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第23話~運命との戦い、決死の鍼~

完成です。今回の出来は・・・正直イマイチです。


それではどうぞ!

昴side


昴「はぁ、今日も忙しかったな。」


賊がまだまだ活発化してるから仕事は当然多い。邑邑や土地は荒らされるし、荒らされたら当然整備し直さなきゃならない。各地から流れてくる流民の対応もしなきゃならない。放っておけば賊に成り下がって各地で暴れて、また、整備・・・の連鎖になる。それにしても、冥琳は俺が来るまで膨大な量の書簡をこなしていたわけだ。よく体壊さなかったな。

お?前方からやってきたのは冥琳か。


冥「む、昴か。仕事は終えたのか?」


昴「まあな。」


冥「昴は仕事速くて助かる。」


昴「それほどでもないさ。そっちの仕事はまだ終わらないのか?もう夜更けだってのに。」


冥「後少しで終わる。そうすれば休むさ。」


昴「体を大事にしろよ?」


冥「案ずるな。雪蓮の筆頭軍師である私がこのようなところで倒れるわけにはいかないからな。」


昴「まあそれもある・・けど・・。」


何だ、今一瞬何かが・・。


冥「どうした?」


昴「いや、何でもない。」


冥「心配せずともすぐに休む。ではな。」


昴「あぁ、またな。」


冥琳は部屋に戻っていった。


昴「・・・。」


何だろう、さっきから何か引っ掛かってるんだけど・・まあいいか。俺も休むかな。

俺は部屋に戻り、眠りに落ちた。








※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



翌日、俺は街の警邏に出ている。他の将は現在重要な軍議中。俺は言うなれば客将みたいなものなので軽い軍議には参加するが、重要な軍議には参加しない。じっと待ってるのも退屈なので兵達と一緒に警邏をしている。


昴「・・・。」


昨日から何か頭の中で引っ掛かってる。その何かが分からない・・・。


昴「・・・。」


兵A「御遣い様、いかがなされました?」


昴「えっ?」


兵B「先程から心ここに在らずといった御様子ですが・・。」


昴「ああ、悪いな、少し考え事をしていただけだ。」


兵A「そうですか、御体がすぐれないのであれば警邏は我々が行いますので、城で御養生ください。」


昴「心配いらない。本当に大丈夫だ。」


兵A「それならばいいですが・・・。」


考え事に集中し過ぎてボーッとしてたみたいだな。


兵A「そういえば、あの食堂の給仕の娘とはどうなったんだよ?。」


兵B「別に何もない。」


兵C「こいつ、別れたんだよ。」


兵A「何ー!ホントかよ!?」


兵B「別に、たいしたことない。」


兵C「何言ってんだ。顔も目も真っ赤にして大泣きしたくせに。」


兵B「う、うるさい、まだ警邏は終わってないんだ、次行くぞ!」

兵A・C「ハハハッ!」


兵達が下世話な話をしている。


昴「話しながらでも構わないが、仕事はきっちりこなせ・・。」


何だ、今、頭の中で何か繋がった。さっきあの兵は何て言った?


『顔も目も真っ赤に・・』


確かそう言った。何かが引っ掛かる。何かが・・・!?

そうだ、昨日最後に会った冥琳。確か・・・!?・まずい、もし俺の思ったとおりなら!


昴「すまない、俺は城に戻る。後の警邏は任せた!」


兵A「り、了解しました!」


俺は大急ぎで城に戻った。








※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



俺はとにかく急ぐ。もし俺の思ったとおりなら。頼む、杞憂であってくれ!

俺は走り続け、会議行われている一室にたどり着いた。


「御遣い様、まだ軍議は終わっておりませんので用件は後程・・、」


昴「悪い、事は急を要する。通らせてもらうぞ。」


「み、御遣い様!?」


扉の前で番をしていた兵士の制止を振り切り、部屋に飛び込んだ。


バン!


扉を乱暴に開ける。皆の視線が俺に集まる。


祭「何じゃ昴、まだ軍議の途中じゃぞ?」


昴「すまない。」


冥琳は・・いた!


