アースグリーンに住まう者達。
[……スタッ] [ガラガラ……]
「……よっこいしょーいちさんっと。ふぅ。
あー、腹減った。今夜の晩飯はナニを食おうかなぁ……」
ゴツゴツした岩や石、そしてソイツ等が粘土質の土と混ざり合って構成されて
出来ている地表に加えて、場所に拠っては何かの雑草がタワシの様に生えている、
そんな歩き難い足場のトコを俺は独り、歩きながらに独り言を呟いていた。
その地形状的な事を話すと場所にもよるが、一メートル程の段差がある場所も
あるモンで、そんな足場へ着いたときゃあ足を滑らせねぇ様にと、慎重にソコで
屈み込んでから下の足場へ飛び降りたりと、まぁ軽い登山をやってる感じだよ。
[ギシ……ギシ……]
背中に背負った背負子が、今日一日分の労働成果を言葉ではなくて重量で、
一仕事終えた俺の身体へと伝えてくる。コイツはツルハシとは違って俺の家から
持ち出した、俺んトコ自前の無口な相棒なんだわ。この採掘仕事をするときゃ、
いつもコイツと一緒だ。頑丈な身体を持ってて、信頼出来るタフガイって奴さ。
……紹介してやろっか、無口だけど良い奴なんだぜコイツはよぉ。
「……ほれ、なんか喋れよ。無愛想な野郎だな、いつも言ってんだろぉ。
ギシギシ言ってるだけじゃ、何も分からねぇってよぉ。そんなんじゃ、
荷物は持てても女にゃもてねぇぞっ……って。おいっ、聞いてんのかぁ?」
[ギシギシ……]
と、まぁ御覧の通り、この相棒は良い奴なんだが……いかんせん、いつも
この調子で無口な野郎なんだわ。だもんで、この相棒の代わりにソコの君に
俺の話し相手になって貰う事にしよう。まっ、お互い暇潰しにゃ丁度イイだろっ。
いま俺が背負ってる背負子の、この重み。コイツぁ俺にとっちゃ生きていく為に
必要な重みって言ったトコだわな。もっと分かり易く言い換えれば金銭を得る為に
必要な重みってトコか。さっきも話したが俺の相棒が抱え込んでる、この採掘物の
詰まった五つの麻袋、コイツを鍛冶師ギルドへ持って行きゃ腹一杯メシを食う為に
必要な金が労働の対価として貰えるってワケだ。
……働くってのは、こういうこった。なーんも難しく構えるこたぁねぇ。
頭の良い奴は頭を使う仕事をやりゃあ良い。頭の悪い奴は身体を使う仕事を
やりゃあ良いだけだ。俺は頭が悪いから、身体を使う仕事をやってるってワケさ。
あぁ、どっちも悪い奴はどうすりゃ良いの、ってのに答えるんなら……
そうだなぁ、そんときゃ面倒を見てくれる奴を探せば良いんじゃねぇの。
場合によっちゃ自分が国籍を持つ国を頼るのも良いな。国はその為に
「税金」ってのを俺も含めた働ける奴から掻き集めてんだろうからさ。
同国籍者同士なら必要最低限の助け合いは当然だ、その為の税金だろうしな。
しかし、まさか……とは思うが、そういう大事な税金を、他国や自国と無関係な
他国籍の者に無償でくれてやってる様な、そんなバカな国は存在しないだろうと
俺は思いたいねぇ。もし、んなことやってんならソレは即刻止めるべきだな。
百歩譲って自国と何らかの同盟関係にある国の、国籍を持つ者相手になら税金
での援助はしても良いと思うがね。俺が言ってることは間違ってるかもしれんが、
納税者として言わせて貰うのならば、同盟国でも無い他国籍民の世話は、
ソイツが所属してる国からして貰うのが物事の道理であり筋道だ。
さて、自国民より他国民にばかり気を遣ってる何処かの国の話は置いといて。
労働に関わる話をした丁度良い機会だから、もうちっと語らせて貰うがよ、
この世界「アースグリーン」にも、様々な理由で働きたくても働けない者ってのが
チラホラ居てな。しかしまぁ、その辺の問題はこの世界にも国家ってモンがあって、
キチンと誰しもが納得の行く税金の使い方で対処してくれてるみてぇなんだ。
