3. 蒼玉
まぶた越しに眩しい陽射しを感じて、意識が覚醒する。
目を覚ますとそこは見慣れた自分の部屋で、昨日のあれは全部夢だった。
……などということはなく。まず目に入ったのは、テーブルの対面で自分の腕を枕にして、すやすやと寝息を立てるミネットの姿。流護もいつの間にか眠ってしまっていたようだった。
部屋に差し込む日の光は、流護がよく知る太陽のそれだ。月と違い、その大きさも異常なものではない。実にいい天気だ。さて一体、この太陽の姿をした神様はどんな名前なのやら。
我ながら落ち着いているほうだと、流護はしみじみ思う。空手で平常心を保つ訓練をしていたのもあるだろう。しかしあまりに現実からかけ離れすぎて、精神状態が驚きから一周して正常に戻ってきたというのが正しいかもしれない。
「……あ。お、おはようございます……」
目をしぱしぱさせながら、ミネットが流護に挨拶する。
ふむ。この世界でも「おはようございます」でいいようだ。あと寝起きの顔を見られて少し恥ずかしそうにしているのも、流護がいた世界の……地球の女性と同じだ。
「も、もうすっかりインベレヌスもあんな高みに御座しますね」
ミネットは窓の外を見上げ、天気と同じような明るさで言う。インベレヌス……彼女の様子から察するに、太陽のことらしい。では『日の光』とか言わないのだろうか。
「いい天気だなー」
「はい!」
これは通じるらしい。色々と言葉遊びをしてみたい気もするが、意外な単語が通じなかったりしそうだ。また変に疑われかねない。
「これからどうするんですか? 私はちょっとブリジアの街に寄る用事があるんですけど……あそこなら、リューゴさんの助けになってくれそうな人に心当たりもあります。すごい詠術士の人なんですよ。一緒に行ってみませんか?」
「ほうほう。そうだなあ……」
記憶喪失は真っ赤な嘘だが、そもそもこの世界で行く宛などない。それに詠術士に会えば、日本へ戻る手がかりが何か掴めるかもしれない。考えるまでもなさそうだった。
「よし。一緒に行ってみるよ」
明るくなってから外に出て、ようやく日本と全く違う場所であることをはっきりと認識した。
抜けるような青すぎる空。見慣れない草花。遠く見える森を成す木の形状。どれも日本ではお目にかかれないものだった。外国なら、こんな景色も見られるかもしれない。しかし昨夜の巨大な月や怪物は、地球ではありえないものだろう。
「それじゃあ、行きましょうか」
「そいやあさ。昼間は安全なのか? 昨日のコブナントカみたいなのとか出ないのか?」
「えと……コブリアは夜行性なので。夜でも、街道を歩いてれば基本的には安全です。街道には、魔除けの神詠術がかかってますから」
「ん? じゃあなんで昨日の夜、草原にいたんだ?」
「え? いえ、夜の草原でぼーっとしてるリューゴさんを見かけたので、危ないと思って……」
それで自分の危険も顧みず、草原に入ってきたのか。
思いもしなかった考えに、流護は軽く衝撃を受けてしまった。
「……そっか。そうだな……よく考えたら俺のせいみたいなもんだ……いや、ごめん」
「え? いえいえ! 守ってもらいましたし! カッコよかったです! ……あっ」
「……え、そ、そうか」
「は、はい」
二人して、明後日の方向に顔を向ける。
「よ、よし。そろそろ行こう」
妙にくすぐったい気持ちに耐えられず、流護は歩き出した。
「あ、あれ。道分かるんですか?」
「…………」
まだまだ思春期の少年なのである。
歩き始めて五分ほどが過ぎた。
やはり、違和感。
昨夜も感じていたものだ。コブリアに放った、爆発的な踏み込みからの拳打。歩いていて感じる、浮遊感のようなもの。異常な状況に、身体が浮ついているのかと思っていたが――
