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終天の異世界と拳撃の騎士  作者: ふるろうた
15. 皓然のフロウ・ライン
606/667

606. 朝帰り

「ここです」

「ふーん。これねぇ」


 背の高い樹木が並び立つ深い森林に囲まれた、山の麓。

 銀揃えの兵たちに案内されてやってきた彼女の前。硬い岩盤の一角に、ぽっかりと大きな黒い穴が口を開けていた。

 大の男でも悠々と通れそうな幅広の洞窟。目に眩しいほどの朝の光をもってしても、その奥は闇に包まれており窺えない。


「はっ。つい先日までは存在しなかったものです、ミードルイア様」

「まあ、なかったでしょ。今までにもあって気付かなかったなら、どいつもこいつも節穴ってことになるわねぇ」


 長く伸ばした金の髪をかき上げながら、女――ミードルイア・ジル・ヴァーレンウッドは感慨もなく言い放った。

 頭上に広がる草葉を縫って差し込んできた光が、ミードルイアの纏う青緑の小手に反射する。バルクフォルト帝国が誇る精鋭騎士団、『サーヴァイス』の証たるその色彩は、海際だけでなく山中においても溶け込んで違和感がなかった。


「……」


 朝露に濡れる周囲の景観を確認すると、洞窟の出入り口となる足場付近には岩石が積み重なり、数段高い足場となっている。


「元々これらの岩が塞いでたんでしょうね、この穴を」

「はっ。と、いうことは……」

「先日の地揺れよね、まず間違いなく」


 つい数日前、バルクフォルトでは大きな地揺れが発生した。深刻な被害が出るようなものではなかったが、近隣の町村では石壁が倒れるなど軽微な損害が報告されている。

 この洞穴も、まさにそれによって岩が崩れて現れたと推測するのが妥当だ。

 出入り口に立ってみるも、蝙蝠などの気配がしない。糞の類も落ちておらず、きれいなものだ。完全に塞がっていたため、この場所を利用していた生物がいないのだ。


「さて?」


 腰へ下げたカンテラに火を灯し奥に踏み入ってみると、外より数段冷たい空気がひんやりと一行を出迎える。

 足音の反響具合からして、そう広くない。足下は硬い岩盤が剥き出しとなっている。土や砂はほとんどなく、これでは仮に生物がいたとして足跡などは残らない。


「……あら」


 念のため警戒して進む――までもなく、すぐに行き止まりとなった。


「拍子抜け~」

「な、何もありませんね」

「本当にただの洞穴、といった感じでしょうか……」


 露骨にがっかりしたミードルイアの声とは対照的、随伴してきた兵士たちの言葉には安堵が見て取れる。

 分かれ道もなし。体毛や足跡など、生物の痕跡もなし。

 奥行きはせいぜい十マイレ前後か。幅も高さも三マイレほど。山の大きさを考えたなら、何の変哲もない窪みといった規模。


「何よ、つまらないわねぇ~……、……」

「ミ、ミードルイア様?」


 洞穴の最奥を注視したまま黙り込む女騎士を訝り、背後の兵士が名を呼ぶ。


「ねえ、あの蔦」

「はっ。蔦、ですか?」

「上からデロンと垂れ下がって、こう……まるで、囚人を拘束してた鎖みたいに見えない? いえ、それを言い出すと何だかこう、ホラ……この場そのものが、何者かを封じていた祭壇か祠のように見えてこない? そう、ここは恐るべき邪神が封印されていた忌まわしき禁足地――」

「お、おやめください」


 ミードルイアがカンテラを揺らめかせてあえて景観に陰影をつけると、兵士たちは渋い顔となった。


「まっ、何もないならヨシ! さ、出るわよ。他に、地揺れの影響で危ない穴が開いたりはしてないでしょうね?」

「は、今のところ特にそのような報告はなく……」


 兵士らの話を聞きながら、ミードルイアは一度だけ後ろを振り返った。

 おそらくは長い期間、外の世界とは完全に隔絶されていたこの場所。何ら痕跡がないのだから、『その可能性』は低い。むしろ皆無、馬鹿げている、と言ってもいい。


「あーっと。念のため、怨魔とかの動きに変化がないか見ておいてちょうだいね。しばらくの間は。地揺れの影響で、変な動きするかもしれないし。具体的にはほら、逆立ちとか」

