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終天の異世界と拳撃の騎士  作者: ふるろうた
12. アザー・オース
421/667

421. 垣間見えた未来

 それは死の舞踏だった。


 粉雪散らし、雪上を華麗に翻るはメルティナ・スノウ。その姿はまるで、儚くも美しい白き蝶。

 しかし――華奢なはずの手足、その先端から撃ち出される白氷の弾丸は、ただただ凶悪の一言に尽きる。優雅なだけの蝶が持っているはずのない、鋭利な針。


「……ッ!」


 チュイン、ギュインと物騒な風切り音を発するそれらは、身を捻った流護の人体急所をギリギリのところでかすめ飛んでいく。


(クソ速ぇ……!)


 回避は、全てが辛うじての紙一重。枷を外した有海流護であっても、どうにか躱すだけで精一杯。

 それでいて、


「シッ……!」


 どうにか間隙を縫って拳の間合いへと持ち込むべく踏み込めば、


「させないよ、っと」


 トンと優しく軽やかに地を踏んだメルティナの足元から、穂先をギザギザに尖らせた氷の剣山が花開くように飛び出す。


「く、お!」


 危うく串刺しになるところ、流護は間一髪で飛び退くことに成功した。同時、その水晶じみた氷塊は役目を終えたように霧散していく。


「ふむー、今のも避けるんだ。やるじゃないか」

「へっ、ヨユーだっての」


 キラキラと細かな氷粒が舞う中、いたずらっぽく微笑むメルティナに対し、流護も軽口を返してみせた。

 ――そうして、幾度目かの睨み合いへと移行する。


(くっそ、やべえな……)


 内心の焦りを押し殺しながら、流護は息を整えた。


(いつまでも避けきれるモンじゃねえ……。このままじゃ、いつか直撃もらっちまう)


 その麗しい見た目や優雅な所作とは裏腹。繰り出される多彩な攻撃術の数々は、遠近ともに隙がなく強力無比。また、術者当人にも油断はない。


(少なくとも、こんな格好じゃ……)


 今の流護はモコモコの防寒着姿。言ってしまえば、ケンカをするような服装ではない。

 ここまでの対峙で、枷を外しただけではまだ不足と判断した。かといってこの極寒の中、『動きやすい服装』など望めるものでもない。

 雪国という環境、冬という季節そのものまでもが、メルティナに味方しているといえる。まさしく氷の精霊か何かのようだ。


 流護は相手の姿を見据えながら、今後の立ち回りについて模索する。

 雪の妖精とも呼べそうなメルティナの顔には、戦闘という修羅場にそぐわぬ微笑み。


「ふむー、次はどう攻めようかな?」


 その表情は何ともご機嫌で、無邪気に遊ぶ子供のようだ。

 それも、あながち間違いではない。


 メルティナは、明らかに楽しんでいる。

 自分と同じく人体急所に精通し、『無刻ノルンツァイト』の二つ名に抗うがごとく粘り続ける流護との戦闘を、純粋に楽しんでいる。


(厄介な姉ちゃんだぜ、まじで……)


 あの手この手、試行錯誤するかのように様々な角度や位置取りから仕掛けてくる彼女だが、闘い始めた当初から変化している点がひとつ。


(目に見えて手数が減った……んだ、けど)


 しかしそれは、彼女が疲弊したからではない。


「はっ」


 短い呼気。羽根でも生えているのかと思うほどの軽やかな腕の動き。そんなメルティナの指先から放たれるは、決して弾切れを起こすことのない銃撃。


「…………、ッ!」


 ボヒュン、と耳元の大気が裂ける。流護の顔、すぐ脇を横切る氷弾。後ろの壁から聞こえてくる破砕音。衝撃で壊れているのだろう、初期のような跳弾となって返ってくることこそなくなったが――


(ま、だ……速くなんのかよ……)


 さらに一段階。

 流護の頬を、一筋の赤雫が伝う。追撃は――なし。氷雪の『ペンタ』は人差し指を構えたまま、こちらの動向を窺っている。


「もう少し、かな?」


 いたずらっぽさすら感じさせる彼女のジト目と言葉で、流護は確信した。


(手数が減った代わりに、一発の速度と威力が上がってきてやがる……)


 メルティナは、少しずつ攻撃術の性能を吊り上げている。

 最初から一気に全開で来ない理由も、ここまで対峙してきた今ならば察しがついた。

 神詠術オラクルの範囲や連射性能に対し、威力が反比例するのだ。

 逃げ場もないほどの氷弾の嵐は一発一発が弱く、当てやすいが破壊力に乏しい(とはいえ、兵団すら容易く壊滅させるのだが)。

 一方で殺傷能力の高い射撃は、文字通りの一撃必殺ながらも連発することができず隙も大きい。当たって仕留められればいいが、もし外せば自分が一気に窮地へ陥る。


 ゆえに、メルティナは見極めようとしている。

 自らは隙を晒さず、それでいて確実にりゅうごを仕留められる『安定の一撃』。そこへ至るため、術の強弱を細かに調整している。

 ……このままいけば、いずれ遠からずその瞬間は訪れるだろう。


(状況は一見五分っぽいけど、俺のが圧倒的不利……。『ペンタ』の癖に油断も隙もねえ、この詰め将棋……。どっかの赤髪ホスト野郎思い出すんで勘弁してくれませんかね)