「そういえばミネットってさ」
「はい。なんでしょう?」
「体重何キロ?」
「なっ、女の人にそういうの聞くのってどうかと思いますけど!」
好感度が下がった。やはり思春期の少年である。
「あ、い、いや。そういうつもりじゃないんだ。……んー、どっかで量れないか? 体重」
「……そんなに私の体重が知りたいんですか?」
好感度、絶賛降下中。
「いや違う違う。量りたいのは俺の体重なんだ」
「はぁ……体重ぐらい、街ではかれると思いますけど……」
不審そうな視線を向けるミネットだった。当然である。
「あ、見えてきましたよ。ブリジアの街」
「おお――」
丘の下にまず、石造りの巨大な壁が見えた。高さは五メートルほどか。その壁が、教科書や映画でしか見たことのない中世の街並みをぐるりと囲んでいる。石畳の道、巨大な風車。ミネットと同じような格好の人々。あそこに見えるのはゴシック建築の建物――だったろうか? もう少し真面目に授業を受けておくべきだったと流護は後悔した。
見えてきはしたが、到着まではしばらくかかりそうだ。広大な平原にもほどがあると思う。
「……デカイ壁だな。あれはやっぱ怨魔から身を守るためなのか?」
「そうですね。怨魔だけじゃなくて、山賊なんかもいますしね。街に入るには、北と南にある門を通る以外にありません。怪しい人は兵士の人に止められますよ」
山賊までいるのか。さらっとしたミネットの発言に、流護は驚く。
しかし考えてみれば当然かもしれない。太陽や月の概念がない文明レベルなのだ。身を守る術や法が整備されているとは考えにくい。となれば当然、悪事を働く人間も多いだろう。現代の日本という国が、いかに治安のいい国であるか分かろうというものだ。
街が見え始めてから五分ほども歩き、ようやく門の前にたどり着いた。
入り口には、銀色の鎧に身を包んだ強面の兵士が立っている。携えた長槍は、決して飾りではないだろう。本当に映画か何かとしか思えないような絵面だ。兵士は不審そうに流護を見ていたが、見咎められることもなく門を通過できた。
「はい、到着ですよー」
「……おお」
思わず、感嘆の声が漏れていた。
石や煉瓦で彩られた美しい街並み。人通りも多く、ミネットに似た服装の人々や、大きな馬車が道を行き交っていた。露店で果物を売っている中年女性。走り回る子供たち。歩道で立ち話をしている老人。全体的に、女性はともかくとして、男性は身長の高い人が多いようだ。道行く者は基本的に皆、流護より背が高い。
……なぜだろうか。商店街のベンチに腰掛けながら眺めた人波と比べて、皆、生き生きとしているような気がした。
「そだ。朝ごはん食べてないですし、リンゴでも食べませんか?」
流護の返事を待たず、ミネットは露店に駆け寄っていく。
「おばさん、リンゴ二つください!」
「はいよ! ちょっとお待ちよ!」
中年女性も、やはり当然のように日本語で喋る。
「なにお嬢ちゃん彼氏かい? アツいじゃないの! アツいから冷えちゃいなさい! サービスだよ!」
「え、ちがっ」
ミネットが言い終わらないうちに、飲み物の入った木製のコップを強引に渡された。荒々しく木を削って作られたようなコップは、氷が入っていないにもかかわらず非常に冷たい。中身は透明に見えるが、何だろうか。
「もう……。行きましょう、リューゴさん」
ミネットの後ろを歩きながら飲んでみる。リンゴジュースだった。
「冷たいなこれ。氷も入ってないのに」
「露店のおばさんが、氷の神詠術で冷やしてたんでしょうね。自分の得意な術を商売に活かす人は多いですから。……わ、私だって焚き火とか得意なんですよ! こう見えて!」
「お、おう。そうか」
