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序章 光泉ニ独リ
お伽話の姫君よりも、救国の英雄に憧れた。
幼い頃に何度も読んだ、建国神話の絵物語。
四人の大神官と共に邪神を封じ、夕映王国を繁栄させたという双刀の天下人。
弱き民を助け、強き悪を挫くため、力を合わせて運命を切り拓いていく──その勇姿が、ただただ格好良くて。
(そんな、ただの夢物語が)
父の形見を携えて、女だてらに二刀流を目指し。
王都の治安維持組織“夕輝士団”に志願して。
(まさか、本当になるなんて)
最高の相棒と。
苦楽を共にした仲間達と。
王国を守るために戦い、未来を勝ち取った。
(──なのに)
そうして平和をもたらした“双刀の女勇士”は。
(なんで、あんたに、逢えないの……?)
三日月を映す水面に、震える指先を落としながら。
名も呼べぬまま、ただ一人涙を零していた。
⸻それは、
まだ誰も知らない運命へと続く、
はじまりの話。




