42.ありか
お読みいただきありがとうございます。
和室。入ったときの殺風景という感覚は前と同じだった。絵画と布団と畳。この三つの条件さえ揃ってさえいれば俺はこの和室を細くイメージすることができそうだ。
やっぱり俺の推理は正しかった。外から見られないように今回はしっかりドアを閉める。うるさくされると困るのでカッコウは連れてきていないが、一人でできるだろうか。
俺は重いそれを一人で外そうとした。ギュウギュウになっているわけではないから意外とすぐにできそうだ。
ドン。少し大きな音がしてしまった。大丈夫だろうか。
十秒くらい待ってみたが誰かがこっちに来るような足音は聞こえない。多分気にされていないだろう。第一、普通に生活していればドンという音くらい聞こえてくるだろう。いちいちそれくらいの音に敏感になっていたらきりがないと思う。
俺は足元を見る。...何もなかった。
どういうことだろうか、一瞬思ってしまったがこれに関しても俺には仮説があった。ただ、だとしたらどこに...。
...ちょっと待てよ?
サイさんとダンさんは言っていた。「私たちは昔―。」
もしそれに関連することがこれにも関連しているとするなら、要するに関連していることに関連していることと関連しているのなら、もしかしたら...。
ずっと感じていた違和感、もしかしたらこのためなのかもしれない。
倉庫をしばらく物色していると、今田さんにもらった懐中電灯を俺は倉庫にほっぽってきてしまっていたことに気が付いた。これを今田さんがみたらもう一回俺のところまで来るだろうか。
そんなことはどうだっていい。俺には時間制限がある。
多分奥の方だと思う。言うまでもなくそっちのほうが安全だろう。ものをどかすときに変に音がならないように、一つ一つ背中側に慎重に置いて前を空けていく。
すると予想通り、それらしき青い封筒があった。開けて良いのだろうか。
『―へ』
疑問を持ったが、よく見るともうきれいに上の方を開けてあった。中に張り付いたりしていないことを確認して、後からだれかに見たと言うことがバレないようにそれを取り出す。三つに折ってある白い紙だった。
『―へ
私は――』
思わず唖然としてしまった。だってそこには...。
ここに書いてあることが正しいとすると、自分たちを自分たちで奪ってしまったことになる。第一、明訓さんはなにを望んでいたのか?
それはもうわからない。誰に聞いても返事は同じだろう。
こうして全てのピースが揃ってしまった。このことを伝えるべきなのだろうか。ただ、伝えたからと言って何の意味があるのだろう―。
...いや、俺にはやらなければならないことがある。
―だって、秀和さんは紛れもなく、あの場所にいるのだから。
俺は倉庫を出る。部屋に戻ろう。倉庫と俺の部屋は近いから大丈夫だろう。
ドアを開けると、カッコウが待っていた。何をしているのかと聞くこともなく、「あ」と言って立ち上がる。特に話すこともないのだと思うが。
ただ、なぜカッコウはこんなにすぐに俺の存在を受け入れてくれたのだろう。この謎は、ずっと解けないままかもしれない。
ドアを閉じた。
青って自然界に少ない色ですよね。




