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不自然な一致

 そのまま俺は眠ってしまったようだった。

 起きると、すでに夜の八時。

 腹が減って目が覚めたのか、それとも……

 俺はベッドから起き上がる。


「……はぁ」


 ふと、ベッドの脇に目をやると、千佳の聖典『放課後のギルティ・ハンター』が置いてあった。

 それを見てますます俺は陰鬱な気分になる。


「……ってことは、これで完全に、ただのイタイ子って証明されちゃったわけだな」


 俺は立ち上がって大きく伸びをした。

 そして、俺はもう一度ライトノベルのページをめくってみた。


「……ん?」


 思わず俺は眼を丸くしてしまった。

 なぜって、そこには、見覚えのある名前が書かれていたからである。


「……狩谷……慎治?」


 それは、他でもない俺の名前だった。

 俺は思わずページをめくる。

 一応、話をまとめてみると『放課後のギルティ・ハンター』はいわゆるファンタジーラノベのようだった。

 で、話をようやくしてしまえば、主人公でありヒロインの土岐宮千佳と、その幼馴染である狩谷慎治が協力して敵の魔物を倒していく、という話。

 問題は、なぜ、俺の名前が書かれているのかということだった。

 千佳がこのラノベに影響されて自分を「土岐宮千佳」と名乗っているのならば、まだわかる。

 しかし、俺はこのラノベを読んだことがない。

 それどころか、存在さえも知らなかったのだ。

 俺の名前はそこまで珍しくもないが、かといって、どこにでもいるような名前でもない。

 そうなると、この名前の一致というのはどうにも不可思議に思えてくる。


「……どういうことだ?」


 其の時だった。

 コンコン、とドアをたたく音が聞こえてきた。


「はい?」

「慎治? 起きているか?」


 千佳の声だった。俺は扉を開けることにした。


「何?」

「ああ。起きていたか。ほら、さっさと罪人探しに行くぞ」


 千佳は何事もなかったかのように俺に向かってそう言った。

 罪人探しよりも俺には目下気になることがあった。


「……あのさ、千佳」

「ん? なんだ?」

「その……あのラノベ、主人公の幼馴染って、狩谷慎治って名前だよね?」

「ああ。そうだな」


 千佳はためらうことなく肯定した。俺は其の先を聞くのはやめた方がいいと思ったが、そのまま続けることにした。


「その……俺の名前って……」

「え? ああ。そうだ。お前の名前は、私が命名した。無論、その聖典に影響によるものだがな」


 思わず何も言えなかった。

 今のは一体どういうことなんだろう。つまり、目の前のこの土岐宮千佳という名前を持つ少女が、俺の名づけ親ってこと?

 あまりにも意味不明過ぎて、混乱してきてしまった。


「あー……あのさ。どうしても罪人探しに行かなきゃダメ?」

「何? 当り前だろう。それが『ギルティ・ハンター』の使命だぞ」

「あ、そ、そうか……じゃ、じゃあさ。その……目的地に着くまでにいくつか千佳に質問してもいいかな?」


 千佳は不思議そうに俺を見ていたが、すぐにうなずいた。


「ああ。別にかまわない」

「あ、あはは……ありがとう。じゃあ、行こうか」


 いよいよ以てわからないことが多くなってきた。

 本当ならば、真相を知っていそうなアリシアやイルマに聞くのが一番なのだろうが……今はとりあえずこの中二病娘に真相を問いただすべきだろう。

 俺は、そう思いながら千佳とともに家を出たのだった。

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