「常時逆立ちをする怨魔はいますね……。ともあれ、……ミードルイア様がそう仰るならば」

「お? 何よ。どう考えてもそんな必要ないと思うけど、ミードルイア様が言うなら従わんわけにもいかねーしみたいな返事は?」

「い、いえ決してそのような……!」


 杞憂ならそれでいいのだ。

 昨今、各地で本来そこにいるはずのない怨魔が現れるなどの報告が相次いでいると聞く。

 ならば騎士の仕事は、現実を固めること。

 伝説に謳われるような悪夢が実際に起こることなどないのだ、と。






 流護たちがバルクフォルト帝国へ到着し、最初の夜が明けた。


 いよいよ春本番といった暖かさの中、ミディール学院の一行が宿泊するダルクウォートン砦を眩しい朝の光が包み込んでいる。ちなみにこの地方、日付が変わって三時間も経てば早くも結構な明るさとなる。季節柄もあるそうだが、レインディールでは考えられないほど闇夜の時間が短かった。


 して、本日は休み。

 各自、一日かけて長旅の疲れを癒やしつつ、明日から始まるリズインティ学院との合同学習に備えるのだ。


 場所は砦一階の大広間。時刻は朝の八時を少し回ったところ。

 部屋の中央ではバイキング形式の朝食が用意されており、起き抜けてきた生徒たちが思い思いに手を伸ばしている。

 昨晩の帰りが若干遅めだったうえ、初めての砦での一泊。加えて慣れない白夜。朝から食欲旺盛な者はほとんどいないようだ。


「う〜ん、あんまりお腹すいてないよ……」


 隅っこの席に座るミアも例に漏れない一人のようで、もらってきた小さなヨーグルトをちびちびと口へ運んでいる。


「だよね。やっぱり、流護がおかしいんだよね」


 同じくヨーグルトをつつく彩花が、向かい席からジトリと睨んでくるのだ。少年の眼前に積まれた十数枚の皿越しに。


「失敬な。俺は早く起きて朝練こなしてんだよ。そら腹も減るわ」


 旅先だろうと、有海流護の日課は変わらない。この異世界においては少しサボるだけで、その隙を突いたかのように膂力が減衰していく。


「ついさっきまで寝コケてたお前と一緒にしてもらっちゃ困る」

「うう、耳が痛いよ……」

「ああいや、ミアはいいんだぞ。ほら、寝る子は育つって言うし……」

「む! 子供扱いしてるー……!」

「い、いや違うって。そういう訳じゃなくてだな……」

「ったく、流護はミアちゃんに弱すぎー」

「彩花さんにだけは言われたくないんよ」


 溜息をつきつつ、流護は広間をぐるりと見渡した。

 朝食の時間に賑わう――というほどではなく、生徒の数はあまり多くない。まだ眠っている者も少なくないのだろう。

 ちなみに、つい先刻までこの場にはレノーレがいた。

 一足先に起きて朝食をとっていたという彼女だが、食後の散歩へ行くとのことで流護たちと入れ違いで出ていってしまったのだ。

 そして――


「……まだ起きてねえんかな、あの二人」


 ……いつも朝が早いベルグレッテやクレアリアも、まだこの場に姿を現してはいない。


「見てないねー」


 本来であれば同室のメンバーである彩花が、あっけらかんと答える。

 宿泊する部屋の室長として鍵を預かることになったベルグレッテだが、いきなり初日の夜に帰りが遅くなることが確定してしまった。そのため、同室のマデリーナが鍵を預かることになったのだという。