少女の後に続きながら、街並みを見渡す。やけにすっきりしていると思ったが、電柱がないのだ。歩道の脇には下水が流れている。
流護は、世界史の授業で聞いた『ハイヒールが生まれた由来』を思い出していた。
まともなトイレの設備が整っていない時代、やり場に困った汚物が路上へ捨てられ、それを極力踏まずに済むよう、靴裏の面積が少ないハイヒールが考案された……という逸話だ。
幸い、この世界はそういった心配をしなくていいようだと安心する。昨夜、この世界へ来る前に犬のフンを踏んでいた少年としては切実にそう思う。
「着きましたー。ここです」
石造りの無骨な建造物だった。入り口には、この建物のために誂えたような強面の兵士が立っている。
「……ここは?」
「兵士の人たちの詰め所です」
ここは現代日本でいえば何に相当するだろう。うん。警察。
「ミ、ミネットは俺を不審者として引き渡そうと……」
「ちっ、違います! 今日はここに来られてるはずなんです。とても頼れるあのおかたが!」
扉を開けて、「こんにちはー」と入っていくミネットに続く。
物々しい部屋だった。壁という壁に飾られた刀剣類、部屋の隅に置かれた砲台の数々。部屋の中央には巨大な本棚。
その大きな棚の前にいた少女が、ミネットのほうへと顔を向けた。
「はい。どのようなご用でしょう――」
透き通るように美しい声。
刹那、流護は呼吸を忘れそうになった。
本来なら、壁に飾られた剣や斧の多さに圧倒されただろう。
しかし。今はただ、その少女に目を奪われた。
『黄金比』と呼ばれるものがある。人間が、最も美しいと感じる比率のことだ。
その黄金比を以って、緻密に人というものを創り上げたらこうなるのではないか――そんな少女が、そこにいた。
芸術の神が自ら手がけたとしか思えない、精巧な人形のように整いすぎた顔立ち。少し気が強そうな眉と瞳は、神が加えたアクセントだろうか。黒みがかった藍色をした、腰まである艶やかな長い髪。それに合わせているのか、青を基調とした豪奢なワンピースのドレス。この世界の知識がない流護にも、それが高価なものだと一目で分かる。その衣装が包む身体は触れたなら折れてしまいそうなほどに細く白く、しかし胸元は優美で魅力的な曲線を大きく描いていた。
まるで極限まで磨き抜かれた、極上の蒼い宝石。そんな究極の美を備えた少女が、そこに在った。
「あ、ミネット。元気にしてた?」
「はい! 元気でしたベルグレッテさま!」
「ふふ。ほんとに元気ねー。そちらのかたは?」
ベルグレッテと呼ばれた青く美しい少女は、思いのほか気さくな口調で微笑む。と同時、流護へ視線を向ける。ここで初めて二人の目が合った。
――瞬間。流護の中にある何かが、揺らいだ気がした。
「――――」
ベルグレッテも、なぜか驚いたような顔をしている。
「……? お二人とも、どうしたんですか?」
ミネットの声で、流護は我に返った。
「え、あ、えーと俺は」
動揺から、流護は躓いてよろめいた。つんのめった。前方に吹っ飛んだ。
そして流護の手は、ベルグレッテの胸を鷲掴みにしていた。
「………………」
「……………………」
「………………………………」
全員が沈黙した。
次の瞬間。響き渡ったのは、やんごとなき身分であろうベルグレッテのお姫様的な悲鳴――ではなかった。
ゴッ、と横薙ぎの一撃。
「だばぁ!」
真横から腹へ直撃した衝撃に、流護は吹き飛んだ。たららを踏み、何とか持ちこたえる。
慌てて顔を上げれば――
「なにか言い遺すことはある? 下郎」
この状況でなお、美しい。
ごう、と猛り狂う水流を纏ったベルグレッテ。その薄氷色の瞳から発せられる冷酷な視線が、鋭く流護を射抜いていた。
