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ファンタジーはファンタジーでもこんなファンタジーは嫌だ!

掲載日:2026/06/18

 ある所に異世界に憧れる、痛い少年がいた。

 名は、小泉 タケト、十五歳。

 

 「異世界トラックだぁー!」


 と言って、道路に飛び出し、運転手から怒鳴られる事数回。


 「寝落ち転生だぁ!」


 と言って、ゲームとラノベで

夜更かしをし、寝落ちした上遅刻して担任と親から叱られる事数回。いまだ異世界への扉は開かずにいる。

 今日もまた、来るかどうかも分からない異世界召喚に向けて鍛練に励んでいた。

 

 「セイ セイ セイ・・・」


 そんなタケトに奇跡がおきる。

 足元に魔方陣が光り、タケトはやがて光りに包まれて異世界に転移する。


 光りが止むと、そこは王宮らしき建物の中だった。

 玉座があり王冠をかぶった王様らしき人が座っており、そのそばに綺麗なドレスを着た王女様らしき人がいた。

 その王女らしき人が口を開く。


 「ようこそ、いらっしゃいました勇者様、ここは【言葉に力がやどる世界】のコトハナの国です。私は、この国の王女のシャルロッテと申します。

 勇者様、どうか私達を助けて下さいませんか?」


 「ど、どうも小泉タケトです」


 (スゲー!勇者だって、王道じゃん。やったー!しかも【言葉に力がやどる世界】だって!言霊ってやつかな?ファンタジーの匂いがする!)


 まだ何をもって助けてくれといっているのか、分からないのに喜ぶタケト。しかも、ファンタジーっぽい【言葉に力がやどる世界】と聞いて、勝手に期待が高まる。

 しかし、事態は進む。


 「タケト様とおっしゃるのですね。実は魔王がダンジョンを作って人々を困らせているのです。タケト様には是非、魔王を倒して頂き私達を助けてもらいたいのです」


 (勇者と言えばやっぱり魔王退治だし、そこも王道かよ)


 思っていた展開になり喜ぶタケト。テンションがだんだん上がってくる。


 「報酬は何でもおっしゃて下さい。例え、私を伴侶にと求められても結構ですので」


 顔を赤らめながら王女が言う。


 (えっマジで、こんな綺麗な人とぉ!でも待てよ。勇者の魔王退治と言えば冒険だ。仲間と血が踊るような冒険を俺はしたい!いきなり報酬を求めてがんじからめになっても大変だぞ)


 少し知恵を働かせたタケトは、報酬の件を躊躇する。それは今まで散々異世界物のラノベ等を読んできた結果だった。

 だから報酬の件を濁す為に王女に声をかける。


 「報酬の件は、置いといて魔王の為に人々が困っているのですよね?俺の力が役に立つのなら是非協力させて下さい」


 「まあなんて優しい勇者様なのでしょう!是非とも魔王を倒す為にそのお力を御貸しください」


 こうしてタケトは魔王を倒す為にダンジョンに挑む事が決定した。


「ダンジョンに一人で挑ませるわけにはまいりませんので一緒に挑む仲間のパーティーメンバーを用意しております。皆さん入って下さい」


 王女がそう言うと三人の人物が入って来た。

 背が低く、ずんぐりした体格の自分の身長以上ある剣を背負ったドワーフらしき男、猫耳で、動き安い格好の弓を背負った獣人らしき女、耳が長く、ローブを羽織って杖を持ったエルフらしき男だ。


 「紹介します。ドワーフで剣士のドグル、前衛を担当します」


 「ドグルだ。よろしくな、勇者よ」


 「次は、猫の獣人で弓士のミーニャ、斥候を担当します」


 「ミーニャニャ、弓が得意にゃ、よろしくニャ」


 「その次は、エルフで魔法使いのライセン、後衛を担当します」


 「ライセンと申します。わざわざ異世界から魔王を倒しに来てくれるとは、私には真似出来ません。よろしくお願いします」


 「最後に、私も同行し回復役を担当します、シャルロッテです。よろしくお願いします」


 (スゲー!異世界三大種族じゃん!ドワーフの剣士って、あの長さの剣をどうやって抜くのかな?獣人の猫耳、かわいいな!エルフは美人のお姉さんじゃなかったのが少し残念だけど、それでも魔法使いだってよ。この世界、魔法があるんだ!是非とも魔法を使ってみたい!この後ダンジョンに挑む為の訓練とかのパターンだと思うし、そのときに教えてもらおう。武器を使った訓練とかもあるのかな?聖剣とか与えられたりして!それに、美人の王女様も着いて来るし、たまんねえ!)


 異世界物の有名な三大種族の登場と、美人の王女が着いてくる事でテンションが爆上がりのタケト。勝手に次の展開を予想するがそうはならなかった。


 「では、さっそくダンジョンに向かいましょう」


 王女の言葉にびっくりして聞き返すタケト。


 「えっ!いきなりダンジョンに行くんですか?訓練とか無いんですか?それに武器も欲しいし」


 「実は、勇者の力はこの世界に来てから時間がたてばたつほど弱くなると言われております。ですから、なるべく早くダンジョンを攻略しなければならないのです。

 後、武器はパーティーメンバーが持っているので必要ありません」


 (何その、勇者は鮮度が命みたいな仕組み?いきなりダンジョンに向かって大丈夫かな?それに武器も必要無いって!まあ、得意の正拳突きがあるから大丈夫だけど!)


 ちなみにタケトは、通信教育の空手八級である。


 「タケト様、よろしいでしょうか?」


 「あっ、はい」


 「それでは、皆さん、ダンジョンに向かいましょう」


 こうしてタケトは、いきなりダンジョン攻略に挑戦するのだった。



 タケト達は、王都の街中を歩く。物語などでは、勇者が召喚されたとしてパレードがあったりするがそのような催しはない。

 ただ歩く、ダンジョンに向かって。


 街並みは、中世ヨーロッパ風というわけでもなく、タケトが育った町と大差なかった。ただ行き交う人々はいろいろな人種がいて、タケトはわくわくしてくる。

 しかし、疑問に思う事があった。それは魔王がダンジョンを作り、国が勇者召喚を行うほど切羽詰まっていれば、街中の雰囲気がどこか静んでいても、おかしくないのに、なかなかに活気があったことだ。


 「安いよー!安いよー!」


 「もうかりまっか?」


 「ぼちぼちでんなあ」


 「お母さん、あれ買って」


 「この間、買ったばかりでしょう?」


 威勢のよい呼び込みに商人同士の会話、仲のよい親子の会話など街の雰囲気はそこまで酷くない。

 不思議に思ったタケトは、王女に質問する。


 「魔王がダンジョンを作って困っていると聞いたのに、街は活気があるんですね?」


 「表面上は、そう見えますが魔王が現れてから魔王配下の魔人達が夜な夜なダンジョンから出て来て民に被害をもたらし、民からも不安な声が上がっているのです」


 「それは大変だ!一刻も早く魔王を倒さないと!」


 「タケト様は優しいですね。 

そんなタケト様には、是非ともこの世界に留まってほしいものです。今まで勇者召喚を行っても、何故か皆さん、帰還されるのです」


 「えっ、俺以外にも召喚された勇者がいるんですか?」

 「はい、私の代では始めてですけれど、文献によりますと何度か勇者召喚が行われていますが、全ての方が帰還されています。異世界を希望される方を召喚しているのですけれど?」


 (歴代の勇者がいたんだ。でも皆帰還しているって?ラノベなんかでは敵になったり、味方になったりするけど、良かったのか悪かったのか?よく分かんないな!)