 そしてガーティルード姉妹は帰りの時間がどうなるか分からない状態だったため、戻ってきても施錠されている自室には戻らず客室に泊まる予定となっていた。


「……実はまだ、帰ってきてなかったりして」


 小さく発せられた彩花の呟きを耳にして、流護は過剰なほどビクンと反応した。


「そ、そんな訳ねえだろ。ああ、あ、あのベル子さんが朝帰りなぞ……」

「今夜は、帰したく(イケボ)」

「そのネタはもうええわい!」

「あ。そうだ二人ともー。夕べも気になってたんだけど」


 と、そこでミアが思い出したように目を輝かせる。話を変えてくれるのは実にありがたい。


「ん? 何だ、どうしたミア」

「エヌテイーアール、ってなんなのー?」


 愛娘よ。

 なぜ、よりにもよって今このタイミングで。


「……言い出したの彩花だろ。もう説明してやれよ、オラ」

「え!? いや……」


 やけくそ気味に振ってやると一転、気まずそうに口ごもる幼なじみ。あれだけ煽ってきたくせにこれである。

 などとやっていると、新たに広間へ入ってくる影がふたつ。


「あ! ベルちゃん! クレアちゃん!」


 ミアが声を弾ませる。目をやれば、ガーティルード姉妹が揃って姿を現したところだった。ホッとする流護の横から、


「ちっ」

「今、舌打ちしなかったか彩花さん」

「気のせい気のせい」


 本当に何という幼なじみだろう。


「あら、おはよう三人とも」

「朝からお揃いのようで。おはようございます」


 と、こちらの姿を認めた彼女らがやってくる。心なしか、普段に比べると両者とも眠たげだ。


「ところでリューゴ、昨晩は大丈夫だった? ケガのほうは……?」

「あ、ああ。いや、俺は何ともねえよ。ほんと滑ってコケただけだから」

「そう……、ならいいんだけど……」


 そしてベルグレッテのこの心配げな様子。やはり聖母なのである。朝帰りだとかエヌティーアールだとか、そんな馬鹿げたことあろうはずがない。


「二人とも、夕べはいつ帰ってきたのー?」


 屈託のないミアの質問に対し、珍しくまぶたの重そうなクレアリアが口を開く。


「私は……二時前……ぐらいだったでしょうか。そこから就寝の準備をして……という感じでしたので、床についたのは三時頃でしょうかね。もう外が明るくなりかけていたので、あまり寝た気がしませんよ」


 そして、皆の注目はベルグレッテへ。

 本当に貴重というべきか、普段から活力に満ちている少女騎士らしからぬ眠気が垣間見える。


「……私は……戻ってきた頃、もう外は完全に明るくなっていたわね……」

「!?」

「五時前……ぐらいだったのかしら」


 そこで水を得た魚のような勢いを獲得するのは、悪趣味な幼なじみの少女である。


「え、もう朝帰りじゃん!?」

「朝帰り……、って……人聞きが悪いわね……。でも、時間的なことを言うと……否定はできないけれど……」


 否定できない!?

 がん、と頭を殴られたような衝撃が流護の脳を襲う。


「今日ばかりは……あとで、少しお昼寝をしておこうかしら……」


 ふわ、とあくびを噛み殺す仕草は実に珍しい。

 が、思春期少年の情緒はそれどころではない。


「ベベ、ベル子さん。レ、レヴィンのメシに付き合ってきただけだろ? 何でそんな遅くなったんだよ」

「……それが……」


 むー、と口元を引き結んで、なぜか意味深な瞳を向けてくる。


「…………うーん……」


 具体的なことはまるで話さずに。


「オイオイオイオイ。オイオイオイオイじゃない、これ……!?」

「うるせえ彩花、黙ってろ……!」


 少年としてはもはや気が気ではない。


「……実を言うと……レヴィン殿が、なかなかその……帰してくださらなくて」

「――――――」


 流護の脳が壊れる音がした。


「……、ベ、ベルグレッテ……あ、あんた……」


 ここまでくると、からかい勢だったはずの彩花すらちょっと引き気味だ。「まさか本当に」、と言いたげな顔をしている。


「ベ、ベルちゃん! どういうことなの!」


 ミアも不穏な空気を感じたか、眉を吊り上げお怒りモードに近しい。


「……え? 私、変なこと言った……?」


 何というか、当の少女騎士はぼけっとしている。ベルグレッテらしくない。口調が緩慢というか、頭が働いていないような。


(それだけ疲れてる、ってことか……!?)


