呪われし運命
「……え? あ、ああ。そうなんだ」
しばらくしてから、俺はようやくその千佳の言動に反応することができた。しかし、千佳はと言えばあまり反応のよくない俺に対して少々不満のようである。
「なんだ。それは知っていたのか?」
「え? あ、いや、知らなかったけど……そ、そっかぁ。ギルティ……何?」
「ギルティ・ハンターだ」
「ああ。それね。えっと……何をする人なのかな? それは」
「何をする。決まっているだろう。罪人を狩るんだ」
「……罪人、ねぇ」
俺がいまいち理解できていないのを悟ったのか、千佳は真剣な顔で俺を見てきた。
「なんだ? おかしいか?」
「え、あ……そ、そのさ。千佳の言う罪人っていうのは……犯罪者ってこと?」
「犯罪者? ふんっ。そんな目に見える存在ではない」
「え? ど、どういうこと?」
すると、千佳は鋭い視線で俺を見てきた。その視線はどこか、アリシアの視線を感じさせるものだった。
「罪人とは、この世のならざる存在のことだ」
「え? この世ならざるって……幽霊とか?」
「そういうものではない。ヤツらはこの世界の人間ではないのだ。そもそも人間であるかどうかも怪しい」
それを聞いていて俺はアリシアの話を思い出していた。もしかすると、実は千佳も、アリシアの話をきちんと知っていたのだろうか。
「え、それって……異世界から来たってこと?」
「まぁ、そうなるな」
「あ……あのさ。千佳。それってアリシアも言ってたんだけど――」
俺がそう言いかけると、千佳の視線が厳しくなった。思わず俺は口を閉じてしまった。
「……ああ。そうだ。これは、あの魔女が私に課した呪われし運命なのだ」
「……へ? ど、どういうこと?」
「私は、あの魔女に作られた存在なのだ」
思わず俺は唖然としてしまった。驚くべきことに、千佳自身が、自分が作られた存在であると俺に対して告げてきたからである。
「え……知ってたの?」
「ああ。というか、お前も知っていただろう?」
「え? あ、いや……まぁ。で、その……アリシアが課した呪われし運命って?」
「ヤツは、私を作った。作られて間もない私は、最初、自分がなぜ作られたのかわからなかった。だが、ヤツの話を聞いていると、ヤツが私を作った理由は理解できた」
「そ、そうなんだ……でも、アリシアは罪人とか云々とかは言ってなかったような……」
「当たり前だ。ヤツは肝心な部分はわざと私には話さなかった。お前にもそうだろう。私の予想では、おそらくあの魔女は罪人共の仲間だ」
「え? そ、そうなの?」
「ああ。絶対にそうだ。だから、慎治。くれぐれもヤツには注意しろよ」
そういうと千佳は立ち上がった。
「え? どうしたの?」
「言っただろう。慎治。ほら、罪人探しに行くぞ」
千佳はそう言って俺に二カッと歯を見せて笑ったのだった。




