664. 記念イベント
国の垣根を越えた合同学習――その期間も延長しながら、残すところ一週間。
百八十名もの生徒たちが集まることが当たり前となり、日常の光景として定着した大広間は、今日も賑わいに満ちていた。
「今日は、そちらさんの民俗学があったよな」
「うん。『破城』ワルターニャと軍師アズアルド、この二つの名前を覚えておけば小試験はどうとでもなるよ」
「あー。ワルターニャなぁ。大昔、この国を荒らしたっていうとんでもない奴だろ……。なんか、破壊の化身でありながら、豊穣を齎したナントカとしても有名なんだっけ……。怨魔としては珍しいよな。どうしてだっけ?」
「ああ。ワルターニャの死体が養分になってさ、その土地一帯がすんげー緑に恵まれた場所になったんだって」
黒ローブとブレザーの生徒たちの間に、もはや当初のような遠慮した雰囲気はない。
始まりこそ共同学習のためやむなく組まされた間柄だったかもしれないが、今や親友と呼べる関係に昇華している者も少なくなさそうだった。
流護が最後尾の席からざっと見渡す限りでも――
「ええ。その問いはそれで正解です。解法も完璧ですね。きちんと原理を理解されていますね、リム殿」
「……! はい」
並んで参考書に視線を落としつつ。まるで姉のように見守るクレアリアと、褒められて控えめながら表情を輝かせるリム。
「あ、ああ、あの! すーっ……えっと、よ、よろしければメルティナ様の神詠術の傾向についてもっとお伺いしたいです、レノーレさん……! こ、ここまでお話を聞いた限りでは、あまり冷気を放つといった扱い方はされない印象ですが……!」
「……うん。……メルは主に、氷の硬さを利用した物理的な扱いを得意としてる。……ただもちろん、冷気の放射も別に苦手じゃない。……面倒がってやろうとしないだけ」
共通の話題である北方の英雄について語り合う、シロミエールとレノーレ。
「……ふんむ、なるほど。そういう解釈もあるわけね。さすがはベルだわ」
「ううん。私も、先達からそういう読み解きかたができるって教わったの」
委員長コンビのシスティアナとベルグレッテは、一冊の参考書を左右から覗き込みつつ意見を交わしている。ちなみに、前者の相棒の白いフクロウは不在らしい。
一方、全員が全員そうした良好な関係を築けている訳ではない。
エドヴィンとリウチは隣同士の席ながらまともに会話すら交わしている様子もないし、ミアとマリッセラはベルグレッテ大好きっ子同士でいつもいがみ合っている。
ついでにマリッセラといえば、未だに流護に対して敵意丸出しだ。……などと考えていると、まさにふと首を巡らせた彼女と視線がかち合った。
「ふんっ!」
そっぽを向く、という表現の見本にしたいほどの完璧さで、貴族少女は流護から盛大に顔を逸らしてしまう。
「あーらら。嫌われてますなー」
「うるせえ、何でちょっと楽しそうなんだよお前は」
隣で忍び笑いする彩花には、いつもながら苦言を呈しておく。
ともあれ皆はいつも通りの席に座って、いつものように講義の開始を待つ。
流護もすっかり定位置となった最後尾の席であくびを噛み殺していると、ナスタディオ学院長がやってきて登壇した。
居並ぶ生徒らをざっと見渡し、その視線を一身に浴びた彼女はというと、満面の笑顔とともに一言。
「と、いうワケで! 対抗戦をやるわよ!」
生徒たちが互いの顔を見合わせてざわつく。それはそうだろう。流護も、あまりの唐突さに意味が分からない。
皆のそうした反応も想定内なようで、気持ちは分かるとでも言いたげに頷いた学院長が続きを話す。
「早いもので、合同学習も延長しながら残りわずか。本来であれば交わることのなかった……しかし志を同じにする者たちが、一堂に会し学び切磋琢磨する……。そんな日々を過ごすうち、ふと思ったりした人もいるんじゃないかしら――?」
