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第51話~苦悩なる姫、得た役割~

投稿します!


過去最高のキャラ崩壊警報を発動します!


正直別人です。それを受け入れられない方はリターンで。


それではどうぞ!

昴「ふぅ~。」


ようやく一段落ついたな。

益州平定から早くも3ヶ月。政務の方もだいぶ落ち着いてきた。


昴「・・・。」


ふと窓から外を眺める。青い空と共に平和な街並みが広がっている。


?「おーっほっほっほ!おーっほっほっほ!」


昴「・・・。」


?「おみこしワッショイ!おみこしワッショイ!」


昴「・・・。」


今日も成都は平和だ。


詠「そんなわけないでしょ!」


昴「詠・・。人の心を読むなよ・・。」


詠「細かい事はどうでもいいのよ!とにかくあれ!」


昴「ん~・・絶好の洗濯日和だな。」


詠「もう少し下を見なさい!#」


昴「冗談だよ・・、袁紹か・・。」


何かと賑やかな奴だな。


昴「別にいつものことだろ?」


詠「そうだけど、あれを見て!」


昴「見てって、だから見てる・・あっ。」


良く見ると、袁紹の後ろ、猪々子と斗詩(真名は成都制圧の少し前に預かった)の間に月がいた。


昴「何があったんだ?」


詠「月と街に買い出しに行ったんだけど、そしたらあいつらが騒ぎを起こしてて・・。」


昴「それに月が巻き込まれたと。」


詠「うん。月が、ボクを必死に逃がしてくれたんだ。」


なるほど・・。


昴「話は分かった。袁紹に関しては多少は多目に見てたんだが・・。」


さすがにあれは放置できないな。警備隊も発足したばっかりでまだうまく機能していないからあれの扱いには戸惑いそうだしな。


昴「あれは止めないと後々面倒なことになりそうだから今すぐ鎮圧しに行くよ。」


詠「月のこともお願い。」


昴「分かってるよ。それじゃ、行ってくるわ。」


確か鈴々とたんぽぽが今日非番だったな。一緒に連れて行こう。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



紹「おーっほっほっほ!おーっほっほっほ!」


猪「おみこしワッショイ!おみこしワッショイ!」


斗「おみこしワッショイ・・。おみこしワッショイ・・。」


居た。ノリノリの袁紹と猪々子に涙目の斗詩。あれが騒動の中心だな。


昴「たんぽぽは警備隊と一緒に野次馬を散らせてくれ。鈴々は俺と騒動の中心を制圧な。」


蒲「は~い♪」


鈴「了解なのだ!」


たんぽぽが野次馬のところに行き。俺と鈴々が袁紹のところに向かった。


昴「お前ら~、この辺にしておけ。」


鈴「そこまでなのだ!」


紹「あら?」


猪「あ、アニキー!」


斗「ごめんなさい!ご主人様ごめんなさい!」


月「へぅー・・。」


楽しそうな袁紹と猪々子と涙目の斗詩と月。斗詩は気苦労が絶えないな。


昴「袁紹。警備隊の仕事を増やさないでくれ。」


紹「あら?わたくし何かなさいまして?」


昴「御輿で馬鹿騒ぎを今まさにしてるだろ・・。鈴々、御輿撤去。」


鈴「応!」


鈴々が1人で御輿を持ち上げ、運んでいく。


紹「何をしますの!?」


昴「道にあんなの置いておいたら邪魔だろ・・・つうか、袁紹、君も一応はうちに厄介なってる身なんだから大人しくしててくれよ・・。」


紹「厄介?あらあら、、三国一の当主であるこの私が、あなた達に厄介なっていると?」


昴「そのとおりだろ。」


紹「あなた、誰に不遜の態度をとっていますの?このわたくしは三公袁家の末裔・・。」


昴「その袁家はもうないだろ。君はもうただの袁本初だ。」


紹「・・あなた、わたくしを侮辱してますの?」


昴「そうじゃない。もう君を縛る三公袁家はない。」


紹「っ!?・・しば・・る?」


昴「ああ。連合で初めて君に会った時から思ってたことがある。君が三公袁家を自称するとき、それを誇っているようには見えなかった。俺には自分に言い聞かせてるようにしか見えなかったよ。」