まぁソイツについては今はちっと気分じゃねぇから、機会があれば君にも話して
聞かせてやろう。マックから聞いた話だから又聞きになるんで上手く話せねぇかも
知れんけど、その話をマックから聞いた時は「へぇー!」連発だったぜ俺は。
つーワケで、ちっと横道に話も反れたが労働に関する話はコレで終わりっ。
だもんで、さっき下山してるこたぁ話したワケだから、此処から先はその辺の
こたぁ巻いて行く事にして話を進めるが、今日の食い扶持分に相当する量の
鉄鉱粘土の採掘を終えた俺は、そろそろ日暮れを迎えそうだったので鉱山から
降りる事にして、この世界に来てからの拠点としている「リュック村」へ
向かうことにしたって訳だ。
……そうだな。よし、此処で軽く「リュック村」の紹介もさせて貰うとしようか。
リュック村ってのは、古代中国の城壁都市みてぇな城壁で囲まれてる城壁村でな、
その城壁の高さは五メートル、厚みは三メートル程あって、農地や街道に繋がる
南門と牧草地帯に繋がる北門の二つを有した、面積は2km×2kmの正方形状の場所
であり、更にソコへ分かり易い補足を入れっと……まぁ早い話が、農地や牧場等の
生産拠点は全て城壁村の外にある、2km四方の400ヘクタールはある村なんだ。
1ヘクタールってのは100m×100mの正方形で、ソイツを坪面積に直すと約3000坪。
つまりリュック村ってのは、約百二十万坪の敷地を持った規模の村だってこった。
んで、ソコに住んでる村の人口は、約三万二千人くれぇってマックからは聞いたぞ。
そのマックが言うにゃなんでもよ、人口一万人に対して100ヘクタールもありゃ、
十分な居住面積を確保出来るんだとさ。コイツぁ余談だけどよ、日本のとある都市の
人口密集度をマックに話してみたら……奴さん、めちゃくちゃ吃驚してたぞ。
さて、いま話した事の他にもリュック村の人口規模に対しての警備兵の人数だとか、
村の中にゃどんな施設が立ってて村民はどんな暮らしぶりを送っているのだとか、
話すこたぁ山程あるんだが、とりあえずリュック村の紹介は今んとこはコレ位にして、
これからは仕事を終えた後、リュック村へ向かっているイチローさんの話に戻そうか。
[スタスタ……]
「……ある~貧血~、森のなカン○ョウ~、熊さんニンニク~、出逢っタマ○ン……」
ってなモンで、いま俺が鼻歌混じりに下ってる鉱山の麓にはよぉ、さっきもちっと
ばっか話したが、鬱蒼と生い茂る森が広がっててな。まぁもうちょいすりゃあその森に
ブチ当たるんだが、幾ら鬱蒼と生い茂ってる森だっつっても、下手に脇道なんざに
行かねぇ限りは鉱山から街道へ繋がる獣道みてぇな間道はあるからさ、ソイツのお陰で
森ん中で迷うコト無く街道へ出れて、その街道を通ってリュック村へは着けるから、
ナニも心配なんざ要らねぇってモンよ。
つーワケで、今からの目標は。とっとと村へ戻ってメシを食うだけってなモンさ――
[スタスタ……] [……ピタッ] [キョロキョロ……]
「……え~と、確か此処ら辺に看板が……お、あったあった」
─────────────────────────────────────
『これより先、街道への間道。脇道へ進むと、遭難の恐れあり』
『街道へ出て、左へ行けばリュック村。右へ行けばカラビナ村』
リュック村 鍛冶師ギルド
─────────────────────────────────────
「……へぇ~、そうなんですかぁ。遭難だけに。……よっしゃ、さぁ帰るか」
そんなこんなで、今現在のイチローさん。丁度、鉱山地帯を抜けて採掘に出た時の
「お約束」的な一日の締め括りを一発かましてから、その森に入ったトコでして。
その森の中を歩みながら「今日の晩飯の事」を真剣に考えてるってトコさ。