 疑問に思う事もあるけれど、そんな話しをしながら進んで行くと、町の雰囲気と一風違った建物が見えてくる。それはまるで地下鉄の入り口のような小ぢんまりとした四角い建物だった。


 「あれがダンジョンの入り口です」


 「あれが・・・・・」


 よく見ると入り口の上に【ダージャレダンジョン】と書かれている。

 タケトは、嫌な予感がした。


 (【言葉に力がやどる世界】でダージャレって)


 しかし、ある事に気付き、嫌な予感が吹き飛んだ。それは建物は平屋なのに入り口から見える階段は二階の扉へと延びているのだ。


 「スッゲー!どうなっているんだ。外は二階が存在しないのに中は二階が存在するなんて」


 まるでだまし絵を見させられているような光景に、タケトは興奮する。

 二階がただ見えなくなっているのではないかと足元にある小石拾って投げてみる。

 小石は何にも当たらず、そのまま建物の上を通過した。


 「すっげー、やっぱり建物の外の二階は無いんだ!」


 二階が存在しない事にさらに興奮するタケトだったが、小石を投げた向こう側から「あいた!」と言う声が聞こえてびっくりする。


 「誰だ?石を投げた奴は?」


 筋骨粒々の体格の良い男性が怒鳴りこんで来た。前掛けをして捻りハチマキををしているので、ダンジョンの向こう側で店屋をやっているようだ。

 パーティーメンバーの視線がタケトに集中する。


 「お前かぁ?石を投げたのは?」


 困ったタケトは、助けを求めてパーティーメンバー達を見渡すが今度は全員から視線をそらされる。

 パーティーメンバーは薄情だった。


 「ゴツン」という音を鳴らして拳骨が振り下ろされた。


 「まったく、ダンジョンが出来てから石を投げる奴が後をたたねえんだ。たまったもんじゃねえ。お前もむやみやたらと石を投げんじゃねえ!」


 そう言って肩を怒らせながら店屋の店主らしき人は帰っていった。


 「いってぇ!」


 タケトは頭を擦りながらパーティーメンバーに恨みがましい目を向けるが全員から無視される。これは、タケトが悪い。


 「そ、それではダンジョン攻略の為頑張りましょう」


 「「「おう!」」」


 タケト以外のメンバーが掛け声をあげてダンジョンに突入する。タケトはその後をついていく。




 ダンジョンの二階に上がり、扉をくぐると、そこはどこの町にもあるごく普通の夜の公園だった。

 真っ暗な世界に公園の遊具やベンチ等を、外灯が寂しげに照らしている。

 昼間の王都からまったく別の世界に転移したかのような状態に、タケトは絶句する。


 (なんだこれ!いったいどこの世界に来てしまったんだ?っていうかここ日本の公園?ダンジョンの一層って、普通洞窟の中だったりするんじゃないの?)


 タケトがおののいていると、王女が声をかける。


 「タケト様、気を付けて下さい。ダンジョンの中は別世界です。どんな魔人が現れるか分かりません」


 王女の言葉にタケトは気を引き締める。

 すると斥候のミーニャが声をあげる。


 「誰か来たニャ!敵かも知れないニャ」


 タケトは少し緊張する。

 そして怪しげな男が現れた。

 黒い上下の服に、キャップを被りサングラスとマスクをしている。夜の公園にそんな格好をした男は、どう見ても不審者だった。


 「あなたは、もしかして魔人ですか?」


 王女が声をかける。


 「いかにも、俺は魔王配下の一人、その名も【通り魔】だ」


「「「「え~!」」」」


 パーティーメンバーが驚く。タケトも驚く。しかし、タケトだけは別の意味で驚いていた。


 (【通り魔】って、ダンジョンの最初の敵は普通、ゴブリンとかスライムじゃないのぉ~?)


 想定と違った敵が現れて、タケトが驚いていると、王女が説明をする。それによると、さまざまな名称や名前も言葉の一種。この【言葉に力がやどる世界】では、名前に【○○魔】など、魔がつく者が魔人となるのだ。


 (いや、だからって【通り魔】はねえだろ、【通り魔】は!)


 想定外の敵の出現に愕然とするタケト。

 しかし、事態は進む。 


 「さあ、勇者パーティーの諸君よ、俺の最強最速の攻撃、受けてみろ!とお~りま流ぅぅこーそくぅぅタッチィィ!」


 【通り魔】は、そう叫ぶと、ものすごい勢いで突っ込んできた。タケトは、反応が遅れて腕で顔を隠すのが精一杯。

 しかし、何故かタケトは攻撃を受けずに済み、タケトの側を【通り魔】は通り過ぎて行く。

 その代わりに他のパーティーメンバー達の悲鳴が響く。


 「きゃあ!」


 「ウニャ~!」


 「うわぁ~!」


 どうやらシャルロッテ王女とミーニャとドグルが攻撃を受けたようだ。


 「私、胸触られましたわ!」


 「うちは、お尻ニャ!」 


 「儂、頭撫でられた!」


 【通り魔】は、女性達の胸部と臀部を触り、何故かドグルの頭を撫でていったらしい。

 女性達は憤り、ドグルは頭を擦りながらおっさん顔を赤らめ、デレている。


 (確かに撫で安い高さに頭があるけれど、おっさんのデレ顔なんて誰得?)


 そんな事を思っていると、また【通り魔】の攻撃がくる。


 「とお~りま流ぅぅこーそくぅぅタッチィィ!」


 「いや~ん!今度は、お尻触られましたわ!」


 「ウニャ~ン!うちは、今度は胸触られたニャ~!」

 

 【通り魔】の今度の攻撃は女性達だけでドグルの頭は、撫でていかなかった。

 そしてその後も【通り魔】の攻撃は続く。


 「とお~りま流ぅぅこーそくぅぅタッチィィ!」


 「きゃあ~!」


 「ウニャ~っ!」


 【通り魔】の攻撃は速く、パーティーメンバー達は対処出来ない。タケトも得意の正拳付きを繰り出すがかすりもしない。

 ドグルは、頭を擦りながらほうけ、ライセンも杖を振り回すが、スピードにまったく付いていけていない。


 【通り魔】の攻撃は、最初にドグルの頭を撫でた以外、女性達だけを狙っている。


 タケトは、自分の攻撃が当たらない事にイラついてくる。だからか、つい思った事を声をあらげて言ってしまう。


 「【通り魔】、【通り魔】って言ってるけど、やってる事はただの痴漢じゃねえか!」


 「「「「「え~っ」」」」」


 タケトの言葉にパーティーメンバー達が驚く。そして何故か、【通り魔】まで驚く。さらに【通り魔】は、何故か胸を押さえて苦しみだした。


 「ぐぅ~その事を言うなぁ~。俺を痴漢と呼ぶんじゃね~~!ぐふぅぅぅ」


 ついには、泡を吹いて倒れてしまった。 


 「凄い!【真実の言葉】攻撃で倒してしまいましたわ」


 王女が感嘆の声をあげる。


 【真実の言葉】


 それは、時として暴力となる。特に自分を偽って生きている人間には!特にこの【言葉に力がやどる世界】では、顕著だ。

 【通り魔】は、自分を偽って生きてきた。本当は満員電車や満員バスに乗って痴漢行為をしたいのだ。しかし、それではただの痴漢になってしまう。その為、夜な夜な公園等に出没し、通りすがりに女性達にイタヅラしてきた。【通り魔】である為、魔人である為に!何故なら痴漢には【魔】が付かないから!

