40.オーバーフロー 補助輪の卒業式
- B3F -
やはり代わり映えしない、迷路だ。
おそらくこのままずっと続くか、ある一定の層までこのままなのだろう。
低層には罠はないのだろうか?
また、ダンジョンの華である宝箱は見つからないのか?
だが、此度の遠征は俺自身が強くなることが一番の目的である。
ギルドの脅しに負けない強さは、最低限でも手に入れなくてはならない。
ギルドが席巻してるこの世界において、ワンマンウォーズと言ってもいい。
――――ならばワンマンアーミーになる必要があるのだ。
ギルドが侮っている内になるだけ早く、なるだけ強くなる。
これを主題としてこれからは生きていく。
何も起こらずただ進んでいると、どうしても気が抜けてくる。
だが【直感】が油断するなと言ってくる。
【直感】、これは俺が生きていくためには……必要なスキルだったんだな。
俺はすぐ油断し、冷静さを失ってしまう。
そんな俺にとっては、どんなスキルよりも役に立つものであった。
性格と相性。
これにより人それぞれが重宝するスキルは変わってくるはずだ。
苛烈な性格の者はイケイケなスキルと相性が良い代わりに、隙が大きいという弱点も明白になる。
だが、それを支える仲間が居れば、その欠点をカバーすることができるのだ。
――――まさに相棒。
そう呼ぶに相応しい、唯一無二の存在。
俺にとって【直感】は相棒とも言っていいものであった。
そして、その相棒が危険だと囁いた。
――――何だ!?
【気配察知】をより強く意識することで、その効果を高める。
……しかし、反応はない。
【直感】の勘違いか?
そのように考えていると横から衝撃を受けた。
「ぐぅ…なんだ!?
まだ気配は感じられないのに、何かが居る……」
また【直感】が囁いた。前に跳べ……と。
【直感】に従った方向へと飛び跳ねる。
その時、うっすらと、獣らしきモノが見えたような気がした。
まさか……、俺の【気配察知】程度では確認できない魔物なのか!?
恐れていたことがついに起きたのだった。
――――【気配察知】で探れないという敵が。
もちろんverを上げればわかる――という可能性もあった。
しかし、実際に気配が読めない敵に対して、どうなるかということが知りたかった。
ある程度以上になればそんなこと気にしている余裕はなくなり、スキルを強化しないと死につながってしまう。
【直感】を得た以上、直撃を受ける可能性が減った、そんな今だからこそできる荒技でもあったのだ。
そしてその結果が今ここにあった。
そう、情けなく奇襲を受け、相棒に助けて貰うしかなかったその姿が。
だが、ダメージ自体は大したことがなく、攻撃――おそらくタックルだろう――を受けたところで態勢もほとんど崩れなかった。
それとともに悟った。
こいつは練習台――カモだ! と。
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その獣――狼型の魔物《ギャオーン》は、【擬態】というスキルでダンジョンの風景に溶け込み、実に隠密性の高い魔物である。
群れで現れることもあるのだが、連携能力は実にないに等しいため、かえって一匹で出る方が手強い。
気配を悟らせないことが強みなのだから、数が多いとどうしても隠密性に欠けてしまう。
そして今現れたのは、一匹である。
目の前に居るというのにその気配の薄さ、視認の困難さ、実にやっかいである。が……強敵という訳ではない。
「『我は全てを求め、全てを手に入れる』 ――――【ブースト】」
――感覚の増幅それが、コロナが考えついた最適解である。
見えづらいならば視力を、存在を確かめるならば嗅覚を、そして攻撃のタイミングを確認するには聴覚を。
それらすべてを持ってすれば、捉えられないものなどありはしない。
「ハァッ!」
【魔刃】をつかった『エペ』でもってその結果をもたらす。
突き刺した後の剣先には、一匹の狼。
まだ息はあるようだが、このままでも死ぬだろう。
だが、コロナにとって彼はロナルドとは違う新たな先生なのである。
それに敬意を表さなければならない。
そう、糧とするためにより精密に、そして繊細に魔法を操作する。
そしてそれは、《操作》の補助スキルである【魔力の補助輪】からの解放を意味していた。
こつこつと使い続けた魔法は、次第にその操作になれていき、そしてここにきてついに解放条件である《操作》30に達したのである。
「『炎よ、踊れ。紅蓮に染め上げ塗りつぶせ』 ――――【フレアバースト】!!」
それは実に小さな炎であった。
本来なら対象地点に火炎爆発を生み出す、広域魔法。
だがこのときコロナが指定したのは、先生――そう一匹の狼だったのである。
このような至近距離からでは普通は自滅してしまう。
それ故に、本来このような位置に世界を浸食することは、防衛本能からして不可能なのだ。
だが、より緻密なコントロールをそれを成し遂げることに成功する。
《ギャオーン》は燃え尽き、そして血肉となる。
その結果として現れたのがスキル【魔法剣】。
完全にコントロールされた魔法と、【魔刃】が合わさったことによって発現したのだ。
これは【好奇心旺盛】のよる効果を一切受けていない。
そもそもこのスキルを取得してから、使い手であるロナルドとは一切接触していないのだから。
――自力で発現させた。その一言につきる。
この動作こそが【魔法剣】習得の条件なのである。
だが、変化はそれだけで終わらなかった。
強力な《魔力》を、補助輪と言う名の鎖で無理矢理押さえつけいたものが、解放されたらどうなるか――
それは限界を超えて暴発するだろう。