紹「っ!?」


昴「袁紹。もういいんじゃないか?その袁家はもうないんだ。君はただの袁本初として・・。」


紹「あなたに・・あなたにわたくしの何が分かると言うの!?縛る?ふざけないでくださいな!袁家はわたくしの誇り、わたくしの全てですわ!血筋も何もない成り上がりのあなたごときが、知った風な口を聞かないでちょうだい!」


袁紹は走っていった。


袁紹。誇りか。だったらなんでそんな目をするんだよ。なんでそんな泣きそうな顔をするんだよ。俺には・・俺には・・。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



袁紹side


全く!なんなんですの、あの男は!連合の時から気に入りませんでしたわ!


紹「せっかくのいい気分が台無しですわ!」


この怒りをどうしましょうか。・・まあいいですわ。今は何か腹ごしらえでも致しましょう。


紹「手持ちは・・そういえば、お金はほとんど斗詩さんが持っていたのでしたわ。」


仕方ありません。本来なら高貴なわたくしには高級食材を使った料理が相応しいのですけど、今はお腹に入れば何でもいいですわ。確か屋台・・でしたっけ?それで我慢しましょう。・・・あそこにしましょうか。

屋台に近づく。


紹「これ、1ついただきますわね。」


「毎度!」


店主が景気のいい声を出す。しばらく待っていると。


商A「しかしこの大陸もすっかり変わっちまったな。」


商B「そうだな。黄巾賊が蔓延ってた頃と比べて今やほとんどの諸候が滅んじまったな。」


紹「?」


何ですの?


商A「今有力なのは曹操に孫策にこの国の劉備様と御遣い様だな。」


商B「やっぱりそうだよな。お前確かいろんなところに行商に出てるんだろ?どうだった?」


商A「孫策の領土はいいところだったよ。街は活気に溢れてたし、物も流通しているし。なかなか商売しやすかったよ。」


商B「あのあたりって、昔袁術の領土だったよな?」


商A「ああ。何でも、劉備様の昔の領土に攻めて敗北して、その隙に本城を盗られちまったんだとよ。」


商B「そうだったのか。」


何ておまぬけな美羽さんだこと。戦に負けた挙げ句に本城を盗られるなんて。


商B「曹操の所はどうだった?」


商A「あそこもいいところだったよ。警備隊ってのがいるから安心して商売ができたからな。」


きーっ!あのクルクル娘の名前なんて聞きたくもありませんわ!


商B「へぇー、そういえば少し前に袁紹が治めてた土地がなかったか?」


あら?わたくしの話ですの?殊勝な心がけですわね。


商A「あそこは駄目だったよ。何せ治めているのがあの無能だぜ?」


紹「っ!?」


やめて・・。


商A「袁術のところも酷かったけど、お膝元はまだ商売できたんだが。袁紹の所は駄目だ。あの無能の太守が重税を強いて我が儘三昧ばかりしてるから誰も何も買わない。」


やめて・・。


商B「でも袁紹って名門なんだろ?」


商A「ご先祖様は凄かったみたいだが、今の代の当主は無能だよ。街の奴等も口を開けば無能無能、だったぜ?」


やめて・・。言わないで・・。


商B「そういえば聞いたことあるな。袁紹って確か2倍以上の兵力がいたのに曹操に負けたんだっけ?」


商A「そうだぜ。2倍以上もいたのに負けるなんてホント無能だよな。」


やめて・・。お願い・・。


商B「あれで名門だなんて笑えるよな。」


商A「ホントホント。ご先祖様も今の当主を見て。さぞかし呆れてるんだろうな。」


やめて!!!


ドン!


商A・B「?」


ダッ!


わたくしは駆け出した。もう話を聞くことが出来なかったから。










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



とにかく走る。場所も目的もなく走る。


ドスン!