 そうやって生きて来た【通り魔】に「お前は、痴漢だろ!」と指摘する事は、真実を突きつける言葉の暴力となり、ダメージを与えたのだった。

 しかも、この【言葉に力がやどる世界】で思った事を気持ちを込めて言うと、他人に影響を与える。つまり思念を込めて言葉にすると、敵にダメージを与える事が出来るのだ。

 その為、【通り魔】は泡を吹く程ダメージを受けたのだった。

 これはもう、攻撃と言うより口撃と呼ぶ方が良いだろう。


 「凄いな勇者よ!」


 「流石だニャ!」


 「言葉一つで魔人を倒すなど、私にはとても真似出来ません!」


 勇者パーティーの面々が賛辞を送るが、タケトは其れ処ではなかった。


 (なんで、痴漢って言って倒れるんだ?ワケわかんねぇ?)


 状況に追いつけず、唖然としてしまうタケト。しかしパーティーメンバー達は、そうではなかった。


 「コンニャロ、コンニャロ!」


 「この女の敵!」


 ミーニャとシャルロッテ王女が、泡を吹いて倒れる【通り魔】にケリを入れていた。

 それを見て、タケトはある事に気付く。


 (そういえば、ラノベなんかではダンジョンで敵を倒した場合、素材がリポップするかそのまま解体して素材をはぎ取ったりするけど、この場合どうなるんだ?リポップしそうに無いけど、もしかして素材をはぎ取るの?おっさんの服とかはぎ取りたく無いんだけど!追い剥ぎみてえじゃん!)


 タケトは、パーティーメンバー達に恐る恐る聞いてみる。


 「あのー、この人この後どうするんですか?」


 王女が説明する。


 「大丈夫です。勝手に目覚めて自分のお家に帰るでしょう」


 この世界のダンジョンは平和だった。


 「ですけれど、このまま放置するとこの人、風邪をひきますよ?」


 ライセンが心配するが女性達が反論する。


 「こんニャ奴、放置で風邪でも何でもひけばいいニャ!」


 「そうですわ、こんな女の敵、お鼻ずるずるでゴホゴホと咳き込めばいいのですわ!」


 女性達は辛辣だった。

 しかし、彼女達よりも辛辣だった人間がいる。タケトだ!


 (なあんだ、心配して損した。だけど追い剥ぎを考えた俺の方がよっぽど酷いじゃん!)


 タケトは少しショックを受けた。

 

 しかし、こうしてダンジョン初の敵は、撃破出来たのだった。




 【通り魔】を倒したタケト達は、次の階層に進む。

 ちなみに、次の階層の入り口は夜の公園を進んだ所にあり、某人気アニメの《ドラ○もん》に出てくる《どこで○ドア》のような扉だった。

 何も無い場所にポツンとある扉をくぐると、


 「ガンッゴロゴロ~ガッシャン!」


と、音をたてる場所に出た。そこはどこの町にもあるごく普通のボーリング場だった。


 (また、変な所に飛ばされた!って言うかボーリング場?やっぱりここ日本じゃねえの?)


 また突然全然別の場所に飛ばされたタケトは、不思議に思い、呆ける。このダンジョンは、変な所だけファンタジーだった。

 しかし、一番奥のレーンに人影を見つけて正気に戻る。

 その人は、白のポロシャツに白のパンツ、黒髪を七三に分け、マイボールにマイグローブを持った、ボーリングにはまっているような男だった。

 そして、ストライクを取ったのか、ガッツポーズをしている。

 タケト達が、ボケーっと見ているとその男もタケト達に気付いたらしい。ずんずんと足早にタケト達に近づいてくる。

 走らないのは、『場内走るの禁止!』の貼り紙があるからか?


 「ちょっと、ちょっと、ここはボーリング場だよ!シューズをちゃんと履き替えて!」


 タケト達の前まで来た男は、そう言うと何処からともなく、全く何も無い空間から人数分のシューズを取り出す。


 (え~っ、今何処から取り出したの?もしかしてあの有名な空間魔法ってやつ?)


 一人、タケトが驚いているが、事態は進む。


 「さあ、シューズを履き替えたら、ボールを選んで!」


 強制的にシューズを履き替えさせられたパーティーメンバーは、今度はボールを選らばさせられる。


 「ボールが決まったら、次はさっそく投げてみよう!」


 こうして一人づつ投げさせられる。


 「ゴン!ゴロゴロ、ガタッ!」


 ガーターだった。


 「ボーリングって難しいですわ!」


 「今のは、フォームが悪い!こーやって投げるんだ!」


 王女が投げさせられたが、身ぶり手振りでダメ出しされる。


 「くそっ、上手くいかねえ!」


 「難しいニャ!」

 

 「何故か、真っ直ぐボールが転がりません!」


 次々と投げさせられるが、パーティーメンバーは下手くそだった。そして次々とダメ出しされる。


 「そ、そんなに言わなくても!」


 「あんまり、言いすぎだぜ!」


 「酷いニャ!」


 「私には、真似出来ません!」


 パーティーメンバーは、ヘコんだ。


 「君達は、もっとボーリングに真剣に向き合うべきだ!ウンウン!」


 男が、偉そうに言う。そして、ついにタケトの番になった。


 「さあ、勇者よ君の番だ!」


 だが、タケトはボールを取る前に疑問に思った事を男に聞いてみる。


 「俺が勇者って知っているって事は、あなた、もしかして魔人ですか?」


 「ハッハハハハハ、よく気付いたね!いかにも私は魔王配下の一人、【教え魔】だ!」


 今更ながらパーティーメンバー達が身構える。

 ダンジョンで見知らぬ人物に出会ったのだ。警戒するのが遅いだろう。

 タケトは、パーティーメンバー達に飽きれながらも思う。


 (おいおい、警戒するのが遅いよ!しかし【通り魔】の次は、【教え魔】かよ!でもチャンスだ!【教え魔】って事は、いろいろ教えてくれるんだよな!ここでいろんな情報を集めておこう)


 「【教え魔】って事は、いろいろ教えてくれるんですよね?このダンジョンは、あと何階層あるんですか?どんな魔人がいて、どんな攻撃をしてくるんですか?魔王を攻略するには、どんな攻撃方法が有効ですか?」