長く時間を掛けて、ゆっくりゆっくりと慣らしていけばその限りではないだろう。
しかし、コロナはたった数ヶ月程度で一気に鎖を解き放ってしまったのだ。
またそれこそ、このスキル発現の唯一の取得方法でもあった。
――――固有能力【解放されし魔力】――――
これは『《魔力》と《操作》の自然成長限界がなくなる』という強力無比な成長系スキル。
本来ボーナスなしで成長は35で限界を迎える……が、それを知るものはいないだろ。
そもそも自力で限界まであげるという発想が、この世界には定着していないのだから。
故に、このスキルが異世界人いや、渡界人以外には大したことがないと思われるスキルでもある。
だが、ゲームを嗜んでいたコロナにとっては、このスキルは成長チートktkr状態なのだ。
「こ、これは俺始まった?」
思わず何度も確認してしまうコロナ。
周りに語りかけるように、いや自慢するように言い放ってしまう。
――だが、ここには誰も居ない。
居るのは新たに接敵した《ギャオーン》だけである。
「あうち」
再び襲撃を受けるコロナであったが、特に問題はなかった。
《刺突剣》の奥義とも言われる【魔法剣】を使って、いや既に使っている状態だったのだ。
先ほど発動した魔法【フレアバースト】を【魔法剣】を取得したときに、スキルが剣に取り込んでいたのだから。
【直感】が指し示す場所へとそれを向けるだけで、《ギャオーン》に剣が突き刺さり、そのまま炎上し燃え尽きてしまった。
(【魔法剣】――エンチャントというやつなんだろうな。これは……)
奇襲を受けたとはいえ、興奮は冷めやらない。
再び奇襲されたところでダメージはほとんどない。
ならばと、開き直って自己能力を表示することにした。
そして興奮冷めやらぬ中、奇襲を受けたところでダメージはほぼないので、開き直ってすることにした。
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自己能力
名前:コロナ・パディーフィールド
存在強度:35
種族:渡界人
職業:探索者
天職:発掘調査 剣士 不屈の闘士 異界の魔法使い
HP:1085+1020/1700
SP:244
パラメータ
攻撃力:(22+10)+10
肉体強度:31+12+5
魔力:(15+35) Break!!
器用:32
操作:31 Break!!
速度:21-30
refinePoint:104
AbilityPoint:33
SkillPoint:22
・固有能力>
・スキル >
・魔法 >
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・固有能力
【異界の旅人】 Active!!
【解放されし魔力】 Active!!
【好奇心旺盛】 Active!!
【???】 ver9.3 【???】
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・スキル
- 発動系 -
【魔刃】 ver2.9 【連撃】 ver1.9
【魔法剣】 ver0.1
【盾術】 ver5.9 【投擲】 ver1.9
【反撃】 ver1.5 【急加速】 ver0.9
【疾駆】 ver0.9 【熟睡】 ver0.4
【緊急脱出】 Active!!
- 常時系 -
【治癒力向上】 ver9.2 【異常状態快癒向上】 ver0.1
【聞き耳】 ver0.9 【視野拡大】 Active!!
【刺突剣の心得】ver9.5 【回避上昇】 ver9.7
【体術の心得】 ver2.9 【気配感知】 ver3.9
【解体の心得】 ver3.1 【直感】 ver3.3
- 耐性系 -
【衝撃耐性】 ver1.9 【物理緩和】 ver4.9
【恐怖耐性】 ver5.9
- 技術系 -
【料理】 ver0.3
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・魔法
- 攻撃系 -
【ウィンドカッター】ver1.9 【ウィンドウォール】ver1.3
【フレアバースト】 ver1.9
- 回復系 -
【ヒール】 ver9.5
- 付与系 -
【ブースト】 ver3.9
- 生産系 -
【クリエイト(水)】 ver2.2
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所持金 ¥539
装備
・《刺突剣》 エペ +10
・《鎧》チープレザーアーマー +11
・《盾》ウッドバックラー +5
・《靴》レザーブーツ +1
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自己能力画面を弄り、見やすくしてみるとスキルが充実していることが実にわかる。
(かなり成長している)
そう思うと、自然と顔がにやけてくる。
存在強度も順調にあがっている。
もはや貯めておくことが無駄と思えるSkillPointを颯爽と使い、主力でもある【直感】と【魔法剣】をver9.0にした。
(存在強度も簡単に上がるし、【気配察知】は暫くギャオーンで慣らしてからでもいいしね)
などと、気が大きくなり安易に考え始めていることも理由の一つだろう。
次にコロナは追加された天職を確認する。
不屈の闘士 耐性系経験値上昇
物理緩和+治癒力向上+恐怖耐性
異界の魔法使い 《魔力》と《操作》の成長に補正が掛かる
解放されし魔力
増えた二つは見事に成長系である。そしてコロナはやはりこう考える。
(俺 の 時 代 来 た な )
と。
一種の覚醒回というやつです