 泣き言を押し殺しながら、流護は頬に刻まれた傷を手の甲で拭う。……つもりが、硬く突っ張る感触。血はすでに薄く凍りついていた。


「初めてだよ。うん、初めて」


 満ち足りた笑みを崩さないメルティナが、たまらないとばかりにそう零す。


「あ? 何が?」


 構えたままの流護が応じれば、白き『ペンタ』は抑え切れないように目を輝かせた。


「生まれて初めて、人と闘うことが楽しいーって思ってさ。君はあとどれぐらいで当たるんだろう? 面倒くさいことしないで全力で撃っちゃおうか? でもそれで外したらこっちが危なそうだ。それでも並の相手ならどうとでもなるけど、君相手にその隙は致命的。上位怨魔相手ならまだしも、一個人と闘うのにこんなにあれこれ頭を使ったことってなかったから。トラディエーラみたいで楽しいな、なんて思ってね」

「そいつはどーも……」


 彼女なりの賛辞らしきものに苦笑いを返すと、


「でも……残念だけど、いつまでも遊んではいられない」


 これまでになくメルティナの顔が引き締まった。笑みは消え、白銀の双眸が冷たく窄まる。流護も浅く息を吐き、集中を高める。

 互いの距離、目測で六メートルほど。


(……そろそろだ)


 避け切れず射抜かれるか。避けてねじ伏せるか。

 いずれかの瞬間が、すぐそこまで迫っている。

 両腕を下げて前傾に構える流護に対し、音もなく人差し指を向けるメルティナ。


「……」


 静かに佇む純白の『ペンタ』、そのか細い指先を注視する。一瞬たりとも挙動を見逃さぬように。

 そこから放たれる一閃は、もはや完全なる銃撃の域に届こうとしている。加えて、弾切れや暴発といった火器特有の問題とは無縁なのだから、その驚異のほどは論ずるまでもない。

 ハンドショットが出回るようになり危険視される昨今、目前の麗女は生まれながらにしてそれ以上の武器を所持していた。

 魔法の弾丸を自在に操る、白銀の狙撃主。

 どこぞの炎使いとは属性も性格も戦法も異なるが、圧倒的な力量という点においては共通している。流護は改めて『ペンタ』の恐ろしさを噛み締めた。


 動かぬ両者。

 強く空き地を吹き抜ける、一陣の風。

 それに煽られたか、脇の木から落ちた雪がドサリと重い音を響かせる。


 ――先制はメルティナ。

 落下音と舞った粉雪に紛れ、指先から氷の弾丸を発射する。より速度を増したそれは、半身に翻った流護の鼻先を通過。完全回避はやはり叶わず、鼻孔から血飛沫が舞う。

 しかし想定内。流護は怯まず全力で地を蹴り肉薄。およそ六メートルの距離が瞬く間に縮まるも、メルティナの足元から突き上がった氷の剣山が接近を阻む。

 これを読んでいた流護は足を捌いて円を描くように回避、メルティナの側面に回り込んだ。

 そして横合いから、彼女の顎元へと右拳を一閃。

 もはや流護の立ち回りに遠慮の二文字はなかった。ステップインからの右。零距離の間合い、屈強な男でも凌げぬ必倒の流れへと入っている。


「――――」


 しかし。

 読んでいた、はお互い様だったのだろう。


 目と鼻の先。互い、少し手を伸ばせば触れられる密着の距離。

 潰されていなければ、流護の鼻は眼前でたなびくメルティナの白髪から甘い芳香を感じていたに違いない。


 そんな彼女の美しい髪筋の合間、その向こう側に。

 流護の眉間へと向けられた、狙撃主の白い眼光と指先があった。






 全力の有海流護、踏み込みからの右正拳。

 現代日本のみならず、この異世界でも勝利の礎となっている流れ。

 熟練した空手家のそれは常人に反応できるものでは決してなく、地球人に比して身体能力に劣るグリムクロウズの者なら尚更である。

 しかし、


(マジ、か……!)