 矢継ぎ早に質問をぶつけるタケト。

 しかも純粋に情報を得ようと、言葉に気持ちを込めて、つまり思念をのせて言葉にする。

 しかし【教え魔】は、質問に答えない。それどころか額に汗をかきながら固まっている。 

 実は、【教え魔】は新参者だった。あまり魔人界隈の事を知らない。魔王にも面識があるくらいだった。その為、タケトの質問に答えられない。

 焦った【教え魔】は、行動に出る。


 「お、おっと、もうこんな時間だ!私は、急用を思い出したので、帰らしてもらう。勇者パーティーの諸君よ、健闘を祈る!では、さらばだ!」


 【教え魔】は着けてもいない腕時計を腕を掲げて見るふりをして、そう言うとそそくさと逃げ出した。


 【教え魔】の弱点、それはその道のプロが現れる事!そして知らない事を質問される事!答えられない【教え魔】は、逃亡を選んだのだ。


 「流石です。まさか【質問攻め】で【教え魔】を撃退するとは!」


 【質問攻め】


 それは、【教え魔】のように上から目線で何か強制する者に反撃するには有効だった。特にこの【言葉に力がやどる世界】では。


 タケトは、納得出来ずになんかモヤモヤした気分だった。


 (なんで質問したら逃げるんだ?納得いかねえ!情報も得られ無かったし)


 「流石勇者だ!あの口撃、しびれたぜ!」


 「勇者の攻めは、強力だったニャ!」


 「私には、真似出来ません!」


 パーティーメンバーが、賞賛する。だが、タケトはモヤモヤしたままだった。


 しかし、【教え魔】は撃退した。

 タケト達は、次の階層に進む。



 ボーリング場の奥にあった扉をくぐると、そこはどこの家にもあるごくの普通のリビングだった。

 ソファーセットが置かれ、その回りに家具や家電等が置かれている。  

 一人がけソファーには、男が座っており、三人がけの長ソファーには、女が横になって寝ていた。


 (また変な所に飛ばされたよ!どうなってんだ!このダンジョンは?)


 タケトが驚きながら部屋を見渡していると、男とタケトの目が合う。すると男は、何処からかスマホを取り出し、焦ったように電話を掛け出した。


 「プルプルプル~ガチャ!」


 「お、おい、【使い魔】、早く帰って来てくれ!勇者パーティーが攻めて来た!」


 『大丈夫ですよ、【電話魔】さん。もう着きましたから』


 電話から返事が聞こえる。どうやら電話を掛けた男は、【電話魔】らしい。男は、【使い魔】に助けを求めたのだ。

 タケトは、思う。


 (【使い魔】だって?やっとファンタジーらしいキャラクターが出てきた!)


 【使い魔】とは、ファンタジーによく出て来る誰かに使役されている存在だ。有名なのは、魔女の黒猫やカラス等か。

 タケトは、やっとファンタジーらしい敵の出現に、期待する。


 奥の扉から小さな女の子が入って来る。

 女の子は、レジ袋を手に下げていた。

 この女の子が【使い魔】らしい。


 「ただいま戻りました。えっと勇者パーティーの皆さん、こんにちは。私がお相手したいのですが、今『お使い』の途中なので少し待って下さいね!」


 そう言って頭を下げる。

 なかなか礼儀正しい【使い魔】だった。

 【使い魔】は、ソファーセットのローテーブルにレジ袋を置くと、物品を取り出す。しかも電話を掛けたままで!

 【電話魔】は、電話以外のコミュニケーションをとる事が出来ないようだ。


 「えっと、ティッシュとお菓子とジュースと洗剤と・・・全て合わせて3560円です。5000円預かったのでおつりが、1340円です」


 【使い魔】がお金を取り出すと、【電話魔】に差し出す。

 そこで、タケトは間違いに気付く。


 「あの~」


 タケトが、声を出すと寝ている女以外の全員の視線が集中する。

 タケトは、どぎまぎしなからも【使い魔】に言う。


 「5000円から3560円を引くと1440円だと思うんだけど?」


 「えっ、そんなはずは?」


 【使い魔】は、指を折って計算を始めた。


 「え~っと、10から6を引くと4で9から6を引くとぉ、あっ、この場合、5を引くんだ!そんな!1440円!・・・・・100円足りない?『お使い』失敗!?・・・うきゅ~ん」


 【使い魔】は、倒れた。

 【使い魔】は、テレビ番組の《はじて○お使い》をリスペクトする程、『お使い』に生き甲斐を感じていた。そこで失敗してしまったのだ。

 そして、ショックで倒れてしまったのだった。


 (なんで倒れちゃうの?計算間違いを教えてあげただけなのに!)


 「すごい【指摘】でしたわ!」


 王女が、賞賛の声をあげる。


 【指摘】


 それは、重要な点や問題となる点を取り上げて示すこと。

 タケトが、つり銭を間違えている事を【指摘】してしまった。しかもタケトは親切心から気持ちを込めて言葉にした為、【使い魔】は、ショックで倒れてしまったのだった。


 「すごいな、勇者よ!」


 「流石だったニャ!」


 「私には、真似出来ません!」


 パーティーメンバーが、賞賛する。

 しかし、タケトは小さな女の子を倒してしまったので、後味が悪い。

 そして、【電話魔】がその横で焦りの声をあげる。電話に向かって!


 「お、おい、どうしてしまったんだ!【使い魔】、僕は一人で勇者パーティーの相手をしなければならないのか?」


 (コ、コイツ、とんでもない自己中ヤローだ!目の前で味方の小さな女の子が倒れているのに。助けもしないで!)


 だが、タケトが敵を助けるのもおかしな話だ。モヤモヤしていると、タケトの思いを他所に【電話魔】は、次の行動に移る。

 焦る【電話魔】は、「こうなったら、新たな助っ人を呼ぼう!」と独り言を話し、スマホを操作する。


 「プルプルプル~」


 ローテーブルの上に置いてある、スマホが鳴り出した。

 どうやら寝ている女のスマホらしい。

 女は、ダルそうに起き出した。そしてスマホの着信相手を確認すると、電話を切った。


 (あ、着拒した!)


 タケトがそう思っていると、【電話魔】は、またスマホを操作する。


 「お、おい、【睡魔】、何故電話に出ない!?仕方ない!もう一度掛けてみよう!」


 どうやら寝ている女は【睡魔】らしい。

 【睡魔】が、電話に出ないので、【電話魔】は、また【睡魔】に電話を掛ける。

 またローテーブルの上のスマホが鳴り出す。


 「プルプルプル~」


 また【睡魔】は、ダルそうにスマホを見る。そして今度は電源を切った。 


 「何故電話に出ない?【睡魔】、スイマ~!」


 焦る【電話魔】は、何度もスマホを操作して、電話を掛けるが、『お客様の掛けた電話番号は、電源が入っていない為掛かりません!』と応答するばかり。

 【睡魔】は、隣で喚く【電話魔】を煩く思ったのか、クッションを頭に被っている。どうやら【睡魔】は、『睡魔』に勝てなかったらしい。

 タケトは、思った。


 (こんなの、相手にしてらんねえ!)


