655. 緊迫の海辺
残念ながら、と表現すべきか。遊撃兵の少年としてはもう『慣れて』しまっている。
突然聞こえた悲鳴に何事かと動揺するでもなく、流護は素早く状況を確認するため高台の鉄柵へ飛びついた。騎士見習いのクレアリアも同様に。
「……あそこか?」
「そのようです」
眼下に広がる、広大な砂浜。この位置からでは百メートル以上はあろうか。
海辺を歩いていたらしい平民たちが、クモの子を散らすみたいに四方へ駆けていく様子が遠目に映る。
そのうちの一人が砂に足を取られたか転倒し、じたばたともがく。腰を抜かしてしまったのか、その姿勢で背後を……海の側を気にしているように見える。
そして、この高台のすぐ下方。
今ほどまで波打ち際で戯れていたシスティアナ、リム、シロミエールの三人が、全速力で走って倒れ込んだ住民の下へと駆けていくところだった。助けに向かおうとしているのだ。
つまり、
「何かが襲ってきたのか?」
だが、下手人の姿が見えない。――否、
「……いや、何かいるな。こっからじゃ小さくてよく見えねえんだ。なんか飛び跳ねてんのがいる」
人同士の揉め事ではない。何らかの生き物が、人々に危害を加えようとしている。
そんな分析の間も惜しいとばかりに、クレアリアが「行きますよ」と右手を差し出してきた。
かつては手を握ることにも難色を示していた彼女のその行動に、確かな信頼を感じつつ。
「おう、頼む」
流護も躊躇なくその手を握り返すと、クレアリアが神詠術を発動。噴射力を利用して大ジャンプ、柵を飛び越して一気に空中へと浮遊する――のだが、
「くっ……おっ、重いんですがアリウミ殿!」
「そう言われても……いや、手離していいぞ。もう着地できる」
「分かりました。では」
存外あっさり繋がれていた手を解放され、流護は五メートルほどの高さを自由落下。幸い、地面は柔らかい砂地。着地と同時に転がりながら衝撃を緩和、そのまま勢いを利用して走り出す。
一拍遅れ白鳥さながらに舞い下りてきたクレアリアも、慣性のまま後を追ってくる。
「先に行っとくぜ」
流護はギアを上げて大地を蹴った。足下の細かな砂が爆裂したように散り荒ぶ。
「っ! けほ、けほ! もう!」
砂煙がクレアリアを襲ったのだろうが、抗議は後だ。何しろ人命がかかっている。
加速しづらい足場ではあったが、鍛え込んだ脚力であれば問題はない。速度を増した流護は、倒れ込んでいる人物を目指して一目散に砂浜を疾走する。
「っ!?」
「わ、ひーっ、な、なななんです!? 砂嵐!?」
「わっぷ!? え、アリウミ遊撃兵!?」
その中途で同じ場所へ向かっているリム、シロミエール、システィアナを瞬く間に追い抜いた流護は、倒れ込んでいる民の――中年男性の下へと一番乗りで到着した。
「大丈夫っすか! ……!」
そして、間近でようやく襲撃者の姿を目の当たりにする。
「ぐあああぁっ、ひいい、た、助けてくれぇっ」
発見してからたどりつくまでに状況が一変していた。
倒れて叫ぶ男性の右腕に、体長四十センチ以上もある大きなカエルが食らいついていた。
基本的な特徴こそ流護が知るカエルと大差ないものの、どちらかといえばその姿は爬虫類のそれに近しく、見るからに攻撃的だった。表皮はワニを思わせるいかにも硬そうな深緑の鱗で覆い尽くされ、硬そうな短い尻尾を残している。
大口からびっしりと生え揃う牙の羅列が、男性の腕に痛々しく食い込んでいた。顔の上部に飛び出る形で備わった小さな赤い瞳が、ギョロと流護を見据えてくる。
(こいつ、もしかして……さっきのリウチさんの話に出てたカエルの怨魔か……?)
