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【休載中】この異世界ギルドは何処かおかしい! -開拓王コロナの軌跡-【再開未定】  作者: 川尼望衣
10章 コロナの就職活動 ~はやくランクを変えたい~
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番外編 【直感】の持ち主

 

 

 

 

 コロナが最も頼りにしている相棒――スキル【直感】。

 かつて《ガイニース》のダンジョンにおいて【好奇心旺盛みようみまね】で取得した、このスキルにも当然持ち主がいた。


 その持ち主とは――




 この話はコロナがダンジョンに潜る様になる前の話である。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ギルドには受付と双璧をなす、なくてはならないものがある。


 ――――そう、食堂だ!


 ギルドの賑わいを、周囲に見せつけるためにも必要としている設備である。

 そしてそこに【直感】の持ち主が居た。



 席に着き、美味しそうに食事を食べている女性。

 その人物が【直感】の持ち主である。


 彼女の名前ミルキー・ママアジー。


 ギルドの救護室で働いている中年・・を過ぎた女性だ。

 彼女は、日々やってくる荒くれどものケガを一身に引き受ける、白衣の天使的存在。


 たとえ外見がかつての栄光だとしても、心は常に乙女。

 彼女に「おばさん」と言った者はケガを治しに来たというのに、違う場所にケガをして帰ることになる。

 言わば、勉強代ということだろう。治療費の他に払う物があったというだけのこと……




 そんな彼女は、いつものように考え無しどもを治療していた。

 だが、その日はいつも以上にケガ人が多い。


(これは一人だけでは無理ね……)


 彼女は限界まで頑張らない。

 少しでもサボるため…………というわけではない。急患に対応するためだ。

 MPがなくて、死亡しましたでは話にならない。

 そんな思惑から、ヘルプを頼もうとした。


 だが、同僚のキャシーは先日旅行に出かけ、一月ほどの休暇を申請している。だから彼女はいない。

 残りは往診に出かけている。――ここに来られないほど傷を負った者の所へと。



 これはどうしたものかと思ったとき、【直感】がささやいた。

 そしてそれに従い、周囲を見回した。そこで一人の青年が目が留った。


 ――コロナ・パディーフィールド


 生活保護を受け、天涯孤独になりながらも、一人で頑張っている青年だ。


 彼はロナルドのしごきで、よく救護室に来ていた。

 当然ミルキーが世話をしてやったものだった。だからよく知っている。

 そしてコロナも彼女には頭が上がらない様子だった。命の恩人なのだから当たり前だろう。



(使えるね……!)


 【直感】が再び囁き、そう思ったミルキーは、何処かに行く予定だっただろうコロナを無理矢理確保した。


「あんた、ちょうど良い。【ヒール】の練習はここでしていきなっ!」



 コロナの事情など無視し、強引に救護室へと連れて戻ったミルキー。

 そんな彼女は早速仕事に掛かった。

 【ヒール】で手に負えない者以外は、コロナに任せることにした。


 本来ならば彼女一人だけで、何とかなる量ではあった。

 しかし、前日に旦那を酷使しすぎてしまった。

 その結果……旦那は腰を痛めてしまい、その治療でMPをそこそこ使ってしまったことで心許なかったのだ。


 けれど、軽い患者をコロナに任せたことによって、なんとかその日を乗り越えることができた。


 前日に旦那を酷使し、そして今日は断れないコロナを酷使する。

 これがまさにおばちゃんパワーと呼ばれるものである。

 

 

 

 

 

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