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萌将伝編第2話~五胡の国の訪問、宴と再会~

投稿します!


今回は五胡でのお話になります。


それではどうぞ!


和平締結3周年の祝いの酒宴後、俺は蜀に戻り、それから1ヶ月後、俺は五胡の国に訪問する事にした。今の俺のポストは四国同盟の盟主なので、一度盟主として五胡の現在の大王、姜維に挨拶しようと思ったからだ。やがて準備が整い、少数の護衛の兵と将を連れ、出発した。


「ご主人様、まもなく五胡の国の領土に入ります。」


「そうか、ありがとう、朱里。」


出発して2週間後、遂に五胡の国に到着した。


「これが五胡の国か・・。」


到着してみると、南蛮とはまた違った趣のある国だな。


「ではご主人様、参りましょう。」


「ああ。」


朱里に促され、俺は姜維の元に向かう。


それにしても・・。


「・・・。」


しばらく見ない間に朱里は・・、雛里もだが、背、伸びたな。それにスタイルも良くなって・・。


「・・・・なぁ朱里よ。」


「何でしょう?」


「いやな、胸に詰め物して見栄を張るのはどうかと思うぞ?」


「はわわ//、言わないで下さい!」


俺は朱里の妙に膨らんだ胸を指摘した。


朱里、雛里もだが、背は伸びても胸までは成長しなかったみたいだな。3周年の酒宴の時、茉里と再会したが、茉里は鈴々と同じくらい成長していて驚いた。背もすっかり伸び、スタイルも愛紗顔負けだった。そういや、茉里って、水鏡さんの甥っ子だったな。水鏡さんはスタイルもかなり良かったからきっと血筋なんだろうな。そんな茉里を見て朱里と雛里が『はわわ(あわわ)・・。』と胸を押さえながら落ち込んでいたな。


「ハッハッハッ、昴の言う通りだ、見栄を張って自分を偽っても仕方がないだろう?」


「うぅ・・想華さん・・。」


護衛としてついてきた想華が朱里の肩を叩いた。想華は別れる前とあまり変化はなかった。


「ま、なんだ?とりあえず、気を取り直して行こうか?」


「・・・はい。」


朱里は落ち込みながらも歩き出した。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



やがて集落にたどり着き、そこで出迎えてくれたのが・・。


「お久しぶりです、昴様!」


「久しぶりだな、雫。」


雫が出迎えてくれた。


3周年の酒宴に雫が居なかったので聞いてみると、雫は現在、五胡の国に蜀、魏、呉を代表して大使として五胡の国に駐在していた。大王の姜維と親交があるからというのが大きな理由だ。