怪物の牙が深く突き刺さっている以上、雑にぶっ飛ばす訳にもいかない。下手に衝撃を加えれば、噛まれたままの男性の腕が引き裂かれることになる。
(目ぇ狙うか)
眼窩に深く抉り込んで致命傷を与え、活動を停止させる。下手に傷を負わせれば、暴れて男性に響くだろう。その間すら与えず、迅速に仕留めるしかない。
即断し、右手の薬指と小指のみを折り畳む。人差し指と中指を突出させて身構える――その直後だった。
男性の腕を齧ったままこちらを睨んでいた怨魔が、唐突に両眼を閉じた。そのまま、糸が切れたようにカクンと力を失う。
「いっ、今です……!」
横合いから聞こえてきたのは、自信なさげで儚い女性の声。怨魔と対峙する現場にはあまりに不釣り合いなほど。
顔を向けると、追いついてきたシロミエールがこちらへ――正確には怨魔へ向かって手のひらをかざしていた。
「よくやったわ、シロ!」
同じくやってきたシスティアナが、そのままの勢いで迷わず男性へと駆け寄る。
「今、助けますから!」
彼女は動かなくなった怨魔の口元を躊躇なく両手で掴み、その顎を開かせようと試みた。
「う、ぐうううぁっ!」
「ごめんなさい、少し辛抱して! ……えい……やっ!」
「があぁっ!」
システィアナが怨魔の口腔をこじ開けたことで深く刺さっていた牙が全て抜け、男性は苦悶に身をよじる。だが、これで解放された。
その化け物ガエルはといえば、システィアナに放られるまま砂地でひっくり返っている。見るからに硬いと分かる背中側とは真逆、真っ白な腹部は鱗が一切なく柔らかそうだ。
どうして急に動かなくなったのか――
「眠らせたのよ。シロの術で」
流護の疑問を察したらしいシスティアナが答える。友人の功績を称えるように、誇らしそうに。
「眠らせた……って、そんなことできるのか」
RPGなどでは見かける睡眠系の魔法か。このグリムクロウズで目の当たりにしたのは初めてだ。
少年が感心する間にも、彼女は頷いて立ち上がる。
「例え怨魔といえど、眠っている相手を手にかけるのは気が進まないんだけど……そうも言ってられないわね」
呟いたシスティアナが、目を閉じて一呼吸。流護も最近は何となく分かるようになってきた。詠唱だ。彼女は、深呼吸とともに集中を高めるタイプらしい。
「――来たれ、燐焔宝弓!」
朗々と告げた彼女が左手を一振りすると、その細腕にまとわりつくように火炎の渦が現れた。それはうねるように躍動し姿を変え、明確な武器としての形状を象る。
「弓……?」
左手で身構えたそれに彼女が右手を添えると、その指に炎の矢が顕現した。
「――ふっ!」
鋭い呼気。狙いを定めたシスティアナが右手のひらを開くと同時、仰向けで眠っている怨魔の白い腹に緋色の焔尾が突き刺さった。
断末魔すら上げ損ねた巨大ガエルは衝撃のまま転がっていき、寄せてきたさざ波に突っ込んで飛沫を上げる。同時に、詠術士の射手が生み出していた炎の弓矢も虚空へと散逸していく。
「ふうっ!」
「へー、やるじゃん」
「ふっふ。お粗末さま!」
素直に称賛すると、リズインティの委員長はウインクして微笑んだ。
直接ぶつけあう近接武器はまだしも、元々飛び道具として扱うことも多い神詠術でわざわざ『弓矢』を生み出す意味はあるのか――と思ってしまいがちだが、実のところ効果は大きい。
神詠術とは、術者の思い描いたものを具現化し、目的を遂げるために躍動する力。
システィアナの場合は弓矢を夢想し、つがえた矢を発射するイメージを描くことで、より飛び道具としての精度を高めているのだろう。
「お見事です。あとは私たちが手当てをしましょう」