あぁ、そうそう。そこの君に言っとこう。たかが晩飯、されど晩飯だけどよ、
まぁそう言いなさんなって。……人生の楽しみ方ってのは、人それぞれなんだがよ――
その日、一日の陽が暮れるまで一生懸命働いて無事に帰宅して、美味いモン食って、
風呂に入って、お気に入りの銘柄の酒で晩酌して、良い気分になったトコで暖かい
布団にくるまって……寝る。そして翌朝は、昨日得る事の出来た「喜び」を
「もう一度、味わう為」に、また一生懸命「その日」を頑張るんだ。
コレって、身も蓋も無い見方をすりゃただの同じ事の繰り返しをしてるだけに
なるんだけどよ、独り身の俺にとっちゃソレが、なによりもの「生き甲斐」なのさ。
……ってなワケで、さっきも言ったが。
今現在、俺は真剣に「今夜の晩飯」のコトを考えてる訳だ。
「……うーむ、そうだなぁ。川魚の串焼き定食は食い飽きたんだが……
アレ、串焼きが三本も食べれて量も結構あるし、ビールと良く合うんだよなぁ」
「うーん、いやいやっ! ソレも良いが……鶏肉の香草焼き定食も捨てがたいっ!
ワインというよりは、梅酒みてぇな具合に作られてる葡萄酒をチビチビやりながら、
香草の風味を乗っけた肉汁タップリの鶏肉に思いっ切りかぶり付く……!
あの瞬間っ、アレはたまらんっ! その油っけを上手い具合に調和してくれんのが、
その定食に潜む第2の刺客っ。ニンニクをペースト状になるまですりおろした奴を
パンに塗り、ソレを焼き上げた……香ばしい匂いの漂うガーリックトーストっ!」
「……おっと、待て待てっ! ほくほくポテトのバター焼き定食を忘れちゃならん!
バター焼きって名前の癖に、しっかりと粗挽き胡椒の味も利いている逸品!
更にっ! その脇に控えるのが、程よい塩加減の食い応えのある自家製ベーコン!
ちっと変わった味もするんだが、その定食にくっついてる焼き立てライ麦パンも
香ばしくて美味いんだよなぁ。……見た目は少し黒いパンなんだけど」
次々に今夜の食事についての思いを馳せてみる俺、今迄に食ったメニューの中から
特にお気に入りを幾つかピックアップして、ソイツを食ってる時の思い出に浸る。
だがしかし、とは言ったモノの……ねぇんだよ「アレ」が。この地域にゃよ……。
「……やっぱ『アレ』が、ねぇとなぁ……。はぁーあ……」
お気に入りのメニューを幾つか頭に思い浮かべてみるものの、日本人ならばっ。
やはり「コメ」を食わなきゃ力がでねぇんだわ。この世界「アースグリーン」に
来てから約一月程経とうとしているが……どうやら「この地域」には「コメ」が
無いらしい。コメがねぇから当然「清酒」も「米焼酎」もねぇんだよ。……泣けるぜ。
……あ、俺は焼酎なら「芋派」だけどな。清酒なら一晩に「一升」呑んでも翌日には
一切残らねぇぜ。飲んだからと言って別に性格も変わらねぇし、職場の飲み会とかで
高確率に部下の席へ出現する、ウゼェおっさんみてぇにクダも巻いたりはしねぇよ。
俺の場合は、ただ……ゆっくりと眠気が来て寝ちまうだけだ。
まぁ、そりゃ置いといてだ。村へ辿り着くにゃもちっと掛かるしよ。
だもんで、丁度良いからこの際だ。俺の「唯一の友人」である、マックから
聞いた「この世界に関わる話」を少しソコのキミにも聞かせてやろうじゃないの。
と、まぁ……マックが言うにはさ、この世界には「人族」「獣人族」「エルフ族」
「ドワーフ族」「ドラゴン族」「精霊族」「窓際族」……おっとわりぃ。
「窓際族」は、ナシだ。似てるから間違った。確か……「魔族」だったな。
リュック村ってのはソッチの世界で言うトコの田舎村って事もあるし、村と言っても
結構な広さがあるモンで、俺はまだリュック村の中で人族以外を見た事はねぇんだが、