紹「きゃっ!」


「おい、嬢ちゃん、大丈夫か?(この血筋だけの無能太守が!)」


紹「っ!?、いや!」


「おい、嬢ちゃん!?」


とにかく地を蹴って走る。

やめて!何も言わないで!無能と呼ばないでください!

ひたすら走り続けた。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



紹「はあはあ、はあはあ。」


耳を塞ぎ、目を閉じ、ひたすら走り続けた。


ダッダッダッダッ、ゲシッ!


紹「きゃっ!」


ズシーン!


何かに足を取られ、激しく転倒する。


紹「うぅ・・ここは何処かしら?」


気が付けばそこは見知らぬ場所でした。傍に川が流れていたので顔を覗いた。そこには顔も服も髪も汚れたわたくしの姿が映りましたわ。


紹「・・こんなに泥だらけ。以前のわたくしでしたらこんな姿、考えられませんでしたわね。」


常に優雅で、美しくしていられたあの頃からは・・。


紹「・・・。」


もう、わたくしには何もありません。武も知もない。唯一の袁家も、華琳さんに盗られてしまいましたわ。


紹「・・・あら。」


ふと見ると、自分のすぐ傍に一本の剣がある。賊か何かが落としていったのでしょうか?


紹「これで喉元を貫けば、わたくしは楽になれるのでしょうか・・。」


もう・・疲れましたわ。袁家の末裔を演じることも、何も考えないことも・・・生きることさえも・・。


紹「わたくしが居なくなれば、猪々子も斗詩も自由に生きられますものね。」


誰ももうわたくしを見てくれない。きっと居なくなっても、誰も気にも留めない。


紹「そんな命なら・・。」


もういっそのことここで・・・。

わたくしは目を瞑り、剣先を喉元に突き立てる。


紹「さよなら・・。」


誰に対して?返してくれる相手もいないのに。

剣を握る手に力を込める。しかしいくら力を入れても喉元に刺さらない。まるで何かがそれを阻んでいるかのように。おそるおそる目を開けるとそこには・・・。


紹「あ・・。」


昴「よう。」


そこには剣先を掴む御遣いの姿がありました。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



昴side


袁紹がいなくなった後、俺は街中を探してまわった。訪ね歩いて見ると、街の外に走っていく袁紹を目撃されたのど森に来てみた。気配を辿ると、そこには喉元に剣先を突き立てる袁紹がいた。


紹「さよなら・・。」


袁紹は自決しようとしていた。俺は縮地で飛び込み、剣先を掴んだ。


紹「あ・・。」


昴「よう。」


そこには唖然とした袁紹が。その瞳からは涙が流れていた。


昴「穏やかじゃないな。」


俺は袁紹から剣を奪い、遠くへ投げる。


紹「何の・・真似ですの?」


袁紹は涙を拭い、目を反らしながら訪ねる。


昴「目の前に命を捨てようとしている人間がいるのを止めるのに、理由はいらないだろ?」


紹「ふん!放っておいて下さればよろしいのに。どうせわたくしが死んでも、誰も困らないのですから。」


昴「そんなことはないだろ。猪々子も斗詩も悲しむぞ。俺だって。・・特に桃香なんて特にな。」


紹「劉備さんが?」


昴「あいつは他人のことを自分のことのように喜んだり悲しんだりする奴だからな。」


紹「そう・・ですの。」


昴「今日は月が良く出ている。しばらく月見でもしないか?」


俺は寝転がり、夜空を見上げた。


紹「・・・ふん。」


袁紹も座り、夜空を見上げていた。










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



昴「・・・。」


紹「・・・。」


1時間程夜空を眺めていると、


紹「袁家は、わたくしにとって誇りでしたわ。」


昴「・・・。」


紹「幼い頃、お父様にご先祖様のお話をお聞きして、わたくしもご先祖様のように立派な人になりたい。ですからわたくしは努力致しましたわ。・・ですけどわたくしは何の才能もありませんでしたわ。私塾で知を学んでも、将の方から武を学んでも、わたくしにはろくに身に付かなかった。」


