屋敷への招待
そして、次に目を開けた時は、眼の前の光景を見て、間抜けな声が出てしまった。
「……へ?」
目の前に現れたのはかなり大きな豪邸だった。思わず辺りを見回してみる。とりあえず日本のようではあるが……
「さぁ、こっちよ」
いつのまにかドレス少女は勝手に豪邸の門を開け、中へ入ろうとしていた。
「え……勝手に入っちゃっていいの?」
「当たり前でしょ。私の家なんだけど」
そして、気にすることもなくそのまま門を開け、豪邸の敷地内へと入って行ってしまった。
仕方ないので俺もその後についていくことにした。なんとも奇妙な気分だったが、かといって、ここがどこであるかわからない以上、下手に動く方が危険である。
豪邸の敷地の中は、まさに俺が想像している通りの豪邸だった。広大な芝生が広がっており、綺麗に植え込みが整備されている。
「あ。まだ帰ってないみたいね」
と、前方のドレス少女は呟いた。
「帰ってないって……あのさっきの?」
「え? ああ。違うわ。このうちのお手伝いさんよ」
お手伝い……やはりこういう家にはお手伝いさんがいるのか。感心しながら俺は再び目の前の大きな家を見ていた。
「ほら。入りなさい」
ドレス少女は扉を開けて俺に手招きをしている。俺は招かれるままに開いている扉の先に進んでしまった。
扉を抜けると、家の中は外観に負けず劣らずの荘厳さだった。やはり、どこか中世の貴族の屋敷を彷彿とさせるようなそんな家の中だ。
天井にはシャンデリアが吊るされ、玄関から見ても一目で金持ちの家だということがわかった。
「ほら、こっちに来なさい」
「え? あ、はい……」
言われるまま、俺はドレス少女の後を付いて行く。おそらく、今歩いているのは一階なのであろうが……どうにも一階だけでも相当広い感じだ。
長い廊下を進んでいると、いくつもの扉の横を俺は通り過ぎて行った。そして、ドレス少女が一つの扉の前でいきなり立ち止まった。
「……はぁ。まぁ、いつかはこうなるはずだったんだから、落ち込んでいても仕方ないわよね」
「え? な、何が?」
ドレス少女は俺の方に顔を向ける。その表情はなぜか俺を憐れむような悲しそうなものだった。
「とにかく、今から話すことを良く聞きなさい。狩谷慎治君」
ドレス少女はそう言って、扉を開けた。
……え? なんで俺の名前……知っているの?
俺は動揺したが、それ以上に深夜ということもあってか、思考する力が弱くなっていた。
そのまま何も考えずにドレス少女の後を付いて、扉の中へと入って行ったのだった。




