同居人
「……ふわぁ」
衝撃的なことがあまりのも多すぎた日の翌朝。
朝の5時まで起きていたせいか、起きたのは昼過ぎだった。俺は大きくあくびをしてベッドから起き上がった。
そして、そのままリビングへと向かう。テレビをつけ、ソファに座る。
「……はぁ」
思わずため息が漏れる。そして、ふと、リビングの扉の外を見る。
俺が現在住んでいる一軒家は二階建である。二階には俺の部屋があり、一階には、海外出張をしている両親の寝室という設定の部屋がある。
しかし、どうにも昨日の話が真実ならば、俺にはそもそも海外出張して居る両親なんていないのである。
俺は思わずリビングの扉を何度も見てしまった。
そろそろ、ヤツが起きてきてもおかしくないはずなのだ。
それからしばらくずっとソファでぼんやりとテレビを見ていたが、何も頭に入ってこなかった。
仕方なく立ち上がり、俺はリビングを出る。そして、両親の寝室という設定の部屋やと向かった。
ドアの前に立ち、俺は深呼吸する。
「……よし」
そして、コンコンとドアをノックする。俺だけしか住んでいない自分の家なのに、ノックをするなんていうのはなんだか不思議な感じだった。
「おい。千佳」
俺は扉に向かってそう呼び掛ける。返事はない。
「……おい。起きているのか?」
もう一度呼び掛けてみた。しかし、相変わらず返事はない。
俺は大きくため息をついてそのままドアをゆっくりとあけることにした。
ドアを開けた小さな隙間から部屋の中をのぞいてみる。日光が窓から差し込んでいる。
そして、その窓から差し込んでいる日光が照らしているベッドの上にも布団に隠れて、もぞもぞと動いている物体があった。
「おい」
俺が呼びかけると、もぞもぞとうごめく物体は動きをとめた。
「千佳」
そして、名前を呼ぶと、布団からひょっこり女の子の顔が出てきた。
「おお、慎治か」
無論、それは昨日出会った少女、土岐宮千佳だった。
俺はそのまま部屋に入った。パジャマ姿の千佳は不思議そうな顔で俺を見ている。
「もう、昼だぞ。起きろ」
「うむ。しかし、私はどうにも日光というものが苦手なのだ」
つらそうな顔で日の光を見る千佳。
「イルマは、別に日光なんて平気だって言ってたけど?」
「何? イルマの奴、日光を克服したというのか? 信じられん……」
一人でぼそぼそと呟いている千佳。俺は何も言わずに彼女に背を向ける。
「昼飯、食べる?」
「ああ。戦士にとって食事は不可欠だからな」
背中からそんな千佳の無邪気な声が聞こえてきた。
まったく……作るのは俺だっていうのに……
「わかったよ。じゃあ、リビングにいてよね」
そういって俺は部屋を出た。そして、それと同時に体の奥から大きなため息が出る。
「……これが、現実なんだなぁ」
俺はそう呟いてからリビングの方へと戻って行った。