昴「・・・。」


紹「同時期に入った華琳さんはどんどん頭角を表していきましたのに、わたくしは落ちこぼれのままでした。」


昴「そうか。」


紹「わたくしは華琳さんが嫌いでした。高慢な性格もそうですが、華琳さんはわたくしが苦労して手に入れたもの、手に入れられなかったものを呼吸するのと同じに身に付けてしまうから。」


昴「・・・。」


華琳を前にしたら誰もがその才を霞ませるだろうが・・。


紹「その内に皆がわたくしを陰で貶すようになりました。無能だと。家柄だけが取り柄の女だと。そしてついに父上までも・・。」


袁紹が1度言葉を止める。


紹「わたくしはそこで努力することを止めました。考えることも、人の言葉を聞くことも。ならばせめて生まれもった唯一の誇りの袁家を自慢するように致しましたわ。そうすることでしか。わたくしはわたくしを保てなかったから。・・けれど、それもなくなってしまいましたが。」


昴「袁紹・・。」


紹「もうわたくしには何もなくなってしまいました。ここにいるのは何もないただの女。ですからわたくしなんていなくなってしまえば・・。」


昴「本当に何もないのか?」


紹「えっ?」


昴「袁紹。君は自分には何もないと思えるほど努力したのか?」


紹「しましたわ!けれどわたくしは駄目だった・・。」


昴「俺にはそう思えない。華琳と比べて、自分には何もないと決めつけて諦めただけじゃないのか?」


紹「っ!?それは・・けれどわたくしには何の才能も無くて・・。」


昴「才能。袁紹に限らず、皆、何かを持つ者や何かを成した者にこの言葉を使いたがる。だけどな才能なんてのは所詮ただの言葉だ。」


紹「言葉?」


昴「袁紹。華琳や、愛紗や星、朱里や雛里でもいい。皆生まれながら今の能力を持っていたと思うか?何もせずして今の高見に登れたと思うか?」


紹「それは・・。」


昴「皆な、死に物狂いに努力してここまで登ったんだ。そして今も努力している。更なる高見に登るためにな。」


紹「・・・。」


昴「俺には、君は華琳を諦めるための言い訳にしたようにしか聞こえない。」


人は簡単にものを諦められる者じゃない。だから人は自分に納得できる言い訳を探す。諦めるために。


紹「分かったような口を聞かないで!あなたに何が分かるというの!?」


昴「分かるよ。だって君は悔しいと思ってるんだろ?」


紹「!?」


昴「悔しいという気持ちがあるなら、君はまだ全てをやりつくしてない。」


紹「・・・。」


昴「探せばいいじゃないか。」


紹「えっ?」


昴「みっともなくても、惨めでもいいから自分に何が出来るか探せばいい。また昔みたいに努力すればいい。」


紹「・・・努力すれば、見つかりますの?」


昴「そりゃやってみないと分からないさ。努力をすれば必ず報われるとは限らない。・・けどな、何かを成した者は必ず努力しているんだ。また1から頑張ってみろよ。」


紹「御剣さん・・え!?」


俺は袁紹を後ろから抱きしめる。


昴「不安なら俺が傍にいる。やると決めたなら俺が背中を押してやる。だから・・もう少し自分を信じてみろ。俺は袁紹を見捨てたりしないから。」


紹「御剣さん・・。」


袁紹は振り返り、俺の胸に顔を埋める。


紹「少し胸をお貸しなさい。今、あなたに顔を見られたくはありませんわ。」


昴「・・そうか。」


俺は優しく袁紹の頭を撫でた。袁紹は微かに震えていた。


紹「ありがとう・・。」


袁紹は一言呟いた。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



紹「お、お恥ずかしいところを見せてしまいましたわね//」


昴「誰にだって弱さはある。気にするな。」


紹「そ、そうですわね。」


しばらくするといつもの調子を取り戻したようだ。


紹「・・御剣昴様。」


昴「ん?」


様?

