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第16話~荊州掃討戦、完全無欠の単騎駆け~

ついに賊との決戦です。正直にわか兵法です。自分の頭ではここらが限界でした。矛盾等おかしな点もあるかと思いますが、ご都合主義ということでご容赦を。それではどうぞ!

楓との模擬戦も終わり、現在天幕にて軍議が行われている。


冥「さて、賊共はこの先3里程のところに陣を構えている。数は約1万5千だ。対するこちらは蓮華様の隊と合流して兵力が7千までになったが・・、」


祭「それでも兵力差はこちらの倍、厄介よのう。」


甘「兵の質、将の質ともにこちらが上ですがまともにぶつかるのは得策ではありません。」


ふむ、そのとおりだな。


冥「勝利するだけなら容易い。だがただの勝利に意味はない。勇名武名を轟かせ、かつ犠牲を最小限に抑えなければ意味がない。穏、何か策はあるか?」


穏「はい~、いくつか策は浮かびましたが~、どうしてもこちらに被害が出てしまいます~。」


穏は悲しそうに答えた。一同が唸りながら策を考えていると・・、


雪「昴、あなたの策を聞かせてちょうだい。」


雪蓮が尋ねると皆が俺の方を向く。


昴「・・少し待ってくれ。」


密偵の報告によると賊は3里程先の平地に陣を構えている。数はこちらの倍以上。俺達の勝利条件としては、


・犠牲を限りなく最小限に抑える。


・勇名、武名を轟かせるような戦をする。


この2点が絶対条件。辺りの地図を見る限り、障害物等は特にない。せいぜい近くに森があるぐらいか。・・ならとる策はこれしかないな。


昴「皆、これから俺の策を説明する。」


皆が息を飲む。


昴「まず雪蓮を先頭に少数の精兵を率いて賊に斬り込んでもらう。」


権「なっ!?」


祭「なんじゃと!?」


昴「続けるぞ?賊に斬り込み、ひとしきり戦闘を行い、頃合いを見てこの森まで退く。他の隊は森を包囲する。」


俺は地図を指差しながら説明する。


昴「森まで退いて賊を森に誘導したらあらかじめ森を包囲しておいた他の隊は森に火を着ける。ここのところ雨は降ってないし生えてる木々はほとんど燃えやすいものばかりだし、その上木と木の間隔が割りと狭いからすぐに燃え移るはずだ。」


ごくり。そんな音が聞こえるくらいこの天幕は静まりかえっている。


昴「後は火から逃れて蜘蛛の子散らすように森から飛び出した賊を一網打尽にする。とりあえず大まかな策はこんなかんじだ。」


権「しかしそれではあまりにも姉様が危険過ぎるわ!賊への斬り込みもその後の森でも、姉様にもしものことがあったら・・、」


昴「その時はそれが天命なんだろ?」


権「貴様!何を他人事のように・・、」


昴「孫権。この策以上に被害を抑え、風評を得る策はない。だいたい、戦では常に危険隣り合わせなんだ。危ないとか危険なんて言ってたら戦なんかできやしないぜ。それにな、何かを得るにはそれ相応の対価がいる。今回の戦は危険という対価を払い、風評を得るわけだ。」


権「そうだとしても・・・、」


雪「蓮華、昴の言うとおりよ。私達が孫家を復興させるためにはある種の危険、時には博打もする必要だってあるわ。私達には手段を選んでいる余裕はないの。だから聞き分けなさい。」


権「・・・。」


昴「孫権、いずれ君も王として国を背負う立場になるかもしれないから言っておく。確かに不用意に危険を犯したり博打をするのはよくない。だがな、危険を犯すことも博打をすることも出来ないんじゃ国を、ましてや乱れた世で王として国を守ることは出来ないぜ。例えば、兵と将ともに質が拮抗した状態での戦になったらたちまち敗北するぞ?何せ博打をしない心はこれ以上になく読みやすい。これは武にも言えることだがな。楓は良く分かるだろ?」