「はっ、はぁっ、はぁ……」
脅威が排除されると同時、普段通りクールなクレアリアと息を切らすリムが一緒にこの場へと到着した。
「? クレアさん、どうした。そんな砂まみれになって」
服から髪から、砂をまぶしたみたいになっていてちょっと面白い。砂遊びをしてはしゃいだ高級なネコのようだ。顔だけおすまししているのがポイント高い。
「誰のせいでこうなったのか説明が必要ですか?」
ネコはいたく不機嫌だった。
「あっ……いえ」
思い返してみれば流護がターボをかけた直後、後ろから彼女の悪態が聞こえていた。
「しかもそうまでして真っ先に駆けつけた割には、何もせず棒立ちなさっていたようですが?」
「いや……思ったよりガッツリ噛みついてたから、慎重にやらんきゃと思って……」
「ったく。リム殿、そちらへ」
やってきた少女二人は、座り込んで呻く男性の両脇に寄り添って屈む。クレアリアは自らの砂を落としつつ。
「しばしのご辛抱を。……ふむ、これはなかなか。リム殿、お願いします」
「は、はい」
指示を受けた小さな少女が男性の痛々しい傷口へ向かって子供のような手のひらをかざすと、暖色の光がボウと生まれた。
「ぐう……う、…………お、おお? 痛みが……なくなってきた……?」
男性が自らの身体を見下ろす間にも、彼の状態をてきぱきと確認したクレアリアが口を開く。
「右腕の裂傷……ですが、傷が深いためこの場での完全な治療は不可能です。ひとまず今は鎮痛と止血のみ処置しますので、効果が切れないうちに速やかに診療所へ向かってください。この場からでしたら幸い、上の通りの向こうに一軒あったはずですので」
「あ、ああ……分かったよ。本当に助かった……すごい神詠術の腕前だ。学生だよな? ありがとう、お嬢さん方」
その様子を遠巻きに見ながら、システィアナが感心したように腰へ手を当てた。
「おおーっ。クレア、さすが手際がいいわね。それにそっか、リムとは旧知の間柄だから、あの子の力も熟知してるわけね」
ちょうど疑問を抱いていた流護は、彼女へと顔を向ける。
「あのリムって子は何してんだ? 何か、あったかそうな光出してるけど」
「鎮痛よ。あの子の手にかかれば、骨折の痛みだってしばらくへっちゃらになるわ」
「ほー」
「そしてあの子がとみに優れているのは、その力を攻撃にもしっかり転化できることね。大したことないケガの痛みを増幅させたり。ああ見えて、攻守隙のない使い手なのよ」
「へー、なるほどなあ」
先のシロミエールの時と同様、自分のことみたいに嬉しそうに解説するシスティアナの解説を受け、流護は相槌を打った。搦め手を得意とする支援タイプ、それも万能型ということか。
一時的とはいえすっかり痛みが消えたのか、男性は何度も礼を言ってその場を去っていく。
「ふっふ、やったわね! 水竜のご加護に感謝を!」
システィアナが右拳をバッバッと前方に二度掲げると、「感謝を!」と復唱したシロミエールとリムがその動作を真似た。彼女らなりの勝利のポーズだろうか。
とくかくリズインティ女子らの三者三様の活躍により、遊撃兵の出る幕もなく場は収まった。さすがは西の名門と呼ばれる神詠術学院に在籍する未来の詠術士たち、といったところだ。
「……で、でも……どうして、ラムヒーがこの砂浜に……?」
勝利の余韻もそこそこ、おっかなびっくりの口調で疑問を呈したのは、恐々と周囲を見渡すシロミエールだった。
ラムヒーとは、やはり先ほどリウチから聞いた怨魔の名前に違いない。
「……魔除けの……すきまから、入ってきた……?」
