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【休載中】この異世界ギルドは何処かおかしい! -開拓王コロナの軌跡-【再開未定】  作者: 川尼望衣
10章 コロナの就職活動 ~はやくランクを変えたい~
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81.レイニーさんがおうちにやってきた その2

 

 

 

 

 さて……いきなりですが、コロちゃんが転居したそうです。

 遊びにおいでと誘いつつも、あれからまったく便りを寄越さない薄情なコロちゃんでしたが……最初に約束した「引越したときは知らせる」ということは守ってくれたようです。

 とは言っても、知らせてくれたのは友達のレイリアちゃんなのですが……


 プンプン。お仕置きが必要ですかね!


 そもそも転居する度に誘うとか。「気分転換に結構引っ越すかも?」と言っていたにもかかわらず、そのようなそぶりを一切みせなかったのはどういうことなのでしょうかね。


 しかし、捨てる神がいれば拾う神もいるということでしょうか。

 そんな薄情者のコロちゃんとは違って、几帳面なレイリアちゃんは知らせを届けてくれました。

 このように人格者といえるレイリアちゃんなのですが……なんとコロちゃんと固定パーティチームを組むことになったそうです。

 そのため固定パーティチームの拠点とするために引越が必要になったという理由みたいです。

 まだ2人なのですから、近所に住むというだけでいいような気がしますが……ね。


 それにしても、拠点を持つということは、引っ越しを繰り返すという話はなくなるのでしょうね。

 まったく……コロちゃんはその場その場で適当に生きるにも程があると思います。考えるという頭はないのでしょうか? それともついているあれは飾りなのでしょうか?


 まあ、お仕置きは決定ですね。言ってわからないなら身体に言い聞かせるしかありませんから。



 それにしても同居ですか……

 どちらが言い出したことかは知りませんが、少しもやもやとしたものを感じます。

 私をのけ者にしてよろしくやっているからですね! きっと。



 そんなことを考えながら歩いていると、大人数向け住居の区画についたようです。

 私はレイリアちゃんから渡された地図を見て、記されている場所へと向かう。

 そして暫く歩くと――


 ふむふむ。どうやらここのようですね。


 2人の新居らしきところに着くと、それを知らせるために来客用と書かれたプレートに手を乗せる。

 すると入り口が現れ、なかからレイリアちゃんが出てきた。


「いらっしゃい。レイニーちゃん」

「こんにちは、レイリアちゃん。お誘いありがとうござます」


 挨拶を交わし、中へと誘われた。




 どうやらここは、レイリアちゃんが選んだ部屋のようですね。

 私は以前、レイリアちゃんの家に招待されたことがあったのでわかりました。所々に名残を感じさせるものがありますからね。

 華美になることないけれど、どこか品があって、それでいて落ち着く佇まいをしています。


 無秩序というわけでもなく、面白みもないというところがコロちゃんの趣味ではない気がしたのです。

 そう思うとあの前にコロちゃんが住んでいた、珍妙な部屋も名残惜しいものがありますね。


 そして次々と部屋を案内され、最終的にコロちゃんの部屋を覗くに至った。



「ここがコロちゃんの部屋ですか? 何もないですね……」

「ええ、家具を設置するとギルドに巻き上げられると言って、揃えるようなことはしないのですよ」

「なるほど……前々よりギルドに対し疑念を抱いていますからね」

「嫌う必要もないのに、敵視してる感じですよね」

「コロちゃんは猫のようなものです。意味もなく不機嫌になったり、意味もなく主張したりする。つまり意味を考えてはいけないのですよ。

 そして寂しくなると構って~と甘えてくる――そんな存在なのですよ。

 だからギルドを嫌っている理由を考えても、私たちには理解はできませんよ」

「そう、ですね……確かに武器制限は怒って良いことですけど。

 【ニート】の実入りのいい仕事にも文句を言うのはよくわかりません」

「【ニート】のですか? まぁ、それ以前からコロちゃんは【ニート】の仕事のより報酬以上に稼いでましたからね。

 楽ということには及ばないですけど……」




 それから2人でコロちゃんの話題で盛り上がりました。

 ですがいつまでたってもその当人があらわれません。

 そのことをレイリアちゃんに尋ねると、


「コロナさんなら今日も仕事に行ってますよ?」

「――暇があったらごろごろしているようなコロちゃんがですか? お金が貯まるとしばらくは仕事しないと思っていたのですが……」

「ええ、最初は、居を移したらしばらくは骨休めしようか……といっていたのですが。

 固定パーティチームを組むのに【ニート】になる必要があると知らなかったみたいなんですよね」

「そこはほら……コロちゃんですから。むしろ知っている方が驚きということでしょうかね」


 その時の事を語り始めたレイリアちゃん。

 ――それによると是非見ておきたい場面があったように感じます。


「ずるいです……」

「えへへへ~。あのときのコロナさん、可愛かったなぁ~」

「まぁそれはさておき……コロちゃんが仕事を毎日している理由がわかりましたよ」

「え? 本当ですか!? 変わったことといえば、よく「俺は無職じゃないんだ……」と訳の分からないことを呟いていたことくらいなのに……」

「ええ、間違いありません。コロちゃんは元々【ニート】を飛ばし【ダウト】になるつもりだったんですよね?

