、眠り続けるならまだしも、こんな中途半端におきてしまった。
「はぁ……どうすんだよ」
今更何か作る気にはなれない。かといって腹は減っている。
「……コンビニでも行くか」
立ち上がり、制服のまま外に出る。
外に出ると初夏だというのにまとわりつくような暑さが俺を襲った。顔をしかめながら次に思い出したのは自分が制服で、こんな時間に制服の男子がうろついていたらほぼ100パーセント職務質問されるということだ。
警官に会わないことを願いながら、俺はそのままコンビニへと向かう。一番近くのコンビニでも、家から出て10分。二丁目の公園を通ってそのまま真っ直ぐだった。