 「もう、このまま次の階層に行きましょうか?」


 タケトは、このグダグダの空間を脱出したかった。


 「え~と、いいんですか?このまま行って?」


 王女が、聞いて来るがタケトが答える。


 「だって、戦いになりそうに無いし!」


 「そ、それも、そうですね!ではこのまま次へ行きましょう」


 こうしてタケト達は、次の階層へ進む事を決めたのだった。


 タケト達が【電話魔】の横を素通りする。


 「お、おい、【睡魔】よ、勇者パーティーが素通りするぞ!頼むから電話に出てくれ~!」


 【電話魔】が後ろで喚くが、タケトは無視する。

 そして、【使い魔】が出て来た扉をくぐり、次の階層に進んだのだった。




 扉を潜り抜けたタケト達は、次の階層へ出る。

 そこは、どこの町にもあるごく普通の街道だった。

 ごく普通のリビングから、いきなり大きな空間に出たので、タケトは圧倒される。


 (やっぱり、このダンジョン、おかしいよ!なんでダンジョンの構造だけファンタジーなんだ?)


 タケトが、唖然としていると、街道の先から『キコキコ・・・』と音が聞こえてくる。それと同時に「さす、さす、さす・・・」と言う男の声が聞こえる。

 タケト達、勇者パーティーメンバーの視線が、声の方へ集まる。

 すると、ママチャリに乗った男が現れる。

 その男を見た瞬間、タケトは鳥肌がたった。

 その男は、醜く太った体にブーメランパンツを履き、銀色のマントと長靴に目出し帽を被った、どう見ても変質者の格好だった。


 (なんだコイツ、どう見ても変質者じゃん!こんなの相手にしないといけないの~~~?)


 タケトが、戦慄していると「キキッー」とブレーキ音をならせ、男がママチャリから降りる。


 「よく、ここまでたどり着いたのですぞ!誉めてやるのですぞ!しかーし、この【魔が差す】の相手になるかな?なのですぞ!」


 男が宣わる、どうやら男は、魔人で【魔が差す】らしい。


 (【○○魔】だけじゃ無かったんだ!)


 タケトが、そんな事を思っていると、【魔が差す】が更に言う。


 「この【魔が差す】の口撃が防げるかな?なのですぞ!」


 そして「さす、さす、さす、・・・」と言いながら、人差し指を前後させ、独特のステップを踏む。

 大変、気持ち悪い!

 タケトは、鳥肌が立ち過ぎて腕をさする。


 「このままじゃ、やられりちまうぜ!こうなったら、俺の剣で方を着けてやる!」


 何を思ったのか、ドグルがそう言って前に立つ。


(おっ!剣で攻撃するのか?あの剣、どうやって抜くんだろ?きっと凄い剣技で抜くんだろな!?)


 「さす、さす、さす・・・」


 そして剣を抜こうとする。しかし、身長程の長さの剣をドワーフの短い腕で抜く事が出来ず、つっかえてしまう。 


 「う、う、う~!剣が抜けない!・・・・・・はっ!しまった!魔が差して抜けない剣を抜こうとしてしまった!」


 (・・・・・・やっぱり、その剣って抜け無かったのね!・・・・・その身長でその剣の長さは、おかしいと思ったんだ!って言うかその剣って飾り!?)


 タケトは、愕然としてしまう。どうやら【魔が差す】の口撃は、『魔が差す』のを誘導しているようだ。

 そして今度はミーニャが、前にでる。


 「ドグルが、やられてしまったニャ!こうニャったら、うちの弓で攻撃するニャ!」


 (今度は、弓か?頼むからこの気持ち悪い変質者を排除してくれ!)


 「さす、さす、さす・・・」


 「ギリギリ」と弓を引き、【魔が差す】に狙いを定める。そして「ビロローン」と情けない音と共に矢が、明後日の方向にヘロヘロと飛んで行く。


 「しまったニャ!魔が差して、保護グローブ着けるの忘れてたニャ!肉球切れたニャ~!ボーリングの時、外したままだったニャ!」


 どうやら猫獣人特有の、肉球を切ってしまったらしい。


 (え~っ!大事な場面で何やってんの!?)


 タケトは、呆れる。


 「大変です、ミーニャさんが怪我をしてしまいました!ここは、回復役の私が治療しないと!」


 そう言って、シャルロッテ王女が絆創膏を持って、ミーニャの傷口に貼ろうとするが。


 「あっ私、他人の血を見るの、苦手だったのですわ!・・・・・・こうなったら、目をつぶって・・・・・・!」


 「そこ、違うニャ!そこ、額ニャ!」


 とんちんかんな、治療をする王女。


 (え~っ!回復役が、他人の血が苦手って致命傷じゃない!?)


 タケトが唖然としていると。


 「仕方ありません、パーティーメンバーがやられてしまったのなら、私の魔法で対処しましょう!」


 そう言ってライセンが、前に出て来る。


 (おおっ~!やっと魔法が見られるかも!)


 タケトは、空間魔法のようなものは見たが、攻撃魔法のようなものはまだ見ていない。その分期待する。


 「天の法、地の理を司る精霊よ、我が願いに応え、敵を滅ぼせ!ファイヤーボー ────」


 (おおっ~!定番のファイヤーボールだ!ワクワク!)


 「さす、さす、さす・・・」


 「───ル!?・・・・・・んんん!?・・・・・・いや、待てよ!前文と後文を入れ替えた方が効率が良くないか?いや、それだと効果が落ちる?いや、それよりも・・・・・・ぶつぶつ・・・・・・はっ!し、しまったぁ~!戦闘中なのに魔が差して魔法考察してしまったぁ~!・・・・・・ぶつぶつ・・・・・・!」


 タケトは、膝の力が抜けた。


 (なんで、途中で止めるんだよ!こいつアホか?!)


 タケトが、呆れてライセンを見るがライセンは、まだ「ぶつぶつ・・・」と魔法考察を止めない。

 そんな時だった!


 「あ~っ!皆やられてしまいましたわ!後は、勇者様しか!」


 シャルロッテ王女が、悲鳴のような声をあげる。そしてミーニャの怪我を見ないように目を反らしながら、タケトに声を掛ける。


 「勇者様、どうか後を頼みます!」


 「う、う~!剣が抜けねえ!後は、勇者に頼むしかねえ~!」


 「ニャ~!手が痛いニャ~!勇者だけが頼りニャ~!」


 「ぶつぶつ・・・」


 ライセン以外のパーティーメンバーが、タケトに期待する。

 だがタケトは、とても嫌な顔をする。そして思った事を気持ちを込めて叫んでしまう。


 「え~っ!こんな変質者の格好をした相手を、俺一人でしないといけないのぉ~!?」


 不健康そうな白い肌の色の、でっぷりとした腹の肉でブーメランパンツが食い込み、ステップの度に揺れている。

 とても醜い。どう見ても変質者の格好だった。

 しかし、タケトが叫んだ直後だった。


 「なっ!なんですとぉ~!変質者ですとぉ~!」


 タケトが思った事を口にすると、今まで気持ち悪いステップを踏んでいた【魔が差す】が、ステップを急に止め、タケトの言葉に反応する。


 「この格好は、【電話魔】が考案して僕ちんがこの格好をすると、僕ちんのキュートでスタイリッシュな魅力が醸し出される、と【電話魔】が絶賛してくれた格好なのですぞ!」


 【魔が差す】が言い返すが、その中に不穏なワードが聞こえた。


 (え~っ!【電話魔】って!・・・この格好って、あの自己中ヤローが考案したの?)


