41.同音異義語
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やはりそうだった。どうやら今までのその思い込みが間違っていたようだ。ミュウさんには俺が帰ってきたことを他の人に言わないようにと口止めしておいた。ミュウさんは多分大丈夫だろう。ただ、このことを確かめるにはもう一回...。嫌だな...。絶対に怪しまれるだろう。どうしようか。あれ、そういえば...。
すると、後ろでドアが開く音がした。俺はドアを背中にしてベッドに座っていたので少しビックリした。ノックなしだからカッコウだろうか...?
「え...?」
予想通りの返答だった。いや、返答というには曖昧な言葉すぎるだろうか?とりあえず俺はすぐに後ろを向いて、「待て、落ち着け」と言葉通り落ち着かせようとする。
「なんでいるんですか...?」
「...?」ばかりが語尾についている。それくらい驚きが隠せないのだろう。
「いいから。とりあえず俺がいることは黙っておいてほしいんだ。」
多分そのうちバレてしまうだろう。バレるとここに戻ってきた理由を問われてしまう。それは嫌だ。もし仮に戻ってきたくて戻ってきたと言ったら、後で余計に逃げづらくなってしまうかもしれない。
「あと、一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」
「...」など付けずに、唐突に質問を投げようとした。オドオドとしながらもカッコウはうなずいたのだった。
カッコウが部屋を出ていった。さて、俺が次にすべきことはなんだろうか。そうだ。俺には確認したいことがまだあった。...サイさんとダンさんについてだ。この仮説が正しければ、すべてが繋がるかもしれない。
静かに部屋を出る。廊下には誰もいなかった。ただ誰もいないといえど、ここからサイさんたちの部屋までは距離がある。しかも西島さんの部屋の前を通らなければならない。ここは木造だから、足音も下手をすると床がきしんだりして響いてしまう。
背筋に緊張が走る。音一つ立ててはならない。存在がバレてはならない...。
意外と早く部屋に着いた。ここはダンさんの部屋のドアの前だ。ノックするのには勇気が必要だった。ただ、もう仕方がない。ドアを叩く。今回も三回だ。
「はい」とダンさんが返事をする。良かった、今回はこの前みたいにサイさんの部屋にいなかった。
ドアが開くと、意外な事にサイさんが顔をのぞかせた。どうやら二人はまた一緒にいたようだ。
「え...?」
ミュウさんもカッコウも同じような反応をしていた。唖然とした、そんな感じなのだろう。
「お願いです、俺がここにいるってことは今誰も知りません。だから黙っておいてほしいんです」
多分ミュウさんだったりは知っていると言うとミュウさんとの会話で俺のことが出てきたりしてしまうかもしれない。そうして他の人にバレるとまずい。
突然焦っているように言葉を連ねた俺に最初はビックリしていた二人だったが、「聞きたいことがあります」というとだんだんと俺の存在を受け入れてくれた。
ダンさんの部屋にはサイさんの部屋と同じように机と卓上織り機がある。昔二人は何かしらのつながりがあったのだろうか。幼馴染とか、会社の同僚とか...?
二人はそこら辺から座布団を三つ取り出してきた。俺の前に一つを置いてくれた。紫色の中心に白と黄色の小さな模様がある。デザインがそれっぽかったので何となく正座をした。
「で、どうしたの?」
サイさんが俺に尋ねる。俺はこのことを話すためにここに来たのだ。もう引き返すことはできない。
多分、二人は悪意を持って嘘の情報を俺に与えているわけではないのだと思う。いや、嘘の情報ではない、俺が勝手に誤解していただけだ。そう、二人は―。
変わらぬもの。それが指し示すものがわかった気がする。ただそれはこの場でしか適用されない。この場所を出てしまったら、もうこのことを知ることはできない。
この場所には確かに変わらぬものがある。そしてそれは、自分が自分であることを示す一種の証拠なのではないのだろうか。
そして自分を消す働きをするものを消してしまうと、自分を隠すことはもうできないのだろうか。
そういえば昨日、久しぶりに夜の月を見たな。
二人は...