 メルティナは確かに反応していた。

 ディノのような身体強化による目視ではない。相手がその位置に踏み込んでくると、あらかじめ予測していた。流護が攻撃の動作に入る頃には、すでに銃口が向けられていた。未来を読んでいるがごとき対応。


 それは経験だ。

 十代前半という多感な時期に参加した内戦。一万を超える叛徒との戦いに明け暮れた日々。現代日本で生まれ育った流護には及びもつかない苛烈な過去……。


 その経験が、彼女を人間狩り(マンハント)の専門家たらしめている。


 人体急所に通じているどころではない。敵対するうえでの『人間』という生物を、この上なく知り尽くしている。流護がどう動き、どう立ち回ってくるか。空手という技術を知らぬ身でありながら、彼女はこれを完全に予測したのだ。



 間近で突きつけられたメルティナの銃口ゆびさきは、有海流護という人間が読み切られたことを示していた。



(ま、ず……!)


 もらう。カウンターとなる形で、至近からの銃撃。

 脳が死を意識したか、やけにゆっくりと思考が流れゆく――。


(――ダメだ、止まれ……ねえ……ッ!)


 勢いに乗って撃ち出した右拳は、もはや振り抜く以外にない。

 速度にはそれなりの自負を抱く流護だったが、銃弾と比較してどちらが上かとなると、さすがに答えは見えていた。


(なら……! やるしかねええぇっ……!)


 来ると分かっている一撃なら耐えられる。

 銃を相手に? 無謀だ。そうと分かっていても、突き抜ける。

 覚悟を決めた『拳撃ラッケルス』は、微塵も退くことなく右正拳を打ち放った。






 速い敵、強い敵、一筋縄ではいかない曲者。いずれも、腐るほど相手にしてきた。

 今回、人間としてはあまりに規格外な身体能力を誇る相手だが、それならいっそ怪物と思えばいい。怨魔の能力を宿した人の子、とでも定義すべきか。

 レノーレから聞き及んだその類を見ない異常性も気になるところではあったが、ともあれそう仮定して対応すれば、問題なく凌げる――はずだった。


(読み通り。私のほうが速い、このまま撃ち抜ける。これでおしまい――なん、だけど……)


 一瞬で目の前に踏み入ってきた有海流護の眉間に指先を伸ばしながら、メルティナはこれまでにない感覚を味わっていた。

 なぜか、時間がやたらと緩慢に流れていく。


(うわ……すっごいな)


 刹那の間、呑気にもそんな感慨を抱く。


 過去の誰よりも速く、今までの何者よりも力強い。

 精密な照準で自分の顎先へと迫ってくる右拳。次第に近づいてくるそれの、何と雄々しく猛々しいことか。いかに男性の手とはいえ、こうまで節くれだった厳つい拳骨は見たことがない。

 ただの握り拳などではない。それは、極限まで鍛え上げられた明確な武器だった。


(これ、こんな……もし、当たったら……)


 戦時中、話に聞いたことがある。

 人は死の危機に直面したとき、時間を遅く感じることがあるという。

 つまり今のメルティナ・スノウが、


(私が? これが? まさか――)


 生まれて初めて。

 あの終わりの見えぬ戦いの日々ですら感じたことのなかった、それを――――死を、意識している。


(……馬鹿馬鹿しい。問題ないよ、私のほうが速いんだ)


 数瞬先、覆らない未来がある。

 それは――確実に、メルティナが先んじるということ。相手より早く、必倒の一撃を叩き込めるという事実。


(私のほうが速く届く……け、ど)


 先に当てたとして、この拳は止まるだろうか?