 なぜ疲れる必要があるんですか。ちょっと飯屋に同席しに行っただけのはずなのに。


「ちょ、ちょっと待ったベルグレッテ。……昨日の夜、何かあったの?」

「んー……」


 おっかなびっくりでありながら核心を突く彩花の質問に対して、少女騎士は歯切れ悪く眉を寄せるのみ。


「色々あったというか……なんというか……まさか、あんなことになる、なんて……」


 あんなことって何ですか。

 自らの脳細胞が死んでいく音を聞きながら、流護は遠のきかける自らの意識を必死で繋ぎ止めた。


「……そうね。やっぱり、リューゴには……しっかり話を聞いてもらわないと……」


 と、どこか覚悟を決めたような瞳でベルグレッテが見据えてくる。


「な、何だよベル子さん……そんな、改まったみたいな……」

「ええと、リューゴ。実は……夕べの、ことなんだけど……」


 とても言いづらそうに。


「ちょっ、ちょっと待ったぁ!」


 彩花が慌てたように割って入る。


「も、もういいんじゃない? 流護もほら、つらい真実を無理して聞くことないって。私の女の勘が言ってる。ここから先は、知らなくていいことだって」

「? いえ、話すわよ。このことは、リューゴにはいずれ聞いてもらわなければいけないことだと思うし……」

「えぇ本人に!? 面と向かって言うの!? きき、聞かせプレイ!? ビデオレターもびっくりじゃん! 真面目な子ほど一旦堕ちるとどこまでも、とか薄い本では見るけど……! うわーベルグレッテもそうだったんだ! だめ、流護が拗らせちゃう!」

「アヤカの言ってることがよく分からないんだけど……まあいいわ。実は、夕べ――」






「ずっと……ずっと気になっていました。申すべきか、胸の内に秘めておくべきか……迷いに迷っておりましたが……僕は……、もう自分を抑えることができそうにありませんっ」

「レ、レヴィン殿?」

「――ベルグレッテ殿。僕は……!」


 半ば席から腰すら浮かした青年騎士が、意を決した風に発する。



「僕は、知りたいのです! リューゴ・アリウミ遊撃兵について、もっと詳しく教えてくださりませんか!」



 かつてない熱量。予想だにしない要求だった。


「……は、はい?」


 思わず目が点となった少女騎士に畳みかける勢いで、


「彼とのあの一戦! ベルグレッテ殿もご覧になってくださいましたか」

「え、ええ」


 おそらくは誰も……神ですら予想し得なかったのではないかと思われる、ヒュージコングが残していったバナナの皮による結末。


「僕には……見えませんでした」

「え?」

「彼の踏み込んだ瞬間が。彼は……気付けば、僕の前で大の字になって横たわっていたのです」

「……、」


 確かに思い返してみれば、だ。

 あの時のレヴィンは、ひどく驚いた面持ちで流護を見下ろしていた。


「それに、あの瞬間! まさに、僕が一手仕掛けようとしていた矢先の出来事でした。まるで、僕が攻撃に移ろうとしたことを予見していたかのように……! もし仮に、彼が転倒することなく仕掛けてきていたなら……その瞬間を見逃した僕に、果たしてどういった攻撃が降りかかっていたのか……」