楓「まぁ、確かにな。」


昴「心配は最もだが、所詮相手は賊だ。もはや博打という言葉すら当てはまらないよ。」


権「・・・冥琳それでは良いのか?」


冥「・・本音を言えば雪蓮を危険に晒すのは賛成出来ないが状況が状況だ。多少の危険は否めない。」


権「皆はどうなの?」


孫権が皆に問い掛ける。全員理解出来るが納得は出来ないといった感じだ。ここで雪蓮まで失ったら孫家復興が更に後退するからな。しかし、このまま策を実行しても不備が出る可能性があるな。あまりに士気が低い。


昴「さっきもし雪蓮に何があったらその時はそれが天命だと言ったがそれは半分冗談だ。」


権「冗談?」


昴「あぁ。先陣には雪蓮と共に俺も立つつもりだからな。」


権「!?・あなた自身が!?」


昴「あぁ、策の立案者は俺だし、それに雪蓮の護衛と共に撤退や森の放火の合図を出す人間が必要だからな。」


祭「だからといってお主自身が先陣を切ることはあるまいに。」


昴「俺はここでは文官やってるけど本来は武官なんだ。だから後ろで指揮を取るのは性に合わない。それに寝泊まりさせてもらっている恩義も返さないといけないしな。」


冥「恩義という意味ではこちらも大いに助かっているがな。」


文官の仕事多いからなぁ。雪蓮はよく政務サボるし。


昴「心配するな。この策は必ず成る。何せ今の孫家には天が付いてるんだぜ?」


親指で俺を指しながら言った。


「「「「・・・・。」」」」


皆唖然としている。すると、


冥「ふふっ、確かになそうだな。」


祭「今儂らには天の遣いが付いておるんじゃったのう。」


穏「確かにそうですね~。自分で言うのはどうかと思いますけど~。」


言ってちょっと恥ずかしかったし。


雪「昴の言うとおりよ。私達には天が付いてるわ、私の背中には常に天の御遣いたる昴がいるわ。たかが賊など恐るるに足らないわ。だから皆、今は私と昴を信じてちょうだい。必ず無事に戻ってくるわ。」