振り返ると袁紹が片膝を付き、右拳を左手で包んだ。


麗「姓は袁。名は紹。字は本初。真名は麗羽。この真名を御剣昴様にお預けし、あなたに忠誠を誓いますわ。」


袁紹・・。


昴「俺達は仲間だ。臣下の礼なんて不要だ。」


麗「いえ、わたくしはまだ御剣昴様に何もお役に立つことができません。それまでは仲間とおっしゃっていただくわけには参りません。わたくしにできることが見つかるまではこうさせてくださいな。」


昴「・・分かった。そこまで言うならな。・・後君の真名、確かに預かったよ。麗羽。」


麗「ありがとうございます。御剣様。」


俺は手を差し出し、


昴「帰ろう。皆が心配してるだろうからな。」


麗「はい!」


麗羽が手を取り、城へと歩き出した。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



やがて城に着き、麗羽を送った後、部屋にと戻る。愛紗にはこっぴどく怒られたが。


昴「ん?」


部屋の前に着くとそこには猪々子と斗詩がいた。


昴「2人ともどうした?」


斗「あの、ありがとうございます。」


昴「何がだ?」


猪「麗羽様の事、アニキのおかげで元気になったんで礼に来たんだ。」


昴「礼には及ばないさ。・・ところで一度聞きたかったんだが、2人は何で麗羽に仕えたんだ?2人なら他にもいくらでも士官先はあっただろ。」


猪「・・まあ正直、初めは麗羽様の事はかなり嫌いだったよ。我が儘だし人の話は聞かないし。」


斗「私も猪々子と同じでした。・・けど私達見ちゃったんです。麗羽様の部屋で麗羽様が1人で泣いてるところを。」


猪「それ見て麗羽様を放って置けなくてなってずっと仕えてたんだ。あの時の麗羽様、つらそうだったから。」


昴「なるほど、2人がいたから麗羽は救われたんだな。1人だったら麗羽を救うことが出来なかっただろうな。」


猪「そんな!」


斗「私達は結局麗羽様に何も出来ませんでしたし。」


昴「そんなことはないさ。・・2人とも、これからも麗羽を支えてやれよ。」


猪「当然だろ!アニキも麗羽様の事頼むな。」


昴「出来る限りのことはするよ。」


斗「ありがとうございます。それじゃ、文ちゃん、行こう?」


猪「おお!アニキ、またな!」


昴「ああ、またな。」


猪々子と斗詩は戻っていった。


昴「さて、俺も残りの仕事を片付けるとしますか。」


俺は部屋に戻った。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



翌日から麗羽は変わった。今までは騒ぎを起こしたりなど、何かと騒動の種になることばっかりしていたのだが、今では己を高めるためる事にただがむしゃらに頑張っているようだ。