 「え~と、【電話魔】に教えられて、その格好してるみたいだけど、その格好って動画とか画像で見てもらって絶賛されたの?」


 タケトは、疑問に思った事を【魔が差す】に確認してみる。


 「チッチッチッ!分かって無いなあ勇者君は!【電話魔】は音声しか対応しないのですぞ!」


 指を振りながら、そんな事を言う【魔が差す】。その仕ぐさがムカつくがタケトは、無視する。


 「つまり、動画も画像も見ないで、その格好がキュートでスタイリッシュだと?」


 「そう、【電話魔】は、この格好を見ないでキュートでスタイリッシュだと電話で教えてくれて・・・・・・はっ!騙されたぁぁぁ~!」


 (いや、気付けよ!)


 タケトは、思うが言葉を慎む。

 【魔が差す】は、怒りに震える。


 「おのれ~!【電話魔】め~!」


 【魔が差す】は、怒りに身を任せ、タケト達が通って来た扉に駆け出す。

 タケトは、この時気付く。ママチャリの前かごにスマホが忘れさられている事を。


 「お~い!電話、忘れているよー!」


 タケトが、【魔が差す】に声を掛けるが【魔が差す】は、「畜生!」と叫んで扉を潜り抜けて行った。


 タケトは、思う。

 【電話魔】は、電話でしか対応しない。【魔が差す】は、【電話魔】の前で喚き散らすだろうが、【電話魔】は、相手にしないだろう。そしてあのグダグダの空間が混沌と化すだろう。


 「まっ、いっか!」


 タケトは、思考を放棄した。

 そしてパーティーメンバーの方へ視線を向ける。

 ドグルは、いまだ剣を抜こうとし、ミーニャは、傷が痛むのか涙目で、王女は、傷とは違う所に絆創膏を貼ろうと奮闘している。ライセンは、いまだに「ぶつぶつ・・・」と魔法考察をしている。


 タケトは、溜息をつきながら思った。


 (はぁ~!コイツらやっぱりポンコツだった!なんとなく感じていたけど、とんでもないポンコツだ!)


 タケトは、「う~う~」うねっているドグルの腕を掴み、剣を鞘に戻してやり、王女から絆創膏を奪い、ミーニャの傷口に貼ってやる。そして「ぶつぶつ・・・」と魔法考察しているライセンを往復ビンタで正気にさせる。

 ライセンだけ手荒になったのは、期待させられた分の意趣返しか?


 しかし、これで【魔が差す】は、撃退出来た。

 次の階層へ進む。




 次の階層へ進んだタケト達は、また変な場所に出る。

 それは、どこの町にもある施設の会議室のような部屋だった。長机があり、椅子が並んでいる。


 (また、訳のわからない場所に出たよ!)


 タケトは、少し慣れてきた。

 そして前の方を見ると一人の男が立っていた。

 その男は、高そうなスーツを着込み、白髪混じりの髪をビシッとオールバックにセットした、ダンディーなイケオジだった。


 「ようこそ、勇者パーティーの諸君。初めまして。私は魔王に使える魔人の一人、その名も【束の間】、どうぞ宜しくお願い致します」


 (え~っ!【束の間】ってちょっと違うんじゃない?)


 タケトが、そんな事を考えていると、王女が顔色を変える。


 「気を付けて下さい、皆さん!文献によれば魔王を守る魔人の一人で最後の砦とされています。その口撃方法は───」


 「はい!その間!」


 「─────っぐう~!」


 王女が話してる途中で、【束の間】がかぶせるように声を掛けると、王女は息が止まり話せないようになる。そして膝をつく。

 どうやら、人が話してる途中で言葉と言葉の間に声を掛け、次の言葉を話せなくし、精神的ダメージを与えると言うこの世界特有の口撃方法のようだ。


 (え~っ!そんなアホな攻撃方法ってあるの?)


 タケトが、そんな事を思った時だった。


 「た、大変です!ここは、私の魔法で攻撃します!天の法、地の理を司る精霊よ、我が願いに応え、敵を滅ぼせ!ファイヤーボー ────」


 「はい!またその間!」


 「────ル!うぐっくっ」


 何を思ったのか、ライセンが前に出て来て秒で瞬殺された。


 (こいつアホか?言葉と言葉の間にかぶせる口撃と魔法の提唱って一番相性悪いのに、最初に出て来るって!)


 タケトが白い目をライセンに向ける。


 「くっ!ライセンがやられちまった!ここは、儂の剣─────」


 「はい!またまたその間!」


 「───でっ!うぐっ!」


 ドグルが前に出たが、また抜けない剣を抜こうとして秒殺された。安定のやられっぷりである。


 「ドグルまでやられたニャ!こうなったらウチの弓─────」


 「はい!またまたまたその間!」


 「───でっ!ウニャ!」


 ミーニャも前に出て来たが、やっぱり秒殺だった。


 (コイツら、何故、言葉の間の口撃だって分かっているのに、喋りながら攻撃しようとするの?アホなの?)


 パーティーメンバーがやられて、仕方なく前に出たタケト。

 だが、疑問に思った事を先に聞こうと思った。


 「あの~、ちょっと聞きたい事があるんだけど?」


  「んんっ!何かね、勇者君?」


 余裕なのか、それとも見くびっているのか、タケトに返事する【束の間】。

 だからタケトは、遠慮無く聞く事にした。

 言葉に思念をのせて!


 「【束の間】の【マ】って・・・・・・【マ】違いじゃぁ!」


 「「「「「え~~~~っ!」」」」」


 タケトが疑問に思った事を聞いた途端、パーティーメンバーと何故か【束の間】まで大声で叫んだ。

 そして何故か【束の間】がしゃがみ込み、長机で見えなくなる。

 敵が、見えなくなったのだ。タケトは、慌てて前に走り【束の間】を探す。そしてタケトが【束の間】を確認するが、そこでは。


 【束の間】がいじけていた。


 しゃがみ込み、床にのの字を書いていじけている。


 「頑張って、魔人をやってきたのに、【マ】の事を【指摘】する事、無いじゃないか!うう~!」


 タケトは、呆れた。


 (なんでコイツ、【マ】の事を言ったら、いじけてるんだ?イケオジが、いじけてるって!どうすりゃいいんだ?)


 タケトがそんな事を思っていると、パーティーメンバー達のヒソヒソと話す、話し声が聞こえて来た。


 「儂も分かっていたぜぇ、分かっていたがよ、とてもじゃないが、言えなかったぜぇ!」


 「普通、こんな事言えニャいニャ~!」


 「私には、とてもとても真似出来ません!」


 「そこが、ある意味勇者なのでしょう!?」


 (え~っ!どういう事?【マ】の事言ったらいけなかったの~?って言うか俺、空気読めないヤツになってる~~~!?)