俺も続く。


昴「俺は今は孫家の天の御遣いだ。雪蓮は命に代えても守り抜く。だから俺と俺の策と皆の力を信じてくれ。孫家の未来と荊州の民達の為に。」


俺は誠心誠意をもって皆に問い掛けた。


冥「ふむ、私は昴と昴の策、信じよう。」


祭「儂も昴に賭けよう。策殿を任せるぞ。」


穏「私達も頑張りますので~、昴さんも頑張ってくださいね~。」


楓「昴の旦那!大将を任せるぜ!」


権「・・・。」


冥「蓮華様・・。」


権「・・分かった。貴様を信用してやる。もし姉様に何かあったら・・、」


昴「その時は焼くなり煮るなり好きにしろ。」

権「ふん!確かに聞いたからな。その言葉、必ず守れ!」


昴「言われるまでもない。」


雪「話は纏まったわね。皆直ぐにでも動くわよ。この一戦はただの一戦ではないわ。孫家復興のための一歩と心得なさい。それでは解散!」


「「「「了解!」」」」


雪蓮の一言を皮切りに皆が動き出した。






※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



場所は変わってここは最前線、今俺は雪蓮と軍の先頭を歩いている。


雪「あなたも大胆な策を考えたものね。冥琳なら絶対にこんな策は立てないわね。」


昴「だろうな。俺も冥琳と同じ立場なら思い付いても進言しづらいな。」


雪「あら?やっぱり他人事なのかしら?」


昴「まさか、雪蓮が王だったから成立する策さ。雪蓮以外の王ならまた違う策をとっただろうな。・・・どうした?やっぱり止めるか?」


雪「それこそまさかよ。私好みの策だし、何より、最近袁術からの我が儘でかなり頭きてたからここらで大暴れして憂さ晴らししたかったのよね~。」


私情バリバリじゃねぇかよ・・。


昴「暴れるのは結構だが作戦を忘れるなよ。もたもたしてたら置いていくからな。」


雪「私に何かあったら責任もって蓮華と孫家を復興させてね♪」


昴「その前に俺の頸が飛ぶがな。」


孫権絶対するだろうな。


昴「まぁとにかく無理はするな・・・賊の先頭が見えてきたな。」

前方目と鼻の先に賊は布陣していた。


昴「ま、俺も最近は政務尽くしでかなり身体鈍ってたからな。ちょうどいい運動だ。」


雪「あら、結局昴も私と一緒じゃない♪」


昴「誰かさんが政務ほったらかしてサボるからな。」


雪「・・ごめんなさい。」


自覚あるならちゃんとしてくれ。


昴「さてと、冗談話はここまでにして、始めるか?」


雪「そうね。」


雪蓮が大きく深呼吸し、そして、


雪「勇敢なる孫家の兵達よ!いよいよ我らの戦いを始める時が来た!新しい呉のために!先王、孫文台の悲願を叶えるために!天に向かって高らかに歌い上げようではないか!誇り高き我らの勇と武を!剣を振るえ!矢を放て!正義は我ら孫呉にあり!」


「「「「うおおおぉぉぉぉ!!」」」」


兵達が雪蓮の言葉に雄叫びをあげる。俺も行くか。


昴「皆何も恐れることはない!皆には天より舞い降りた御遣いたる俺がいる!お前達には天の加護が、賊には天罰を下るだろう!誰1人無駄死にはさせない!皆の活路は俺が開く!皆存分に奮闘せよ!天命は我らにあり!」


「「「「うおおおぉぉぉぉ!」」」」


兵達の士気がさらに上がる。


雪「全軍抜刀!」


シャキ!


兵達の剣が抜かれる。


昴・雪「「全軍、突撃せよ!」」


俺と雪蓮は同時に飛び出した。





※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※




雪「ふふっ、ゾクゾクしてきたわ。暴れたいように暴れるわ。私を楽しませなさい!」


昴「雪蓮!後ろが付いてきてないぞ!自重しろ!・・・あぁもう聞いちゃいねぇ。」


雪蓮は兵を置き去りにして事実上単騎駆けを始めた。


昴「!?」


前方に弓を構えた賊が目についた。あのままじゃ接敵する前に一矢放たれる。


昴「させるかよ!」


俺は鞘に納められた村雨に手を当て、


昴「北辰流抜刀術・・、」


村雨に氣を込め、


昴「斬・月!」


抜刀と同時に研ぎ澄ました氣を込めた斬撃が賊に放たれる。


ヒュッ・・・ブシャアア!


「うぐ!」


「ギャアァ!」


「うげっ!」


前方の弓を構えた賊はたちまち真っ二つに裂かれた。


「あ、慌てるな、早く矢を・・、」


雪「遅いわよ!」


「ギャー!」


弓隊を指揮をしてたであろう賊は雪蓮の剣によって斬り裂かれた。


昴「はぁー!」


宿地で一気に賊との距離を詰めて村雨で4人を斬り裂く


雪「遅いわよ!」


昴「待たせたな!」


俺と雪蓮で賊の陣に穴を空けていく。後続の兵もようやくたどり着き、戦闘を始める。


雪「あはは、楽しい~♪」


昴「雪蓮の奴、完全にトリップしてるな・・・せい!」


俺と雪蓮で賊を葬って行く。


「調子に乗りやがって、死ね!」


ヒュッ!


俺の後ろから2本の矢が放たれる。


パシッ!