そんな前置きの後、学院長は言い放った。
『ミディール学院とリズインティ学院。競えば、勝るのはどちらなのか?』
「というワケで、ここで最後に腕試し! 両学院から代表五名ずつを選出して、模擬戦をやってみようじゃないかという企画です! 勝つのはどちらの学院なのか!? もちろん、これだけで両校に明確な優劣が付くワケではないので悪しからず。まぁいいのよ細かいコトは! ようは、最後の集大成となるお祭り的な催しでもやっちゃおうというコトで! どうかしら!?」
皆のざわめきが最高潮へと達する。
「オイオイオォイオイ対抗戦だってぇ!?」
「おぉー、いいじゃんか! 代表五人……! 選ぶとしたら、誰になる……!?」
火に油を注いだがごとし。両学院の生徒たちは、一瞬のうちに盛り上がって互いの顔を見合わせる。
片や、獅子の国と称されるレインディールに生きる勇猛で血気盛んな若者たち。
片や、拳闘や闘技場といった文化が根づくバルクフォルトにて生まれ育った若者たち。
総じて、こういうイベントが大好物なのである。
「いいねぇ! やろうやろう!」
「おうさ! 思ってたんだよね〜おれ。お前らはいい奴らだけど、やれば負けねぇぞって」
「おおっと言ったなこの野郎〜!」
敵意はない。あくまで余興と理解したうえで対抗心を燃やす。大半の生徒が加熱する中、やはりブレーキ役となるのはこの少女だった。
「ちょ、ちょっとみんな、落ち着きましょう!」
見かねて立ち上がった先頭の席のベルグレッテが、振り返って級友らを鎮めようと試みる。しかし、
「ベル! もちろんお前は五人の中の一人で確定だよなぁ〜!」
「いや、むしろ代表! 筆頭だろ! 頼んだぞ~!」
焼け石に水、とはまさにこのことか。彼女の言葉に従うどころか、拍手喝采で迎えて賑わいが大きくなるばかりだ。
「もうっ……、ちょっと、シスからもなにか言ってあげて」
と、困り果てた少女騎士はすぐ隣に座るもう一人の学級長に助けを求めた。
「……そうね」
西の委員長はというと、静かに立ち上がり。
お祭り騒ぎの皆に対してではなく、傍らのベルグレッテへと向かい合う。
「私は是非とも、あなたと勝負したいわ。ベル」
その発言は、宣告された少女騎士のみならず、リズインティの同胞たちにとっても意外なものであったらしい。
「お、おお……!? あの口うるさいシスが……?」
「やる気だ!」
「こっ、こうなりゃもう決まりじゃん! やるっきゃねぇ!」
瞬きを繰り返したベルグレッテが、当惑の眼差しでシスティアナを見つめ返す。
「え、……シス……?」
名を呼ばれた彼女はといえば、教壇に立つ学院長と、盛り上がる皆をわずかに見比べて。
「……実はこの対抗戦の話は、私が提案したことなの。私たちはそれぞれ、未来の詠術士を目指す者。共に学ぶのもいいけれど、本質は『そこ』のはずでしょ?」
即ち。より優れた詠術士となること。
何も、単純な強さの話だけではない。誰よりも豊富な知識を得たい。前例のない封術道具を作りたい。主によって与えられた神詠術という力を活かし、特別な存在となりたい。他の何者よりも。
流護も改めて納得する。
(まあ、確かにな。仲間だけど、競争相手でもあんだよな)
神詠術は神より授けられし恩恵。この上ない誇り。その能力をもって、誰より優れた使い手になりたい。
実際にできるか否かは別として、きっとそれはグリムクロウズに生きる全ての者が抱く願望だ。
「どうかしら。私と競ってはもらえないかしら、ベル」
少女騎士を見据えるその瞳には、確固たる意志が秘められているように感じる。システィアナもまた、誰よりも高みを目指す詠術士の一人ということなのだろう。