 それならば簡単です。早く【ニート】を卒業し【ダウト】になりたいと言うことしかありません!」

「!」


 私の見事な推理の前に、レイリアちゃんは開いた口がふさがらないようです、ふふふっ。


「た、たしかに……私だったら、【ニート】はゆっくりする階級ランクだと思っていたので。言われてみたら当然のことだったんですね。

 コロナさんは目的意識の強い方ですから、思ったようにいかなかったため急いでいるというのはありえます!」

「コロちゃんは私によく言ったものです。「階級ランクアップの1・2段飛ばし、これが攻略法だ!」と」

「2段もですか!? 実入りの良い階級ランクのため、1段飛ばしなら聞く話ですが……」

「コロちゃんからしたらそういうものだそうです。実入りのいい階級ランクこそ飛ばすべきだと思っていた感がありますね」

「なるほど、敢えて苦行をするですか……って、レイニーちゃんは答え聞いていたようなものじゃないですか!? それならわかって当然ですよぉ」


 どうやら、コロちゃんは彼女には告げていなかったようですね。そう思うと、来るときに感じていたもやもやが晴れたような気がします。

 これも久しぶりの人とのふれ合いがあったからでしょうね……

 やっぱりあの宿舎は寂しいものがあります。




 次第に話題は私の近況に移りました。

 近況といっても大したことなどないのですが……


「そうですね、変わったことと言えば少しの間だけですが、新しい住人ができましたよ。もう居ませんが」

「それはどうしてですか?」

「両親が依頼の最中で亡くなってしまったためにです。

 ギルドで引き受けたのですが、親戚筋が引き取る……ということになったので、その手続きの間だけ預かる形だったのですよ」

「親戚がいたのですか……それはよかったですね」

「ええ、暗い表情でいつも部屋に閉じこもってばかりでしたけど。それでも迎えに来た『おねえちゃん』と呼んでいた女性に会った時は、笑顔になってましたよ」

「『おねえちゃん』ですか?」

「ええ、随分小さい子でしたし、懐いていたんでしょうね。

 両親が亡くなっていたことに気が付いていない様子でしたよ。単純にいつまで経っても迎えに来ない、と考えていた節がありますね」


 あの子は小さくて可愛かったけど、私には話しかけてきてくれませんでしたし、住人が増えたという感じがしませんでした。

 コロちゃんの様に……いえ、やめましょう。空しくなるだけなのですから。


「コロちゃんはいつも、どのくらいに帰ってくるのですか?」

「決まった時間に帰ってくることはないですね。特産施設の見回りの仕事を受けているみたいですけど、場所が分からないと漏らしていました」

「ふむふむ、迷子になっているんですね。いかにも…………らしいですね」


 相変わらずのようで思わず笑みがこぼれてしまう。

 その後しばらく話してると、随分と良い時間になってしまっていたようです。



「そろそろ時間のようですね。……残念ですけど、コロちゃんに会うのは次回ということでしょうか」

「え? まだ良いじゃないですか。なんなら泊まっていったらどうですか? 部屋もたくさんあることですし」

「私もそうしたいところではるのですが、日が変わるまでに宿舎・・にいないといけないのですよ」


 そう、私はあの場所を離れられない。

 だからこのような時を過ごせること自体幸せのことなのです。必要以上に求めてはいけません。


「ではまた来ますね」

「はい、またいつでもいらしてくださいね。

 もっとも、こんな仕事をしているので、いつもいるとは限りませんけど……」

「はい、それではケガに気を付けてくださいね」


 そう言って私は2人の家を辞した。



 そしてどちらが同居を提案するのか聞き忘れたことに気が付く。

 まぁ、いいです。知ったところで意味などないのですからね。

 そして気を取り直して再び歩み始める。



 途中、ふと気になることがあったので立ち止まった。


 ――かんざし


 コロちゃんに貰った簪と似たようなものをつけた女性が、建物から出てきたのです。

 もしかすると、この建物は雑貨屋で売ってあったものを買って、つけて帰ったのかもしれません。


 なんとなく見てみようという気になり、その建物の中へと進むことにした。





 店を出る頃には、手に一つの簪を握っていた。

 思わず買ってしまいましたが、コロちゃんは似合うと言ってくれるでしょうか……


 そんなことを考えながら、私はあの宿舎ろうごくに戻っていく。

 

 

 

 

 

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