昴「冥琳、少しの間ジッとしていてくれ。」


俺は冥琳の目を見つめる。


冥「昴よ、突然何を・・。」


冥琳の瞳の眼球の色素がわずかに薄い。


昴「冥琳、手を出してくれ。」


冥「な、何だと言うのだ。」


冥琳はおずおずと手を差し出す。俺は冥琳の手を両手で包み、冥琳の氣を調べる。


昴「(頭・・胸にかけては違う。そこから下・・!?・やっぱり・・。)」


嫌な予感が当たってしまった。


昴「明命!」


明「は、はい!」


昴「この街には華佗という医者がいる。今すぐ連れてきてくれ。」


明「医者ですか?」


昴「早く!」


明「はい!分かりました!」


言うとすぐに部屋を飛び出していった。


雪「何?いったいどうしたの?」


昴「それは華佗が来たら説明する。」


華佗。あいつがいればもしかしたら・・。





・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・



明「お待たせしました!連れてまいりました。」


明命の傍に赤い髪をした男が立っていた。


昴「久しぶりだな、華佗。」


佗「昴か!久しぶりだな!」


華佗とは雪蓮や華琳、桃香と出会う前、賊に襲撃を受けた後の邑に寄った際、負傷者の治療をしていた男がいた。それが華佗だった。俺も自身の内功の治癒術を用いて、邑人の治癒を行った。その際に知り合った。


昴「相変わらず元気そうだな。早速で悪いが彼女を診てほしい。」


佗「分かった。・・失礼するぞ?」


華佗が冥琳の診察を始める。


佗「・・ここは、違うな。ここか・・・なっ!?・・これは!?」


昴「気付いたか?」


佗「ああ!これは・・。」


雪「ねえ、さっきからそっちばっかり盛り上がって、そろそろ説明してほしいんだけど。」


昴「そうだな、率直に言う。冥琳は病魔に冒されている。」


雪「え?」


冥「なっ!?」


「「「「!?」」」」


昴「それもかなり厄介な病魔にな。」


冥「待て、私は別に何ともないぞ。」


昴「冥琳本人にまだ自覚症状はないだろうが本当だ。」


雪「そんな、嘘でしょ!?」


佗「本当だ。彼女の肺の辺りの氣が乱れている。おそらく悪性の病魔だ。」


祭「冥琳は大丈夫なのか!?」


昴「このままじゃまずい。放置すれば数年と経たぬうちに・・・・・・死ぬだろうな。」


冥「!?・・なん・・だと・・。」


額に手を当て、恐怖する。


昴「いや、発症したばかりだから今から処置をすればまだ間に合うはずだ。」


祭「本当か!?」


昴「ああ、必ず。華佗、冥琳、周瑜を助ける方法は2つだ。1つは病魔の原因を直接切除し患部を取り除く。確か華佗は痛みを消す薬ってのを持ってたよな?」


佗「麻沸散のことか?毒の治療をするのに使う散薬だが、体を切除するならあれでは駄目だ。軽く体の一部分を開くならともかく、腹全体を開くとなると麻沸散でも効き目が足らないだろう。」


昴「なら方法は1つしかない。以前に華佗がやっていた、氣を込めた鍼を患部に打ち込み、病魔を退散させる。」


佗「・・・。」


雪「どうしたの・・、その方法なら治せるんでしょ?」


佗「・・理屈では治せる。・・しかし。」

華佗が悔しげな顔を浮かべ、


佗「この病魔を退散させる為には膨大な量の氣が必要だ。俺の氣だけではとても足りない・・・。」


祭「なん・・じゃと・・。」


雪「そんな・・嫌よ・・・冥琳がいなくなるなんて絶対嫌よ!」


雪蓮の声が部屋に響き渡る。


昴「ふぅー、何とも巡り合わせだな。」


蓮「?・・どういうことだ?」


昴「この国に俺と華佗がいたことが、だ。」


祭「どういうことじゃ!?」


昴「華佗が足りない分の氣は俺が補う。それで解決だ。」


祭「!?・・そうか、昴もかなりの氣の使い手じゃったな!」


佗「いやしかし、人間はひとりひとり氣の種類が違う。俺とは別の氣が混じっても意味を成さない。」

昴「だろうな。だけどな、これを見な。はぁっ!」


俺は手に氣を集中させる。手が仄かに光を帯びた。


佗「俺と同じ氣!?馬鹿な、何故俺と同じ氣をお前は持っている!?」


昴「俺の治療術たる内功の極意は傷を癒す対象の氣と同調、つまり同じ氣を傷口にかざし、治癒を促す。他人の氣を真似るなんて造作もない。幸い、俺と華佗の氣は似通ってるから真似るのも楽だ。」


佗「何てことだ。行ける。行けるぞ!昴の氣が加われば病魔を退散させることができるかもしれない。」


雪「冥琳は助かるの?」


昴「助かる。いや俺達で必ず助ける。華佗、始めよう。」


佗「分かった。それでは周瑜さん、そこに立ってくれ。」


冥「ここで良いのか?」


佗「ああ。昴、俺の肩に手を。そこから俺に氣を送ってくれ。」


昴「了解。」


華佗の肩に手を置き、神経を集中させる。


昴「スー、ハー。」


一回深呼吸をする。


行くぞ!