 タケトは、愕然とする。すると今度は【束の間】が語り出す。


 「例え、【マ】が違っても、私は頑張って来た!小さい頃に回りの皆からお前の【マ】は違うと言われて落ち込んだ時、母さんから「お前の【マ】は違うけれど立派な魔人におなり!」と励まされて頑張って来た。それなのに、それなのにぃぃぃ!」


 【束の間】が嘆く。すると何故かパーティーメンバー達が同情する。


 「【束の間】さんかわいそうです」


 「ちょっと、同情するぜ!」


 「う~!聞くに耐えニャいニャ~!」


 「私には、とても真似出来ません!」


 タケトは、敵に同情するパーティーメンバーに呆れる。


 (なんでコイツら、敵に同情してるの?)


 するとメンバーの話しが、段々とタケトの悪口になってゆく。そして声も段々と大きくなってくる。


 「だいたいよぉ、勇者の口撃って酷くねえか?情け容赦ねえって言うか?」


 「勇者の口撃は、過激だニャ!」


 「私には、とても真似出来ません!」


 「そこはほら、前の世界の常識に引っ張られているのでしょう」


 (こっコイツら、なんて事言うんだ!ポンコツのくせに!ポンコツのくせにぃぃぃぃぃ!)


 タケトが、怒りを押さえていると、今度は【束の間】が話し掛けて来る。


 「なあ、勇者よ、私はいったいこれからどうすればいいだろうか?」


 だが、タケトは怒りを押さえていたので声を荒げて言ってしまう。


 「そんなの、しるか!」


 情け容赦なく突き放した。


 「そんな~!勇者がいじめるぅ~!うわ~ん!」


 【束の間】は、泣きながらタケト達が入って来た扉に駆け込み、下の階層に走っていった。

 タケトは、唖然として見送る。

 するとまた、パーティーメンバー達の声が聞こえた。


 「きっと他の魔人達に、勇者の残虐非道ぶりを伝えるんだぜ!」


 「勇者が薄情ニャのも、伝えるかニャ~!」


 「私には、とてもとてもとても真似出来ません!」


 (コイツら、好き勝手言いやがってぇぇぇ!)


 タケトが、握り拳を握って怒りを押さえていると、タケトの怒りの波動を感じたのか、王女が空気を変えようと声をあげる。


 「と、とにかく最後の魔人、【束の間】は、撃退しました!この勢いで魔王も倒しましょう!」


 「「「お、おう~!」」」


 タケト以外のパーティーメンバーの声が上がる。


 こうして最後の魔人を撃退したタケト達は、魔王を倒す最後の戦いに挑む為、次の階層へ進むのだった。



 勇者パーティーは、最後の魔人を倒し、次の階層へ進む。

 タケトは、少しふてくされて皆の後を着いて行く。

 会議室の奥の扉を潜ると、廊下があり、廊下の突き当たりにまた扉がある。

 扉の上には、【魔王の間】と言う部屋名が書かれていた。


 (こっちの【間】は、普通かよ!)


 タケトは、心の中で思わず突っ込む。


 「皆さん、最後の戦いです。心の準備はよろしいですか?」


 「「「おう~!」」」


 タケト以外のパーティーメンバーが声をあげる。


 「それでは皆さん、気を引き締めて行きますよ!」


 王女の掛け声とともに扉を開け、中に突入した。


 そこは、何もない真っ白な部屋でタケトが通う学校の体育館位の空間だった。

 その中央に一人の男が、タケト達に背を向けて立っていた。

 その男は、淡いグレーのスーツに何故か、サンダル履きだった。

 そして、タケト達に気付いたのか、こちらに向き直る。

 その男の左胸にはデカデカと【麻】と言う文字が書かれていた。


 「ようこそ、勇者パーティーの諸君。私が【麻】を愛し、【麻】をこよなく着こなす男、その名も【麻王】!」


 よく見ると、スーツも麻製、ベルトもサンダルの帯も麻を編み込んだ物だった。


 (え~っ!【麻】が好きだから【麻王】ってアホなの?確かに【麻】は、【マ】とも読むけれど、せめてもう一字付けて【麻薬王】とかすれば、悪者感あるのに~!)

 

 魔王の正体は、只の麻好きのおっさんだった。その事実にタケトは愕然とする。 

 しかし、事態は進む。


 「皆さん、気を付けて下さい!【麻王】は、どんな口撃をしてくるか、分かりませんよ!」 


 パーティーメンバーが身構え、戦闘に突入しようとする。

 しかし、タケトは魔王の正体が分かった為、確認したい事ができ、慌てて皆を止める。


 「ちょ、ちょっと待ってほしい!・・・その前に確認したい事があるんだけど!」


 「どうしたのですか?いったい何を確認したいのでしょう?」


 シャルロッテ王女が代表して聞き返してくる。


 「王都の民に被害が出てるって言ってましたよね?負傷者や死傷者が出たんですか?」


 「まさか、まさか!負傷者や死傷者なんて!そんなわけありませんわ!」


 シャルロッテ王女はまるで近所のおばちゃん達の井戸端会議のような仕草で手を振り、軽く答えた。


 「だったら、いったいどんな被害が出たんですか?」


 タケトが、聞き返すと王女は真剣な目で答えた。


 「王都の民の心に冬が訪れるのです」


 「えっ!?」


 「ですから、王都の民の心にブリザードが吹き荒れるのです!」


 「「「おっ、恐ろしい!!!」」」 


 王女が答えると、タケトと王女以外のパーティーメンバーが声を揃えて震え上がった。

 【言葉に力がやどる世界】では、何よりも言葉による口撃が恐ろしいのだ。

 だがタケトは、もう一度確認の為、聞き返す。


 「それって、魔人達のイタズラやダメ出しのせいで、単にへこんだってだけじゃあ?」


 「そっ、そうともいいます」


 王女は、あれだけ真剣な目をしていたのに、今度は目を反らして答えた。

 タケトは、頭が痛くなって来た。だが、まだ確認したい事は残っている。今度は【麻王】だ。


 「【麻王】さん、【麻王】さん、あの~、このダンジョンの名前って~~~」


 「ハッハハハハ、よく気付いたな勇者よ、このダンジョンの名前は、【ダージャレ】、つまり、駄洒落で作ったダンジョンなのだ!」


 「やっぱりかぁぁぁ~~!」


 タケトは、ショックで頭を抱え、踞ってしまう。


 「あう、あう、あぁぁぁ~~~~(ダンジョンの名前を見た時、嫌な予感がしたんだよ!気付けよ俺!何なんだよ【ダージャレ】って!・・・出てくる魔人は、痴漢とか自己中とか変質者とかいじけ虫とかだったしぃぃぃ~~~~パーティーメンバーは、ポンコツだしぃぃぃ~~~~!)」


 タケトは、あまりのショックで言葉が出なくなり奇声を発する。

 そしてもう一つの事実に気付いてしまう。それは、勇者が召喚されてから時間がたてばたつ程、その力が失われてしまうと言うシステム。

 つまり勇者の力とは言葉で突っ込む力。この世界の常識に感化されると、どうしても突っ込む言葉が弱くなる。だからこの世界に染まる前にダンジョン攻略させたのだ。

 その事にも気付いたタケトは、嘆くが言葉にならない。


 「ああああ~~~~~!(勇者は、鮮度が命って、そう言う意味かよ!何なんだよ!この世界ぃぃぃ~~~~!)」


 「ど、どうしてしまったのでしょう?勇者様は?」

 