俺は左手の人差し指、中指、薬指で矢を挟み、


昴「フッ!」


「ギャア!」


矢を放った賊にそのまま投げ返した。


雪「あなた背中に目でも付いてるのかしら?」


昴「このくらい、朝飯前だ・・・まだまだ来るぞ!」


雪「ふふっ、私達だけで全滅出来るんじゃないかしら?」


昴「無理言うな、先に体力が尽きちまう。」


その後しばらく俺達は戦い続けた。俺と雪蓮が先陣を切ったため兵達はかすり傷をおった程度である。

頃合いだな。


昴「雪蓮!退くぞ!」


雪「そうね、皆退け!退きなさい!」


雪蓮の言葉を合図に兵達は退いていく。


昴「殿は任せろ!皆疾く退け!」


俺は隊の後方に付き敵を迎撃しながら後退する。


程「憎き官軍は我らに恐れをなしたぞ!逃がすな、殺せ!」


ん?あれはこの賊を率いている程遠志か?さっきまで後ろ居やがったくせに有利と見た瞬間出てきたな。


雪「何あれ?さっきまで後ろでこそこそしてたくせにこっちが退いた途端急にやる気出しちゃって・・・殺ってもいい?」


昴「直ぐに地獄行きなんだからほっとけ。それより森に入るぞ。考えようによってはこっちのほうが危ないんだからな?」


雪「了解。皆森に入るわ、ちゃんとついてきなさい。」


俺と雪蓮は先頭に移動し、森の中へ突入した。


森をしばらく進んでいると、前方に森の出口が見えた。


昴「よし、ここだな。それじゃ、合図を出すぞ。はぁ!」


俺は村雨に氣を込めて、


昴「行けぇ!飛龍衝撃!」


氣で作成した龍を空に撃った。


昴「森の外まで急げ!巻き込まれるぞ!」


俺と雪蓮と兵達は駆け足で森を抜けた。






※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※


冥琳side


冥「!?・・森の中から龍・・昴からの合図だ皆ただちに火を放て!」


指示を受けた兵が火矢や火の付いた薪を森に投げ込む。水気のない木はたちまち木から木へ恐るべき早さで燃え移る。


冥「策は成った!後は森から飛び出した賊どもを一網打尽にしろ!」


全てが思惑通りに進んだ。さすが天の御遣い、御剣昴だ。この戦、もはやこちらの完勝は揺るがないだろう。





※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



賊・程遠志side


官軍の兵が森の中に逃げ込んだ。


程「官軍どもを逃がすな!追え追えい!」


くくくっ、何やら2人が斬り込んで来たときは肝を冷やしたが所詮は数の前では無意味だ。見つけ出して楽しんだ後にでも殺ればいい。


「いないな。」


「こちらにもいません。」


程「つべこべ言わず探せ!役立たずは斬り捨てるぞ!」


ふん!使えない奴らだ。ここで官軍を退けられればもはや波才なんぞにでかい顔はさせん!くくくっ、今から楽しみだな・・・それにしてもさっきからやけに暑いな。それに妙な臭いが・・・。


「も、森が燃えてるぞ!」


「火だ!火が来るぞ!」


「助けて・・・ゴホッゴホッ!」


森が・・森が燃えている・・!?くそ!奴らはこのために森に、


程「森から離れろ、急げ!」


くそ!こんなところで死ねるか!


辺りには火や煙、倒れた大木の下敷きになった死体が目につく。


程「ぐっ!もはやこれまでか、気に入らんが波才に頭を下げて仕切りなおすしかあるまいか。官軍どもめ!必ず復讐してやる!」


前方に光が、出口が見えてきた。


程「これで助かっ・・・なっ!?」


森の抜けた先、そこには先程の女が包囲していた。





※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



雪蓮side


森を抜けた同時に火が放たれたわけだけど、どんどん燃え広がっていくわね。しばらく待つと賊が森から必死な形相で飛び出してきた。あらかじめ布陣していた私達に次々と一網打尽にされてるわけだけど、私のところには来ないわね・・・あら?あの顔はさっきの指揮官ね。私のところが1番当たりだったみたいね。