 机上で手と拳を組み合わせたレヴィンの声は、今までにない熱を帯びていた。


「……初めてですよ。自分自身でも、分かりません。この感情が何なのか。恐怖なのか、それとも……」


 ふうと息をついた彼は、平静を取り戻すように首を振って。しかし、自分の時間に熱中する少年さながらに瞳を輝かせて。


「お願いします、ベルグレッテ殿。彼について、より詳しく聞かせていただけませんか……! でなければ僕は今夜、とても眠れそうにありません……!」






「……で、帰りが朝になったの?」


 呆とした彩花に問われ、ベルグレッテは無言でコクリと頷いた。


「どれぐらいの時間話してたの……?」

「リューゴのあらゆることについて聞かれたから……何時間だったかしら。本当に長くなってしまったわ……」

「……だってさ。流護」


 自身も意外そうに言って目を向けてくる幼なじみだが、当の少年としては「はあ……」としか述べようがなかった。


「…………うーん、そっちだったかぁ……。……レヴィ×流かぁ……」

「彩花さん。お前今、とんでもない掛け算しませんでしたか」

「気のせい、気のせい」


 幼なじみですらその対象とする。恐るべき業である。

 そんな傍ら、持ってきたコーヒーをすするクレアリアが意外そうに唸った。


「レヴィン殿らしからぬ情熱ですよね」

「ええ、そうよね……」


 当の英雄殿と浅からぬ付き合いのあるガーティルード姉妹にとっても慮外のことだったようだ。が、


「……でも、無理はないのかもしれないわね」


 天井を仰ぎながら、少女騎士は思いを口にする。


「レヴィン殿は、名実ともにこのバルクフォルト帝国の頂点と呼べる騎士。並び立つ者がいないゆえ、その価値観をともにできるかたもいなかったでしょうし……」

「光栄なことではありませんか、アリウミ殿。天下のレヴィン殿にそのような特別な興味を持っていただけて」

「へ、冗談だろ」


 クレアリアの軽口に即答した流護は、背もたれに身を預けて笑ってやる。


「俺の踏み込みが見えてなかっただぁ? バナナの皮が転がっててよかったな。危うく大陸一有名な騎士サマをワンパンで沈めちまうとこだったぜ」

「すぐ調子に乗るんですから。会話を盛り上げるための方便では? アリウミ殿も、そういった謙虚な物言いを覚えてみてはいかがですか」

「俺はそーゆーキャラじゃねえし」


 自分でも大人げないと思う少年だが、ついそんな言葉が口を突いて出る。


「なんでまだ対抗心バチバチなの? 誤解だったんだし、いい人そうじゃん」

「うるへえ。イケメンは敵なんだよ」


 苦笑する彩花も突っぱねる。確かにベルグレッテとの夜が誤解だった以上敵視する必要もないのだが、何となしの流れである。


「ねえねえリューゴくん。イケメンってなにー?」


 そんな中、ミアさんは色々と知りたい年頃であるらしい。

 先の『不穏なみっつの頭文字』はともかく、これぐらいなら答えてもいいだろう。


「えーとな……イケメンってのは、色々といけ好かない奴のことだぞ」

「そうなんだ!」


 彩花が何か言いたそうなジト目を送ってきているが、そこはあえて気にしない。


「うーん……じゃあ、エドヴィンはイケメンだね!」

「うん。ミア、嘘ついてすまんかった」


 ――そんなこんなで、各自思い思いの一日を過ごす。

 当面の拠点となるこの砦を把握するべく散策する者、明日から始まる合同学習の準備をする者と様々。


 流護はといえば、丸一日かけてトレーニング器具作りに勤しんだ。

 余った木材や廃棄予定の車輪をもらってバーベルを作ったり、砂を詰めた麻袋を裏手の頑丈そうな木枝に吊り下げたり。


 そうして、二週間に及ぶミディール学院とリズインティ学院の交流が本格的に幕を開ける。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今の流護の身体能力で筋トレする場合どれくらいの重さが必要なんでしょうか
[一言] エ、エドヴィンはほら、内面に関しては漢気あってイケメンと言えなくもないから……
[一言] 笑笑笑笑わらわらわら www www
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