「どうも、はじめまして盟主さん。」


「君は確か・・。」


雫の横に居た女性。見覚えあるな・・。


「俺は越吉。五胡の将だ。」


そうだ、戦の時、星と互角の一騎討ちをしてた将だ。


「ご丁寧にどうも。俺は・・。」


俺が自己紹介をしようとすると越吉が手で制し・・。


「自己紹介はいらねぇよ、さすがに盟主さんの名前くらい聞いてるし、顔も戦の時に見たからな。」


「そうか、なら、これからよろしくな?」


「おうよ!」


俺は越吉と握手をした。


「それじゃ、大王の所に案内するぜ。」


「頼むよ。」


俺は越吉の後に続いた。










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



越吉の後についていくと、途中の大きな広場に差し掛かると、突然、五胡の国の兵らしき集団が俺達を囲んだ。


「なんだてめえら!盟主さんに失礼だろ!」


越吉が怒鳴り散らす。


「あんたが盟主さんかい?」


その中の1人の男が俺に尋ねてきた。


「ああ。そうだ。」


「やっぱりか。同盟の事は感謝している。俺達の国が暮らしやすくなったからな。・・けどなぁ、俺達はなぁ、お前を認めねぇ。黙って従うと思ったら大間違いだ!」


「てめえ!失礼だろ!」


越吉がその男に詰め寄ろうしたが、俺はそれを手で制した。


「?・・盟主さん?」


「なら聞く、どうすれば認めてくれるんだ?」


「へっ!簡単な話だ。この国では力が全てだ。力で俺達を認めさせてみろよ!」


そういう事か・・。


「良いだろう。相手になろう。」


「良いのか?」


「構わないよ。どのみち・・、そうしないと収拾付かないだろうからな。」


「そうか・・。」


俺は越吉にそう告げた。










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



俺は五胡の兵や民が囲む中心に立った。真向かいに先ほどの男が剣を抜いて構えている。


「盟主さんよ、1つ聞くがよ、仮にここであんたを殺しても、これは事故だよなぁ?」


「・・ああ、そうだな。これは事故だな。」


「それを聞いて安心したぜ。」


男が剣を構え・・。


「なら・・、往生せえやーーーーっ!!!」










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「・・・。」


勝負は開始とともに終了した。正面から突っ込んできた男の顔面に正拳突きをぶちこむと、男は真後ろにぶっ飛び、気絶した。やがて男が目を覚ますと・・。


「お見逸れしました。」


と、土下座しながら平伏した。


「先ほどは失礼いたしやした。さすがは四国を束ねる盟主様です。これより我ら一同、あなたに付いていきやす。以後ハエとお呼び下さい。」


「へりくだり過ぎだろ。」


「ま、こいつらは馬鹿だが、物分かりは良いんだ。今度とも頼むぜ。」


「ああ、俺も気の良い奴は嫌いじゃない。」


「そう言ってくれると助かる。そんじゃ、改めて、大王の元に案内するぜ。」


越吉が再び先導して歩き出した。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



しばらく歩くと、一際大きな建物に見えてきた。


「あれが大王の居る建物です。」


越吉がそう説明してくれた。


なるほど、確かに他と違って立派で頑丈な建物みたいだな。


その建物に歩いていくと、大きな敷居の前に1人の女性が立っていた。


「遅かったな。粗相は無かっただろうな?」


「姐さん!そんなことしねぇよ。」


「ならば良い。・・盟主殿、私は徹里吉。五胡の将の1人です。以後お見知り置きを・・。」


「ああ、よろしく頼む。」


徹里吉・・。この人は愛紗と鈴々を2人相手にして互角に戦った将だったな。顔もあの時見掛けた。しかし彼女衣装、あれは未来の日本の和服に似ているな。何と言うか、言動、出で立ち、共に五胡の住人には見えないな。


「大王がお待ちです。参りましょう。」


徹里吉と越吉に連れられ、俺達は建物に入った。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



「久しぶりだな、姜維。」


「お久しぶりです。昴殿。」


玉座のある大きな広間に姜維は居た。


「わざわざご足労いただき感謝します。」


「何、一度この国には来てみたかったから構わないよ。・・それにしても、姜維が新しい大王になったんだな。」


「我は器ではないので一度は断ったのですが・・。」


姜維がそう言うと徹里吉が・・。


「穏健派筆頭の劉豹殿亡き今、この国を束ねられるのはあなただけだ。私と越吉は対立派閥であった為、その資格はないですから。」


「故に、我が大王の任に着いた。父、劉豹のように大王の任、果たしてみせましょう。」


父・・。そうか、劉豹は姜維の・・。


「期待しているよ。」


俺は期待を込めて姜維に告げた。


「御剣昴殿。」


「何だ?」


「この国が救われたのはあなたのおかげです。魏、呉、蜀から援助、及び人員を派遣していただいたおかげでこの国は豊かになり、民を貧困から救う事が出来た。その事をまず礼を言わせていただきたい。」


「礼なら劉備や曹操や孫策に言ってあげてくれ。俺はただ皆に提案をしただけだ。それを聞き入れ、形にしたのは彼女達だからな。」


「無論、あの3人の王にも礼を言った。そうしたなら3人共あなたに礼を言ってほしいと言った。だから礼を言わせていただく。五胡の民を救っていただいた礼を、国を代表して我がさせていただきます。本当にありがとうございました。」