程「これで助かっ・・・なっ!?」


雪「残念だけどここまでよ。」


程「くっ!」


所々黒焦げね。


雪「よくもこの荊州を荒らしてくれたわね。もう終わりよ。大人しく・・・死になさい?」


程「ひっ!・・・お前達!かかれ!俺を守るんだ!」


この期に及んで部下に頼るなんて、将くずれだって聞いたからせめて捨て身の一騎討ちぐらい期待してたのに。あ~あ、興醒め。


程「は、早くしろ!俺を守・『無駄だ。』・なっ!?」


昴「他の奴らは包囲していた孫家の将に制圧された。お前の側に居た仲間は今俺が葬った。」


さすがね。ついさっきまで側にいた賊どもを一瞬にして斬り殺してしまった。


雪「さて、もういいわね?」


程「わ、分かった、投降する、だから命だけは・・。」


雪「お前は、一度人としての仮面を脱ぎ捨て、獣に堕ちたのだ。人に戻れると思うな。」


程「ひぃ!」


ジャリ、ジャリ。


少しずつ程遠志との距離を詰めていく。


程「う、うわぁぁー!」


程遠志は剣を振りかぶり、私に向かってきた。覚悟も何もない。恐怖にかられて飛び出しただけ。そんな一撃、


雪「はぁ!」


程「ぐふっ!」


私には通じない。南海覇王を一振りして程遠志の胴を払った。一振りで程遠志は絶命した。


雪「敵総大将、程遠志は孫伯符が討ち取った!もはやお前達に勝ち目はない!大人しく武器を捨てて投降しろ!」


その言葉を聞いてある者は武器を捨て、ある者は逃げ出した。

終わった。この戦は終わりを遂げた。





※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



昴side


雪蓮が敵総大将、程遠志を討ち取ったことにより、戦いは終わった。賊の被害は初めの雪蓮との突貫で千。森の火にやられたのが8千。5千が森から抜け出たところに包囲していた孫呉の将兵に討ち取られ、残りは投降、及び逃げ出した。対するこちらの被害は百も満たなかった。完全なる勝利だ。


昴「ご苦労様、雪蓮。」


雪「あ~あ、もう少し歯ごたえがあればいいのに。」


昴「最初最前線であれだけ暴れたんだから我慢しろって。本来総大将が最前線に立って斬り込むなんざ異例中の異例なんだからな。」


雪「・・はぁい。」


はぁ、全く。


昴「足りなきゃ今度模擬戦でも付き合うよ。」


雪「ホント!?絶対だからね!」


目をキラキラさせて喜んだ。またいらん苦労を背負うことになりそうだ。雪蓮と話していると孫権がやってきた。


権「・・・。」


昴「約束通り、雪蓮は守ったぜ?」


権「当然だ。そうでなくては困る。」


やれやれ、孫権も素直になりゃいいのに。孫権はしばらく黙っていると、


権「・・ね、姉様を守ってくれてありがとう。」


礼を言ってくれた。やっぱり根はいい娘なんだな。


昴「どう致しまして。俺は約束を果たしただけだ。」


権「・・あなたの武勇と知略、私は素直に尊敬したわ。」


昴「どうも。」


権「私には姉様のように剣を振るえないし、冥琳のように頭も良くない。その両方を兼ね備えたあなたが羨ましい。そして何も出来ない自分が恨めしい。」


孫権は自嘲気味に言った。


昴「・・悔しいなら、自分に力が足りないと思うならもっと努力して高見を目指せばいい。簡単な話だ。」


権「御剣昴。」


昴「ゆっくりでいい。自分の歩幅で駆け上がれ。焦ることなんてないんだ。だから君は君の道を歩け。」


権「ありがとう。御剣昴。」


昴「昴でいいよ。長くて言いづらいだろ?」


蓮「分かった。それなら私のことは蓮華と呼んでいい。」


昴「真名で呼んでもいいのか?」


蓮「尊敬したと言ったでしょ?だからあなたに真名を預けるわ。・・それと良かったら私に色々と教えてくれると助かる。」


昴「俺なんかで良かったら喜んで。これからよろしくな蓮華。」


蓮「よろしく、昴。」


共に手を差し出し、固く握手をする。


昴「・・さてと、ここで困ったことが1つある。」


蓮「困ったこと?」


昴「ほれ。」


俺は森を指差す。


昴「あれだけ燃え広がるとさすがにどうにもならないな。かといってほっとくのもなぁ。」


犠牲を出さないためとはいえ、森の木や植物、動物には悪いことしたな。どうするか考えていると、


ポタッ、ポタッ、ザーーーー!!


突然の豪雨が降りだした。


昴「天の恵みか?どちらにしろちょうどいい時期に降ってくれたな。」


少しずれていたら面倒だったが今はありがたい。


蓮「こんな時に突然の雨なんて、昴は天に愛されているのね。」


昴「言わなかったか?俺は天の御遣いだぜ。」


蓮「ふふっ。」


まぁ何にせよ、これで戦も後始末も完了だ。まだもう1隊の賊が残っているが、またそれはその時に考えよう。


かくして、黄巾賊の残党は討たれ。昴と孫家の将は城へと帰還した。






続く




木について、燃えにくい燃えやすい木があるかどうか、どのくらいの速さで燃え広がるのかは作者にも分かりません。作品内の話は空想です。決して真似しないでくださいね。孫家の将は合流したのでまたしばらく拠点に入ります。何か蜀√のタグ入れてるのになかなか蜀√行きませんね。感想、アドバイス、どしどしお願いします。それではまた!

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