今や生徒たちの盛り上がりは最高潮だ。しかしそんな中で、彼女にやや意外そうな目を向ける者もいた。
「……システィアナ、貴女……」
それは驚きを露わにしたマリッセラであったり、
「…………シス……、お前さん……」
同じくリウチであったり。
各々が反応を示す中、皆の注目を浴びるベルグレッテが小さく息を吐いた。その言葉とともに。
「……分かったわ。そういうことなら、是非やりましょう」
拍手喝采。歓声や指笛が大広間に響き渡る。
「……ありがとう、ベル」
システィアナが差し出した右手を、ベルグレッテがしっかりと握り返す。そして、二人同時に微笑んで言葉を交わす。
「ふっふ。さて、やるからには負けないわよー!」
「ええ。こちらこそね!」
学院長がパンパンと手を叩き、皆の注目を集めた。
「よーっしそれじゃ決定! ってコトで軽く詳細だけど……対抗戦の日時は藍葉の月・十八日! 合同学習最終日よ! 両校はそれぞれ、試合までに代表五名を選出! 誰を出すかは、じっくり選考してもいいしぶっつけ本番で決めてもいいし、あんたらに任せる! そこも楽しんで! 対戦の組み合わせは当日、試合場に上がる時にそれぞれ決めてもらうわ! 場所は帝都中心部にあるローグロン闘技場を借りる予定で、試合形式は一戦につき制限時間十分! 時間内に決着がつかない場合は引き分けよ! 定められた舞台の上で競う形式で、そこから落っこちたら場外判定となってその場で負け! あと、相手の攻撃によって足の裏以外の部分を地面についた場合は『打倒』と見なされ、十秒以内に体勢を整えないとこれも負けとなります!」
生徒たちのどよめきが一層大きくなる。
「うおお、古代の伝統的な闘技場方式じゃんか!」
「最後の最後に、とんでもない催しだぁ!」
「盛り上がってきた!」
(おお。リングアウトあり、ダウンありの路線か。立ち技の試合みてーだな)
流護もふむふむと唸ってみたりする。
しかしここまで仔細に決めているあたり、完全に開催することありきで進められていたことは間違いない。何やら、システィアナが提案したらしいが……。
「ってーコトでお楽しみに! さーてこの話はおしまい! それじゃあ講義を始めるわよ~。身が入らないかもしんないけど、一応ちゃんと聞きなさ~い」
まあ、最後尾の席から見てる流護にも丸分かりだった。皆、もはや勉強どころではなくなるほど興奮していることは。
ひとまず最初の講義の時間が終わった。
「ようーっし! それじゃあベル、対抗戦が終わるまではお互い敵同士よ! いえ、もちろん味方だけど! こっちも誰が出るか考えておくから、そっちもお願いね!」
まくし立てたシスティアナが、一方的に言うなりダッと広間を飛び出してどこかへ走り去ってしまう。
その様子を眺めていたリウチはやれやれと言いたげに肩を竦め、
「…………」
同じく見守っていたマリッセラが立ち上がって静かに広間を出ていく。
「……シス……」
彼女が出ていった出入り口を見つめ、ベルグレッテは小さく呟いていた。
「しかし……対抗戦、ですか。それも、合同学習の最終日に。唐突な話でしたね、姉様」
自席を立ったクレアリアがやってきて、呆れ気味にそんな感想を零す。
「シス殿が言い出したというのは、やや腑に落ちないというか……意外に思える部分もありますが」
言いつつ、当人が消えていった広間の出入り口に視線を向ける。
「うーん! 負けないよね、ベルちゃん!」
一方、興奮状態でやってきたミアは鼻息をふんふんさせている。一見ゆるキャラな彼女にも、やはり勝負事に滾るレインディール民の血が流れているのだ。
「で、どーすんだ? ベル子。人選とか」