昴「ハァァァ!」


同調させた氣を手に集中させ、華佗に送り込む。


佗「いいぞ、その調子だ!」


俺の氣をどんどん華佗に送り込む。


昴「華佗!まだか!?」


佗「まだだ!まだこれでは足りない!」


くそっ!まだか!

目一杯の氣を華佗に送り込む。


佗「これでは不十分だ!これではまだ!」


限界一杯まで氣を高めているのに!だったらその限界を越える!

氣功闘法の奥義、七星閃氣。


昴「貪狼、解放!」


俺の体全体が青く輝き、氣が一気に膨れ上がる。


昴「(ぐっ!氣の同調計りながら氣を拡張させると体にかかる負担が尋常じゃない!)まだか!」


佗「後少しだ!」


くっ、仕方ない、もう一段階拡張させるしかないな!氣を同調させながらもう一段階拡張させたら・・・体持つかな?けど・・・やるしかない!


昴「巨門、解放!」


俺の氣が更に膨れ上がる。


ズキッ!


くそっ!体が・・!?


昴「ゴホッ!」


俺の口から血が吐き出された。


雪「昴!?」


楓「旦那!」


祭「お主、まさか氣を無理やり拡張させておるのか!?」


雪「どういうこと!?」


祭「昴は何らかの方法を使い、氣の容量を拡張させておる。じゃが自身の限界を越える氣を出しておるのじゃ、このまま続けたら昴は・・。」


雪「!?・・昴!」


冥「昴!もう止めろ!このままではお前が!」


昴「構う・・かよ!助ける・・絶対に・・助ける!もう、死なせない。誰も、絶対に・・死なせねぇ!」


身体中激痛が走る。もう少しだ。もう少しもってくれ!


