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異形少女の悩み 1

 アリシアは俺がそういうのを聞きたかったのか、その言葉を聞くとそのまま俺の家を出て行った。

 一人になったリビングで俺はぼんやりと天井を眺めていた。


「……そうはいってもなぁ」


 ふと、そんな言葉をつぶやく。

 結局諸々のことはわからないままである。俺を狙ってきた奴らのこととか、異世界のこととか……

 千佳のことは大分わかった。そして、アリシアの言っていることが嘘ではないということもなんとなくわかってきた。

 ふと、俺は思い出す。

 目の前で、あの女子高生の頭を握り潰してしまった千佳の姿を。

 その光景を思い出すと、自然と恐怖の感情が湧きあがってくる。


「……まぁ、怖いよな」


 怖くて当然だ。人が死んだんだ。

 ミチルとかいう女子高生は確かに千佳の腕を食った。それも十分恐ろしい。

 しかし、そんなミチルをいとも簡単に葬り去った千佳も……


「はぁ……」


 すでに十分眠いはずなのに俺は眠る気にもなれなかった。

 千佳は、もう眠っているのだろうか?

 アリシアの言葉通り、ちゃんと風呂に入ったんだろうか?

 俺は気になってふと立ち上がる。

 そして、そのまま風呂場に向かった。

 風呂場について見ると、確かに血だらけの制服が無造作に放り出されていた。


「……千佳の奴、ちゃんと寝てるかな」


 そのまま俺は階段を上がり、二階の寝室へと向かう。

 そして、寝室の扉の前まで来てふと思った。

 さすがに勝手に入るのはどうなんだろうか?

 千佳も女の子だし、勝手に入ってしまうのは、不味いんじゃないだろうか。


「……千佳?」


 俺は扉に向かって呼び掛けてみた。

 返事はない。


「千佳? 寝てるのか?」

「……起きている」


 意外なことに、返事があった。

 その返事はどこか悲しげで落ち込んでいる風な声だった。


「千佳? 部屋に入っていいか?」


 返事は、しばらく返ってこなかった。

 俺がしびれを切らして扉のノブに手をかけた、其の時だった。


「……入ってこないで」

「え?」


 確かに聞こえた。明確な拒絶の声が。


「あ……ダメ、なのか?」

「……ダメって言ってるでしょ! 入ってこないでよ!」


 扉の先からは、千佳の叫び声が聞こえてきた。

 悲痛な声だった。


「……ああ。わかった。じゃあ、後でな」


 俺としても、さすがにこのまま寝室の前で待っているべきではないということはわかった。

 仕方なく俺は、そのままリビングに戻った。

 その後は、結局俺は眠ったのか眠っていないのかわからなかった。

 そのままソファの上でまどろみながら、朝を迎えたのだった。

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