流護も寄っていって苦笑すると、少女騎士は同じような表情で応じた。
「あはは。どうしようかな……」
「なんか、出る人を五人決めてって言ってたよね……」
流護の後からやってきた彩花が呟くと、クレアリアが「そうですね」と息をついて続ける。
「やるからには負けるつもりはありません。まず姉様は確定として……僭越ながら私、そしてレノーレに……戦力という観点であれば、やはりダイゴスは外せないでしょう」
「いやダイゴス出していいんか?」
流護は思わず疑問を呈した。
確かにミディール学院生として在籍している彼だが、その真の姿はレフェ擁する『十三武家』の人間。学生どころか、戦士として一流の精鋭。詠術士の卵が競い合う模擬戦に出場させるなど、子供同士の勝負に大人を放り込むようなものだ。
しかし、クレアリアはしれっと言ってのける。
「ダイゴスだって、きちんとミディール学院に所属している一生徒じゃないですか。出場させていけないはずがないでしょう?」
「そら表面上だけ見りゃそうかもだけどさ。クレアさん怖いわぁ……」
もっともらしいことを言っているが、もちろん男嫌いの彼女がダイゴスを尊重して言っているはずもない。
とにかく彼が出るのであれば、少なくとも一勝はもはや確定事項となる。
当の巨漢のほうを窺ってみると、いつもの泰然自若とした佇まいで次の講義の準備を進めていた。そもそも、彼ばっかりは対抗戦でテンションが上がるような性格でもない。というより、出る気もないはずだ。
「ダイゴスについては、当人とも相談しましょう。リューゴの指摘するとおり、学院生の範疇で競わせるにはあまりにも実力が突出しているし……なにより、当人にその気がなければ無理に出てもらうわけにもいかないし」
ベルグレッテがそうまとめと、妹も特に食い下がることなく頷いた。
「分かりました。少なくとも、姉様、私、レノーレが出る時点で三勝は固いですし、となれば五戦中三勝で我々の勝利は決まっていますからね。無理強いはしません」
この自信である。
「とはいえ、勝てる戦いをむさむざ落とす理由もありません。……対抗戦となれば……非常に不本意ですが、エドヴィンも候補として考えねばならないでしょう」
嘘偽りなく心の底から残念そうなクレアリアが言うように、実戦に近い模擬戦となると、やはりミディール学院の『狂犬』は外せまい。元より彼の得意分野なうえ、このところ成長も著しい。はず、なのだが――
「うーん……でもエドヴィン、そんなに嬉しそうな感じしないんだよね……」
ここからやや離れた席。いつものようにふてぶてしくふんぞり返る彼に目を向けたミアが不思議そうに呟く。
「も、模擬戦かぁ……。ど、どうなるのかな……!」
「なーに、ウチらが負けるかってんだよ、なぁエドヴィン! 模擬戦で上位五人から選ぶとなりゃ、もちろんお前は確定だろ?」
「あー? どーだろな……」
自席でアルヴェリスタやステラリオと語らうエドヴィンだが、明らかに興奮気味な前者二人と比べて落ち着き払っている。
「はぁ!? 何を日和ってんだよ、まさか出ねぇ気か!?」
「別に出ねーとは言ってねーよ。必要がありゃ出るし、そーじゃねーなら出ねー。それだけのこったろ」
やけに冷静というか、達観しているようにすら思える大人びた雰囲気だ。以前の彼なら、こんな対抗戦が開かれるとなれば真っ先に名乗りを上げたろう。
(……やっぱエドヴィン、変わったよな)
かの雪国での一連の出来事は、悪童に心持ちの変化を齎すだけのものがあったのだ。
かくいう流護自身、強敵たちとの戦い……実質的な敗北を経て、真に最強を目指すとの決意が固まっている。
「うう……やっぱり最近のエドヴィンおかしいよ、ベルちゃん……」