姜維は平伏しながら感謝をした。


「・・分かった。姜維の感謝の念。確かに受け取ったよ。」


俺がそう告げると、姜維は頭を上げた。


「これよりあなた方を歓迎するための宴を催します。是非楽しんでいただきたい。」


気を使わなくても・・とも思ったが、ここはありがたく御相伴に預かろう。


「それと、あなたに1つ、我が願いを聞いていただきたいのですが・・。」


「願い?」


願い・・、いったいなんだろう・・。


「はい。我が真名をあなたに受け取っていただきたい。」


「真名を?」


突然だな・・。


「失礼ながら盟主殿。私の真名も受け取っていただきませんか?」


「俺もだ!俺の真名も受け取ってくれ!」徹里吉と越吉も続いて俺に願い出た。


「良いのか?俺はあなた方と顔を合わせてまだまもないんだぜ?」


「是非に頼む。あなたなら構わない。」


「力、知、そして徳。申し分はありません。」


「あんたなら・・構わない。」


「・・分かった。3人の真名を受け取ろう。」


「では、我が名は姜維、真名は紗夜さやです。」


「私の名は徹里吉、真名は桜です。」


「俺の名は越吉、真名はりつだ!」


姜維、徹里吉、越吉の順に真名を受け取った。


「ではあなた方を部屋へ案内致します。何か不自由があれば付きの者にお申し付け下さい。それでは夜の宴で・・。」


俺達は案内人の先導の元、部屋へと向かった。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



そしてその夜、宴が始まった。


「皆の者、今宵は大いに盛り上がってくれ。」


「「「EYAAAAAAAAA!!!」」」


「「「WRRRYYYYYYY!!!」」」


大王の紗夜の号令を出すと、五胡の民は雄叫びを上げ、宴が始まった。場所は屋外で、火が灯された櫓を囲って楽しむのが五胡式のようだ。


「昴殿、どうぞ。」


「ああ。ありがとう。」


紗夜が俺の器に酒を注いでくれた。


「んぐ、んぐ・・・プハァ!、美味いな!」


「口に合って何よりです。」


五胡の国の酒か。変わった味だが美味いな。


「まさか、このような日が来るとはな・・。」


「ん?」


「我々、五胡の民と、漢の国の民がこうして共に肩を並べて宴を楽しむ日が来るとは。」


「そうだな。」


辺りを見渡すと、護衛についてきた兵や派遣された俺達の国の兵と五胡の兵や民がワイワイしながら宴を楽しんでいる。そういえば成都の街にも五胡の国から出稼ぎにきた者がちらほら見掛けた。最初は双方の文化の違い等で戸惑いが多少あったみたいだが、今では皆が受け入れていた。


「亡き父の願いが叶い、感無量だ。」


「ああ。」


「全て、あなたのおかげだ。」


「俺は少し力を貸しただけなんだけどな。」


「ふふっ、謙遜するのですね。あなたが中心にあった事には変わりはない。」


「そうかな・・。」


俺は酒をグイっと一杯煽った。


「俺1人だけじゃ何も出来なかったさ。皆が力と想いを結集してくれたからこそ今がある。もちろん、紗夜もその1人だ。」


「あっ//」


俺は紗夜の頭を撫でた。


「あっ、すまない。」


「か、構わない。出来ればもう少し頼む//」


「ん、分かった。」


俺は紗夜の頭を撫で続けた。


「ハッハッハッ!あんた良い飲みっぷりだぜ!」


「ハッハッハッ!お主もな!」


声のする方へ視線を移すと、想華と律が飲み比べをしていた。


「お前の国の衣服はなかなか良い物が揃っているようだな。」


「あなたのその衣装もとても素敵ですわ。」


もう一方では雫と桜が互いの衣服を誉め合っていた。


「良いぞ良いぞー!もっと飲めー!」


何やら向こうの方が騒がしいな。


「紗夜、少し席を外すな。」


「うむ、分かった。」


それだけ告げて俺は声のする方へ向かった。










・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・



「にゃはははは!飲め飲めー!」


声のする方に近づいてみると、1人の女性がガンガン酒を煽っていた。


ん?あの人何処かで見覚えが・・・って!


「霞か!?」


「ん?おー、昴やないか!久しぶりやないか!」


誰かと思ったら、騒ぎの人物の招待は霞だった。


霞は3周年の祝の酒宴で見掛けなかった。華琳に聞いてみると、五胡の国との同盟が締結して数日経ったある日、『羅馬に旅に行ってくるで。』と、置き手紙を残して姿を消したらしい。華琳は前々から霞からその話を聞いていたらしいのであまり騒ぎにはしなかったらしいが・・。


「こっちに戻ってきてたんだな。」


「ついさっきここに着いてな。何やら盛り上がっとったからウチも参加したんや。」


「なるほど・・、だが霞よ、しばらく見ない間に随分変わったな・・。」


俺がすぐに霞と気付かなかった理由、それは髪型がロングからセミロングヘアーになっていたこともあるが、衣服が以前のサラシと袴から他国の民族衣装に変わっていたからだ。


「ん?これか?ウチな、旅に出ていろんな国回ったんやけど、その国の奴が着てた衣装がごっつ気に入ってそれからずっとこれ着て旅しとったんや。」


「なるほど・・。」


霞が今着てる衣装は確かサリー・・、だったよな。サリーってインドの民族衣装だったような・・。霞、ローマに向かったんじゃないのか?


「いやー、ごっつ楽しかったで!向こうの酒もなかなかのもんやったし、向こうにもこの国に負けんぐらいの武人もおったしな。いやー、また行きたいわ!」


と、霞は笑いながら酒をグイっと煽った。


「そういや、向こうで何や奇妙なジジイに武術を習ってん。そしたらウチまた一回り強なったで。後で手合わせしようや、昴。」


「面白そうだな。相手になるよ。」


「にゃはははは!頼むわ!」


霞が俺の背中をバンバン叩きながら酒をどんどん呑んでいった。










※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※



宴は夜更けまで行われた。何人かの将が翌日二日酔いに襲われた事は言うまでもない。俺は五胡の国に2週間程滞在し、田畑の開墾等の陣頭指揮を取った。その後、俺達は霞を連れて成都へと帰国した・・。










続く




今回は色っぽい展開は無しです。次話以降でご披露出来ればと思います。


それではまた!

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