星「最近の袁紹は人が変わったようですな。」


愛「星もそう思ったか。」


星「ああ。私に武術を教えてほしいと言った時は我が耳を疑ったぞ。」


愛「私の所にも来たぞ。」


朱「私の所には軍略や政に関する書を貸してほしいって言ってきました。」


雛「私もです。」


愛「一体何があったというのだ・・。」


昴「それで、見所はあるのか?」


星「・・率直に、才に関してはあまり期待出来ないでしょう。しかし、必死に何かを掴もうとしているのは伝わる。そういう者は才に関係なく伸びるでしょう。」


昴「なるほど。」


いい方向に進んでくれているみたいだな。

星が俺に顔を覗かせ、


星「ふむ・・主よ、何かしたのですか?」


昴「特には、な。少し背中を押してあげただけだ。」


星「なるほど・・あの袁紹を・・やはり主には驚かされる。」


とまあ、こんな感じだ。俺も麗羽に会った時は驚いた。










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



それは城の廊下を歩いている時だった。


昴「よう。麗・・羽?」


驚いた。以前は長い髪を2つのロールにしていたんだが、今は髪を1つに束ねた、いわゆるポニーテールだ。


昴「髪型変えたんだな。」


麗「ええ。あれは整えるのに時間が掛かりますから。今は時間が惜しいのです。」


昴「そうか。」


変わったな。変わったのは髪型だけじゃない。麗羽の目。とても強い目だ。何かを掴もうと、何かを目指そうとする強い目。桃香や華琳、雪蓮と同じ強く真っ直ぐな目だ。もし、昔に麗羽を導いてくれる者がいたら。また違ってたのかもしれないな。まあ、たらればなんて言い出したらキリがないがな。


昴「邪魔して悪かったな。」


麗「いえお構い無く。それでは失礼致しますわ。」


昴「ああ。」


麗羽は立ち去った。おそらく鍛練に向かったのだろう。


昴「俺も負けていられないな。」


俺も自分を鍛えよう。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



ある時、ちょっとした問題が起きた。それは、益州の旧劉璋派の豪族の1人が従わないことだった。1番の問題となっているのがその場所だ。益州の端の境目近くにその豪族がいるため、華琳辺りに万が一寝返られたら益州の一角をみすみす渡すことになる。それだけは避けたい。通告を出したが無視をするといった具合だ。


愛「従わないのなら兵を動員して降らせましょう。」


星「それは最終手段だ。ただ力で制圧しては人心はすぐに離れてしまう。」


朱「星さんの言うことも尤もです。しかし、あまり時間を掛けられる問題でもありません。」


愛「ではどうする?」


雛「再度通告して、それにも応じなければ兵を動員して降らせるしかありません。」


昴「妥当だな。それじゃ、もう一度使者を・・。」


麗「その役目、わたくしが引き受けますわ!」


昴「麗羽がか?」


麗「要はあの豪族達を降らせれば良いのでしょう?」


昴「そうだが・・危険だぞ?」


最悪殺されるかもしれない役目だ。


麗「覚悟の上ですわ。」


昴「・・・分かった。この役目、麗羽に任せる。」


麗「承りました。それではすぐに出立致しますわ。」


麗羽は部屋を出ていった。


愛「・・ご主人様。袁紹では逆に相手を怒らせるだけではないのですか?」


昴「それは、分からないぜ?」


星「まあ愛紗よ。袁紹でなくてもどのみちうまくはいかぬだろ。我々は兵をまとめておこう。」


愛「うむ。それもそうだな。」


皆も同意見のようで、各々戦の準備を始めようとしていた。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



その1週間後、麗羽からの伝令が届いた。内容は、


『豪族は見事こちらに降りましたわ!』


との事だった。これには皆空いた口が塞がらなかったようだ。誰もが失敗で終わると予想していたからだ。麗羽の活躍により、俺達の問題事の1つが解決した。


昴「ふむ。」


麗羽の出来ること。見えたかもしれないな。俺達に唯一に足りない人材、それは、


外交官。


正直俺達の軍には交渉事に向いてる人材がいなかった。愛紗と星は軍の中枢だから駄目。鈴々は絶対に向いてない。朱里と雛里は人見知りな上にカミカミだから駄目だろう。その他にも・・駄目だな。強いて挙げれば紫苑ぐらいなもんだな。そういえば麗羽は弁が立つし、どんな状況でも物怖じしないから向いているかもしれないな。外交官の存在は助かる。場合によっては無用な戦を避けれるからな。今回のように。

・・・うん。いいかもしれないな。麗羽が帰還したら早速打診してみよう。


麗羽が劉備軍での大きな役割を得て、劉備軍の仲間になった瞬間だった。










続く




どうだったでしょうか?途中の一般人の()は麗羽のみに聞こえた幻聴です。実際麗羽ってこんな感じなのではと勝手に想像して書いて見ました。袁家にだって猪々子や斗詩以外にも将はいるだろうし、陰口叩いたり麗羽を利用しようとしている人間もいたのではと・・。


感想、アドバイスお待ちしています。


それではまた!

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