 否。強靭な足腰を土台として放たれた大砲のごときこれは、本人を射抜いたとしても、もはや勢いのままに振るわれるに違いない。


 その証拠に。

 至近へ迫った少年の黒い瞳は、燃えるような不退転の決意を……覚悟を、漲らせていた。






 どちらかが上を行き、どちらかが後れを取る。いや、己こそが先んじる。

 そうして凌ぎ合った果ての決着に、もうひとつの可能性が浮上する。


 無敗、最強と呼ばれ続けたメルティナ・スノウの脳裏に――勝利しかなかった栄光の道に、その未来が割って入る。


 すなわち。

 相打ちによる『共倒れ』――という、勝者不在の結末。


 そして、最悪。

 もし、これから放つ一撃で相手を仕留められなかったら。絶対にありえないことだが、仮に彼が耐え切ったのなら。


 敗――――






 流護のこめかみ、すぐ脇を抉りながら通過する氷弾。

 メルティナの顎、先端をかすかに擦っていく剛拳。


 身をよじる純白の『ペンタ』、その巧みな体捌きによって、必倒の一撃はそれぞれにすんでのところで逸れていった。


「ぐ……!」


 顔の側面に痛みすら通り越す灼熱を味わった流護が盛大によろけ、


「っとと……!」


 顎に風圧を受けたメルティナが、華麗に身を翻しながらもたまらず手と膝を地面につく。


「……! 相打ちは嫌いかよ……!?」

「君と心中する気はないからね……!」


 互い、首の皮一枚繋がったと瞬間的に安堵しつつ。全く同時に相手を睨み据え、全く同時に次なる攻撃へ移ろうと身構えた直後だった。


「きゃあああぁ! 誰か、誰か!」

「うおお、何事だ!?」


 割って入ったのは、沸き起こる複数の悲鳴。

 流護とメルティナは思わずピタリと静止し、互いに顔を見合わせた後、声の出所へと目を向ける。


「何だ……?」


 二人の視線の先が一致する。それは細い路地の向こう、つまり大通りから聞こえてきた。流護たちの戦闘とはまるで無関係のようだ。


「あーごめんお兄さん、ちょっといったん休止でいいかな。なんだか、表が騒がしい」


 雑談を切り上げるような気軽さのメルティナが、返事も待たずに細道へと消えていく。


「は? え? ちょっ……」


 たった今しがたの緊迫した凌ぎ合いが嘘のよう。

 彼女の早すぎる切り替えに戸惑う流護だったが、ここに一人残されても仕方がない。やむなく後を追う。


(? 何の騒ぎだ……?)


 確かに、向こう側からざわめきが漏れ聞こえている。先へ進むごとにそれらは少しずつ大きくなっていき、そして――


「…………な」


 メルティナの背を追って表通りに出た流護は、その光景に目を奪われた。

 聖礼式パレッツァの帰りがけ、未だ道に溢れる人の波。群衆たちは例外なく足を止め、揃ってその方角を見つめていた。


 ここよりわずか遠方、粉雪に煙る荘厳な美術館。

 その上層部分を包んで躍り狂う、紫色の炎――。


「おいおい、火事だ火事ィ! あれ火だろ!? すごい勢いで燃えてるぞ!」

「いや、あの色は何だ!? ただの火事なのか!?」

「それ以前に、美術館は石造りだぞ。あんな風に燃えるはずが……」

「ああ! 歴史ある我が国の美術館が! あそこにどれだけの貴重な品が保管されていると思っているんだ! 兵士! 兵士は何をやっている!?」


 居合わせた人々がうろたえる中、流護もまた彼らとは違う意味で衝撃を受けていた。

 自分たちの待ち合わせ場所である、バダルノイス王立美術館。その一角から吹き出る炎、青みがかった見覚えある色彩は――


(サベルの……炎!?)


 一体、何がどうなっているのか。

 彼のものに違いないだろう紫色の炎が、なぜ待ち合わせ場所から吹き上がっているのか。


 そこでハッとした流護は、慌てて目を巡らせる。

 すぐ傍ら、いつの間にかロシア帽を目深に被り直した純白の『ペンタ』と視線が合った。


「二人っきりで誰にも邪魔されずに……って雰囲気じゃなくなっちゃったね、お兄さん」

「あ? え、はあ……」


 肩を竦める彼女があまりに何でもないことのように言うので、流護はつい間の抜けた返事をしてしまった。


「ったく……聖礼式パレッツァといい、随分と杜撰なって言うのは酷なのかな。火事にしたって――、!」


 メルティナが慌てた様子で言葉を切り、流護もその理由を察した。

 前方の十字路からぞろぞろと現れる兵士たち、その数は十名ほど。消火のために駆けつけたのだろう、一目散に美術館へと向かっていく。幾人かは残り、近づこうとする野次馬たちにここから離れるよう注意を促し始めた。


「それじゃお兄さん、さっきの始める前の話だけど……忠告はしたからね」


 兵たちの捜索対象であるメルティナは、短く言い残して踵を返す。


「あ、おい――」


 流護が呼び止めるよりも先に、


「君の力は認めよう。でも、世の中にはあるんだよ。腕っ節だけじゃ、どうにもならないことが」


 振り返ったその白い瞳が、ひどく悲しげで。

 流護の裡に生まれた一瞬の戸惑い、その隙を突くように、彼女は人ごみの合間へと消えていく。


「……、」


 伸ばしかけた流護の手が、空しく宙を泳いだ。寒さに晒され続けた指先が凍るように冷たい。

 追うべきかとも考えたが、今はサベルの炎によって燃え上がる美術館も無視できない。


「……くそっ!」


 今さらに痛み出した鼻を押さえ、人波を縫って駆ける。

 まばらに粉雪が舞う中、巨大な威容の一角から紫の炎をちらつかせる荘厳な建築物。

 昼食後に決めた予定に変更がなければ、ベルグレッテやエドヴィンはまだ到着していないはず。

 とはいえ、それも分からない。時間より早く入館しているかもしれない。

 現時点で推測できるのは、間違いなくサベルがかかわっているだろうということ。一緒にいるはずのジュリーはどうしているのか。


(ったく、何が起きたってんだ……!)


 兵士たちの後を追う形で、流護は美術館へ続いている道を走り抜けた。

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