犬猿の仲のハムスターことミアは心配しているようで辛辣だ。
「ま、まあまあ。エドヴィンが乗り気でないなら、やっぱり無理強いするわけにもいかないし……。とにかくまだ時間もあるし、出場者についてはこれからじっくり決めていきましょう」
苦笑したベルグレッテがそう言うに留める。そこで思い出したようにクレアリアが辺りへと視線を巡らせた。
「そういえばマリッセラ殿は? ……いませんね。あの方の扱いはどうなるのでしょう?」
確かに、この件に限らずあの貴族少女の扱いは例外的な部分が多い。
現在はリズインティ学院所属、しかし近々ミディール学院への帰還が決定している。
「やはり不本意ではありますが、あの方がどちらにつくかによって勝敗にも影響が出ますし」
「うーん。マリッセラは、ベルちゃんとの勝負にしか興味なさそう」
そんなクレアリアとミアの会話をよそに、ベルグレッテは誰もいない広間の出入り口をじっと見つめていた。
「どうかしたか? ベル子」
視線を追った流護が尋ねると、彼女はやや目を伏せがちにする。
「あ、うん。シスったら……どうして急に、対抗戦をやるなんて言い出したのかな、って思って……」
確かに唐突感はあった。しかも――
「……てかさ、なんか……シス、ベルグレッテと勝負したがってる風じゃなかった?」
彩花が遠慮がちに指摘すると、当人もそれとなく感じ取ってはいたらしい。
「……シス……」
少女騎士はやや悲しそうな面持ちでその名を呟く。
(うーん)
気の合う友人になれたと思っていた相手が、自分との果たし合いを望んでいる。複雑な思いを抱くのも致し方ないところか。
とはいえ流護自身、そんな反応を示しているベルグレッテにかつて決闘を挑まれた身だ。彼女だけではない。クレアリアにも、エドヴィンにも対決を申し込まれたことがある。
単純な怒りや憎しみからではない。それぞれ皆、自分なりの思いや理由があってのことだった。
最近になって、システィアナの中でベルグレッテに挑戦したくなる理由ができたのかもしれない。だが。
(シスなら自分で分かってるはずだ。ベル子には勝てないって……)
その戦力差を見誤るほど未熟な『西の委員長』ではない。
彼女は間違いなく将来有望な詠術士候補生であり、その実戦能力の高さは流護も先日の海の件で目の当たりにしている。
しかし、あくまで学院生としてのトップクラス。
今やカテゴリーBの怨魔すら単騎で退けるほどに成長し、戦士として手練の域に達しつつあるベルグレッテには確実に及ばない。
とはいえ、『絶対』などないのが実戦である。
(ワンチャン、シスのあの炎の弓なら……ってのはあるかもしれんけど)
逆に言うなれば、なぜシスティアナそんな一縷の望みに賭けてまでベルグレッテに挑みたいのか。
一人の詠術士として、純粋に力比べがしたいのか。それともやはり、何らかの理由があるのか。
実は内心でベルグレッテを快く思っておらず、打ち負かしたいと望んでいる――などという世知辛いセンはあまり考えたくないところだ。
(それになあ……)
これは対抗戦。他の四人の人選も気になる。クレアリアやレノーレに対し、リズインティ側で対抗できるだけの人材がいるかとなると難しいところだ。
いずれにしろ――
「まあ、とりあえず来週だな。まさかベル子、気乗りしないしシスの意図が分からんから負けとくとか言わねえよな?」
答えの分かりきった問いを投げると、やはり少女騎士ははっきりと首を横へ振った。
「まさか。わざと勝ちを譲るだなんて、それこそ彼女に対する侮辱よ。私なら大丈夫。やるからには勝って、それから理由を聞き出すわ」
やはり、精神的にも大きく成長している。
毅然とした少女騎士に、油断や迷いはないようだった。