 「【麻王】の口撃でも食らったか?」


 「その割りには、【麻王】の口撃に思念が乗って無かったニャ!」


 「私には、予想出来ません!」


 タケトの奇行にパーティーメンバー達が戸惑う。


 「な、なんかよく分からんが勇者は、自滅したようだな!」


 【麻王】も戸惑う。

 しかし、戦いは続く。


 「勇者が役立たずの今、残りのパーティーメンバーは、私の口撃を防げるかな?」


 そう言って、【麻王】はどこからともなく長机を取り出し、その上に様々な物品を並べて行く。まさに空間魔法だ。

 タケトが、その様を見ていれば「なんで、そんなところだけ無駄にファンタジーなんだよ!」と文句を言っただろうが、今のタケトは頭を抱えて見ていない。


 そして【麻王】は、数ある物品の中で麻製のマントを手に取り、そのマントを肩を廻して被ったり外したりする。

 それを見た王女が叫んだ。


 「気を付けて下さい!これは伝説の口撃、【一字違い口撃】です。不用意な発言をしないように!」


 【一字違い口撃】


 それは、【麻王】の行動によって【マオウ】と一字違う言葉を発してしまい、ショックを受け、ダメージを負ってしまうと言うアホな口撃だった。

 王女が警告を発するが、パーティーメンバーはアホだ。まず、ライセンが反応してしまう。


 「もしかして【マオウ】がマントを【纏う(マトウ)】?・・・うぐっ!・・・」


 【麻王】がサムズアップする。不用意な発言をしたライセンは、撃沈した。


 そして【麻王】は、今度は箸を取り、長机の上にある料理の品の上で箸をいったり来たりさせる。口では、『どれにしようかな?』と、口パクをしている。その様を見たドグルがまた不用意な発言をする。


 「もしかして、【マオウ】が【迷う(マヨウ)】?・・・うがっ!・・・」


 こうしてドグルは、倒された。

 【麻王】が、腕をぐるぐる回し、箸を持ったまま、またサムズアップする。

 そして次は、並べた料理の中から一品を選び、手に取って箸でかきこみ始める。

 その料理は、麻婆豆腐だった。


 「も、もしかして【マオウ】が【麻婆(マーボウ)】?・・・ウニャ!・・・でも一字だけあってたニャ!・・・」


 ミーニャが少しだけ嬉しそうに沈んだ。

 【麻王】がまた、腕をぐるぐる回してサムズアップする。今度はウインクまでした。おっさんのウインクは、気持ち悪い。


 「な、なんで皆さん、そんなに簡単に倒されるのですか?私一人になってしまいました。わ、私は、簡単には倒されたりしないようにしないと!」


 王女が悲鳴のような声をあげ、最後の一人になった事で意気込む。

 そんな王女に【麻王】は、容赦なく口撃を始める。


 【麻王】は、長机の上の化粧品を手に取り、化粧を始める。

 白粉を塗り、額に眉を書き、唇におちょぼ口の紅を塗る。そして烏帽子を被り、扇子を口元にあて、「ホ、ホホホ」と笑い始める。その様子は、平安貴族だった。


 「ももも、もしかして【マオウ】が【麻呂(マロ)】?・・・あぁぁ~~!言ってしまいましたわ!・・・うきゅ~ん!・・・」


 こうしてパーティーメンバー達は、全て倒された。

 【麻王】は、今度はジャンプし、くるくる回って着地し、両手でサムズアップした。


 タケトは、ショックから少し立ち直っていた。【麻王】の口撃もパーティーメンバーがやられる様も見ていた。そして思う。


 (何なんだ、【麻王】の口撃が物ボケって!?・・・そしてやっぱりパーティーメンバー達の安定のやられップリ!・・・なんで不用意に口を開くんだよ!・・・って言うか【麻呂】って概念、この世界にもあんの?)


 あまりの勇者パーティー達のアホなやられっぷりにタケトは、愕然とする。

 そんなショックから立ち直ったタケトを王女達が気付く。


 「私達は、皆やられてしまいましたわ!後は勇者様しか!」


 「儂達は、もう駄目だ!後は勇者に託す!」


 「うちは、やられてしまったニャ!勇者ぁぁ~~、後、頼むニャ~~!」


 「私は、真似出来ません!後は頼みます!」

 

 後を託されたタケト。しかしあまりのアホらしい戦いに思う事は、只一つ。

 タケトは立ち上がりながら思いのこもった言葉を口から漏れ出さす。


 「くう~!」


 「「「「「くう~?」」」」」 


 勇者パーティーと【麻王】が不思議そうに聞き返す。


 「くう~~~~~~~~!」


 「「「「「くう~~~~~~~~?」」」」」


 タケトの声がさらに漏れでると、【麻王】と勇者パーティーがさらにおうむ返しに聞き返す。

 そしてタケトの思いのこもった言葉が、爆発するように口から飛び出した。


 「下らねぇぇぇ~~~~~!」


 「「「「「えぇぇぇ~~~~!」」」」」


 タケトから飛び出した言葉に【麻王】と勇者パーティーが驚きの声をあげる。


 「ま、まさか!【下らない返し】とは!」


 王女が驚きながら言う。


 【下らない返し】


 『下らない』、それは全てを否定する言葉。そしてこの場では、全てをひっくり返してしまう言葉だ。まさに料理の乗ったちゃぶ台をひっくり返したようなもの。

 その為、この世界特有の現象が起きる。

 今まで勇者パーティーに蓄積されたダメージが【麻王】に返ってくる。しかもタケトの思念がおもいっきり乗った言葉で何倍も倍増したダメージで。


 「な、なんと言う事だ、まさか、まさか【下らない返し】とは!・・・うぐわ~~~~!」


 こうして【麻王】は、倒された。

 タケトは、思う。


 (・・・・・なんで、下らないって言って【麻王】が倒されるんだよ!・・・・・何なんだよ、この世界は!・・・ファンタジーはファンタジーでもこんなファンタジーは嫌だ!・・・・・)


 タケトが愕然としていると、ダメージから回復した勇者パーティーのメンバーがかけよってきた。


 「凄いですわ、まさか最後の最後で【下らない返し】とは!」


 「実は、儂は勇者の能力に疑問を持っていたんだが、杞憂だった。流石だ!」


 「やっぱり最後は、勇者だったニャ!」


 「私には、とてもとてもとてもとても真似出来ません!」


 【束の間】戦で散々悪口を言っていたパーティーメンバーが、手のひらを返して褒め称える。

 タケトは、しらけた気分になった。 

 そしてシャルロッテ王女が、顔を赤らめながらタケトに聞いてくる。


 「タケト様は、この世界を救って下さった英雄です!是非とも私の伴侶になって頂いて、この世界に留まってほしいのです」


 そう言った王女が、今度は悲しそうな顔で言ってくる。


 「それとも、元の世界に帰られますか?」


 タケトは、遠くを見る目で答えた。


 「いえ、元の世界に帰ります」


 迷わず帰還を選ぶタケトであった。







 おしまい

 

 この世界の最強職は、漫才師です。

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