リムが幼い声で推測を呟くも、システィアナが「いえ」と即答する。
「十年くらい前まではラント式の魔除けだったから怨魔が入ってくることもあったけど、今のプロス式に移行してからはなかったはずよ。少なくとも、ラムヒー程度であれば迷い込んでくるようなことは……」
魔除けの型や種類などよく分からない流護だが、少なくとも民が当たり前のように浜を散歩していた時点で、この怨魔襲来が稀な異常事態であることは理解できる――
思考に被せる形で、ゲッゲッと奇妙な合唱が木霊した。
「皆さん、あれを!」
同時、たまたま海の側を向いていたクレアリアがいち早く気付いて声を飛ばす。
「な……!?」
システィアナたちリズインティ女子陣は目を見開いて硬直した。
寄せては返す波に交じり、次々と海中から上陸してくる影。
今ほどの個体と同様、カエルに酷似した怨魔ことラムヒーが――四体。砂浜を這い、あるいは飛び跳ねながら、流護たちの下へと向かってくる。
「っ、どっ、どど、どうして、ラムヒーがこんなに……!?」
「シロ、驚くのは後! 今はやるしかないわ! リム、腹を括っていくわよ!」
「……で、でも、四ひきも……!」
迎撃の意思を見せるリズインティ女子たちだが、焦りは明らか。
無理もない話で、ラムヒーのカテゴリーはCに位置づけられていたはず。その数が四体となると、しっかり武装した一般兵が同数以上は欲しい相手となる。
だが。無論抜きん出た個人がいるのであれば、その限りではない。
ということで――
「いいよ、俺がやる。クレアさん、ベル子たちに向こうの状況確認頼む」
「承知しました。では、お任せします」
指をパキリと鳴らした流護が一歩進み出ると、クレアリアも何ら憂慮することなく頷く。一方で、システィアナが目を白黒させた。
「え!? で、でもアリウミ遊撃兵! ラムヒーとの交戦経験は……?」
「ないよ。つか、見たのも初めてだし」
「な、なら無手のあなたには相性の悪い相手だわ! 見ての通り、奴らの外皮は甲羅みたいに硬くて……! お腹は鱗がないから弱点だけど、近接戦闘で狙うのは難しいし……!」
「まあ任して」
問答する時間もなければ、実演したほうが早い。
砂浜を蹴った流護は、一足跳びで最寄りの一匹に肉薄。踏みつける要領で、右の足刀をカエルの背に叩き落した。
ごぉん、と破砕音。断末魔すら上げず砂浜に埋まり込んだラムヒーの背から、爆ぜ割れた鱗の破片が飛び散る。
呑気に敵方が一斉注目してくる間に、さらに一匹へ接近。サッカーボールキックで蹴り飛ばし、すぐ近くにいた個体へぶち当てた。仲間同士で激しく衝突した巨大ガエルらは、やはり砕けた鱗を撒き散らしながら思い思いの方向へと放物線を描く。
ここで最後の一匹がようやく攻撃行動に移り、地を蹴って飛びかかってくる。
砂地という足場の悪さをものともしない強靱な脚力を有しているようで、その速度は馬鹿にできない。闘いの心得がない一般人であれば、為す術なく直撃を受けるだろう。そのうえ強固な鱗に覆われた相手の硬度を考えたなら、この体当たりだけでも鉄アレイを投げつけられたに等しい衝撃を受けるはずだ。
しかし、流護はこういった近接戦闘こそが本分。
半身でその凶悪な放物線を躱しざま、移動先へ合わせて左膝を突き上げた。
着弾点は顎下。カウンターとなる形で迎撃された怨魔は、高々と四、五マイレほども宙へ打ち上げられる。澄んだ青空に緑の破片と赤黒い血糊をまぶしながら、寄せてきた波の合間へと沈んで水柱を作った。
「ほい。んなとこっすかね」
「……、…………う、うそ……」