佗「よし!これだけの氣があれば行けるぞ!」


華佗が鍼を天に掲げた。


佗「はああああっ!」


集めた氣が鍼に集まる


佗「我が身、我が鍼と一つなり!全力全快!必察必治癒・・病魔覆滅!げ・ん・き・に・なれぇぇぇぇぇぇっ!」


金色に輝い鍼を冥琳の胸の中心に打ち込む。部屋全体が眩い光につつまれた。やがて光はおさまり。


佗「病魔・・退散!」


雪「どうなったの?」


佗「病魔は滅することに成功した。」


祭「それでは!」


佗「しばらくは安静にしてもらいたいが、もう心配ない。」


そうか・・・助け・・られたんだな・・良かっ・・。


俺は冥琳の無事を確認しそのまま意識を手放した。


「「「「昴(様)(旦那)!」」」」







※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



昴「・・・うっ。」


ここは・・。


昴「知らない天井・・・ではないな。」


俺の部屋だな。


佗「目が覚めたようだな。」


昴「華佗か・・、俺は・・そうかぶっ倒れたわけか。」


佗「限界を越えた氣を放出したんだ、しばらく安静にしていろ。」


昴「俺はどのくらい眠っていたんだ?」


佗「丸2日といったところだ。」


昴「随分と寝てたんだな。」


七星閃氣を同調させながら使ったから当然か・・。


昴「仕事随分貯まってるんだろうな・・。俺はいつから仕事に復帰出来るんだ。」


佗「これから体の回復を早める為に鍼を打つ。激しく体を動かさないのであれば明日にも大丈夫だ。」


昴「そうか、助かる。」


佗「それにしても、周瑜の病魔によく気が付いたな。俺でさえはっきり診なければ見逃してしまうほどの病魔だっていうのに。」

昴「・・冥琳の瞳だ。」


佗「瞳?」


昴「あの病気は発症すると瞳の色素が僅かに薄くなるんだ。俺が初めて冥琳、周瑜に会った時に比べて薄かったのに違和感を覚えたから気付くことができた。」


と言っても、瞳の色素が薄くなったからといって必ずしも病気が発症したというわけではないけどな。


佗「そんなことで分かるのか?」


昴「命に関わる病気は大概体や行動に初期症状が現れる。俺はそれで病気の判別をしている。」


佗「・・やはりお前は面白いな。五斗米道ですら分からないことを知っている。」


昴「必ずしも、前兆が現れたら病気だってわけじゃないけどな。やはり氣の歪みを診たほうが確実だ。」


佗「それでも勉強になる。・・おっと、少し喋り過ぎたな。そろそろ鍼を打つぞ?」


昴「ああ、頼む。」


佗「血の流れを正し、体の回復を早めるツボは・・、ここだぁぁぁっ!いっけぇぇぇぇ!五斗米道ぉぉぉぉっ!」


光り輝く鍼が俺に打ち込まれる。


ビガァーーーン!


佗「これで大丈夫だ。」


昴「お?お?」


相変わらずやかましいが華佗の治療はさすがだな。


佗「俺は皆に昴が目を覚ましたことを伝えてくる。安静にしていろよ?」


昴「ああ、いろいろとすまんな。」


佗「ではまたな。」


華佗は部屋から出ていった。


昴「ふぅ。」


丸2日寝ててもまだ疲れは取れないな。

しばらく物思いに耽りながら過ごしていると。


ガチャ。


昴「ん?」


部屋の扉が開かれる。そこに立っていたのは。


昴「冥琳。」


冥「華佗から目を覚ましたと聞いて一足先に来させてもらった。構わないか?」


昴「構わないよ。」


冥琳が俺のベッドの側の椅子に腰掛ける。


冥「・・すまない。」


昴「何のことだ?」


冥「私のせいで昴がこのようなことに。」


昴「俺が好き好んで勝手にやったことだ。気にするな。」


冥「しかし!・・・けれど何故だ?何故お前はそうまでして私を・・。」


昴「何故って、理由は必要か?誰かを助けるに小難しい、理屈や理由が?」


冥「もうこのような無茶をしないでくれ。お前が倒れた時、私は怖かった。私のせいでお前が死ぬんじゃないかって。」


昴「俺は生きてるだろ?」


そう言うと冥琳は俺を抱きしめた。


冥「馬鹿、私や皆がどれだけ悲しんだと思っているんだ。」


昴「冥琳・・・。」


冥「お前はいつか私達の元を離れる。私達の関係は言わば利害の一致による共闘に過ぎない。それでも・・それでも私はお前に死んでほしくない。お前を失いたくないんだ!だから、自分を犠牲にするようなことはするな。それで私だけ生き残っても私はどうすれば良いのだ?」


昴「・・・すまない。俺は・・ただ俺は冥琳を救いたかった。助けたかった。」


ただそれだけだった。わかっていたはずなのに、残される人間がどんな気持ちなのか、よくわかっていたはずなのにな。


昴「本当にすまなかった、冥琳。」


冥「いや、こっちこそ。本当はこんなことを言いたかったわけではないんだ。全く、私はとんだ恩知らずだな。」


昴「冥琳の言うことは最もだ。俺はなんだかんだ言って自分のことしか考えていなかった。」


冥「いや、そんなこと・・・やめよう。このままじゃ平行線だ。とにかくすまな・・いやありがとう、昴。」


昴「ハハッ、どういたしまして。」


何か照れくさいな。


冥「昴、1つ約束してくれ。」


昴「何だ?」


冥「もう無理はするな。皆を悲しませるような事はしないでくれ。」


昴「・・・。」


冥「約束してほしい。」


昴「・・分かった。約束するよ。」


皆を悲しませたくはないし。それに、俺にはまだまだやることがあるしな。


冥「そうか・・では・・、」


冥琳が俺に顔を近づけ、そして、


チュッ。


俺の頬に口づけをした。


昴「め、冥琳!?」


冥「これは約束の証だ決して約束を破らせないためのな。」


昴「・・・//」


冥「今日はゆっくり休め。ではな。」


冥琳は部屋から立ち去った。


昴「ったく//」


冥琳があんなことするなんてな。・・・・それにしても、柔らかい唇だったな・・・。


昴「はっ!?俺は何を・・。」


とにかく、今日はもう寝よう。明日から冥琳の顔見れるかな?まあいいや、寝よ!

俺は深い眠りについた。俺は翌日から仕事復帰を果たせた。








続く




以上、冥琳の拠点でした。少しキャラ崩壊かなって感じはしますね。


感想、アドバイスお待ちしています。


それではまた!

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