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2.天国への扉

 

 

 

 

 師曰く、


「俺が始めて風俗に行ったときは、いろいろ調べたがよぉ~。結局予定とは違うところに入っちまったぜぇ。

 がははっははゲホ、ゲホ……うぃ~ヒック」

「なにぃ? お~まえ~? いっちゃう? ついにいっちゃう? う?

 そうかそうか~。アドバイスつーてもなぁ~、フリーはやめとけってことくらいだ(キリッ」





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 あれは発掘調査が終わった後の打ち上げのときだっただろうか……。

 監督と先輩は随分と酔っ払っていた。しかし、俺に最も大事なことを教えてくれていたんだな!


 よし、あのオーラは罠に違いない!

 やはり初志貫徹――指名を入れた店に行く――したほうが良いのだろう。

 そもそも何を目的とするか……優先順位をはっきりさせなければいけない。



 1.初心者脱却

 うむ、これが最大目的であってしかるべきだな。うん。



 2.罠に掛からない

 これだけは今後に響く。

 ここで人生が終わるわけではないから、無理をするべきじゃない。

 悲劇に関しては後で病院に行けばいい。たとえ罹ったとしても早期解決だ!



 3.無理をしない

 そもそも攻撃力――所持金が足りない場合はどうすることもできない。



 4.いいお宝――より良い想い出を手に入れる

 今悩んでるのはここだ。

 当初の予定以上のものを手に入れるかどうかというところで欲が出ている。

 おそらくこれは、『初心者のみが嵌まる罠』なのだろう。




 先ほどの熟練者の男などは何度も下調べ――通い詰めて、独自の情報おきにいりがあるのだろう。


 逆に、先ほど見たパーティーなどいかにも初心者パーティーぽい。

 船頭多くして船山に上るだ。やつらは罠にはまるに違いない。

 初心者パーティはベテランに指導を受けるべきなのだ。

 ただ彼らの様な者達にも利点はあるだろう。

 悪徳業・・、おっと通常の罠は、人海戦術で解除できる可能性だけは高いだろう。


 そもそも当初の予定でさえ4が達成できると思ってやってきたのだ。

 やはりこのスキル【コピー印刷マッピング】で作った地図に沿って、お宝をゲットするべきだな。

 そして俺は地図が指し示す場所へと向かった。





 『扉のあった広間みせ』に入り、守護者に証を見せうけつけをすませる。

 そして心を落ち着かせゆっくりと。


 ゆ っ く りと進んでいく。



 そこには先に広間に入った同業者達がいる。腰を落ち着け思い思い休憩しているのがわかる。

 体力の回復を計っているのだろう。

 ただ中には、興奮を隠しきれていない者もいる。


 やつはきっとこの先でまつ女性ボスとはまともに戦えまい(笑)

 俺はやつらを嘲笑い、更に奥へと進んでいく。

 そしてある所で止まる。俺も身体休ませるために座るのだ。

 これからの事を考え、俺は心を研ぎ澄ませる為に瞑想に入った。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ――――時は来た。


 戦いの時だ。

 持てる全ての力をもって挑んだ。


 敵は強い。勝てないことは承知の上の戦いだ。

 戦力において圧倒的に不利で、あり勝てる見込みは微塵もない。

 今こうして戦えているのは、敵が本気を出していないことの証拠だ。


 ――おそらく相手は様子見だろう。

 その状態ですら勝負になっていない。

 この程度の児戯など知り尽くしているのは間違いない。



 俺は少しでも優位に立とうと姑息な手も使った。……が、全てを封じられ為す術もない。

 目が語っている、『おいたはダメよ』って。


 ――――し、しまった、相手を本気にさせてしまったぁ!


 迫り来る圧倒的なモノに、口をふさがれる。ろくに息もできなくなり、だんだんと思考が鈍っていく。

 そして激しく打ち付けてくる強力な攻撃の前には、俺の身体では耐えることはできない。


 ――も、もう、駄目だ……

 俺はついに諦めた。

 くっ!せ、せめてこの経験を糧に!!


 ぐ、ぐぁああああああああ!!!!





「まだまだね、出直してらっしゃい」


 鈴のような声が聞こえたが、俺は返すこともできなかった。

 次々と襲う状態異常の嵐、魅了――敵が最愛の人だと錯覚し抱きつく。あらがうこともできない強烈な波の後の硬直は麻痺だろうか。やがて混乱――なぜか奥へ奥へと思考が誘導される――へと変わる。


 力が抜けると同時に、すべての異常状態が解除された。




 もう、……何もしたくない、これ以上なモノ――快感はいらない。これ以上の幸せはない。



 つまりここが楽園――天国だったのか……


「あの波こそ天国の扉を開くための試練だったに違いない」


 と自分以外たにんからすると、馬鹿なみたいなことをつぶやきながら意識を失った。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「おい、おい!! お前、いい加減起きろ!!」


 男の声が聞こえた後、さらに揺さぶられる。だんだんと意識がはっきりとしてくる。


「すみません、時間過ぎちゃいました……?」


 目を開けると、厳ついおっさんがいた。


 ――あれ? 黒服の人じゃねーの???


「何を言ってるんだお前?」


 俺は混乱する中、ただ厳ついおっさんを見るしかなかった。

 

 

 

 

 

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