時間にして十秒とかからぬ制圧劇を目の当たりにし、システィアナたちリズインティの面々は呆然と立ち尽くした。
「……、こ、ここ、こんなに簡単に、ラムヒーの群れを……!?」
「…………っ」
やや引き気味となっているシロミエールとリムの眼差しに若干の居心地悪さを覚えた流護は、何となくにこやかに親指を立ててみる。すると彼女らは、揃ってビクッと一歩後ずさってしまった。悲しき怪物になった気分である。
「いい、い、いえ! す、すーっ……すみません! すごいです! すごいです! あまりにもすごいので、つい……!」
「(こくこくこく)」
……逆に気を遣わせてしまった。
「はは……とんだ杞憂だったってわけね……」
「いやまあ、体術で飯食ってるからな」
苦笑するシスティアナには、流護も同じく苦笑で応じておく。神詠術の加護を受けて生きる彼女らが呆然となるのも無理はない。もう、誰かのこうした反応も慣れっこだ。
「…………ええ、ええ。……やはり。こちらでも計五匹を確認しました。市民が襲われていましたが、命に別状はありません。たった今、シス殿たちやアリウミ殿が全ての敵を沈黙させたところです。……はい、承知しました。では」
潮騒でベルグレッテの声は聞こえなかったが、会話から向こうの状況を察することはできた。通信を終えたクレアリアが皆へと身体を向ける。
「姉様たちは漁港にいるそうですが、やはりラムヒーが出現したと。数は三体、ケガ人もなく殲滅済み。ミアとアヤカ殿も一緒におり無事だそうです。すでに、最寄りの兵舎へ一報を入れたとのこと。じき兵士が到着するはずです。ところでダイゴスとエドヴィン、レノーレ、リウチ殿はあちらにもいないようですが」
「そうか。ま、ダイゴスたちなら大丈夫だろ。リウチさんは……」
流護としては彼の実力があまりよく分からない。言葉を切ってシスティアナを見ると、彼女は気にした風もなく首肯した。
「リウチなら大丈夫よ。あいつにかかれば、ラムヒー程度――」
ぐっ、と自信に満ちた笑顔で拳を掲げて。
「死に物狂いで逃げ回って、どうにか撒くと思うわ」
「いや逃げるんかい」
思わずツッコんでしまった。
「まあとにかく、あのカエルが他に何匹いるか分からんしなあ。兵士が来るまで、俺らで浜を見張ってた方がよさそうだな」
「ええ。街に侵入でもされては事ですしね」
この砂浜から続く緩やかな傾斜を上がれば、そこはもはや民家や店が連なる区画だ。近づけさせる訳にはいかない。生憎見通しはいいので、怨魔が坂を移動していればすぐ気付ける。少なくとも現時点で、そちら側に怪物たちが入り込んでいる気配はなさそうだ。
クレアリアと頷き合うと、システィアナが申し訳なさそうに手を合わせた。
「ありがとう! そうしてもらえると、とても助かるわ……。ごめんなさいね。せっかく海に羽を伸ばしに来たのに、こんなことになってしまって……」
「いえ。そこはむしろ、我々がいる時で僥倖だったかと。もし市民しか海辺にいないような状況でしたら、深刻な事態となっていたでしょうし」
これはクレアリアの言う通りだ。現在は当たり前に散歩できる安全な場所となっているはずの砂浜に、突如として現れた怨魔の群れ。非常事態の中でも、かなり重大な部類に入ることは確かだった。
「ええ、確かにそうね。恩に着るわ……。それじゃあ、このまま巡回しつつベルたちのいる漁港方面へと向かいましょう」
「んじゃ、そっちは任せた。俺は一人で逆側に行ってみる」
「危な……、って野暮だったわね。あの活躍を見せられたら」
「そっそ。任しといてくれ」
そうして二手に別れた流護と女子たちは、それぞれ海岸を歩き始めた。