自分が狙われていることも忘れ、流護は見入ってしまった。ベルグレッテを守るように、水が渦となって空中を流れている。すぐに分かった。これが、神詠術――
「べ、べべべベルグレッテさま!」
慌てて二人の間に入るミネット。
「どいてミネット」
「違うんです! たぶん! りりりリューゴさん、謝って! 全力で謝って! 全速で謝って! 創造神ジェド・メティーウにかけて謝って!」
「……ふーっ」
流護は、ベルグレッテに向き直る。
そして顔を上げ、毅然とベルグレッテの顔を見据えた。
「すんませんでした」
土下座した。
「あ、有海流護……です……」
「ベルグレッテ・フィズ・ガーティルードです」
声が冷たいのは気のせいではないだろう。
「……それで。記憶喪失?」
心底うさんくさい、といった視線を流護に向けるベルグレッテ。そのジト目ですら溜息が出そうなほど美しい。さあ、好感度ゼロからのスタートです。
ちなみにミネットの言っていた『助けになってくれそうな人』が、このベルグレッテだった。やらかしたなんてもんじゃない。
「はい。記憶喪失です、姫様。生まれてきてすみません」
くそ丁寧を通り越して卑屈になった流護だった。
「……いや、姫さまじゃないから。この国の姫さまはリリアーヌ。さま。……さっきの件はともかく、ミネットをコブリアから助けてくれたお礼は言わせて。ありがとう」
「いえいえそんな!」
ミネットが恐縮していた。
「それでミネットは、まーたフラフラしてたってことでいいのかな? まったく、あなたは隙が多すぎます」
「う。えと、それは」
「いいえ、違うのです姫様。俺という記憶喪失のクッソヤローを気にかけて、ミネットは危険を顧みずこの俺を……、生まれてきてすみません」
「いやだから姫さまじゃな……、もういいわ、悪かったから……」
「すみませんすみません」
「え、えとリューゴさんは悪くな……」
「すまぬ」
「だーっ! おしまい! 謝るのはここまでっ!」
ベルグレッテが声を張り上げる。
「さっきの件は水に流す! はい、話を進めましょう!」
委員長のような仕切りっぷりだった。今更だが、やたら高貴な見た目に反し、口調もくだけた印象だ。あとおっぱいはかなり大きい。
「……なにか?」
「何でもありません姫様! サーッ!」
最敬礼だった。
「だから姫さまじゃないってば……」
「えーと、ベルグレッテ様だっけ? 姫様じゃないならどんなお方で……」
「ベルでいいわ。みんなそう呼んでるから。ミネットは呼んでくれないけどねー?」
「いえいえ! そんな畏れ多くて……」
「ミネットの恐縮っぷりを見るに、偉い身分のお方とお見受けしますが、ベル様」
「あなたの性格が掴めないんだけど……まあいいわ。私は『ロイヤルガード』……の、見習い。姉妹で姫さま付きの見習いをやってるんだけど、今は妹が担当する番で、姫さまのお傍にいるから、私は学業の合間にこの詰め所で仕事をしてるわけ」
「見習いとはいっても、ベルグレッテさまとクレアリアさまこそが正式なロイヤルガードになる日も遠くないんですから! お三方の揃った美しさ、壮観さ? といったらもう!」
なぜかミネットがやたら自慢げだった。
「それで、リューゴ? さん?」
「流護でいいぞ」
「オーケイ、リューゴ。で、気になったのはコブリアの話ね。素手で撃退したって本当なの?」
「まあ、そうだな」
「……そういえばさっき、私の一撃を受けて倒れもしなかったわね。とっさに、ほとんど本気で叩いちゃったんだけど」
「いや効いたよ。てっきり、か弱いお姫様なのかと思ってたから余計に」
「効いた、程度で済まされちゃ自信なくすんだけどね……」
「そうです! ベルグレッテさまは強力な水の詠術士! 学院の中でも……超……えーと、すごいんですから!」