ソッチの世界でも様々な人種が存在するように、コッチの世界にもよ、さっき話した
七種族ってのが存在するワケなんだわ。んで、この「七種族」の「共通語」ってのは、
なんと。読み書きも含めて全て「グリーン語」って名称の「日本語」なんだぞ。
初めてマックと出会った時に「ソレ」が分かった。純日本人である俺とは違い、
マックは欧州系白人の金髪イケメンで、身長は百七十五センチくれぇ……かな。
体型も、テレビで良く見るガキんちょタレントみてぇなスッキリした体型で、
瞳の色は蒼色。んで、年齢は二十三歳の……只今、彼女募集中っていう、
そこらへんによくいる大学生の兄ちゃんみたいな感じの奴なんだがよ。
俺と初めて大草原で出会った際に、その口から出た言葉は――
「う、うわぁ……。へ、変態さんだぁ……」
見事な日本語だった――。ま、まぁ、しょーがねぇよな。俺、あんな格好だったし。
そのマックの話によると、種族の違いこそあれど……だ。この世界に存在する
「七種族」の「共通語」は「グリーン語」こと「日本語」で間違いは無いらしいよ。
……大事な事だから二回言ったぞ、忘れんなよ。あぁ、そうそう、そういえばよ。
ついでに話すが、この七種族の頂点に位置し存在するのが……なんと。
「創造神 ミルフィール」
っていう俺をハゲ呼ばわりしやがった、礼節知らず、常識知らず、ソレに加えて
行き遅れの、あのピカピカ姉ちゃんらしいんだわ。で、もひとつオマケに付け加えると、
リュック村の中央にある教会の中には、絶対に性格の悪そうな……あの姉ちゃんの
姿を模した石像が置かれてるんだぞ。……あぁその石像っていうのは、なんでもな。
俺が彼女から貰ったみてぇな不思議な力、要は「加護」っていう奴らしいんだが、
その加護の中での、芸術方面での加護を授かった彫刻家が、彼女の為にと作った
オリジナルの石像を、更に模して作られたレプリカの石像だって話みてぇだから、
単に他人の空似で作りました、置きました、って言うような代物じゃあねぇだろうさ。
多分、間違いなくミルフィール本人の姿を模した石像だろうよ。だけどなぁ……
そういった技法なのか、ワザと顔が分かり難く見える様に作ってんのかは知らねぇが、
表情が分かりづれぇんだよ、あの石像。……しかしまぁ、その石像の身体のラインを
見る限りはさ、出るトコは出て、引っ込むトコはキチンと引っ込んでやがるような、
俗にいう「ボン、キュッ、ボン」な体型だったわ。とは言ったモノの……だ、
そんな体型しててアレで行き遅れてんだから間違いねぇ、此処だけの話だがよ。
あの姉ちゃん、やっぱ性格がわりぃんだよ。勿体ねぇ話さ……。
「うふふ、イチローさぁん……誰の性格が悪いのかしらぁん……?」
何処からともなく聞き覚えのある声が聞こえた。この声、間違いない。
性格とは異なって、綺麗なこの声……奴だ、行き遅れピカピカねーちゃんだ。
「……げぇっ! こっ! この声はっ!? むっ……!?」
[ヒュンっ……!] [……ドカァっ!]
嫌な気配を感じとった俺は、狼狽しながら辺りを警戒したんだが……遅かった。
背後に感じる「何か」が俺の後ろ頭を目指して飛んでくる気配と、その「何か」が、
俺の後ろ頭に容赦なく激突する衝撃を、俺は防ぐ間も無く同時に味わう事となったわ。
「ぐおぁ……!? いっ……! いってぇ……!? な、なにしやがるっ!?」
チカチカと星が飛んでる視界の片隅に目をやると、俺の後ろ頭を襲った「ブツ」の
正体が目に留まった。その正体は「ソフトボール」並の、大きさの石だったよ……。
「……さっきから貴方の心の声を聞いておりましたら、行き遅れだの、
性格が悪いだの……と。……私、そんなに魅力がありませんか……?」
「う、うるせぇ! 図星を突かれたからって、問答無用で口封じかよっ!?
