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英霊少年〜三百年前に転移した少年が魔法理論を解明して世界を救うまでの物語〜  作者: 仁見ヒロ


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第零話:世界救う英雄、異世界から転移する


「ごめんね、おばあちゃん…」


 少女は座り込み、一筋の涙を流しながら呟く。


 その腕には、力の抜けた老婆を大切そうに抱えている。


 燃えくすぶる周囲の炎は、少女の白銀の髪を紅く染めている。




――ブヴゥゥーン




 突如、目の前に大きな光の輪が現れる。


 輪の内側は、黄金色を放ちながら、波立つようにゆらめいている。


 水面が割れるように、その輪から、一人の青年がゆっくりと現れた。



 白銀の髪。金色の目。自分よりも背丈の高い、大人の人。



 その姿は、おばあちゃんが寝物語で聞かせてくれた、おとぎ話の勇者様だと、疑っても疑いきれない。



「――待たせたね、リィナ」



 こちらを見て、はっきりと名前を呼ばれる。



「だ、だれ?」



 跳ね上がる心臓を抑えつつ、なんとか声を振り絞る。



《キシャアアアアアッ!!》



 少女の背後からは、耳をつんざくような魔族の叫び声が聞こえる。


 一体が叫ぶと、呼応するように大勢の魔族が声を上げる。



「もうちょっとだけ待っててね」



 この禍々しい不協和音が、まるで聞こえていないかのような優しい声。



 少女の頭にポンと軽く手を添え、少女の背後に回る。




『――喰らい尽くせ、火焔龍』




 青年の手から、火柱が発生したかと思うと、それはうねりをあげながら、魔族の大群を飲み込んだ。



《ギィヤァア、アアアァァッ…》



 逃げ惑う魔族の群れを一瞬で消し炭に変える。火柱は役目を終えるとフッと煙を残し、消えていった。


 

「もう大丈夫」



 青年は振り返り、微笑みながら声をかける。



「世界を救いに来たよ、リィナ」




――これは、平凡な農家の少年が、世界を救うまでの物語。

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