またミネットがやたら自慢げだった。あとボキャブラリーが意外に貧困だぞこの子。
「……そうだなあ。学院で検査して、あなたの秘める神詠術の属性やレベルが分かれば、記憶を取り戻す手がかりになるかも。コブリアを軽く吹き飛ばしたって話からして、少なくとも公式に詠術士として認定されてる使い手だとは思うんだけど」
もちろん、流護は神詠術など使えないし詠術士でもない。
「おー。いいなリューゴさん、学院行けるんだ」
ミネットが羨ましそうな目を向けてくる。
「学院、ってのは……」
その単語は、これまでも何度か会話に登場していた。
「ミディール学院。レインディール王国領で唯一、神詠術を専門とする学院ね。私も生徒なの」
腕組みをしながらベルグレッテが説明した。胸が強調される。
はっきり言ってしまえば行くだけ無駄だろう。しかし記憶喪失の建前がある以上、「行っても無駄だって分かってるし」などと言う訳にもいかなかった。
それにここで「実は違う世界から来たんだけど、戻る方法知らない?」と正直に尋ねたところで、期待する答えが得られるとも思えない。
何より今、流護がいる場所は兵舎。発言には気をつけるべきだろう。すでに豊満なおっぱいを揉んでしまった前科があるのだ。
「ちょうど明日、学院に戻る予定だったから。行ってみない?」
「……ああ、そうだな。それでいい」
「決定、ですね! それじゃ、私はもう行かないと……」
ミネットが名残惜しそうな声を漏らした。
「お疲れさま。これからまた農場よね? 気をつけてね。またコブリアだとかに襲われたりしないように」
「は、はいー。気をつけます!」
母に怒られた子供みたいに頭を下げ、ミネットは出口へ向かう。
「ではリューゴさん、さよならです。またお会いしましょうね!」
「お、おう……」
「ではベルグレッテさまも、また!」
「うん。お疲れさま」
そうして。ミネットは、バタバタと慌しく出て行ってしまった。
「…………」
「あら? ミネットがいなくなって寂しい?」
「い、いや。そういや、ミネットが何やってるかとか詳しく知らないままだったな……」
「あの子は詠術士になりたかったんだけど、適性がなかったから学院に入れなかったの。普通の学校に行く気はなかったみたいで、この近辺の農場を手伝ったりして暮らしてる。少し遠くの村にも行ったり、いつも忙しそうにしてるわ」
「そうなのか……」
「なんていうか注意力の足りない子でね。コブリアに襲われたって聞いて、またか! って思っちゃった。これで二回目なんだから。まったくもう」
苦笑するベルグレッテ。しかしその瞳には優しさが浮かんでいる。
「本当なら、昨日の夜に知り合ったばかりのあなたと同じ屋根の下で過ごしたっていうのも……、歓迎できる話じゃないんだけどね。いえ、あなたを悪く言うわけじゃなくて」
「いや、うん。……まあ、そうだよな」
こんな世界へ来て絶賛混乱中だった流護にはそんな下心など微塵もなかったが、確かに見ず知らずの男と一晩過ごした、というのは少し注意力が足りない話のかもしれない。
おかげで助かった少年としては、複雑なところではあるのだが。
「それじゃ、明日の朝一番で学院に向かいましょう。今日は宿に泊まってもらえる? ……あ、お金も持ってないんだっけ。はい」
ベルグレッテはドレスのポケットから財布を取り出し、流護に数枚の硬貨を手渡した。当然、見たこともない貨幣だった。
「い、いや。さすがに金をもらうのは……」
「困ったときはお互いさま、って昔から言うの。いいから受け取りなさい。記憶が戻ったら返してもらうから。それでいい?」
「……分かった。ありがたく頂戴しまっす」
「うん。よろしい」
満足そうに頷くベルグレッテは、花のような笑顔を浮かべていた。