し、しかも後ろ頭を的確にスナイプしやがってっ!? こ、殺す気かぁ!?」
……帽子がありゃ良かったんだが、生憎と今はタオル巻きだからなぁ。
俺は姿を見せない「声の主」が居るであろう方へと向かい、お気に入りの
芸人グループのネタを思い出し、その真似をしてやったよ。
話は変わるが、あの芸人グループ、なんでもっとテレビにでねぇんだろうな。
勢いだけで「下積み」も何もやってなさそうな、最近のヘラヘラするだけが芸の、
芸とも呼べねぇバカ騒ぎをやってる若手芸人なんかより……辛そうな身体を張った
下積みをやって来た、あの芸人グループの方が俺は好きなんだがなぁ。
……あの人達は売れてる時も決して偉そうにしたりはせずに、キチンと芸人
やってたよ。俺、握手したコトもあるんだ。だから俺はよ、その芸人グループさん達の
名前も一人一人覚えてるし、持ちネタもしっかり忘れずに、今現在もファンなのさ。
そんな事を思いつつ、俺は痛みを拡散させる為に石が直撃した後ろ頭を
激しく撫でる事にした。……誰だ、もっと「ハゲしく」なんて言ってんのは。
「……うふふ、面白い事を考えますのね……。あ、そうだっ」
どうやら声の主改め、ミルフィールの機嫌は治ったみたいだ。
んで、そんな彼女は次いで何かを思い付いたらしく、彼女は後ろ頭を激しく
撫でてる俺へ対し、自分の姿を見せないままに何処からか言葉を続けて来たよ。
ったく……声だけは、女神様って感じが出てて、凄く良い女なんだけどな。
「……それならば、イチローさんが私を貰って下されば、
その時は……行き遅れの汚名返上になりませんか……?」
……いま、なんか聞こえた? え、なに、聞こえない。
俺には何も聞こえないんだけど。……だって、そうでしょ。いやいやマヂで。
いきなり人様の後ろ頭を石でスナイプするような女なんて、絶対ヤバイって。
シカトするのが一番なんだと、俺の本能が告げている。うんうん、間違いない。
「そんなに照れなくても良いのに。うふふ、その時を楽しみにしておりますわ……」
ミルフィールは理解に苦しむ爆弾発言を残すと、俺の意向を勘違いしながら
満足気に去って行ったわ。去って行ったってよりは、気配が遠ざかって行ったって
方のが正しい表現なのかな。上手く言えねぇが、そんな感じがするんだよ。
「……チッ。んな事、言われちまったら怒るモンも怒れねぇじゃねぇかよ。ったく……」
痛みの薄れて来た後ろ頭をさすりながら、独りで愚痴りながら、俺は気を取り直して
リュック村へ繋がる街道へ出る為の間道を歩み直す事にしたよ。……まだ痛ぇわ。
まぁ、なんつーか……その、アレだ。簡単に説明すっとよ、あの変な姉ちゃん。
この世界じゃ唯一無二の絶対神って奴なんだわ。この世界に存在する神様は、
あの姉ちゃんだけ……つぅワケなのさ。ありえねぇけど、残念ながらコレが真実だ。
だもんで、この世界「アースグリーン」に住まう「六種族」の皆がよ、揃いも揃って、
あの姉ちゃんに毎日祈りを捧げ、日々の生活を送っているらしい。
あぁそれでよ、此処で気になった者もいると思うが。
何故、いま俺が「七種族」ではなくて「六種族」って、言ったのか。
それについてはよ、さっき話した「魔族」ってのがいるんだが、そいつらはな。
俺達「生物」とは異なる存在。いや、確か根っこは一緒だっつー話だったよな。
……説明し辛い話なんだが「魔族」ってのはよ。
いわゆる「澱み」と呼ばれる存在、だからなのさ。